4 / 20
第4話 デイジー、一人暮らしを満喫する
しおりを挟む
ないわ。最高!「はぁ…」
一か月後。別荘のなかよ。
わたしはまたため息をついてたの。
だけど、今回のため息はこれまでとは一味も二味もちがったわ。
「一人暮らし、最っ高っ!」
わたしは大きなベッドにジャンプして仰向けに倒れこんで、大の字になったの。人はリラックスしてるだけで笑顔になれるものなのね。ついニヤニヤしちゃった。
自然と楽しい思い出が湧いて出てくるの。頭にこんな機能があったなんて驚きだわ。みんな知ってた?
この家についた最初の日、わたしは広いリビングで両手を広げ、クルクル回ってみたの。だれにも邪魔されない空間というのはそれだけで素敵ね。
次の日、ドキドキしながら一人で近くの街を歩いたわ。もちろんクロは肩にいてくれたけどね。店に入って、食べたことの無い美味しい料理を食べたの。
特にさっそく行きつけになったカフェ〈アドリアネ〉は新鮮なサラダ、グラタン、ケーキ、パン、ローストビーフ、コーヒーすべてが美味しかったわ。
コーヒーの香りを楽しみながら街の風景をカフェテラスからぼんやり眺めていると、ため息が自然と出てきたの。
だけど、それは幸せなため息で、わたしの表情には自然と微笑が浮かんでくるのが自分でもわかったわ。こんなことは初めてだから、表情筋に違和感を感じたほどよ。幸い筋肉痛にはならなかった。ラッキー。
夜は誰にも気兼ねせず、いつまでも安心して眠れたわ。これってすごいことよね。
広いベッドで柔らかな羽毛布団に包まれて二度寝するのは最高!
どれもはじめてのことだった。
「家族やめて良かった~!」
喜びを噛み締めてしまうわね。
「もうため息なんてついてるヒマないわ!不安や後悔で今を塗りつぶされないって、なんて清々しいんだろう!あっ!歌詞になるかも!」
市場で買ったリュートを適当にかき鳴らして歌うのが最近楽しいのよ。
「今はなんでもやってみよう~♪ちょっとでも欲しいって思ったら、我慢せずに飛びついてみよう~♪自分の幸せを生きてみよう~♪」
めちゃくちゃな演奏と歌に一人でも大笑いできるわ。一人なのにコロコロと表情が変わっていくの。わたしって、こんなに表情豊かだったのね。
今、すべてが楽しいわ!
「…うるさい」
「む、水をささないでよ」
けれど、なぜかクロは不満げみたい。
「はしゃぎすぎだ。ご近所さんに迷惑」
「ご近所さんなんて、森のクマさんしかいないわよ」
「じゃあ、クマさんに迷惑」
「え~?なに~?なんでそんな不機嫌なの?」
「べつに不機嫌じゃないけどさあ…。退屈じゃない?」
「なんで?どこが?超充実してるよ」
「そうかなあ?前の方が刺激的だったじゃん」
「クロって子供みたいなこというのね」
「子供はデイジーだろ」
「見た目は10歳でも中身は合計数千歳の淑女ですから~」
「戦いの経験値しかないくせに」
「だから、今経験積んでるんです~。あっ、わかった!」
「なにが?」
「クロってばさみしいんでしょ!」
「…はあ?」
「わたしの世界がひろがることで、わたしを独り占めできなくなることがくやしいのね…!」
「……」
「ごめんなさいね。かまってあげられなくて。ゆるして!」
わたしはクロに抱きついて、ほおずりしたわ。クロの毛並みったらサラサラなのよね。
クロは心底うざそうな顔で、わたしのほおを肉球で押しのけたけどね。
「ん~!ちゅっ!ちゅっ!」
「フシャー!」
あんまりしつこいから、クロに威嚇されちゃった。耳がイカ耳になってる。
「ごめんごめん。でも、わたしクロがいてくれてうれしいんだ~!」
「な、なんだよ、急に」
「だって、もしもクロがわたしの作り出した幻影なら、わたしが幸せになったら消えちゃうかもしれないって思ってたからさ~」
「ああ、そんなこと言ってたな」
「だから、ホントにいてくれてありがとっ!」
わたしは懲りずにまたクロに抱きついたの。
「こらー!」
「ひぃ、ごめんなさい」
ふつうに怒られちゃった。むずかしい。
「でもねっ、でもねっ!」
「…なんだよ」
「ほんとうに、今まで一緒にいてくれてありがとね。なんだかんだ言って、クロがいてくれたから、今がある気がするんだあ」
「…ただそばにいただけだし」
「辛いことあったあとに、肩乗ってくれたり、さわらせてくれたり。温かくて、やわらかかった。すごく助かったよ」
