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妖精さん
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朝の光がカーテン越しに差し込むなか、俺はまだベッドでまどろんでいた。
昨日の冒険で疲れていたのか、2文字の文珠を扱った事で疲れていたのか。まだしばらくまどろみを貪るつもりでいた。
だが突然、デイガンの叫び声が響く。
「うわぁぁぁぁ!!!」
なんだようるせぇな。中庭の方か?何かあったんだろうか。
目が覚めてしまった。様子を見に行って、柿が残ってたら毟って齧ろう。
「おーい、何があった」
「な、なんですか!?あれは…!」
その視線を追いかけると、そこには巨大な花の蕾があるのが見えた。
そう言えば昨日全力で薬草を植えたんだよな。しっかり育ったようだ。
そう思った瞬間、花が開き、中から妖精が姿を現した。
花から生えているのは少女、大きな花から上半身だけを見せている森の妖精の様な少女の姿だ。
朝日に輝く金髪、色素の薄い水色の瞳、日に焼けた小麦色の肌。服に見えるのはツルと葉っぱか。
色合いは愛らしい、だがその体は大きな筋肉がミチミチに満ちており、鋭い目で周囲を見渡している。組んだ腕は若々しい巨木の様な力強さだ。
筋肉があらわなその姿が、朝の静かな空気の中で異様に目立っていた。
「何だお前は!?」
「ふぅ、私は癒やしの妖精。大量のエネルギーを得て顕現した」
「よ、妖精だと?バケモノじゃねぇか……」
ビキィッ!空気が震える!冷たい静寂が場を支配した!
「ふぅ、妖精でよかった。生物だったら今ので人を殺してた」
何を言っているんだこいつは、何故こんなバケモノが生まれてしまったんだ。
「俺が望んだのは薬草だ!癒し効果が抜群の!最強の!……はっ!?」
最強のシャルリーフ!今の俺に生み出せる最強のシャルリーフ!それが……コレェ!?
「お前のどこに癒やし効果があるんだ!こんなのノーカンだ!ノーカン!」
「ふぅ、サモン・フェアリーズ」
筋肉妖精の生えた巨大な花の周囲、小さなかわいらしい花が開き、小さなピクシーたちが飛び立った。
羽の生えた小人の様な姿。それが飛び回り、枯れ葉を集めて土に埋め、柿を収穫して運んでくれた。
「お、おう。サンキュー」
はにかんだように小さく微笑むピクシー。凄い癒やされる、何故こういうのが生まれなかったんだ。
「癒し効果、わかってもらえたようだな」
「中々やるじゃねぇか。望みは何だ」
「ここの土は素晴らしい。私はここに居続けたい。私がここにいる限り、植物たちは私の恵みを受けるだろう」
世話をしてくれるという訳か。この際だ、贅沢は言うまい。
「いいだろう。働きには報いる。土と水を供給すればいいんだな?」
「ふぅ、それでいい」
「一応聞くが、お前そこから出てきたりしないよな?」
「私は花だ、望まれても足は無い」
本当に足が無いことを望むよ。
「あの、この人?大丈夫なんですか?」
「あぁ、これからは庭園の世話を任せる。働きが悪かったら俺に言え」
「は、はぁ。なんと呼べばいいんでしょう」
名前か。シャルリーフだから……シャル?
