異世界の救世主になろう！～主役はやっぱり勇者だ～

本編

35

「っもう！なんなのよあいつは？！」
「まあまあ...次の試合で頑張れば良いじゃん」
「まあ、ダーリンがそう言うのなら...そういえばさっきからなにしてるの？」
「ん？瞑想」
「メイソウ？」
「要は集中してるって事だ」

「さて！お待たせ致しました！準決勝まもなく開始です！」

「そろそろだな」
「行きましょうか、この試合本気で私を失神させる気できてね」
「マリアを失神か、まあ頑張るけど」

◆◇◆

「それでは！準決勝です！所属ギルド、嫉妬《インウィディア》代表、ユージン選手対同じく嫉妬《インウィディア》代表マリア選手！それでは！バトル～開始ー！！」

「先制いくわよ！《コルポラリスファカルターテムレニメンタス》！」
「あれは...カーリーの身体強化魔法？」

客席からカーリーもその光景を眺めていた。

「いつの間に使えるようになってたッスか？！」

「使えたのかよ、その魔法。」
「カーリーとの試合で覚えたのよ！」
「まさか、見て覚えたのか...」

気付くと一気にマリアが攻撃範囲内に入って来ていた。

「ヤバッ！」

ドゴンと音をたてて地面にマリアの両手剣が突き刺さる。

「あぶなっ！」
「まだまだ！」

ビュンビュンと剣がユージンの近くで空を切る。

「殺したら反則だからね？！」
「本気でやらなきゃ当たらないじゃない！それにこうやってダーリンと闘う時を心待ちにしてたんだから！」
「らちがあかねーな！それに動きにキレがでてきた！」
「それは、強化魔法に身体がなれてきてるのよ！」

ユージンは後方に跳び、一度距離をとる。

「強化魔法ぐらい俺もできるんだからな！《仙人モード》！」
「そんな脅しに惑わされないわ！(完全に捉えた！)」

すると、一瞬で目の前にいたハズのユージンの姿がなくなっていた。

「消えた？！」
「フッ、止まって見えるぞマリア！」

「は、速過ぎッスね...」

「なんと！マリア選手の攻撃が直撃したと思った瞬間、マリア選手の背後に回り込んでいた！」

その様子をこの男ガディ・ホーフェンも見ていた。

「なるほど、速ぇな...だが俺と闘うには......ちと遅過ぎだ...」

「速いなら...動きを止めるまで！《ハイパーグラビディ・セカンドテンポーラ》！」

するとすぐにユージンの身体が重くなり動きが鈍くなった。

「うっわ！！重っ！」

「ハハッ容赦ねーなあのお嬢ちゃん、でもキツかろうな～。魔法を２つ同時に発動させるのは」

「こりゃ双方条件的には」
「同じくらいキツいハズ」

「あとは...」

「...技量の問題...」

「うおお！」
「タァア！」

観客から見れば金属と金属がぶつかる音がするだけで２人の剣を目で追うことはできなかった。

「うおおりゃ！」
「（剣を振り切ってきた！）」
「ボディががら空きだぜ！」
「んなっ？！変態！」
「えぇ！！？」
「スキあり！」
「うわっと！今のはずるいだろ！」
「おしい！」
「いや、聞けよ！」

「マリア選手の凄まじい攻防です！いや攻めの体制しか見せない！防がみえない！というか二人の動きが速すぎて私には目でも追うことができません！」

「使えなさすぎだろあの実況者！」
「こっちに集中しなさいよ！おりゃりゃりゃりゃりゃ！」
「こんのぉぉおお！」

「凄い激突だ！衝撃がここまで伝わってくるようです！」

「本気出しなさいよ！ダーリン！」
「出してるだろ...」
「だったら聞くけどどうして攻撃してこないのよ」

「気付いてたか、でもいいのか？本気でやっちゃって」
「試合前に約束したでしょ？」

「......《卍解、天鎖斬月》」

「その技は既に知ってるわ！」

しかし姿を変えたユージンはそのまま突っ込むのではなく刀を持っていない左の手のひらを顔の前に当てた。

「《虚化》！」

「なんだ...この寒気は...」

左手をどけたユージンの顔を見て会場がざわめいた。

「おい、なんだありゃ？！」

「なんスかあれは...」

「仮面...？」
「コレガホロウカ、カナリキツイナ...ジガヲウシナイソウダ...」
「それがダーリンの本気？」
「マア、ケッコウマジメダゼ」

次の瞬間マリアの視界からユージンが消えた。気づけばマリアの肩に黒い刀が乗っている。

「オマエノマケダ、マリア」
「そう、みたいね。これは勝てないわ」

「し、試合終了ー！マリア選手が降参したのでこの試合ユージン選手の勝利！そして決勝はユージン選手対ガディ・ホーフェン選手に決定致しました！」

「あー、悔しい！」
「ふぅー」

「やっぱこうなったか！ガッハッハハ！」

「マリア、今までで一番楽しい試合だったぞ」
「それは光栄の極みだわ。決勝頑張ってね」

「本日の試合は全て終了致しました。明日が対抗戦最終日及び決勝戦です」

◆◇◆

「明日が最終日、動くなら明日だな」
「どうやらやはりガディ・ホーフェンが決勝らしい。相手は...」
「奴が誰と闘おうと知ったことではないわガディ・ホーフェンを殺せるのは俺だけだ。」
「......」
「あいつを殺せれば俺が最強だとこの国のクズどもに知らしめる事ができる」