「お、おう」
「ありがとう」
クロの頭をなでたの。
クロはおとなしくなでられてくれた。
のどからはゴロゴロと音が聞こえる。
幸せに音色があるとしたら、きっとこれだと思うわ。
いつも一緒にいてくれてありがとう、クロ。心でも思ってるよ。
「…まあ、感謝してるっていうなら素直に受け取るけどよ。なんだ?仕事まで始めるっていうだろ?いきなり無理しすぎんなよ?」
「はぅ!」
わたしは思わず胸をおさえたわ。
「どうした?」
「なんか、キュンてしたかも…。もう!クロったらカッコいいんだから!」
「ハイハイ」
わたしはまたまた抱きついたけど、今度はクロは怒らなかった。尻尾をタシンタシンと床に打ちつけて、ゴロゴロいってくれている。ふふ、くぁいい。
「お仕事するの、クロは反対?」
「ん?そんなことはないよ。デイジーの好きにしたらいいさ。ただ今は10歳の体だから、体力面に気をつけろよってこと」
「うん!」
「…まったく、子供みたいに素直になっちゃって」
クロはわたしの頬をなめたわ。
「くふふ、ざりざりする」
「このまま顔を削ってやる」
「きゃはは、やめて~」
コンコン、コンコン
いつの間にかドアが外からノックされていたわ。
「あら、だれかしら?」
わたしはいそいで白手袋をはめた。火傷の痕を隠すために人前に出るときは白手袋をはめることにした。変に目立っちゃうからね。
ドアを開けたの。
「…こんにちは」
びっくりしたわ。
そこにはとんでもない美少女が立っていたの。金髪のおかっぱは陽に透けて、大きな瞳は大粒のエメラルドみたい。この世のものとも思えない神秘性にエルフかと思ったけど、耳はとんがっていない。引き結ばれた赤い唇は、すこし緊張しているようにみえる。
「あの、〈どうぶつの歯医者さん〉はここで合ってますか?」
見ると、美少女は手にバスケットを持っていたわ。そのなかに患者がいるらしい。
わたしはうれしくなったの。
「はい、そうです!ようこそ〈どうぶつの歯医者さん〉へ!」
はじめての仕事がさっそくやってきたのだ。
しかも、とても素敵な美少女。言うことないわね。
一か月後。別荘のなかよ。
わたしはまたため息をついてたの。
だけど、今回のため息はこれまでとは一味も二味もちがったわ。
「一人暮らし、最っ高っ!」
わたしは大きなベッドにジャンプして仰向けに倒れこんで、大の字になったの。人はリラックスしてるだけで笑顔になれるものなのね。ついニヤニヤしちゃった。
自然と楽しい思い出が湧いて出てくるの。頭にこんな機能があったなんて驚きだわ。みんな知ってた?
この家についた最初の日、わたしは広いリビングで両手を広げ、クルクル回ってみたの。だれにも邪魔されない空間というのはそれだけで素敵ね。
次の日、ドキドキしながら一人で近くの街を歩いたわ。もちろんクロは肩にいてくれたけどね。店に入って、食べたことの無い美味しい料理を食べたの。
特にさっそく行きつけになったカフェ〈アドリアネ〉は新鮮なサラダ、グラタン、ケーキ、パン、ローストビーフ、コーヒーすべてが美味しかったわ。
コーヒーの香りを楽しみながら街の風景をカフェテラスからぼんやり眺めていると、ため息が自然と出てきたの。
だけど、それは幸せなため息で、わたしの表情には自然と微笑が浮かんでくるのが自分でもわかったわ。こんなことは初めてだから、表情筋に違和感を感じたほどよ。幸い筋肉痛にはならなかった。ラッキー。
夜は誰にも気兼ねせず、いつまでも安心して眠れたわ。これってすごいことよね。
広いベッドで柔らかな羽毛布団に包まれて二度寝するのは最高!
どれもはじめてのことだった。
「家族やめて良かった~!」
喜びを噛み締めてしまうわね。
「もうため息なんてついてるヒマないわ!不安や後悔で今を塗りつぶされないって、なんて清々しいんだろう!あっ!歌詞になるかも!」
市場で買ったリュートを適当にかき鳴らして歌うのが最近楽しいのよ。
「今はなんでもやってみよう~♪ちょっとでも欲しいって思ったら、我慢せずに飛びついてみよう~♪自分の幸せを生きてみよう~♪」
めちゃくちゃな演奏と歌に一人でも大笑いできるわ。一人なのにコロコロと表情が変わっていくの。わたしって、こんなに表情豊かだったのね。
今、すべてが楽しいわ!
