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第2話 《ネジレジレ宮殿》
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ゲンマ・クズキリが“玄武の理”をクビになってから数カ月後。
“玄武の理”リーダー、ゴーゾー・ミナモトは《ネジレジレ宮殿》最深部で感慨に耽っていた。
(ここに辿りつくまでに多くの苦労、犠牲があった…。だが、ついに前人未到のダンジョン最深部まで来たぜ…!ここから俺たち“玄武の理”は更にのし上がるんだ…!)
「ぐっはぁ!」
ゴーゾーは突然後頭部をママチャリに轢かれた。
「ちゅーす。配達に来ました~」
ゲンマがママチャリでダンジョン最深部まで配達に来たのだった。
「テ、テメー!テメーがなんでこんなところに…!?」
ゴーゾーは驚愕した。
(馬鹿な…!多くのパーティが命を削って、いや、落としてまでたどり着けないダンジョン最深部をコイツ、単騎で…!?しかも、ママチャリだとぅ…!)
「あ~?だから配達だっつってんだろーが。はいよ!ララライ軒のタンメンお待ちの方!豪徳寺カレー大盛りの方!えっ?福神漬けはいらなかったのに?すいません!フィードバックはボクの方からしときますんでっ!」
ゲンマはパーティメンバーに出前を配り始めた。
さすがは“天職”だけあって、デリバリーバックには無限とも思える量を保管できるようだった。次から次に出てくる。しかも、すこしもこぼれたりしていなかった。
「お、お前らなんでそんな奴に…」
ゴーゾーはパーティメンバーがクビになったゲンマとつながっていたことがなによりショックだった。
「なんでって言われてもなあ?」
「なあ」
黒魔道士と白魔道士が気まずそうにタンメンと焼きそばをすする。
「ゲンマなら確実に届けてくれるからに決まってるでしょ」
創立メンバーの女モンクがアンマンをかじりながら言った。
「そうそう。最後の晩餐になるかもしれないってのに、届かないんじゃ洒落にならないっすからねー」
シーフの男がケバブをかじる。
「あとーんす!皆さんの愛顧には感謝しかないっす!今後とも株式会社“リアルワールドイーツ”をよろしくっす!なんでも運んじゃいますよ!」
ゲンマが威勢よく頭を下げた。やんややんやと拍手がわきおこる。
「な、なんだ!?“リアルワールドイーツ”って!?」
「え?ゴーゾーさん知らないんすか?ゲンマさんの会社っすよ」
近くにいた召喚士の若造がピラフをかっ込みながら答えた。
「独立開業してんのかよ!しかも、そんな訴えられそうな名前で!?」
ゴーゾーはてっきりワールドイーツに所属しているのかと思っていたので驚いた。
「おいおい、聞き捨てならねえなあ。オレこそ本物のワールドイーツなんだよ。なんせ天職だからな。いずれワールドイーツを買収してやるぜ」
ゲンマのビッグマウスだった。
「…できるわけがねえ。今やワールドイーツは世界的大企業だ。今さら個人の勝てる余地なんかあるわけねえ」
「そいつはどうかな?ま、そんなことより」ゲンマはママチャリにまたがった。「お出ましだぜ?」
《ネジレジレ宮殿》最深部に住まう王が現れた。
いや、それは女王だった。
ネジレジレ宮殿には浅い層からネジレグモと呼ばれる蜘蛛が生息している。
腹の部分がねじれているからと命名された蜘蛛だ。
要はそれの巨大版だった。
顔が人間の女であることを除けばであるが。
怖気をふるう異形であった。
だが、ここにいる“玄武の理”メンバーに誰一人恐れを見せるものはいなかった。
“玄武の理”はAランクパーティに序される。重騎士のゴーゾーを中心とした硬い守りで着実に相手の体力を削るのが定石であった。
だが、その硬い守りはものの数分も保たなかった。
「グッハァ!」
ゴーゾーが吐血する。
「な、なんだ、この内臓をねじ切られるような痛みは…!」
他のパーティメンバーも全員がのたうち回っている。
「ごほっ!い、糸よ…!極細の糸が体内に…!」
モンクの女がまるで断末魔のように叫んだ。
ゴーゾーは自らの口のまわりに手をやった。そこには絹糸よりも柔らかく、しかし断ち切れることのない蜘蛛の糸があった。無数の糸が体内に入りこんで、内蔵を体内から掌握しているのだった。
女王は笑った。ひどく凄惨な笑みだった。
その笑みを見て、ゴーゾーは悟った。
我々“玄武の理”は最深部に足を踏み入れた瞬間から、女王の巣に絡め取られていたのだ、と。
体内に巣を張り終わったから、女王は姿を現したのだ。
「…クロマ!」
ゴーゾーは黒魔道士に命じた。
「俺の体に炎魔法をぶち込め!出し惜しみするな!最大火力だ!」
クロマは命じられるがままに魔法を唱えた。自身も糸に侵され、喘ぎながらも魔法を発動させた。
たちまちゴーゾーは炎に包まれた。
「ウォオオオオオ!」
炎のなかでゴーゾーは雄叫びをあげた。
そしてそのまま炎の塊となって、女王に突っ込んでいった。
女王は虚をつかれ、そのねじれた腹にゴーゾーの長剣が深々と刺さったのだった。
「ギャアアアアアア!」
女王は絶叫する。長剣は熱されていたから、女王のホルモンはジュッ!と音をたてて香ばしい匂いをばらまいた。
女王のいくつもの長い足がゴーゾーに殺到したが、それでもゴーゾーは長剣を放さず、まるでミキサーのようにグリグリとホルモンを撹拌し続けた。
ついに女王は仰向けになり、犯された生娘のように力なく足を投げ出した。
死んだのだ。
「た、倒したのか?」
シーフがつぶやいた。
ゴーゾーはフラフラと満身創痍ながらも、女王の腹のうえで長剣を掲げてみせた。
“玄武の理”のメンバーはリーダーに喝采を浴びせた。
当然だ。最深部のボスをまさかたった一人で倒して見せるとは!
