胸に咲くは純白の花

大波小波

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「ずいぶん買いましたね。持てますか?」
「実は駐車場に、車を置いてある。取りに行っても構わないか?」
 どうぞ、と聖がついていった先には、無骨なオフローダーが待っていた。
 何があっても、そう簡単には壊れそうにない、屈強な車だ。
「わぁ、カッコいい」
「乗れ」
 運転しながら、駿佑は聖に訊ねた。
「マンションに、駐車場は借りてあるか?」
「一台分、借りてます。使ったことないけど」
「そうか」
 これも、いつか父か母が来てくれるかもしれない、との願望の表れなのだろう。
 聖の孤独をひしひしと感じながら、駿佑は車を走らせた。
「マンションと、方角が違いますよ?」
「せっかく二人で外へ出たからな。ランチでも、どうだ?」
 車は、海沿いの静かなカフェに止まった。
「きれいなお店」
「飯も美味い」
 ドアベルを鳴らして中に入ると、人の良さそうなマスターが迎えてくれた。
 窓から海のきらめきを眺めながら、カフェ特製の季節のランチを食べる。
 聖は、夢を見ているようだった。
 
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