「…うるさい」
「む、水をささないでよ」
けれど、なぜかクロは不満げみたい。
「はしゃぎすぎだ。ご近所さんに迷惑」
「ご近所さんなんて、森のクマさんしかいないわよ」
「じゃあ、クマさんに迷惑」
「え~?なに~?なんでそんな不機嫌なの?」
「べつに不機嫌じゃないけどさあ…。退屈じゃない?」
「なんで?どこが?超充実してるよ」
「そうかなあ?前の方が刺激的だったじゃん」
「クロって子供みたいなこというのね」
「子供はデイジーだろ」
「見た目は10歳でも中身は合計数千歳の淑女ですから~」
「戦いの経験値しかないくせに」
「だから、今経験積んでるんです~。あっ、わかった!」
「なにが?」
「クロってばさみしいんでしょ!」
「…はあ?」
「わたしの世界がひろがることで、わたしを独り占めできなくなることがくやしいのね…!」
「……」
「ごめんなさいね。かまってあげられなくて。ゆるして!」
わたしはクロに抱きついて、ほおずりしたわ。クロの毛並みったらサラサラなのよね。
クロは心底うざそうな顔で、わたしのほおを肉球で押しのけたけどね。
「ん~!ちゅっ!ちゅっ!」
「フシャー!」
あんまりしつこいから、クロに威嚇されちゃった。耳がイカ耳になってる。
「ごめんごめん。でも、わたしクロがいてくれてうれしいんだ~!」
「な、なんだよ、急に」
「だって、もしもクロがわたしの作り出した幻影なら、わたしが幸せになったら消えちゃうかもしれないって思ってたからさ~」
「ああ、そんなこと言ってたな」
「だから、ホントにいてくれてありがとっ!」
わたしは懲りずにまたクロに抱きついたの。
「こらー!」
「ひぃ、ごめんなさい」
ふつうに怒られちゃった。むずかしい。
「でもねっ、でもねっ!」
「…なんだよ」
「ほんとうに、今まで一緒にいてくれてありがとね。なんだかんだ言って、クロがいてくれたから、今がある気がするんだあ」
「…ただそばにいただけだし」
「辛いことあったあとに、肩乗ってくれたり、さわらせてくれたり。温かくて、やわらかかった。すごく助かったよ」
「お、おう」
「ありがとう」
クロの頭をなでたの。
クロはおとなしくなでられてくれた。
のどからはゴロゴロと音が聞こえる。
幸せに音色があるとしたら、きっとこれだと思うわ。
いつも一緒にいてくれてありがとう、クロ。心でも思ってるよ。
「…まあ、感謝してるっていうなら素直に受け取るけどよ。なんだ?仕事まで始めるっていうだろ?いきなり無理しすぎんなよ?」
「はぅ!」
わたしは思わず胸をおさえたわ。
「どうした?」
「なんか、キュンてしたかも…。もう!クロったらカッコいいんだから!」
「ハイハイ」
わたしはまたまた抱きついたけど、今度はクロは怒らなかった。尻尾をタシンタシンと床に打ちつけて、ゴロゴロいってくれている。ふふ、くぁいい。
「お仕事するの、クロは反対?」
「ん?そんなことはないよ。デイジーの好きにしたらいいさ。ただ今は10歳の体だから、体力面に気をつけろよってこと」
「うん!」
「…まったく、子供みたいに素直になっちゃって」
クロはわたしの頬をなめたわ。
「くふふ、ざりざりする」
「このまま顔を削ってやる」
「きゃはは、やめて~」
コンコン、コンコン
いつの間にかドアが外からノックされていたわ。
「あら、だれかしら?」
わたしはいそいで白手袋をはめた。火傷の痕を隠すために人前に出るときは白手袋をはめることにした。変に目立っちゃうからね。
ドアを開けたの。
「…こんにちは」
びっくりしたわ。
そこにはとんでもない美少女が立っていたの。金髪のおかっぱは陽に透けて、大きな瞳は大粒のエメラルドみたい。この世のものとも思えない神秘性にエルフかと思ったけど、耳はとんがっていない。引き結ばれた赤い唇は、すこし緊張しているようにみえる。
「あの、〈どうぶつの歯医者さん〉はここで合ってますか?」
見ると、美少女は手にバスケットを持っていたわ。そのなかに患者がいるらしい。
わたしはうれしくなったの。
「はい、そうです!ようこそ〈どうぶつの歯医者さん〉へ!」
はじめての仕事がさっそくやってきたのだ。
しかも、とても素敵な美少女。言うことないわね。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる