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第4話 デイジー、一人暮らしを満喫する
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ないわ。最高!「はぁ…」
一か月後。別荘のなかよ。
わたしはまたため息をついてたの。
だけど、今回のため息はこれまでとは一味も二味もちがったわ。
「一人暮らし、最っ高っ!」
わたしは大きなベッドにジャンプして仰向けに倒れこんで、大の字になったの。人はリラックスしてるだけで笑顔になれるものなのね。ついニヤニヤしちゃった。
自然と楽しい思い出が湧いて出てくるの。頭にこんな機能があったなんて驚きだわ。みんな知ってた?
この家についた最初の日、わたしは広いリビングで両手を広げ、クルクル回ってみたの。だれにも邪魔されない空間というのはそれだけで素敵ね。
次の日、ドキドキしながら一人で近くの街を歩いたわ。もちろんクロは肩にいてくれたけどね。店に入って、食べたことの無い美味しい料理を食べたの。
特にさっそく行きつけになったカフェ〈アドリアネ〉は新鮮なサラダ、グラタン、ケーキ、パン、ローストビーフ、コーヒーすべてが美味しかったわ。
コーヒーの香りを楽しみながら街の風景をカフェテラスからぼんやり眺めていると、ため息が自然と出てきたの。
だけど、それは幸せなため息で、わたしの表情には自然と微笑が浮かんでくるのが自分でもわかったわ。こんなことは初めてだから、表情筋に違和感を感じたほどよ。幸い筋肉痛にはならなかった。ラッキー。
夜は誰にも気兼ねせず、いつまでも安心して眠れたわ。これってすごいことよね。
広いベッドで柔らかな羽毛布団に包まれて二度寝するのは最高!
どれもはじめてのことだった。
「家族やめて良かった~!」
喜びを噛み締めてしまうわね。
「もうため息なんてついてるヒマないわ!不安や後悔で今を塗りつぶされないって、なんて清々しいんだろう!あっ!歌詞になるかも!」
市場で買ったリュートを適当にかき鳴らして歌うのが最近楽しいのよ。
「今はなんでもやってみよう~♪ちょっとでも欲しいって思ったら、我慢せずに飛びついてみよう~♪自分の幸せを生きてみよう~♪」
めちゃくちゃな演奏と歌に一人でも大笑いできるわ。一人なのにコロコロと表情が変わっていくの。わたしって、こんなに表情豊かだったのね。
今、すべてが楽しいわ!
「…うるさい」
「む、水をささないでよ」
けれど、なぜかクロは不満げみたい。
「はしゃぎすぎだ。ご近所さんに迷惑」
「ご近所さんなんて、森のクマさんしかいないわよ」
「じゃあ、クマさんに迷惑」
「え~?なに~?なんでそんな不機嫌なの?」
「べつに不機嫌じゃないけどさあ…。退屈じゃない?」
「なんで?どこが?超充実してるよ」
「そうかなあ?前の方が刺激的だったじゃん」
「クロって子供みたいなこというのね」
「子供はデイジーだろ」
「見た目は10歳でも中身は合計数千歳の淑女ですから~」
「戦いの経験値しかないくせに」
「だから、今経験積んでるんです~。あっ、わかった!」
「なにが?」
「クロってばさみしいんでしょ!」
「…はあ?」
「わたしの世界がひろがることで、わたしを独り占めできなくなることがくやしいのね…!」
「……」
「ごめんなさいね。かまってあげられなくて。ゆるして!」
わたしはクロに抱きついて、ほおずりしたわ。クロの毛並みったらサラサラなのよね。
クロは心底うざそうな顔で、わたしのほおを肉球で押しのけたけどね。
「ん~!ちゅっ!ちゅっ!」
「フシャー!」
あんまりしつこいから、クロに威嚇されちゃった。耳がイカ耳になってる。
「ごめんごめん。でも、わたしクロがいてくれてうれしいんだ~!」
「な、なんだよ、急に」
「だって、もしもクロがわたしの作り出した幻影なら、わたしが幸せになったら消えちゃうかもしれないって思ってたからさ~」
「ああ、そんなこと言ってたな」
「だから、ホントにいてくれてありがとっ!」
わたしは懲りずにまたクロに抱きついたの。
「こらー!」
「ひぃ、ごめんなさい」
ふつうに怒られちゃった。むずかしい。
「でもねっ、でもねっ!」
「…なんだよ」
「ほんとうに、今まで一緒にいてくれてありがとね。なんだかんだ言って、クロがいてくれたから、今がある気がするんだあ」
