胸に咲くは純白の花

大波小波

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「聖、どうだ?」
「……動けません」
「悦かったぞ」
「……すごかったです」
 指先しか動かせない聖の体を、駿佑はウェットティッシュで拭き清めてあげた。
 彼の体は、自ら放った精でひどく汚れていた。
 それらを、駿佑はていねいに拭いてやった。
 三人組に汚された身も心も、清めるかのように。
「聖はこれでよかったのか? 納得いったか?」
「……今は何も考えられません」
 ふっ、と駿佑は笑った。
 どうやら薬が効きすぎたようだ。
「来い。腕枕してやる」
 甘えるように擦り寄って来た聖を、駿佑は懐に抱いた。
「明日の朝、何が食べたい?」
「……の……が……」
 よく、聞き取れなかった。
 それだけクタクタに疲れて、聖は眠ってしまったのだ。
「これでよかったんだろう、多分」
 駿佑も、瞼を閉じた。
 身を寄せ合って眠るベッドは、まるでつがいの巣のようだった。

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