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しおりを挟む「すごい! こんなに薄いサーモンを見るのは、初めてだ!」
「天羽くん、それはひどいよ……」
お昼の学食で、要と宇実は同じテーブルに掛けていた。
主菜が焼鮭の定食を頼んだ要は、その切り身の乏しさに興奮している。
きっと普段から、豪勢な食事を摂っているに違いない。
(天羽くん、大企業の御曹司だもんね)
僕と住む世界が違う、と肩を落とした宇実だ。
しかし要は、明るい声を上げた。
「美味しい! 塩加減も焼き方も、絶品だ!」
「ホント?」
「ああ。こんなに薄いサーモンを、黒焦げにせず焼き上げるシェフの腕は、見事だよ!」
少し観点がずれている、要の言葉。
だが、全く悪意が無いことは見ていて解る。
喜んでるんだから、まあ、いいか。
宇実も、笑顔で塩鮭をつついた。
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