自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人

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第6話 はたけ

 昨夜は大変だった。

 俺は傷ついた脳を癒すべく、ネットスーパーで注文したジャンクな贅沢品を、片っ端からむさぼり喰った。

 チーズたっぷり増量200円ピザをトースターで焼き、肉まんは軽く湿らせてからレンチン。たこ焼きは油で揚げてやった。
 ピザが焼けたら次はアメリカンドッグ。表面をカリカリに仕上げて、ケチャップをぶっかける。

 お供はいつものVtuberの動画。
 女の子たちがわちゃわちゃ騒ぐ姿を眺めて、脳を安静にさせる。
 そこへジャンクフードを詰め込んで、脳をバグらせていく。
 すると脳はもう、「たーのしー!」という信号しか出さなくなっていた。

 そして朝。そこには汚れた食器とゴミ、油汚れ、トースターに垂れたチーズ、カピカピのケチャップの染み。普通ならゲンナリする光景だろう。

「浄化」
 泡と消えるゴミと汚れ。もう何も怖くない。



 だんだんとスキルの扱いが上手くなってきた。シャワーも必要ないし、鏡を見ながらヒゲも浄化する。トイレはコンビニで借りるので普通に拭く。

 そういえば、あれ以来スキルオーブは出ていない。
 浄化のオーブが出たのはスライムを500匹ほど倒した時だ。それ以来出ていないことを考えると、500体倒すことが条件なのかもしれない。
 ちょうどそろそろ赤スライムが500体になるはずなので、今日も夕方にやればいいか。

 普通のスライム達を見ても倒したいと思わなくなってしまった。最初はとりあえずやっちまおうって感じだったのに。
 赤スライムや土人形は今でも目に入ると倒したくなるんだけどな?
 もしかすると、普通のスライムは倒しすぎて情が湧いちゃったのかもしれん。こいつらを300年も倒し続けるとかやべぇよ。

 というわけで、土人形を見に行こう。昨日は姿がなくなっていたから心配だ。
 スライム達は相変わらず減る様子が無いが、短時間に沢山狩ると居なくなってしまうかもしれない。土ゴーレムが復活していたら安心できる。

 てくてく歩いて昨日の破壊現場についたんだが……。
 結論として、土ゴーレムは居なくなっていた。
 代わりに、土が剥き出しだった丘は、畑になっていた。

 畑だよな?畝は無いが、様々な野菜が植わっている。俺以外に誰かいるのか?まぁとりあえず、この美味そうなトマトを食ってやろう。生野菜なんて食うのは久しぶりだぜ。

 めりぃ…トマトをもぎ取ろうとしたその時――

「い、いでーーー!」

 トマトに噛みつかれた。さっきまで普通のトマトだったのに、そこには顔が浮かび上がり、口を開けて俺の手を噛んでいる。

「ボケが!」

 握りつぶしてやった。赤い果肉が指の間から溢れる。悲しむな、こいつはモンスターだったのだ。

「このトマトは偽物だ。食べられないよ」

 ポンッ!

 軽快な音と共に現れたのはトマト。さっきの潰れた果肉は消えている。
 どうなんだこれ?本物か?本物だよな?
 くるくる回してみるが、今度は噛まれることは無い。普通のトマトに見える。

 皮は張っていて、まるで林檎の様な香りがする。
 ゾブリ…。
「むぅ!こ、これは!まるで果物のように甘く、瑞々しい酸味がたまらん!う、うまい!」

 ――ドゴン!

「うごぉ!」

 トマトに感動していたその背後から、キュウリが突進してきた。
 俺にはお前の声が聞こえるぞ。「食べて、僕を食べて。美味しいよ」そう言っているに違いない。

「いってぇだろうが!」

 キュウリをガシッと掴んで、ポキリと折る。瑞々しい香りがあふれだし、ポンッと新しいキュウリが生まれた。

 あたりを見渡せば、まだまだ多くの野菜(モンスター)が実っている。

 ……これはもしや、夢のような豊かな食生活を手に入れたのでは?

 しかも、全部タダ。こんなにうれしいことはない。
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