「…ただそばにいただけだし」
「辛いことあったあとに、肩乗ってくれたり、さわらせてくれたり。温かくて、やわらかかった。すごく助かったよ」
「お、おう」
「ありがとう」
クロの頭をなでたの。
クロはおとなしくなでられてくれた。
のどからはゴロゴロと音が聞こえる。
幸せに音色があるとしたら、きっとこれだと思うわ。
いつも一緒にいてくれてありがとう、クロ。心でも思ってるよ。
「…まあ、感謝してるっていうなら素直に受け取るけどよ。なんだ?仕事まで始めるっていうだろ?いきなり無理しすぎんなよ?」
「はぅ!」
わたしは思わず胸をおさえたわ。
「どうした?」
「なんか、キュンてしたかも…。もう!クロったらカッコいいんだから!」
「ハイハイ」
わたしはまたまた抱きついたけど、今度はクロは怒らなかった。尻尾をタシンタシンと床に打ちつけて、ゴロゴロいってくれている。ふふ、くぁいい。
「お仕事するの、クロは反対?」
「ん?そんなことはないよ。デイジーの好きにしたらいいさ。ただ今は10歳の体だから、体力面に気をつけろよってこと」
「うん!」
「…まったく、子供みたいに素直になっちゃって」
クロはわたしの頬をなめたわ。
「くふふ、ざりざりする」
「このまま顔を削ってやる」
「きゃはは、やめて~」
コンコン、コンコン
いつの間にかドアが外からノックされていたわ。
「あら、だれかしら?」
わたしはいそいで白手袋をはめた。火傷の痕を隠すために人前に出るときは白手袋をはめることにした。変に目立っちゃうからね。
ドアを開けたの。
「…こんにちは」
びっくりしたわ。
そこにはとんでもない美少女が立っていたの。金髪のおかっぱは陽に透けて、大きな瞳は大粒のエメラルドみたい。この世のものとも思えない神秘性にエルフかと思ったけど、耳はとんがっていない。引き結ばれた赤い唇は、すこし緊張しているようにみえる。
「あの、〈どうぶつの歯医者さん〉はここで合ってますか?」
見ると、美少女は手にバスケットを持っていたわ。そのなかに患者がいるらしい。
わたしはうれしくなったの。
「はい、そうです!ようこそ〈どうぶつの歯医者さん〉へ!」
はじめての仕事がさっそくやってきたのだ。
しかも、とても素敵な美少女。言うことないわね。
一か月後。別荘のなかよ。
わたしはまたため息をついてたの。
だけど、今回のため息はこれまでとは一味も二味もちがったわ。
「一人暮らし、最っ高っ!」
わたしは大きなベッドにジャンプして仰向けに倒れこんで、大の字になったの。人はリラックスしてるだけで笑顔になれるものなのね。ついニヤニヤしちゃった。
自然と楽しい思い出が湧いて出てくるの。頭にこんな機能があったなんて驚きだわ。みんな知ってた?
この家についた最初の日、わたしは広いリビングで両手を広げ、クルクル回ってみたの。だれにも邪魔されない空間というのはそれだけで素敵ね。
次の日、ドキドキしながら一人で近くの街を歩いたわ。もちろんクロは肩にいてくれたけどね。店に入って、食べたことの無い美味しい料理を食べたの。
特にさっそく行きつけになったカフェ〈アドリアネ〉は新鮮なサラダ、グラタン、ケーキ、パン、ローストビーフ、コーヒーすべてが美味しかったわ。
コーヒーの香りを楽しみながら街の風景をカフェテラスからぼんやり眺めていると、ため息が自然と出てきたの。
だけど、それは幸せなため息で、わたしの表情には自然と微笑が浮かんでくるのが自分でもわかったわ。こんなことは初めてだから、表情筋に違和感を感じたほどよ。幸い筋肉痛にはならなかった。ラッキー。
夜は誰にも気兼ねせず、いつまでも安心して眠れたわ。これってすごいことよね。
広いベッドで柔らかな羽毛布団に包まれて二度寝するのは最高!
どれもはじめてのことだった。
「家族やめて良かった~!」
喜びを噛み締めてしまうわね。
「もうため息なんてついてるヒマないわ!不安や後悔で今を塗りつぶされないって、なんて清々しいんだろう!あっ!歌詞になるかも!」
市場で買ったリュートを適当にかき鳴らして歌うのが最近楽しいのよ。
「今はなんでもやってみよう~♪ちょっとでも欲しいって思ったら、我慢せずに飛びついてみよう~♪自分の幸せを生きてみよう~♪」
めちゃくちゃな演奏と歌に一人でも大笑いできるわ。一人なのにコロコロと表情が変わっていくの。わたしって、こんなに表情豊かだったのね。
今、すべてが楽しいわ!
