22 / 27
ノックは壁をぶち破る
6-3 戦場
しおりを挟む
「バリアが突破されそうね」
アンコウの視線の先は人間達の目の前に設置された残り一枚の幕になった赤色のバリア。
仕掛けは分からないが人間達は、かれこれ半日かけて最初の二枚目のバリアを消した。
「うぅ、すいません…」
後ろに立っているマイが申し訳なさそうに頭を下げた。
別に責めた気はなかったのだが彼女の性格はこの数日間少し一緒にいただけで十分把握してるので放っておく。
「さて、原因は間違いなくあれね。」
始めのバリアが破れる少し前から現れた白い雷。それは、巨大な鳥を象っていた。
「気配から察するに」
「同士ですか?」
「恐らくな。しかし、何故人間なんかに味方してるんだ。」
「さあ?まあどちらにせよ、シン様にここを守護しろと命じられたのだから、邪魔するなら誰だろうと関係ないわ。」
「あ、とうとう最後の一枚も破れましたね。」
「それじゃあ、行こうか。」
◆◇◆
「あと少しですぞ。クフフ」
タビルスは味方ながらもこのゼフノという男を好きにはなれなかった。何を考えているのか、タビルスぐらいの歳になると様々な人間にあって様々な経験を積む、とくに帝国戦士長などという地位に就いていれば嫌というほど色んな人間を見ている、そうなれば必然的にどんな人間がどんな事を考えているのかも分かってくるのだが、この男はそれを悟らせない。
蒼白い閃光がやがて消え、赤色の壁が消失した。
それと同時に兵士達から次々にゼフノに対する感嘆の声があがった。
しかし、その声は一瞬で止むこととなる。
『人間の諸君。遠路遥々このエルフの地へようこそ。』
なんとも大きな声、だが叫んでいるわけではない、声を拡声していた。
声の発生源は兵士達の前の斜め上、彼女達は飛んでいた。
「ほう、《飛行》か?」
恐らく彼女達が飛べる理由、魔法の正体だろう。奇怪なのは魔法だけでなくその格好、紫のローブに身を包み、白い目の部分だけをくり抜いた仮面をしていた。
「何者だ!」
隣に立っている王国の小隊長らしき男がその奇怪な彼女達に問う。
そして、また拡声された声が響いた。
『我々は魔女協会である。』
声からしてまだ幼い子供、それも少女のものだった。
魔女協会、聞いたことのない団体名だった
それは、タビルスだけではなく後ろの兵士達や隣にいるゼフノも同様だったらしく「魔女協会?」と呟いている。
『エルフは我々魔女協会の傘下に入っている。これ以上の進行は我々魔女協会の介入があると判断して頂きたい。』
「エルフ達が傘下だと?」
有り得ないと訴えるように兵士達がざわめき出す。
「我々にエルフ国への進行をやめろと言うのか!」
『そうだ、君達には軍を引き上げ国に帰ってもらいたい。』
「ふざけるな!たかが小娘四人に何が出来る?!構わん!全軍突撃しろ!」
『──警告はした。』
次々と兵士達が前進していく。
やがて、その兵士達の前進はすぐに止まった。原因は足元のからくる揺れ。その原因を作り出していた、者が正体を見せた。長くて太い身体がうねって表面を覆った鱗が光を反射している。先にはトカゲのような頭を持っているが、それは違うとすぐに理解させられた。
手足がなく、ドラゴンにしても翼がない。そしてなにより、顎が八つに割れ、その円形の口を見せたからだ。
「あれは、ワームか?!」
ギシャアアァァァァアアア!
と鳴き声とは思えない音を発し、目を黄色く光らせる。
「目を見るな!」
この中で唯一その化け物の正体を知る人物に問う。
「ゼフノ殿!あの化け物は一体なんですか?!」
「あれは、五百年前に邪神による影響で絶滅したと言われる幻獣の中でもかなり厄介なワームというドラゴンだ。」
「ドラゴン?!あれがですか?!」
「ワームは地中に住んでいるので手足は逆に邪魔だからなくしたと言われている。奴の目を見ると最初に目にした人間を殺すという呪いをかけられるぞ。さらに、奴はドラゴンの中でもかなり高い治癒能力を持っている、一撃で仕留めなければ何度でも再生するという、本当に存在したとはな…素晴らしい!!」
この男は今のこの状況を理解してそんな事を言っているのか、タビルスは隣の魔術師の胸倉を掴んで問いただしたかったが今はそれどころではない。
「そんな事より、どうすれば良いのか案を下さい!」
「ふっ、慌てるな。恐らくあのワームのLvは800前半と言った所だろう。Lvが最大値であるこいつの敵ではない。」
ゼフノの視線の先にはあの雷の鳥、タビルスはこれからの激戦を予想して生唾を飲み込んだ。
「使い魔よ、あのワームを攻撃せよ!」
命令を受けた雷の鳥はワームに近づいていく、それに気がついたワームはその巨大にして長い身体で雷の鳥を頭から尾の羽までをすっぽり巻いてしまった。
「ゼフノ殿!」
「まあ、落ち着いて見ていたまえ、《伝説級魔法、広域電撃》」
刹那、ワームの身体は蒼白い閃光と共に散り散りに砕け散った。
これには、タビルスも声を上げて喜び、後ろにいた名前も知らない兵士と笑顔を見せあった、だがそれもつかの間。
突然、凄まじい爆音と熱風がタビルス達を襲ったのだ。
「なんだ、爆発?!」
いや、爆発じゃない。
目を開けるのも辛く、顔を手のひらで隠すようにしながら巨大な炎の柱を見た。
それも一つだけではない、次々にあちこちでその柱が上がっては兵士達がまんまと餌食になっていく。
「何者なのだ奴らは。魔女協会というのは…」
隣を見ると先程まで余裕の表情をしていたゼフノが悔しさを噛み殺した顔をしていた、初めて彼の考えている事が分かったが、喜べるはずがない。
「もっと、強い奴を使役しなければ…」
目は完全に狂人の者だが言っていることは普段の彼と全く変わらない、今までの彼がどれだけ頭が狂っていたのかがよく分かった。
「ゼフノ殿!ここは一旦退くべきです!相手の強さも分からないのであれば戦っても負ける可能性の方が高くなってしまいます!」
しかし、目の前の彼はもはや自分が指揮系統を委ねられていることさえ忘れ敵の打つ魔法に集中している。
彼はもうダメだ、ならばとはるか後ろにいるがここからでもハッキリわかる位置にいる一人の人物へ馬を走らせた。
「閣下!」
「た、タビルスか…あ、あれは一体なんなのだ!」
閣下と呼ばれた男はタビルスの後ろに視線をやっている、言うまでもなくあの炎の柱の事だ。
「分かりません、敵の強さは我々よりも強大です。即時撤退命令を!」
「し、しかし、今回の作戦は失敗は許されないのだ…」
「閣下!しっかりしてください!一度退いて対策を練りましょう!ここですべて失うよりはマシです!」
「…分かった、そうしよう。撤退だ!てった──」
その時、後方から兵士達の悲鳴と爆風が届いた。
先程の炎の柱がここまで来たのかと思ったが、違った、熱風がない。
何事かと後ろを振り返ると、何かわからないものが兵士達を吹き飛ばしながら接近してくる。
「今度はなんなのだ?!」
悲鳴にも聞こえる目の前の男の言った言葉はタビルスも同じだった、これ以上酷い事にならないでくれと必死に自分の中の何かに祈る。
やがてそれはタビルス達の少し離れた所を通過した。
周りの兵士達は敵の魔法か何かで突風が通ったのだろうと思っただろう。
しかし、タビルスは見た。普段から剣術の稽古で複数人を相手にしている彼の動体視力あってこそだろう。
タビルスが見たものそれは、二つの人影がやっとタビルスが目で追える速さで拳を繰り出したり蹴りを食らわせたり、いやタビルスが見た感じでは後ろに飛んでいた人物はそれらの攻撃を全てかわすだけしていたように見られた。
