痛み。

相模とまこ

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第2章

#5.再会(1)

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ある休日の昼時、特に予定もなく街へ出た。不動産の前を横切ろうとしたとき、掲示板に釘付けになっている少女を見つけた。

少し茶味がかった、長く綺麗な髪、白い肌に桜色の頬。少し憂いを帯びた丸い瞳。

一瞬、彼女があの世から帰ってきたのではないかと本気で疑った。

すぐに弥代だということに気付き、僕は少女の元へ駆け寄った。

少女はこちらに気付き少し微笑んだ。

正直驚いた。まるで生き写しのように、死んだ彼女にそっくりだったからだ。


「久しぶり。こっち来てたんだね」
「わたしのこと覚えていてくださったんですね」
「もちろんだよ」


こんなにそっくりなんだから忘れたくても忘れられないだろう、という言葉を飲み込んで僕は続けた。


「遊びに来てたの?」
「実は春からこっちの高校に進学することになって、家探しをしている所で……」


そう言って彼女は再び掲示板を見つめた。どれも女子高生が一人で住むには、値が張りすぎる物件ばかりだ。


「やっぱり田舎と違って高いなあ」
「じゃあ僕といっしょに住む?」


つい口に出してしまっていた。別に下心があったわけじゃない。

彼女に似ていたから放っておけないとか、そういうわけでも、きっと無かったと思う。

気づけばそんなことを言ってしまっていた。


「いいんですか?」


断られると思っていた。

普通に考えて成人男性と女子高生の二人暮らしなんて、世間の目が痛すぎる。

しかし、このまま放置すれば彼女はもっと危ない目に遭うかもしれない。そう自分自身に言い聞かせ、彼女を自宅へ招いた。


「一部屋余ってるから、好きに使って」


彼女は室内を見渡すと、不思議そうな顔をして僕を見つめた。


「一人暮らしですよね? どうしてこんな広い部屋に……」


おそらく他に住んでいた人間がいるのではと疑っているのだろう。

僕だって、はじめて招かれた相手の家が無駄に広かったらきっとそんなことを疑問に思うはずだし、なんとなく気が引けてしまいそうだ。


「部屋数の割に安くて……あと、ここが一番職場に近かったんだよね。別に僕以外誰も住んでないから安心してよ」


そう言って微笑むと彼女は安心したような笑顔を僕に向けた。

そんな顔も、あいつにそっくりだ。

きっとこんなことを言ってしまっては彼女自身をとても傷つけてしまうとは分かっていながら、感情に嘘はつけなかった。










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