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本編
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『ノリクム』よりガリア国内西の街、『セーブ』。
その街は街と呼ぶにはとても小さく、四方を壁で囲まれている。壁の外はどこまでも続く砂漠、では何故その様な場所に街があるのか、理由は街の中心にオアシスがあるからである。小さい街と言ってもこの環境を生かした果実やその果実を使った酒等を輸出しているおかげで商業はかなり豊かだ。
その街の中に白髪の六十代と思われる眼帯をつけた男がいた。
街の中の道は完全に整備はされていないので硬くて茶色の石を踏んでいるような感じだ。
「商業的に豊かとは言ってもなぁ、相変わらずなにもない街だこと。」
男は片手に持っていた酒ビンを口元へ持っていき、一口煽る。グビッと喉が音を鳴らし、その後喉に焼けるような熱を覚える、鼻から果実の良い香りが抜けていく。そして酒ビンを凝視する。
「悪くはねーが、ちと飲み口が良すぎるな。これじゃジュースだ。」
ガディはビンから視線を前を歩いているフードを被った人物へ移す。
「(このまま何も起きなきゃ俺も何もせず楽なんだがな。先日の対抗戦の疲れも残ってるし、はやく帰りてーなぁ...)」
しばらくするとフードを被った人物は建物の中に入っていった。
「飲み屋か...」
続いてガディも中に入る。扉は簡素な物で、両開きの物だが取っ手がない、手を使わずそのまま扉を無視して入ると扉は勝手にしまって開いたり閉じたりを繰り返している。
店の中をぐるっと見回して目的の人物がいるのを確認すると離れた席に座った。ガディは懐にしまっていた紙を取り出す。書いてある内容はある人物に関してのプロフィールだ。視線を紙からフードを被った人物へと再び移す。
「(今回はギルドマスター直々の依頼か。奴の名前はフーブ、強欲《アワリティア》ギルド及びシェールスギルド所属、職業アサシン、年齢不明、性別不明、顔を目撃した者もおらず、身長体重共に不明なまさに正体不明のアサシンか...調査内容、殺人の疑いあり、極秘に監視すべし。)」
一通りもらった紙に目を通したガディは溜まっていた息を脱力と一緒に外に出す。
「(同業者の邪魔はしたくねーんだが、殺人ともなれば話は別だな。情報は全部冒険者登録する際の基本的な名前と職業、それから所属するギルドといった情報ばかりか。かなりの用心深さだなこりゃ。)」
「失礼致します。」
ウェイトレスの制服だろうか、茶髪で明るい表情の若い女性がガディの横に立っていた。そして木でできたコップと果実のイラストが書かれた酒ビンをガディにすすめた。
「俺は頼んでないけど?ん?」
ガディが疑問を投げかけるのと同時ウェイターは半分に折られた紙を出した。
「先程まであちらに座っていたお客様からお預かりした物です!」
ニコッと笑うとさっさと自分の仕事に戻っていってしまった。しばらくしてウェイターが送った視線の先を見てガディは思わず立ち上がってしまった。
「いない?!気づかれたか!くそ!」
ガディはそのまま店を飛び出して整備されていない道を走った。砂埃が巻き上がっていて視界は非常に悪い、見えない訳では無いが遠くまで見渡すことができない。しばらく走っているとどこかで悲鳴が聞こえた。
「(嫌な予感しかしねぇな)」
悲鳴のもとまで駆け付けると座り込んでいる女性、そして倒れてまわりに血の滲んだ砂の上に横たわる男性の姿があった。無事そうな女性のもとまで走って安否を確認するが返事がない、ショックで思考がとまっているかのようだった。
「おい、何があった?!」
「フードを被った人がそこの男の人を...」
「そいつはどこへ?!」
「わからない、影の中に溶けるみたいに...」
「アサシンのスキルか...」
倒れている男に視線を向け、手首を握るが脈はない。
「出血の量からみて心臓を一突き、これはナイフか?」
ふと、紙を握りしめていたことを思い出し、内容を確認する。あったのは一言。
