28 / 60
第28話 6歳 若さとは
しおりを挟む
「それじゃ急いで戻るぞ。フレア、つらいだろうがアリーの街まで頼む。そこで休んでくれ」
『はーい!頑張るよ!』
「桃を詰める袋も必要だなぁ、何かいいものないかな?」
『そうだ!世界樹様ー!葉っぱ1枚くださーい!』
わっしゃわっしゃわしゃわしゃ
空からでっかい絨毯みたいな葉っぱが落ちてくる。1枚っつってんのに10枚くらいあるぞ、何かに使えそうだし貰っとくか。
「世界樹って竜が好きなのか?もしかして幼女好きの変態だったりしてな」
「やめなさいってば!」
でかくて柔らかくて丈夫な葉っぱだ。ここは何でもデカくて感覚がおかしくなるな。
葉っぱを重ねてその中に桃を並べて包んだ。
「ありがとうな世界樹さんよ、害虫でも付いたら払ってやるぜ」
相変わらず俺を無視する木。一人で来ることがあったらぶん殴ろうと思う。
なんとなく名残惜しさを感じながらその場を離れた。
「あぁそうだ、襲ってきた奴らから剥がした鱗と爪を置いてきたんだ。母者の土産に回収していこう」
「えぇぇ、あんたそんな事してたの?竜相手に怖いもの知らずね」
「採っていかないとフレアが狙われるからな」
「えぇぇ……」
世界樹の葉を広げて戦利品を包む。その作業の最中に何かがぶつかった。
「おっと。なんだ?」
『GAAAAAAA!!!愚かな人間め!我が呪いを受けたな!生涯苦しむがよいわ!GAAAAAAA!!!』
倒れてた竜の一匹が何かしたようだが、呪い?
「フレア」
『えい!』
べしり!
『GUUUUU……』
「ヘロヘロじゃねぇか、こんなんでもあの長老のところのガキだと思うと殺す気にならんな」
『愚か者め、貴様はもう終わりなのだ。竜の呪いを受けたものは恐怖と苦しみで……苦しまないのか?』
のろい~?竜であることだけが寄る辺になってる様なこんな雑魚に呪いかけられてもなぁ?
「大変よ!ステータスを見てみて!」
「何にも無いと思うけどなぁ。ステータス」
―――――――――
アレキサンダー
6歳
ジョブ 狂魔術師
レベル 682
体力 39145
魔力 99372
スキル
狂化ω
体力+5%
体力+20%
体力+50%
体力+100%
体力+200%
体力+300%
体力+400%
体力+500%
魔力+5%
魔力+20%
魔力+50%
魔力+100%
魔力+200%
魔力+300%
魔力+400%
魔力+500%
魔力+600%
鍛錬ω
天壌無窮
スキルアーツ
狂戦士化
魔法
魔力暴走
――――――――――
「うん、呪いなんかねぇな」
「ななな、何よこれ!あ!分かったわあんたが魔王ね!?」
「失礼な奴だな。ステータスなんて意味がないから気にするな。数値が高くなるとより効率的なトレーニングが出来るに過ぎない」
「何を言っているのか分からないけど、あんたが魔術師名乗ってるのが一番訳が分からないわ。狂化は納得だけど」
本当に失礼なやつだ。置いていってやろうか。
『嘘だ!我が呪いは間違いなくお前に取り込まれた!』
「知るか。だがお前にはお仕置きが必要だな。さて、何をもらおうか。ゲームで有名なのだと、牙、舌、目玉、肝臓、胆石あたりか?あ、火を吐くなら火袋とかあるのかな」
『な、な、なにを言っているのだ?』
「あ?お土産だよ、みんなが喜んでくれるお土産。お前は弱いから目玉は力が無さそうだし、胆石は育って無さそうだし、肝臓か舌だなぁ。どっちがいい?」
『ヒッ!ヒッ!うぐぐ!UGAAAAA!!』
「やはりそう来るか。これで寝とけ!ファイナル・アトミック・ハイパーボッ!」
『GYAUUUU……』
二連スープレックからの後頭部を叩きつける危険なパワーボム。よい子は真似しちゃ駄目だぞ!
