死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「それで、初めは王国の冒険者ギルドだけはさっき言った様に情報の規制を実施する事に決めたらしいぞ…まぁ地方の方では反対も有ったらしいけどな」

周りの国の冒険者ギルドが情報の規制をしないと言っても修羅は王国のギルドマスターだからな、多少の反対を押し切っても王国内の冒険者ギルドに情報の規制をするように決定したのだろう。

「そりゃあいきなり前までやっていた事を止めろって言われて、戸惑う気持ちはわかりますけどね」

今までしてきた事をやめてこれからどうなっていくのか分からないし、何か問題が起こるかもしれない…そう考えたらいくら組織のトップが決定した事でも反対したくなるだろう。

何か問題が起きた時に責任を取るのは本部のギルドマスターである修羅だけではなく、支部のギルドマスターもだからな。

「王国のギルドマスターは他の支部の反対を押し切って王国の冒険者ギルドに情報の規制をさせた訳だが、直ぐに効果が有ったらしい」

「まぁ自分の実力に合ったダンジョンに向かえば死ぬことはあまり無いでしょうしね」

というか実施して効果が出なかったら可笑しいからな。

そうなったら情報の規制以外に大量の冒険者を死に至らせる何かが有るって事になる。

「王国の冒険者ギルドで情報の規制を開始して1年で例年と比べて30パーセントも冒険者の死亡率が減少し、2年、3年と時が経つ毎に死亡率は減っていったらしい」

1年で30パーセントか…毎年どれくらいの冒険者が死んでいたのかわ分からないが十分すぎるほどの結果を出したんじゃないか?

「凄いですね…」

俺は素直にそう思う。

修羅は今までのシステムを変更した事で大勢の人の死を回避させたのだから。

「そうだな、今までの冒険者ギルドは依頼の仲介、素材の取引をするだけで、冒険者が死んだからそいつの自己責任、自分の身の丈に有った依頼をしなかったのが悪いって感じだったんだが、王国に新しく着任したギルドマスターのお陰で冒険者ギルドそのものが変わっていったからな」

なんでもブラットさんが言うには、以前は冒険者が持ってきた素材の取引、そして依頼の仲介のみを冒険者ギルドが担当して、依頼で冒険者が死んだとしても冒険者の自己責任だった訳だが修羅がギルドマスターに着任した事により冒険者ギルドの仕組み自体が変わっていったらしい。

具体的に言うと、素材の取引などは変わらずに依頼の選択方法が変わったらしい。

今まではクエストボードに貼ってある依頼書から自分の受けたい依頼を取って、それを受付に持っていくことで依頼を受注出来たらしい。

だが、修羅が着任してからは依頼の難易度によってその依頼を受けられる冒険者のランクが指定される様になったらしい。

このクエストを受けられるのはEランク以上の冒険者、という風に。

これにより、誰でも好きな依頼を受けることが出来なくなったが、それでも自分のランクに応じた依頼を受ける事で少しずつ経験を積むことができ、冒険者全体のランクが上がる様になったらしい。

修羅が行ったのはそれだけではない。

冒険者になったばかりの新人冒険者には無料で最低限の武器と防具を貸し出ししたり、先輩冒険者との顔合わせを手伝ったりする様にしたらしい。

武器と防具を貸し出す事にした事で新人でもある程度のマージンを取りつつ依頼を受けられる様になるし、そもそも新人冒険者は武器や防具を入手する為に借金をする事が多かったらしいから、修羅が新人冒険者に武器と防具を貸し出しを始めた事で借金を返済する為に無茶な依頼を受ける新人冒険者の数は大きく減ったらしい。

そして先輩冒険者との顔合わせをセッティングしてくれる事で先輩冒険者から冒険者としてのノウハウや戦闘方法などを教えてもらえる様にもなったらしい。
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