といっても、タビルスもブレて途切れ途切れにしか見えなかったので自信を持って言えたことではないが。
「何だったのだあの影は。」
どうやら、目の前の男にも見えたらしい。
「閣下も見ましたか…」
「あぁ、後ろを付いていた男…」
「その者がどうかしたのですか?」
「かつて、冒険者協会から届いた手配書に乗っていた魔王の物と似ていた。いや、あれは確かに魔王だった。」
「ま、魔王?!何故魔王がこのエルフの地に?!」
「分からん…」
「すぐにその魔王を取り押さえてくれ!可能ならばそのもう一人の方もだ!」
後ろから叫ぶように懇願してくる姿があった。
「ゼフノ殿…」
「無理だ、悪いが諦めてもらう。撤退だ。」
それを聞いたゼフノの顔は絶望の色を濃く見せた。
だが、すぐに表情を変え、今度は懇願ではなく命令を下した。
「撤退はこの私が認めない!今すぐあの二人を捕らえるのだ!指揮系統は全て私にある!」
「ゼフノ殿!あなたは今のこの状況が分かっていっているのか?!あれを見ろ!我々では敵わない強大な魔法を使う謎の魔女協会という存在、それから通っただけで負傷者が出るような化け物を相手に捕らえろだと?!不可能に決まっているだろうが!!」
「数にものを言わせれば良いだろうが!何のための連合軍だ!」
「当初の相手とは別物だと言っているのだ!!」
「私が持っているこの《青海の杖》があれば永年、人間を苦しませてきた魔王を味方につけられるのだぞ?!誰かは分からんが今戦っている相手に気を取られている今が絶好のチャンスだ!」
「なにが、チャンスだ!そんな事のために兵士達を無駄に死なせる気か!」
「そんな事とはなんだ!」
「我々の目的は魔王と戦うことではない!」
このまま二人が言い合いを続けている間も兵士達は続々と怪我人を出していく。そこで、タビルスが冷静に提案を出した。
「でしたら!ゼフノ殿がもし魔王を支配できたなら魔王にあの魔女協会の者達の相手をしてもらいましょう!ただし、あのふたりが止まったらです!」
「正気か?!タビルス!」
「閣下、このまま退いて国に帰っても策がない場合の方が高いです。それだったらやれるだけやってみましょう。」
「───余談は許さんか…仕方ない、すぐにあの二人を止めろ!」
男は兵士達に命じるが、あのふたりの止め方なんて誰にも分かるはずがない、次元が違い過ぎる。
「そこは、私がなんとかしましょう。」
言い出たのは言うまでもなくゼフノだった。
アンコウの視線の先は人間達の目の前に設置された残り一枚の幕になった赤色のバリア。
仕掛けは分からないが人間達は、かれこれ半日かけて最初の二枚目のバリアを消した。
「うぅ、すいません…」
後ろに立っているマイが申し訳なさそうに頭を下げた。
別に責めた気はなかったのだが彼女の性格はこの数日間少し一緒にいただけで十分把握してるので放っておく。
「さて、原因は間違いなくあれね。」
始めのバリアが破れる少し前から現れた白い雷。それは、巨大な鳥を象っていた。
「気配から察するに」
「同士ですか?」
「恐らくな。しかし、何故人間なんかに味方してるんだ。」
「さあ?まあどちらにせよ、シン様にここを守護しろと命じられたのだから、邪魔するなら誰だろうと関係ないわ。」
「あ、とうとう最後の一枚も破れましたね。」
「それじゃあ、行こうか。」
◆◇◆
「あと少しですぞ。クフフ」
タビルスは味方ながらもこのゼフノという男を好きにはなれなかった。何を考えているのか、タビルスぐらいの歳になると様々な人間にあって様々な経験を積む、とくに帝国戦士長などという地位に就いていれば嫌というほど色んな人間を見ている、そうなれば必然的にどんな人間がどんな事を考えているのかも分かってくるのだが、この男はそれを悟らせない。
蒼白い閃光がやがて消え、赤色の壁が消失した。
それと同時に兵士達から次々にゼフノに対する感嘆の声があがった。
しかし、その声は一瞬で止むこととなる。
『人間の諸君。遠路遥々このエルフの地へようこそ。』
なんとも大きな声、だが叫んでいるわけではない、声を拡声していた。
声の発生源は兵士達の前の斜め上、彼女達は飛んでいた。