「…うるさい」
「む、水をささないでよ」
けれど、なぜかクロは不満げみたい。
「はしゃぎすぎだ。ご近所さんに迷惑」
「ご近所さんなんて、森のクマさんしかいないわよ」
「じゃあ、クマさんに迷惑」
「え~?なに~?なんでそんな不機嫌なの?」
「べつに不機嫌じゃないけどさあ…。退屈じゃない?」
「なんで?どこが?超充実してるよ」
「そうかなあ?前の方が刺激的だったじゃん」
「クロって子供みたいなこというのね」
「子供はデイジーだろ」
「見た目は10歳でも中身は合計数千歳の淑女ですから~」
「戦いの経験値しかないくせに」
「だから、今経験積んでるんです~。あっ、わかった!」
「なにが?」
「クロってばさみしいんでしょ!」
「…はあ?」
「わたしの世界がひろがることで、わたしを独り占めできなくなることがくやしいのね…!」
「……」
「ごめんなさいね。かまってあげられなくて。ゆるして!」
わたしはクロに抱きついて、ほおずりしたわ。クロの毛並みったらサラサラなのよね。
クロは心底うざそうな顔で、わたしのほおを肉球で押しのけたけどね。
「ん~!ちゅっ!ちゅっ!」
「フシャー!」
あんまりしつこいから、クロに威嚇されちゃった。耳がイカ耳になってる。
「ごめんごめん。でも、わたしクロがいてくれてうれしいんだ~!」
「な、なんだよ、急に」
「だって、もしもクロがわたしの作り出した幻影なら、わたしが幸せになったら消えちゃうかもしれないって思ってたからさ~」
「ああ、そんなこと言ってたな」
「だから、ホントにいてくれてありがとっ!」
わたしは懲りずにまたクロに抱きついたの。
「こらー!」
「ひぃ、ごめんなさい」
ふつうに怒られちゃった。むずかしい。
「でもねっ、でもねっ!」
「…なんだよ」
「ほんとうに、今まで一緒にいてくれてありがとね。なんだかんだ言って、クロがいてくれたから、今がある気がするんだあ」
「…ただそばにいただけだし」
「辛いことあったあとに、肩乗ってくれたり、さわらせてくれたり。温かくて、やわらかかった。すごく助かったよ」
「お、おう」
「ありがとう」
クロの頭をなでたの。
クロはおとなしくなでられてくれた。
のどからはゴロゴロと音が聞こえる。
幸せに音色があるとしたら、きっとこれだと思うわ。
いつも一緒にいてくれてありがとう、クロ。心でも思ってるよ。
「…まあ、感謝してるっていうなら素直に受け取るけどよ。なんだ?仕事まで始めるっていうだろ?いきなり無理しすぎんなよ?」
「はぅ!」
わたしは思わず胸をおさえたわ。
「どうした?」
「なんか、キュンてしたかも…。もう!クロったらカッコいいんだから!」
「ハイハイ」
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「お仕事するの、クロは反対?」
「ん?そんなことはないよ。デイジーの好きにしたらいいさ。ただ今は10歳の体だから、体力面に気をつけろよってこと」
「うん!」
「…まったく、子供みたいに素直になっちゃって」
クロはわたしの頬をなめたわ。
「くふふ、ざりざりする」
「このまま顔を削ってやる」
「きゃはは、やめて~」
コンコン、コンコン
いつの間にかドアが外からノックされていたわ。
「あら、だれかしら?」
わたしはいそいで白手袋をはめた。火傷の痕を隠すために人前に出るときは白手袋をはめることにした。変に目立っちゃうからね。
ドアを開けたの。
「…こんにちは」
びっくりしたわ。
そこにはとんでもない美少女が立っていたの。金髪のおかっぱは陽に透けて、大きな瞳は大粒のエメラルドみたい。この世のものとも思えない神秘性にエルフかと思ったけど、耳はとんがっていない。引き結ばれた赤い唇は、すこし緊張しているようにみえる。
「あの、〈どうぶつの歯医者さん〉はここで合ってますか?」
見ると、美少女は手にバスケットを持っていたわ。そのなかに患者がいるらしい。
わたしはうれしくなったの。
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