ちらりと妖精を見る。あの筋肉ムキムキの妖精がシャルってのはイメージに合わないな。
「そうだな、それでは名前はヨシダサオ……」
「私のことはシャルリンと呼ぶように」
「はい!シャルリンさん、僕はデイガンです!よろしくお願いします!」
まあいいさ。ちゃんと働けよ。
「さて、今日はダンジョンの7層に行くぞ」
「はい!」
「7層か、苦手なんだよね」
ダンジョン7層。6層と同じく中級向けの層。
ここにはアンデッドの類が大量に現れる。ここも魔術師がいたら楽なんだよ。
魔法使い無しの場合、スケルトンやグールならともかく、ゴースト系には火をかざして払うくらいしか出来ない。
一方で魔法使いにとってはやりやすい相手だ。動きも遅いし弱点も多い。
俺にとっても稼ぎ場にはなると思うが、素材がな。ゾンビ系の【肉】、デスナイトの装備からの【鉄】くらいかな。ゴーストは魔石だけ残して消えてしまうんだよ。
「今日は魔石を稼ぐからな。気楽に風呂に入りたい」
「いいね!がんばるよ!」
まぁ、頑張って雑用しろよ。俺も【土】を持てるだけ持って帰らないとな。
昨日の冒険で疲れていたのか、2文字の文珠を扱った事で疲れていたのか。まだしばらくまどろみを貪るつもりでいた。
だが突然、デイガンの叫び声が響く。
「うわぁぁぁぁ!!!」
なんだようるせぇな。中庭の方か?何かあったんだろうか。
目が覚めてしまった。様子を見に行って、柿が残ってたら毟って齧ろう。
「おーい、何があった」
「な、なんですか!?あれは…!」
その視線を追いかけると、そこには巨大な花の蕾があるのが見えた。
そう言えば昨日全力で薬草を植えたんだよな。しっかり育ったようだ。
そう思った瞬間、花が開き、中から妖精が姿を現した。
花から生えているのは少女、大きな花から上半身だけを見せている森の妖精の様な少女の姿だ。
朝日に輝く金髪、色素の薄い水色の瞳、日に焼けた小麦色の肌。服に見えるのはツルと葉っぱか。
色合いは愛らしい、だがその体は大きな筋肉がミチミチに満ちており、鋭い目で周囲を見渡している。組んだ腕は若々しい巨木の様な力強さだ。
筋肉があらわなその姿が、朝の静かな空気の中で異様に目立っていた。
「何だお前は!?」
「ふぅ、私は癒やしの妖精。大量のエネルギーを得て顕現した」
「よ、妖精だと?バケモノじゃねぇか……」
ビキィッ!空気が震える!冷たい静寂が場を支配した!
「ふぅ、妖精でよかった。生物だったら今ので人を殺してた」
何を言っているんだこいつは、何故こんなバケモノが生まれてしまったんだ。
「俺が望んだのは薬草だ!癒し効果が抜群の!最強の!……はっ!?」
最強のシャルリーフ!今の俺に生み出せる最強のシャルリーフ!それが……コレェ!?
「お前のどこに癒やし効果があるんだ!こんなのノーカンだ!ノーカン!」
「ふぅ、サモン・フェアリーズ」
筋肉妖精の生えた巨大な花の周囲、小さなかわいらしい花が開き、小さなピクシーたちが飛び立った。
羽の生えた小人の様な姿。それが飛び回り、枯れ葉を集めて土に埋め、柿を収穫して運んでくれた。
「お、おう。サンキュー」
はにかんだように小さく微笑むピクシー。凄い癒やされる、何故こういうのが生まれなかったんだ。
「癒し効果、わかってもらえたようだな」
「中々やるじゃねぇか。望みは何だ」
「ここの土は素晴らしい。私はここに居続けたい。私がここにいる限り、植物たちは私の恵みを受けるだろう」
世話をしてくれるという訳か。この際だ、贅沢は言うまい。
「いいだろう。働きには報いる。土と水を供給すればいいんだな?」
「ふぅ、それでいい」
「一応聞くが、お前そこから出てきたりしないよな?」
「私は花だ、望まれても足は無い」
本当に足が無いことを望むよ。
「あの、この人?大丈夫なんですか?」
「あぁ、これからは庭園の世話を任せる。働きが悪かったら俺に言え」
「は、はぁ。なんと呼べばいいんでしょう」
名前か。シャルリーフだから……シャル?
ちらりと妖精を見る。あの筋肉ムキムキの妖精がシャルってのはイメージに合わないな。
「そうだな、それでは名前はヨシダサオ……」
「私のことはシャルリンと呼ぶように」
「はい!シャルリンさん、僕はデイガンです!よろしくお願いします!」
まあいいさ。ちゃんと働けよ。
「さて、今日はダンジョンの7層に行くぞ」
「はい!」
「7層か、苦手なんだよね」
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ここにはアンデッドの類が大量に現れる。ここも魔術師がいたら楽なんだよ。
魔法使い無しの場合、スケルトンやグールならともかく、ゴースト系には火をかざして払うくらいしか出来ない。
一方で魔法使いにとってはやりやすい相手だ。動きも遅いし弱点も多い。
俺にとっても稼ぎ場にはなると思うが、素材がな。ゾンビ系の【肉】、デスナイトの装備からの【鉄】くらいかな。ゴーストは魔石だけ残して消えてしまうんだよ。
「今日は魔石を稼ぐからな。気楽に風呂に入りたい」
「いいね!がんばるよ!」
まぁ、頑張って雑用しろよ。俺も【土】を持てるだけ持って帰らないとな。
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