死んだと思ったら異世界に

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受付嬢と別れ俺は冒険者ギルドの外に出る。

「思わぬ臨時収入も入ったし、ちょっと高めの食事でも取るかな」

思えばこの世界に来てから料理屋で食事を取ったことは無かったな。

宿屋の料理も美味しかったが、貴族や商人が行くような高級店はもっと美味しいのだろう。

「となると先ずは食べに行く所を探すか…まぁ少し人に聞いてみれば分かるだろう」

という訳で聞き込みを始めるか。

俺は周りの人に美味しい料理店について聞こうと思ったのだが、何処からか怒鳴り声の様な物が聞こえた。

「はぁ、聞き込みをする前に少し運動でもするか」

俺は声が聞こえた方、街道の脇にある細道を進んでいく。

すると直ぐに目的の場所に着いた。

目の前には二人の少女に三人の男、それにその後ろには数人の男供が待機している…これってさっきギルドで騒いでいた奴等じゃないか。

先程修羅が剣を抜いたので介入をしないといけなくなったって話していたやつだよな？

それに後ろに待機している奴等はあの三人の男の仲間だろう。

多分これはあれだ、恥をかかせた新人冒険者に仕返しをするチンピラ冒険者という奴だろう。

見たところ二人の少女の片方は男達よりは強いが数で囲まれたらやられる位の強さだろう。

何らからの事件がこれから起きるであろう事は想像出来るのだが、現状男達が手を出した訳では無いのでこちらも手を出すことは出来ない。

俺たちは何もするつもりも無かったと言われてしまえばお仕舞いだ。

逆になにもしていない物を無理やり捕縛したとなる俺が問題になる可能性もある。

なのであの男達が少女達に手を出すまでは俺も手出しが出来ない。

なので俺は耳に魔力を集めて聴覚を強化する。

これであの場所でどんな事が話されているかが分かるという訳だ。

「ここに連れてきて何をする気？」

何故先程トラブルを起こした奴等とこんなところに居るのか気になったが、少女の内一人がナイフを突きつけられた状態に居るのを見て納得した。

二人で歩いているところを後ろから襲われたのだろう。

少女は抵抗しようとしたが、片方の少女が捕まった事で降参せざるをえなくなったんだろう。

それで人目のつかない裏路地に連れ込まれたと…この男達、常習犯の可能性が有るな。

「そんなの決まってんだろ…俺達に恥をかかせやがって、おい！」

男がそう言うと隠れていた男がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら出て来て、 少女にジリジリと近づいていく。

「おっと、嬢ちゃん、動いたらこの子の肌が傷つく事になるぜ」

少女は反射的に構えてしまうが男はもう片方の少女の頬にペチペチとナイフを当てている。

「ひっ！…お、お姉ちゃん」

人質にされている少女は恐怖からか声は小さく、掠れている…というかあの二人って姉妹だったんだな。

「っく！下衆供め」

少女はオークに襲われる女騎士の様なセリフを話して抵抗を止める。

「おっと、腰に下げている剣もちゃんとこっちに投げるんだ」

少女は言われた通りに腰に下げている剣を放り投げる。

そして男の一人はナイフを持って少女に近づいていく…そして目の前に立ち、そしてナイフを振りかぶる。

ヒュン、とナイフが空を切り、少女の着ている服を切り裂いた。

「っん！」

少女は咄嗟に声を上げようとするが男に口を押さえられる。

「ん～ん～！」

服を切られた少女は何かを話そうとするが口を押さえられているので声を出すことは出来ない。

まぁここまで証拠が出れば俺が介入しても大丈夫そうだな。

「さぁ可愛がってやるぜ」

俺は急いで人質を取っている男を軽く殴ってぶっ飛ばす。

「ぐへぇ！」

「へ？」

そして周りに居る奴もついでにぶん殴って気絶させておこう。

「ぐはぁ」

「ぐへぇ」

「ぐっ！」

「誰だてめぇ！」

と、周りのやつらを倒し終えた所で男が俺に向かって叫ぶ。

「なに、私は通りすがりの冒険者だよ」