「ほう、《飛行》か?」
恐らく彼女達が飛べる理由、魔法の正体だろう。奇怪なのは魔法だけでなくその格好、紫のローブに身を包み、白い目の部分だけをくり抜いた仮面をしていた。
「何者だ!」
隣に立っている王国の小隊長らしき男がその奇怪な彼女達に問う。
そして、また拡声された声が響いた。
『我々は魔女協会である。』
声からしてまだ幼い子供、それも少女のものだった。
魔女協会、聞いたことのない団体名だった
それは、タビルスだけではなく後ろの兵士達や隣にいるゼフノも同様だったらしく「魔女協会?」と呟いている。
『エルフは我々魔女協会の傘下に入っている。これ以上の進行は我々魔女協会の介入があると判断して頂きたい。』
「エルフ達が傘下だと?」
有り得ないと訴えるように兵士達がざわめき出す。
「我々にエルフ国への進行をやめろと言うのか!」
『そうだ、君達には軍を引き上げ国に帰ってもらいたい。』
「ふざけるな!たかが小娘四人に何が出来る?!構わん!全軍突撃しろ!」
『──警告はした。』
次々と兵士達が前進していく。
やがて、その兵士達の前進はすぐに止まった。原因は足元のからくる揺れ。その原因を作り出していた、者が正体を見せた。長くて太い身体がうねって表面を覆った鱗が光を反射している。先にはトカゲのような頭を持っているが、それは違うとすぐに理解させられた。
手足がなく、ドラゴンにしても翼がない。そしてなにより、顎が八つに割れ、その円形の口を見せたからだ。
「あれは、ワームか?!」
ギシャアアァァァァアアア!
と鳴き声とは思えない音を発し、目を黄色く光らせる。
「目を見るな!」
この中で唯一その化け物の正体を知る人物に問う。
「ゼフノ殿!あの化け物は一体なんですか?!」
「あれは、五百年前に邪神による影響で絶滅したと言われる幻獣の中でもかなり厄介なワームというドラゴンだ。」
「ドラゴン?!あれがですか?!」
「ワームは地中に住んでいるので手足は逆に邪魔だからなくしたと言われている。奴の目を見ると最初に目にした人間を殺すという呪いをかけられるぞ。さらに、奴はドラゴンの中でもかなり高い治癒能力を持っている、一撃で仕留めなければ何度でも再生するという、本当に存在したとはな…素晴らしい!!」
この男は今のこの状況を理解してそんな事を言っているのか、タビルスは隣の魔術師の胸倉を掴んで問いただしたかったが今はそれどころではない。
「そんな事より、どうすれば良いのか案を下さい!」
「ふっ、慌てるな。恐らくあのワームのLvは800前半と言った所だろう。Lvが最大値であるこいつの敵ではない。」
ゼフノの視線の先にはあの雷の鳥、タビルスはこれからの激戦を予想して生唾を飲み込んだ。
「使い魔よ、あのワームを攻撃せよ!」
命令を受けた雷の鳥はワームに近づいていく、それに気がついたワームはその巨大にして長い身体で雷の鳥を頭から尾の羽までをすっぽり巻いてしまった。
「ゼフノ殿!」
「まあ、落ち着いて見ていたまえ、《伝説級魔法、広域電撃》」
刹那、ワームの身体は蒼白い閃光と共に散り散りに砕け散った。
これには、タビルスも声を上げて喜び、後ろにいた名前も知らない兵士と笑顔を見せあった、だがそれもつかの間。
突然、凄まじい爆音と熱風がタビルス達を襲ったのだ。
「なんだ、爆発?!」
いや、爆発じゃない。
目を開けるのも辛く、顔を手のひらで隠すようにしながら巨大な炎の柱を見た。
それも一つだけではない、次々にあちこちでその柱が上がっては兵士達がまんまと餌食になっていく。
「何者なのだ奴らは。魔女協会というのは…」
隣を見ると先程まで余裕の表情をしていたゼフノが悔しさを噛み殺した顔をしていた、初めて彼の考えている事が分かったが、喜べるはずがない。
「もっと、強い奴を使役しなければ…」
目は完全に狂人の者だが言っていることは普段の彼と全く変わらない、今までの彼がどれだけ頭が狂っていたのかがよく分かった。
「ゼフノ殿!ここは一旦退くべきです!相手の強さも分からないのであれば戦っても負ける可能性の方が高くなってしまいます!」
しかし、目の前の彼はもはや自分が指揮系統を委ねられていることさえ忘れ敵の打つ魔法に集中している。