だがまぁ軽く寝る程度に調整しておいた。たぶん竜は丈夫だし大丈夫だろう。たぶん。
「んじゃ牙を採っていくか。根本から」
「うえぇ、すっごい痛そうなんだけど」
『大丈夫だよ!無くなったら生えてくるからね!』
そういう問題だろうか?まぁ失われても戻るなら遠慮なくいただこうかな。
歯茎から切り取ろうと思っていたが、謎の直剣は竜の歯にもサクリと刺さったので根元付近でぶった切ってきた。運のいいやつだ。
回収も済んだので魔導学園に向けて出発した。まずはアリーを降ろさないとな。
竜の谷は明るかったが、出発したのは深夜に近いだろう。フレアに頑張ってもらい街に着いた頃にはもうすっかり日が昇っていた。
ドズゥン!
『ふあぁ、眠いよう』
「よく頑張ってくれた。村までは俺一人で行ってくるからゆっくり休んでいてくれ」
「フレア、無理させてごめんね。今日は人間に変身して私のベッドで休みましょ」
『うん~』
もう限界だなこりゃ、事故らなくてよかったぜ。
「あぁそうだアリー、お前の取り分だ。いくつか持っていけ」
「いいの?」
こんなにあるのに独占したら俺が悪人だろうがよ。
「あ!あぁぁぁぁ!!」
突然でかい声がした方を見上げると学園長が空に浮いていた。いつも澄ましているその顔は、目を一杯に見開いて大口を開けた間抜けな姿だ。
「そ、そそ、その実は可能性の実?本当にとってきたのですか?」
「あぁ気前よく貰えたぜ、助言助かった」
「あ、あなた、あなたはもしかして花の聖女にこれを与えるつもりでは!?」
「まぁ、そうだが?」
「ぎ、ぎいいぇぇぇっぇぇえぇぇ!!駄目です!許されません!おぞましい………!あの女が若返ったりしたら、その時私は………!あああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
「なんだ!?落ち着け!なんだってんだ!」
「お願いします!その実を私にもください!なんでもします!この身も捧げます!貴方に尽くします!全ての財産も差し上げます!!」
「おげぇぇぇぇぇぇぇ!!えぼろろろろろろろ!!!」
そんなもん捧げるんじゃねぇ!ぶっころすぞ婆ぁ!!!
「あの女が若返ったら必ず私の所に来る!!老いた私の前で!美しい姿で!あの時の様に私から奪っていく!!あああああぁぁぁっぁああ!!!」
「わかった!わかったからかしがみつくな!!ほら投げるぞ!ほーら!さああっちへ行け!」
「ミィィィイィイ!!ミミィィィイ!!!」
なんというおぞましい姿だ。頭のおかしくなった老婆が桃を拾い上げて貪り食っている。汁が垂れたのを必死に舐めて・・・うぅ、また吐きそう。
「学園長……」
「お前、その実は隠しとけ。俺が全部持っていったことにしとけ」
「そうする」
「うぐっ!はあぁぁぁっぁ!!!」
「お、おい大丈夫かよ」
学園長が唸り出したと思うと、みるみる体が若返っていく。白い髪は銀色に、皺の刻まれた顔は・・・まだ皺あるな。
「若返った!若返ったわ!おほほほほほほ!私は若さを取り戻したの!!」
「どう思う?」
「んー、半分くらい若返ったんじゃない?」
老婆が中年の女性になった感じ。半分になったのか、40歳程若返った結果なのかわからんな。
「学園長、ほらもう一個」
「ちょ!」
「ミイィィィィ!!ミミィィィィィィ!」
繰り返される惨劇!アリーはドン引きである。フレアは寝た。
「おほほほほほ!完璧ですわ!私は美貌を取り戻しましたの!」
「おぉぉ、すごい効果だ」
学園長は妙齢の女性に生まれ変わった。生命力に溢れ、美しい銀髪がキラキラと輝いている。まぁ元が婆ぁだからどうでもいいんだが。
「でもそれだと学園長だと分かんないかもな」
「学園長?そんな人はもういません。私は生まれ変わったアマンダ・クリスタニア。新しい人生が私を待っているのですわ!」
意味が分からん。話し方も変化しているし、頭まで若返ってお花畑になってしまったんだろうか?恐ろしい効果だ。
「効果も分かったし俺はもう行く。迎えに来るからフレアを頼むぞ」
「もちろんよ!大切なお友達だもの!」
「ではな」
故郷の村。
「母者!戻りました!」
