期限付きの恋なんて！

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「要さん、車買ったって……これ？」
「厳密にいえば、お父様に買っていただいた、だけどね！」
　マンションの駐車場に颯爽と現れた、白い高性能スポーツカー。
　生産量は少ないが，強力なエンジン，豪華な装備を持つ自動車として有名だ。
　滑らかな流線形のボディが、美しい。
　免許は持っている、とは要から聞いていたが……。
（超・高級車だよ、これ。要さん！）
「さあ、宇実。出かけよう！」
「こ、この車で？」
「週末が、待ち遠しかったよ。バケツも長靴も、軍手も載せてあるよ！」
　５月は、潮の干満差が大きい。
　宇実は、大きく潮の干く日を選んで、要を磯遊びに誘っていたのだ。
　しかし、そのために自動車を買うとは！
　しかも、高級車だなんて！
「荷物を抱えて電車に乗るのは、大変だと思って」
「うん、そうだね……」
　要の行動力に改めて驚かされた、宇実だった。