まるでSSランク冒険者のような快挙であった。
興奮冷めやらぬなか、ゴーゾーはメンバーの被害を確認していた。
大丈夫だ。強烈な痛みではあったが、動けないほどの重症者はいないようだ。
どうやら内蔵への糸も女王が死んだことにより消滅したようだ。魔力糸だったのだろう。
おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん
突然、おかあさんと連呼する声がフロアに響き渡った。
何事かと辺りを見回しても、正体はつかめない。
「り、リーダー!」
白魔道士が叫んだ。
「うおっ!?」
ゴーゾーの足元、女王の腹から大量の子グモが発生していた。すべて人間の顔をしていた。
死んだ母親を悼んでコイツラが…?
いや、ちがう。
頭上だ。
頭上に何十、何百という顔が“玄武の理”を見下ろしていた。
すべて人間の顔、体はネジレグモだった。
目眩がし、吐き気を催す光景だった。
だが、そんな暇もない。
大きさは女王以上のサイズが何匹もいた。
「大家族というわけか…」
ゴーゾーはつぶやいた。
それと同時に、奴らは降下を開始した。
「退却ー!総員、逃げろー!」
ゴーゾーは叫んだ。
“玄武の理”は、まさに蜘蛛の子を散らすように逃げたのであった。
“玄武の理”リーダー、ゴーゾー・ミナモトは《ネジレジレ宮殿》最深部で感慨に耽っていた。
(ここに辿りつくまでに多くの苦労、犠牲があった…。だが、ついに前人未到のダンジョン最深部まで来たぜ…!ここから俺たち“玄武の理”は更にのし上がるんだ…!)
「ぐっはぁ!」
ゴーゾーは突然後頭部をママチャリに轢かれた。
「ちゅーす。配達に来ました~」
ゲンマがママチャリでダンジョン最深部まで配達に来たのだった。
「テ、テメー!テメーがなんでこんなところに…!?」
ゴーゾーは驚愕した。
(馬鹿な…!多くのパーティが命を削って、いや、落としてまでたどり着けないダンジョン最深部をコイツ、単騎で…!?しかも、ママチャリだとぅ…!)
