死んだと思ったら異世界に

トワイライト

文字の大きさ
125 / 280

125

しおりを挟む
俺とヤヨイは転移しても目立たない裏路地に転移した。

「よし、じゃあ早速別れて情報を集めることにしよう、昼頃…いや、12時になったら親父さんの鍛治屋の前に集合って事で」

俺はヤヨイに集合場所と時間を言う。

「分かりました、それではマスター、お気をつけて」

「おう…つっても俺が危険な状態になるなんてそうそう無いから、心配しなくても大丈夫だぞ、ヤヨイも気をつけてな」

「はい、それでは」

少し話をした俺とヤヨイは別々の方向に情報収集の為に別れた。

ヤヨイが街の東側に行ったのから、俺は東側で情報収集を始める。

「すいません、少し良いですか?」

俺は早速露店を開いている商人に話しかける事にした。

「もちろん良いですよ…うちの商品は他の店のよりも良いものばかりですよ…何をお探しで?」

商人はそう言って俺が何を買いたいのかを聞いてくる。

「えっと…少しプレゼント用で、何か良いものはありますか?」

並んでいる商品を見たところどうやらこの露店では宝石を売っているみたいだから、プレゼント様に何か有るかを尋ねる。

商人に商品を何も買わないで知りたいことがあると言っても素直に教えてくれないからな。

だからまずは少し高めの買い物をして、商人の気を取りつつ、聞きたいことについて質問をする事にする。

「プレゼントとなると…彼女さんですか?」

「はい…そうなんです、なので、出来るだけ良いものが有れば、それを見せてもらえますか?」

俺は商人に彼女がいると嘘を付く。

理由は簡単、その方が高い商品を見せてくれると思ったからだ。

別に彼女が居なくても商品は見せてくれるだろう。

だが、彼女や奥さんが居ないのに他人に宝石をプレゼントするとなると、余り高い物は勧めてこないだろう。

考えてみろ、彼女や奥さんが居るなら、プロポーズをするなり感謝を伝える為にと、高い宝石をプレゼント用に買っていく事は有るだろう。

だが、彼女が居ないのにプレゼント用に宝石を買うとなると、状況が限られてくるからな。

例えばこの世界だと、貴族の知り合いの誕生日に宝石等を贈るというのが有る。

貴族にプレゼントをするなら、相応に高い品を贈らないといけないからな。

だが、これだと宝石を贈る貴族の爵位によって贈って良い宝石の高さというのが変わってくるのだ。

当然、爵位が高ければ相応の宝石を贈っても大丈夫だが、爵位の低い者に高すぎる宝石を贈る事は余り良いこととはされていない。

何故なら、渡すプレゼントの値段が上がれば上がるほど、その人に好意を持っていますと言っている様なものだからだ。

貴族に宝石をプレゼントするのはもちろん貴族だ、貴族は婚約者やら政略結婚やらで面倒くさい事になるから、恋人以外に宝石等の高級品を贈る場合には、余り高い物をプレゼントしないというのがある。

だから恋人が居ると言った方が高い物を売ってくれると考えたという訳だ。

「そういう事ですか、かしこまりました、それでは少々お待ちください」

商人は笑顔でそう言っているが、内心では俺が本当に金を持っているかを疑っているのだろう。

今の俺の見た目は言っては何だが普通の服だ。

勿論素材はユグドラシルオンラインの物だし、品質も最高級だが、側から見れば一般人の様にしか見えない。

商人にとって見れば冷やかしか、宝石を奪おうと狙っている様に見えている事だろう。

作り笑いを浮かべて完璧な笑顔を装って居るが、内心では何時俺が脅しを掛けてくるかと考えて居るんじゃ無いか?その証拠に商人の背後に立っている護衛達が俺を警戒して見ているからな。

「それで?ご予算はどの程度で?」

商人は一度カバンからなにかを探すのをやめ、俺にそう聞いてきた。

「そうですね…大体金貨100枚程度ですかね、勿論、良いものが有ればもっと出しますけど」

「本当に金貨100枚なんて大金有るのですか?私の目にはその様な大金を持っている様には見えませんが?」

俺がそう言うと商人は完全に俺を冷やかしだと考えたのか、作り笑いをやめてそう話してきた。

後ろの護衛も剣の柄に手を掛けているから、最悪追い払おうと考えているのだろう。

「ああ、そう言う事ですか…勿論持っていますよ、証拠でもお見せしましょうか?」

俺は笑いながら肩から掛けているバッグを叩いてそう言った。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...