「アレキサンダー!今までどこに行っていたの!おばば様は家に運び込んでいるからすぐに見舞いなさい」
「すいません母者、そのおばばを救える薬を探していました」
「がきぃ…そんなもんいらないよ。あたしゃ思い残すことも無いんだ。やれるだけのことはきっちりやったよ」
「おばば」
らしくねぇ。弱々しくぼそぼそと。さっさと元気になれや。
「おばば、俺を舐めるなよ。おばばなら可能性の実という物を聞いたことがあるだろう。それを持ってきた、これを食えばきっと元気になる」
桃を見せるとおばばは少しの間だけ驚いたように目を見開いた。
「やるじゃないかガキぃ、まだまだガキの癖に大したもんだ。あんたはきっと何にだって成れる、だから今はしっかり学びな。そんなもんは金持ちにでも売っちまえ」
「おばば!何言ってんだ!これを食え!」
「いらねぇ。そんなもんに縋るのはな、弱虫のやるこった。あたしはちゃんと自分の人生をやりきったんだ、そんなもん必要ない」
「おばば・・・分かったよ、流石おばばだ。あんたの事はわすれねぇ」
「ケッケッケッ、偉大な王に覚えててもらえるなら上等だ…うぅっ、ゲェホ!ゲホッ!」
「おばば、あんたはすげぇ。学園長の婆ぁなんて縋り付いて懇願して貪り食ってたってのに、やっぱりモノが違うんだな」
「ん?」
「学園長が実を貪る姿はそりゃあみっともなかったぜ。2つ目を投げても何も考えずに貪って、すっかり若返ったせいでもう学園長とは分かんねぇよ。そんなの今までの人生を捨てる様なもんじゃねぇか。そういうのは、やっぱ違うよな。おばばは立派に胸張って生きてきたんだもんな」
「待ちな、待て」
「おばば!俺はおばばの生き方を尊敬するぜ!」
「待てっつってんだろうが!!その実をあのアマンダが食ったってのかい!?」
「あ?あぁ、一個食わせたらおばさんになって、もう一個食ったら姉ちゃんになったぞ。銀髪の綺麗な姉ちゃんだった。ばばあだけど」
「よこせぇぇぇぇ!!みっつだ!みっつよこせ!!」
「うぉぉぉ!ばばあどこにそんな力が!やっぱり妖怪だったのかてめぇ!」
「よこせってんだよガキぃぃ!ぶっころされてぇのか!!!」
そしておばばは3個の実を食べた。10歳くらいの可憐な少女になった。
「アハハハハハハハ!やったのじゃ!あのババアに自慢してやるのじゃあ!」
「アレキサンダー?母の分もあるのよね?」
「はい」
どうすんだよこれ
『はーい!頑張るよ!』
「桃を詰める袋も必要だなぁ、何かいいものないかな?」
『そうだ!世界樹様ー!葉っぱ1枚くださーい!』
わっしゃわっしゃわしゃわしゃ
空からでっかい絨毯みたいな葉っぱが落ちてくる。1枚っつってんのに10枚くらいあるぞ、何かに使えそうだし貰っとくか。
「世界樹って竜が好きなのか?もしかして幼女好きの変態だったりしてな」
「やめなさいってば!」
でかくて柔らかくて丈夫な葉っぱだ。ここは何でもデカくて感覚がおかしくなるな。
葉っぱを重ねてその中に桃を並べて包んだ。
「ありがとうな世界樹さんよ、害虫でも付いたら払ってやるぜ」
相変わらず俺を無視する木。一人で来ることがあったらぶん殴ろうと思う。
なんとなく名残惜しさを感じながらその場を離れた。
「あぁそうだ、襲ってきた奴らから剥がした鱗と爪を置いてきたんだ。母者の土産に回収していこう」
「えぇぇ、あんたそんな事してたの?竜相手に怖いもの知らずね」
「採っていかないとフレアが狙われるからな」
「えぇぇ……」
世界樹の葉を広げて戦利品を包む。その作業の最中に何かがぶつかった。
「おっと。なんだ?」
『GAAAAAAA!!!愚かな人間め!我が呪いを受けたな!生涯苦しむがよいわ!GAAAAAAA!!!』
倒れてた竜の一匹が何かしたようだが、呪い?
「フレア」
『えい!』
べしり!
『GUUUUU……』
「ヘロヘロじゃねぇか、こんなんでもあの長老のところのガキだと思うと殺す気にならんな」
『愚か者め、貴様はもう終わりなのだ。竜の呪いを受けたものは恐怖と苦しみで……苦しまないのか?』
のろい~?竜であることだけが寄る辺になってる様なこんな雑魚に呪いかけられてもなぁ?
「大変よ!ステータスを見てみて!」
「何にも無いと思うけどなぁ。ステータス」
―――――――――
アレキサンダー
6歳
ジョブ 狂魔術師
レベル 682
体力 39145
魔力 99372
スキル
狂化ω
体力+5%
体力+20%
体力+50%
体力+100%
体力+200%
体力+300%
体力+400%
体力+500%
魔力+5%
魔力+20%
魔力+50%
魔力+100%
魔力+200%
魔力+300%
魔力+400%
魔力+500%
魔力+600%
鍛錬ω
天壌無窮
スキルアーツ
狂戦士化
魔法
魔力暴走
――――――――――
「うん、呪いなんかねぇな」
「ななな、何よこれ!あ!分かったわあんたが魔王ね!?」
「失礼な奴だな。ステータスなんて意味がないから気にするな。数値が高くなるとより効率的なトレーニングが出来るに過ぎない」
「何を言っているのか分からないけど、あんたが魔術師名乗ってるのが一番訳が分からないわ。狂化は納得だけど」
本当に失礼なやつだ。置いていってやろうか。
『嘘だ!我が呪いは間違いなくお前に取り込まれた!』
「知るか。だがお前にはお仕置きが必要だな。さて、何をもらおうか。ゲームで有名なのだと、牙、舌、目玉、肝臓、胆石あたりか?あ、火を吐くなら火袋とかあるのかな」
『な、な、なにを言っているのだ?』
「あ?お土産だよ、みんなが喜んでくれるお土産。お前は弱いから目玉は力が無さそうだし、胆石は育って無さそうだし、肝臓か舌だなぁ。どっちがいい?」
『ヒッ!ヒッ!うぐぐ!UGAAAAA!!』
「やはりそう来るか。これで寝とけ!ファイナル・アトミック・ハイパーボッ!」
『GYAUUUU……』
二連スープレックからの後頭部を叩きつける危険なパワーボム。よい子は真似しちゃ駄目だぞ!
だがまぁ軽く寝る程度に調整しておいた。たぶん竜は丈夫だし大丈夫だろう。たぶん。
「んじゃ牙を採っていくか。根本から」
「うえぇ、すっごい痛そうなんだけど」
『大丈夫だよ!無くなったら生えてくるからね!』
そういう問題だろうか?まぁ失われても戻るなら遠慮なくいただこうかな。
歯茎から切り取ろうと思っていたが、謎の直剣は竜の歯にもサクリと刺さったので根元付近でぶった切ってきた。運のいいやつだ。
回収も済んだので魔導学園に向けて出発した。まずはアリーを降ろさないとな。
竜の谷は明るかったが、出発したのは深夜に近いだろう。フレアに頑張ってもらい街に着いた頃にはもうすっかり日が昇っていた。
ドズゥン!
『ふあぁ、眠いよう』
「よく頑張ってくれた。村までは俺一人で行ってくるからゆっくり休んでいてくれ」
「フレア、無理させてごめんね。今日は人間に変身して私のベッドで休みましょ」
『うん~』
もう限界だなこりゃ、事故らなくてよかったぜ。
「あぁそうだアリー、お前の取り分だ。いくつか持っていけ」
「いいの?」
こんなにあるのに独占したら俺が悪人だろうがよ。
「あ!あぁぁぁぁ!!」
突然でかい声がした方を見上げると学園長が空に浮いていた。いつも澄ましているその顔は、目を一杯に見開いて大口を開けた間抜けな姿だ。
「そ、そそ、その実は可能性の実?本当にとってきたのですか?」
「あぁ気前よく貰えたぜ、助言助かった」
「あ、あなた、あなたはもしかして花の聖女にこれを与えるつもりでは!?」
「まぁ、そうだが?」
「ぎ、ぎいいぇぇぇっぇぇえぇぇ!!駄目です!許されません!おぞましい………!あの女が若返ったりしたら、その時私は………!あああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
「なんだ!?落ち着け!なんだってんだ!」
「お願いします!その実を私にもください!なんでもします!この身も捧げます!貴方に尽くします!全ての財産も差し上げます!!」
「おげぇぇぇぇぇぇぇ!!えぼろろろろろろろ!!!」
そんなもん捧げるんじゃねぇ!ぶっころすぞ婆ぁ!!!
「あの女が若返ったら必ず私の所に来る!!老いた私の前で!美しい姿で!あの時の様に私から奪っていく!!あああああぁぁぁっぁああ!!!」
「わかった!わかったからかしがみつくな!!ほら投げるぞ!ほーら!さああっちへ行け!」
「ミィィィイィイ!!ミミィィィイ!!!」
なんというおぞましい姿だ。頭のおかしくなった老婆が桃を拾い上げて貪り食っている。汁が垂れたのを必死に舐めて・・・うぅ、また吐きそう。
「学園長……」
「お前、その実は隠しとけ。俺が全部持っていったことにしとけ」
「そうする」
「うぐっ!はあぁぁぁっぁ!!!」
「お、おい大丈夫かよ」
学園長が唸り出したと思うと、みるみる体が若返っていく。白い髪は銀色に、皺の刻まれた顔は・・・まだ皺あるな。
「若返った!若返ったわ!おほほほほほほ!私は若さを取り戻したの!!」
「どう思う?」
「んー、半分くらい若返ったんじゃない?」
老婆が中年の女性になった感じ。半分になったのか、40歳程若返った結果なのかわからんな。
「学園長、ほらもう一個」
「ちょ!」
「ミイィィィィ!!ミミィィィィィィ!」
繰り返される惨劇!アリーはドン引きである。フレアは寝た。
「おほほほほほ!完璧ですわ!私は美貌を取り戻しましたの!」
「おぉぉ、すごい効果だ」
学園長は妙齢の女性に生まれ変わった。生命力に溢れ、美しい銀髪がキラキラと輝いている。まぁ元が婆ぁだからどうでもいいんだが。
「でもそれだと学園長だと分かんないかもな」
「学園長?そんな人はもういません。私は生まれ変わったアマンダ・クリスタニア。新しい人生が私を待っているのですわ!」
意味が分からん。話し方も変化しているし、頭まで若返ってお花畑になってしまったんだろうか?恐ろしい効果だ。
「効果も分かったし俺はもう行く。迎えに来るからフレアを頼むぞ」
「もちろんよ!大切なお友達だもの!」
「ではな」
故郷の村。
「母者!戻りました!」
「アレキサンダー!今までどこに行っていたの!おばば様は家に運び込んでいるからすぐに見舞いなさい」
「すいません母者、そのおばばを救える薬を探していました」
「がきぃ…そんなもんいらないよ。あたしゃ思い残すことも無いんだ。やれるだけのことはきっちりやったよ」
「おばば」
らしくねぇ。弱々しくぼそぼそと。さっさと元気になれや。
「おばば、俺を舐めるなよ。おばばなら可能性の実という物を聞いたことがあるだろう。それを持ってきた、これを食えばきっと元気になる」
桃を見せるとおばばは少しの間だけ驚いたように目を見開いた。
「やるじゃないかガキぃ、まだまだガキの癖に大したもんだ。あんたはきっと何にだって成れる、だから今はしっかり学びな。そんなもんは金持ちにでも売っちまえ」
「おばば!何言ってんだ!これを食え!」
「いらねぇ。そんなもんに縋るのはな、弱虫のやるこった。あたしはちゃんと自分の人生をやりきったんだ、そんなもん必要ない」
「おばば・・・分かったよ、流石おばばだ。あんたの事はわすれねぇ」
「ケッケッケッ、偉大な王に覚えててもらえるなら上等だ…うぅっ、ゲェホ!ゲホッ!」
「おばば、あんたはすげぇ。学園長の婆ぁなんて縋り付いて懇願して貪り食ってたってのに、やっぱりモノが違うんだな」
「ん?」
「学園長が実を貪る姿はそりゃあみっともなかったぜ。2つ目を投げても何も考えずに貪って、すっかり若返ったせいでもう学園長とは分かんねぇよ。そんなの今までの人生を捨てる様なもんじゃねぇか。そういうのは、やっぱ違うよな。おばばは立派に胸張って生きてきたんだもんな」
「待ちな、待て」
「おばば!俺はおばばの生き方を尊敬するぜ!」
「待てっつってんだろうが!!その実をあのアマンダが食ったってのかい!?」
「あ?あぁ、一個食わせたらおばさんになって、もう一個食ったら姉ちゃんになったぞ。銀髪の綺麗な姉ちゃんだった。ばばあだけど」
「よこせぇぇぇぇ!!みっつだ!みっつよこせ!!」
「うぉぉぉ!ばばあどこにそんな力が!やっぱり妖怪だったのかてめぇ!」
「よこせってんだよガキぃぃ!ぶっころされてぇのか!!!」
そしておばばは3個の実を食べた。10歳くらいの可憐な少女になった。
「アハハハハハハハ!やったのじゃ!あのババアに自慢してやるのじゃあ!」
「アレキサンダー?母の分もあるのよね?」
「はい」
どうすんだよこれ
22
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる