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本編
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「少しは口を聞いてくんねーか?」
「...見つけた...やっと」
「なにを?」
とうとうユージンの目の前まで近づいてきた、しかしユージンは逃げようとはしなかった。無言でフードをとると正体はユージンと同じ歳ぐらいの少女だった。先程の重たい声の主とは思えなかった。その少女はいきなりユージンに抱きついた。
「?!あの...君...誰だっけ?」
「覚えてないですか...」
「悪い、記憶にない」
「私は今でもハッキリおぼえてます。」
「君、名前は...」
「ルピです。まだわかりませんか?」
「(もしかして、そういうこと?)このブラウスを知ってるの?」
「はい」
「あぁあ...やっぱそっちか」
「そっち?」
「いや、なんでもない。それでルピちゃん?」
「ルピで結構です」
「そろそろ離してほしいんだけど」
「了解です」
「さ、要件を話してくれ」
「と、申しますと」
「俺を誘拐してなにがしたいんだ?」
「ブラウス様とお話がしたかっただけです。2人っきりになるには保護するしかないかと...」
「誘拐な!」
「しかし、こうやってまた会えたこと心から嬉しく思っております。」
「あの、水をさすようで悪いけどな実は」
◆◇◆
「記憶喪失ですか...」
「なんかすまんな」
「いえ...」
「なにがあったのか教えてくれないかな?」
「5年も昔の事です。私とブラウス様は私の故郷の村、ハナリの村で出会いました。酷い貧困な村で国から大きな借金を受けていました。払いきれなくなってしまった私達の村にとうとう国の役人が私達の村から女子供を強制的に奴隷に出すよう仕向けてきました。そこへたまたま他国の貧困状況を調査しにきていたブラウス様が通りかかり、私達の借金を負担し助けて頂いたのです。それどころか村の皆に仕事を紹介して頂き、今では昔よりも楽な暮らしを送らせていただけるようになりました。」
「そうか、ブラウスはいい奴だったんだな。」
「はい、ですがこんなことを話しにブラウス様に会いに来た訳ではありません。」
表情を察するにどうやら深刻そうな話だろうと悟った。
「単刀直入に申し上げます。今すぐこの街から逃げて下さい。」
「え?どうして?」
「近々大きな戦争が起きます。このグリモアはその戦争の最前線になるでしょう。」
「あぁ?!戦争?!どうしてそんな...」
「先日、我がガリア国の外交代表者がこちらの国に出向いた際、行方不明となり後日遺体で発見されました。襲われた場所はローマ領内、賊の者による犯行も考えられましたが警備は厳重でした。それに周辺に人の住める様な場所はなく、一番近い村は数百メートル離れた位置にしか存在していませんでした。金品は盗まれておらず代表者のみを連れ出し別の場所で殺害していた事から計画的な犯行と断定しました。代表者を警備していた数百人の兵士も全員殺され現場は酷い有様でした。」
「どうしてその人が狙われたのか分かったの?」
「これは、軍人でも極めて上の者にしか知らされない情報なのですがどうやらかつて魔王討伐のため勇者が使用していたと言う過去の遺産が発掘されたようです。そのアイテムは人を選ぶらしく、並の人間では扱えませんが使用すれば凄まじい破壊力を持った兵器になるとか。ガリアでは今このアイテムを応用した兵器開発が進められています。殺された外交代表者もその会合のためこのローマに訪れていたそうです。」
「兵器...」
「犯人は恐らくその兵器の情報を探ろうとした者かと、そしてその兵器の事を知っているのは会合に参加したローマ人。詳しい詳細を知るため代表者達の移動を襲い代表者を誘拐し、拷問かなにかで吐かせようとしたのでしょう。」
「なるほど」
「そして、先月事件が起こりました。ガリアの一部を占領していた魔王軍が一気に進行を始めアクイタニア、並びにナルポネンシスが攻め落とされました。そして、このタイミングで魔王軍...」
「まあ、俺がガリアの人間だったらこう考えるだろうな。ローマと魔王軍が手を組んだ...って。」
「そうです。しかしローマ側はこれを否認しました。ガリアは国王同士の会合を求めましたが、ローマ皇王はこれに応じず。いよいよガリアはローマに開戦を宣告しました。」
「まあ、ローマ皇王が応じれる訳ないな」
「あのネロという女性がローマ皇王ですね?」
「ああ」
「申し訳ありませんでした。うちのバカトトが...加えてブラウス様を殺すだのなんだのと無礼な事ばかり...」
「いや、すぎたことだから。それにルピのせいじゃないし。」
「いえ、部下の失態は上司の失態。トトが言ったことやったことは全て私が責任を負わないとなりません。奴の原型を留めないほど殴らなければ気がすみません。言い換えればミンチです。」
「言い換えなくて良いから!お願いだから殺さないであげてね?!」
「なんにせよブラウス様はここを離れて下さい。」
「戦争には君も駆り出されるのか…?」
「はい、私は平民出身ですが一応軍団長三幹部に所属していますので」
「偉い人なんだ」
「恐縮です。しかし私の知る限りブラウス様に勝る偉い方など存在しません。」
「...恐縮です」
「しつこいようで申し訳ありませんが必ずここから離れて御自分の領地へお戻りください。」
「それは断るね。」
「何故ですか」
「その戦争とやら、止めるから。安寧の生活を目指している俺には障害だし。」
「...見つけた...やっと」
「なにを?」
とうとうユージンの目の前まで近づいてきた、しかしユージンは逃げようとはしなかった。無言でフードをとると正体はユージンと同じ歳ぐらいの少女だった。先程の重たい声の主とは思えなかった。その少女はいきなりユージンに抱きついた。
「?!あの...君...誰だっけ?」
「覚えてないですか...」
「悪い、記憶にない」
「私は今でもハッキリおぼえてます。」
「君、名前は...」
「ルピです。まだわかりませんか?」
「(もしかして、そういうこと?)このブラウスを知ってるの?」
「はい」
「あぁあ...やっぱそっちか」
「そっち?」
「いや、なんでもない。それでルピちゃん?」
「ルピで結構です」
「そろそろ離してほしいんだけど」
「了解です」
「さ、要件を話してくれ」
「と、申しますと」
「俺を誘拐してなにがしたいんだ?」
「ブラウス様とお話がしたかっただけです。2人っきりになるには保護するしかないかと...」
「誘拐な!」
「しかし、こうやってまた会えたこと心から嬉しく思っております。」
「あの、水をさすようで悪いけどな実は」
◆◇◆
「記憶喪失ですか...」
「なんかすまんな」
「いえ...」
「なにがあったのか教えてくれないかな?」
「5年も昔の事です。私とブラウス様は私の故郷の村、ハナリの村で出会いました。酷い貧困な村で国から大きな借金を受けていました。払いきれなくなってしまった私達の村にとうとう国の役人が私達の村から女子供を強制的に奴隷に出すよう仕向けてきました。そこへたまたま他国の貧困状況を調査しにきていたブラウス様が通りかかり、私達の借金を負担し助けて頂いたのです。それどころか村の皆に仕事を紹介して頂き、今では昔よりも楽な暮らしを送らせていただけるようになりました。」
「そうか、ブラウスはいい奴だったんだな。」
「はい、ですがこんなことを話しにブラウス様に会いに来た訳ではありません。」
表情を察するにどうやら深刻そうな話だろうと悟った。
「単刀直入に申し上げます。今すぐこの街から逃げて下さい。」
「え?どうして?」
「近々大きな戦争が起きます。このグリモアはその戦争の最前線になるでしょう。」
「あぁ?!戦争?!どうしてそんな...」
「先日、我がガリア国の外交代表者がこちらの国に出向いた際、行方不明となり後日遺体で発見されました。襲われた場所はローマ領内、賊の者による犯行も考えられましたが警備は厳重でした。それに周辺に人の住める様な場所はなく、一番近い村は数百メートル離れた位置にしか存在していませんでした。金品は盗まれておらず代表者のみを連れ出し別の場所で殺害していた事から計画的な犯行と断定しました。代表者を警備していた数百人の兵士も全員殺され現場は酷い有様でした。」
「どうしてその人が狙われたのか分かったの?」
「これは、軍人でも極めて上の者にしか知らされない情報なのですがどうやらかつて魔王討伐のため勇者が使用していたと言う過去の遺産が発掘されたようです。そのアイテムは人を選ぶらしく、並の人間では扱えませんが使用すれば凄まじい破壊力を持った兵器になるとか。ガリアでは今このアイテムを応用した兵器開発が進められています。殺された外交代表者もその会合のためこのローマに訪れていたそうです。」
「兵器...」
「犯人は恐らくその兵器の情報を探ろうとした者かと、そしてその兵器の事を知っているのは会合に参加したローマ人。詳しい詳細を知るため代表者達の移動を襲い代表者を誘拐し、拷問かなにかで吐かせようとしたのでしょう。」
「なるほど」
「そして、先月事件が起こりました。ガリアの一部を占領していた魔王軍が一気に進行を始めアクイタニア、並びにナルポネンシスが攻め落とされました。そして、このタイミングで魔王軍...」
「まあ、俺がガリアの人間だったらこう考えるだろうな。ローマと魔王軍が手を組んだ...って。」
「そうです。しかしローマ側はこれを否認しました。ガリアは国王同士の会合を求めましたが、ローマ皇王はこれに応じず。いよいよガリアはローマに開戦を宣告しました。」
「まあ、ローマ皇王が応じれる訳ないな」
「あのネロという女性がローマ皇王ですね?」
「ああ」
「申し訳ありませんでした。うちのバカトトが...加えてブラウス様を殺すだのなんだのと無礼な事ばかり...」
「いや、すぎたことだから。それにルピのせいじゃないし。」
「いえ、部下の失態は上司の失態。トトが言ったことやったことは全て私が責任を負わないとなりません。奴の原型を留めないほど殴らなければ気がすみません。言い換えればミンチです。」
「言い換えなくて良いから!お願いだから殺さないであげてね?!」
「なんにせよブラウス様はここを離れて下さい。」
「戦争には君も駆り出されるのか…?」
「はい、私は平民出身ですが一応軍団長三幹部に所属していますので」
「偉い人なんだ」
「恐縮です。しかし私の知る限りブラウス様に勝る偉い方など存在しません。」
「...恐縮です」
「しつこいようで申し訳ありませんが必ずここから離れて御自分の領地へお戻りください。」
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