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しおりを挟む高級料亭の一室に、巴は尾崎を呼び出した。
『加賀さんのことは、スポンサーだ、とだけ伝えてあります』
「それでいい。ありがとう、五木」
『では、うまくいくことを祈ってます』
「任せてくれ」
電話を切ってしばらくすると、尾崎が部屋へ通されてきた。
高齢だが、しゃんとした姿勢。
整った髪に、洒落たスーツ。
この国が誇る名優だけあって、輝きがあった。
「お呼び立てして、申し訳ございません」
「いいえ。私の方こそ、我がままを言い出しまして」
二人で座り、巴は名刺を差し出した。
「加賀不動産の、加賀 巴と申します」
巴の自己紹介に、尾崎の眉がぴくりと上がった。
(やはり年配の方は、加賀組のことをご存じか)
先々代、先代と、名をとどろかせた組だ。
心象が悪くなったかな、と巴は恐れた。
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