「『Abyssus abyssum invocat.』地獄は地獄を呼ぶ...」
その街は街と呼ぶにはとても小さく、四方を壁で囲まれている。壁の外はどこまでも続く砂漠、では何故その様な場所に街があるのか、理由は街の中心にオアシスがあるからである。小さい街と言ってもこの環境を生かした果実やその果実を使った酒等を輸出しているおかげで商業はかなり豊かだ。
その街の中に白髪の六十代と思われる眼帯をつけた男がいた。
街の中の道は完全に整備はされていないので硬くて茶色の石を踏んでいるような感じだ。
「商業的に豊かとは言ってもなぁ、相変わらずなにもない街だこと。」
男は片手に持っていた酒ビンを口元へ持っていき、一口煽る。グビッと喉が音を鳴らし、その後喉に焼けるような熱を覚える、鼻から果実の良い香りが抜けていく。そして酒ビンを凝視する。
「悪くはねーが、ちと飲み口が良すぎるな。これじゃジュースだ。」
ガディはビンから視線を前を歩いているフードを被った人物へ移す。
「(このまま何も起きなきゃ俺も何もせず楽なんだがな。先日の対抗戦の疲れも残ってるし、はやく帰りてーなぁ...)」
しばらくするとフードを被った人物は建物の中に入っていった。
「飲み屋か...」
続いてガディも中に入る。扉は簡素な物で、両開きの物だが取っ手がない、手を使わずそのまま扉を無視して入ると扉は勝手にしまって開いたり閉じたりを繰り返している。
店の中をぐるっと見回して目的の人物がいるのを確認すると離れた席に座った。ガディは懐にしまっていた紙を取り出す。書いてある内容はある人物に関してのプロフィールだ。視線を紙からフードを被った人物へと再び移す。
「(今回はギルドマスター直々の依頼か。奴の名前はフーブ、強欲《アワリティア》ギルド及びシェールスギルド所属、職業アサシン、年齢不明、性別不明、顔を目撃した者もおらず、身長体重共に不明なまさに正体不明のアサシンか...調査内容、殺人の疑いあり、極秘に監視すべし。)」
一通りもらった紙に目を通したガディは溜まっていた息を脱力と一緒に外に出す。
「(同業者の邪魔はしたくねーんだが、殺人ともなれば話は別だな。情報は全部冒険者登録する際の基本的な名前と職業、それから所属するギルドといった情報ばかりか。かなりの用心深さだなこりゃ。)」
「失礼致します。」
ウェイトレスの制服だろうか、茶髪で明るい表情の若い女性がガディの横に立っていた。そして木でできたコップと果実のイラストが書かれた酒ビンをガディにすすめた。
「俺は頼んでないけど?ん?」
ガディが疑問を投げかけるのと同時ウェイターは半分に折られた紙を出した。
「先程まであちらに座っていたお客様からお預かりした物です!」
ニコッと笑うとさっさと自分の仕事に戻っていってしまった。しばらくしてウェイターが送った視線の先を見てガディは思わず立ち上がってしまった。
「いない?!気づかれたか!くそ!」
ガディはそのまま店を飛び出して整備されていない道を走った。砂埃が巻き上がっていて視界は非常に悪い、見えない訳では無いが遠くまで見渡すことができない。しばらく走っているとどこかで悲鳴が聞こえた。
「(嫌な予感しかしねぇな)」
悲鳴のもとまで駆け付けると座り込んでいる女性、そして倒れてまわりに血の滲んだ砂の上に横たわる男性の姿があった。無事そうな女性のもとまで走って安否を確認するが返事がない、ショックで思考がとまっているかのようだった。
「おい、何があった?!」
「フードを被った人がそこの男の人を...」
「そいつはどこへ?!」
「わからない、影の中に溶けるみたいに...」
「アサシンのスキルか...」
倒れている男に視線を向け、手首を握るが脈はない。
「出血の量からみて心臓を一突き、これはナイフか?」
ふと、紙を握りしめていたことを思い出し、内容を確認する。あったのは一言。
「『Abyssus abyssum invocat.』地獄は地獄を呼ぶ...」
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