「あ~?だから配達だっつってんだろーが。はいよ!ララライ軒のタンメンお待ちの方!豪徳寺カレー大盛りの方!えっ?福神漬けはいらなかったのに?すいません!フィードバックはボクの方からしときますんでっ!」
ゲンマはパーティメンバーに出前を配り始めた。
さすがは“天職”だけあって、デリバリーバックには無限とも思える量を保管できるようだった。次から次に出てくる。しかも、すこしもこぼれたりしていなかった。
「お、お前らなんでそんな奴に…」
ゴーゾーはパーティメンバーがクビになったゲンマとつながっていたことがなによりショックだった。
「なんでって言われてもなあ?」
「なあ」
黒魔道士と白魔道士が気まずそうにタンメンと焼きそばをすする。
「ゲンマなら確実に届けてくれるからに決まってるでしょ」
創立メンバーの女モンクがアンマンをかじりながら言った。
「そうそう。最後の晩餐になるかもしれないってのに、届かないんじゃ洒落にならないっすからねー」
シーフの男がケバブをかじる。
「あとーんす!皆さんの愛顧には感謝しかないっす!今後とも株式会社“リアルワールドイーツ”をよろしくっす!なんでも運んじゃいますよ!」
ゲンマが威勢よく頭を下げた。やんややんやと拍手がわきおこる。
「な、なんだ!?“リアルワールドイーツ”って!?」
「え?ゴーゾーさん知らないんすか?ゲンマさんの会社っすよ」
近くにいた召喚士の若造がピラフをかっ込みながら答えた。
「独立開業してんのかよ!しかも、そんな訴えられそうな名前で!?」
ゴーゾーはてっきりワールドイーツに所属しているのかと思っていたので驚いた。
「おいおい、聞き捨てならねえなあ。オレこそ本物のワールドイーツなんだよ。なんせ天職だからな。いずれワールドイーツを買収してやるぜ」
ゲンマのビッグマウスだった。
「…できるわけがねえ。今やワールドイーツは世界的大企業だ。今さら個人の勝てる余地なんかあるわけねえ」
「そいつはどうかな?ま、そんなことより」ゲンマはママチャリにまたがった。「お出ましだぜ?」
《ネジレジレ宮殿》最深部に住まう王が現れた。
いや、それは女王だった。
ネジレジレ宮殿には浅い層からネジレグモと呼ばれる蜘蛛が生息している。
腹の部分がねじれているからと命名された蜘蛛だ。
要はそれの巨大版だった。
顔が人間の女であることを除けばであるが。
怖気をふるう異形であった。
だが、ここにいる“玄武の理”メンバーに誰一人恐れを見せるものはいなかった。
“玄武の理”はAランクパーティに序される。重騎士のゴーゾーを中心とした硬い守りで着実に相手の体力を削るのが定石であった。
だが、その硬い守りはものの数分も保たなかった。
「グッハァ!」
ゴーゾーが吐血する。
「な、なんだ、この内臓をねじ切られるような痛みは…!」
他のパーティメンバーも全員がのたうち回っている。
「ごほっ!い、糸よ…!極細の糸が体内に…!」
モンクの女がまるで断末魔のように叫んだ。
ゴーゾーは自らの口のまわりに手をやった。そこには絹糸よりも柔らかく、しかし断ち切れることのない蜘蛛の糸があった。無数の糸が体内に入りこんで、内蔵を体内から掌握しているのだった。
女王は笑った。ひどく凄惨な笑みだった。
その笑みを見て、ゴーゾーは悟った。
我々“玄武の理”は最深部に足を踏み入れた瞬間から、女王の巣に絡め取られていたのだ、と。
体内に巣を張り終わったから、女王は姿を現したのだ。
「…クロマ!」
ゴーゾーは黒魔道士に命じた。
「俺の体に炎魔法をぶち込め!出し惜しみするな!最大火力だ!」
クロマは命じられるがままに魔法を唱えた。自身も糸に侵され、喘ぎながらも魔法を発動させた。
たちまちゴーゾーは炎に包まれた。
「ウォオオオオオ!」
炎のなかでゴーゾーは雄叫びをあげた。
そしてそのまま炎の塊となって、女王に突っ込んでいった。
女王は虚をつかれ、そのねじれた腹にゴーゾーの長剣が深々と刺さったのだった。
「ギャアアアアアア!」
女王は絶叫する。長剣は熱されていたから、女王のホルモンはジュッ!と音をたてて香ばしい匂いをばらまいた。
女王のいくつもの長い足がゴーゾーに殺到したが、それでもゴーゾーは長剣を放さず、まるでミキサーのようにグリグリとホルモンを撹拌し続けた。
ついに女王は仰向けになり、犯された生娘のように力なく足を投げ出した。
死んだのだ。
「た、倒したのか?」
シーフがつぶやいた。
ゴーゾーはフラフラと満身創痍ながらも、女王の腹のうえで長剣を掲げてみせた。
“玄武の理”のメンバーはリーダーに喝采を浴びせた。
当然だ。最深部のボスをまさかたった一人で倒して見せるとは!
まるでSSランク冒険者のような快挙であった。
興奮冷めやらぬなか、ゴーゾーはメンバーの被害を確認していた。
大丈夫だ。強烈な痛みではあったが、動けないほどの重症者はいないようだ。
どうやら内蔵への糸も女王が死んだことにより消滅したようだ。魔力糸だったのだろう。
おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん
突然、おかあさんと連呼する声がフロアに響き渡った。
何事かと辺りを見回しても、正体はつかめない。
「り、リーダー!」
白魔道士が叫んだ。
「うおっ!?」
ゴーゾーの足元、女王の腹から大量の子グモが発生していた。すべて人間の顔をしていた。
死んだ母親を悼んでコイツラが…?
いや、ちがう。
頭上だ。
頭上に何十、何百という顔が“玄武の理”を見下ろしていた。
すべて人間の顔、体はネジレグモだった。
目眩がし、吐き気を催す光景だった。
だが、そんな暇もない。
大きさは女王以上のサイズが何匹もいた。
「大家族というわけか…」
ゴーゾーはつぶやいた。
それと同時に、奴らは降下を開始した。
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