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しおりを挟む『僕は、人を好きになっている余裕がないんだ。恋をする、暇がないんだ』
高校を卒業したら、父の残した会社を継ぐ。
その覚悟を持って、今まで頑張って来たんだ。
それは宇実の、心の叫びだった。
「宇実を裏切るわけには、いかない。宇実の気持ちを踏みにじるなんて、できない」
要は、踏みとどまった。
自分の額を、そっと宇実の額に合わせ、そして離れた。
「これは。この恋は、私への試練なのかもしれない」
一体、誰が試している?
何のために?
それはまだ、解らない。
ただ、宇実への想いを誠実に貫くことが、要には大切に思われた。
「おやすみ、宇実」
せめて、手を握って瞼を閉じた。
宇実の手は、とても温かだった。
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