彼はもうダメだ、ならばとはるか後ろにいるがここからでもハッキリわかる位置にいる一人の人物へ馬を走らせた。
「閣下!」
「た、タビルスか…あ、あれは一体なんなのだ!」
閣下と呼ばれた男はタビルスの後ろに視線をやっている、言うまでもなくあの炎の柱の事だ。
「分かりません、敵の強さは我々よりも強大です。即時撤退命令を!」
「し、しかし、今回の作戦は失敗は許されないのだ…」
「閣下!しっかりしてください!一度退いて対策を練りましょう!ここですべて失うよりはマシです!」
「…分かった、そうしよう。撤退だ!てった──」
その時、後方から兵士達の悲鳴と爆風が届いた。
先程の炎の柱がここまで来たのかと思ったが、違った、熱風がない。
何事かと後ろを振り返ると、何かわからないものが兵士達を吹き飛ばしながら接近してくる。
「今度はなんなのだ?!」
悲鳴にも聞こえる目の前の男の言った言葉はタビルスも同じだった、これ以上酷い事にならないでくれと必死に自分の中の何かに祈る。
やがてそれはタビルス達の少し離れた所を通過した。
周りの兵士達は敵の魔法か何かで突風が通ったのだろうと思っただろう。
しかし、タビルスは見た。普段から剣術の稽古で複数人を相手にしている彼の動体視力あってこそだろう。
タビルスが見たものそれは、二つの人影がやっとタビルスが目で追える速さで拳を繰り出したり蹴りを食らわせたり、いやタビルスが見た感じでは後ろに飛んでいた人物はそれらの攻撃を全てかわすだけしていたように見られた。
といっても、タビルスもブレて途切れ途切れにしか見えなかったので自信を持って言えたことではないが。
「何だったのだあの影は。」
どうやら、目の前の男にも見えたらしい。
「閣下も見ましたか…」
「あぁ、後ろを付いていた男…」
「その者がどうかしたのですか?」
「かつて、冒険者協会から届いた手配書に乗っていた魔王の物と似ていた。いや、あれは確かに魔王だった。」
「ま、魔王?!何故魔王がこのエルフの地に?!」
「分からん…」
「すぐにその魔王を取り押さえてくれ!可能ならばそのもう一人の方もだ!」
後ろから叫ぶように懇願してくる姿があった。
「ゼフノ殿…」
「無理だ、悪いが諦めてもらう。撤退だ。」
それを聞いたゼフノの顔は絶望の色を濃く見せた。
だが、すぐに表情を変え、今度は懇願ではなく命令を下した。
「撤退はこの私が認めない!今すぐあの二人を捕らえるのだ!指揮系統は全て私にある!」
「ゼフノ殿!あなたは今のこの状況が分かっていっているのか?!あれを見ろ!我々では敵わない強大な魔法を使う謎の魔女協会という存在、それから通っただけで負傷者が出るような化け物を相手に捕らえろだと?!不可能に決まっているだろうが!!」
「数にものを言わせれば良いだろうが!何のための連合軍だ!」
「当初の相手とは別物だと言っているのだ!!」
「私が持っているこの《青海の杖》があれば永年、人間を苦しませてきた魔王を味方につけられるのだぞ?!誰かは分からんが今戦っている相手に気を取られている今が絶好のチャンスだ!」
「なにが、チャンスだ!そんな事のために兵士達を無駄に死なせる気か!」
「そんな事とはなんだ!」
「我々の目的は魔王と戦うことではない!」
このまま二人が言い合いを続けている間も兵士達は続々と怪我人を出していく。そこで、タビルスが冷静に提案を出した。
「でしたら!ゼフノ殿がもし魔王を支配できたなら魔王にあの魔女協会の者達の相手をしてもらいましょう!ただし、あのふたりが止まったらです!」
「正気か?!タビルス!」
「閣下、このまま退いて国に帰っても策がない場合の方が高いです。それだったらやれるだけやってみましょう。」
「───余談は許さんか…仕方ない、すぐにあの二人を止めろ!」
男は兵士達に命じるが、あのふたりの止め方なんて誰にも分かるはずがない、次元が違い過ぎる。
「そこは、私がなんとかしましょう。」
言い出たのは言うまでもなくゼフノだった。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる