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第2章
#6.再会(2)
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「家賃いくらですか? 光熱費も半分出します。高校生になったらバイトするつもりなので、半分くらいなら出せます」
彼女はしっかりと僕を見据えてそう言った。
嫌に大人だなと思いつつ、そんなことは気にしなくていいと答えた。
彼女は幾分申し訳なさそうな顔をしていたが、僕はそれを無視して彼女に部屋中を見せて回った。
「あの、わたし本当にお金払わなくていいんですか?」
最後にまた彼女がそう言った。
「いいって、一人も二人もそんなに変わんないから。おっさんに任せなさい」
「まだそんな年齢じゃ……」
言いかけたところで彼女はキッチンへと目をやった。
「すごく綺麗ですね、台所」
「ああ、使わないからな」
「……そうだ! じゃあわたしが毎日ご飯つくります。家賃の代わりにはなりませんがしっかり働きますので、よろしくお願いします」
途端に花が咲いたように明るい笑顔を見せる彼女。
やっぱり、彼女のまっすぐな瞳にすべて吸い込まれてしまいそうな気がした。
一人暮らしをはじめてからまともな食事を摂ったことは無かった。
幼い頃ふざけて遊んでいたとき誤って包丁で大けがをして以来、情けないことに、刃物がトラウマになっていた。
「ならお願いしようかな」
「はい、任せて下さい。えっと……名前なんでしたっけ?」
聞かれてハッとする。
そういえば僕は彼女にまだ名乗ってすらいなかった。
あの時も、彼女にばかり名乗らせて自分はうわの空だったことを思い出す。
「ごめん、言ってなかったね。矢坂馬志乃って言います。よろしくね」
「よろしくお願いします、矢坂馬さん」
「志乃でいいよ」
「志乃さん……」
そう言って彼女はにこりと笑みを返した。
その瞬間心が掴まれたような感覚に陥った。
それから僕たちの奇妙な共同生活がはじまった。
「家賃いくらですか? 光熱費も半分出します。高校生になったらバイトするつもりなので、半分くらいなら出せます」
彼女はしっかりと僕を見据えてそう言った。
嫌に大人だなと思いつつ、そんなことは気にしなくていいと答えた。
彼女は幾分申し訳なさそうな顔をしていたが、僕はそれを無視して彼女に部屋中を見せて回った。
「あの、わたし本当にお金払わなくていいんですか?」
最後にまた彼女がそう言った。
「いいって、一人も二人もそんなに変わんないから。おっさんに任せなさい」
「まだそんな年齢じゃ……」
言いかけたところで彼女はキッチンへと目をやった。
「すごく綺麗ですね、台所」
「ああ、使わないからな」
「……そうだ! じゃあわたしが毎日ご飯つくります。家賃の代わりにはなりませんがしっかり働きますので、よろしくお願いします」
途端に花が咲いたように明るい笑顔を見せる彼女。
やっぱり、彼女のまっすぐな瞳にすべて吸い込まれてしまいそうな気がした。
一人暮らしをはじめてからまともな食事を摂ったことは無かった。
幼い頃ふざけて遊んでいたとき誤って包丁で大けがをして以来、情けないことに、刃物がトラウマになっていた。
「ならお願いしようかな」
「はい、任せて下さい。えっと……名前なんでしたっけ?」
聞かれてハッとする。
そういえば僕は彼女にまだ名乗ってすらいなかった。
あの時も、彼女にばかり名乗らせて自分はうわの空だったことを思い出す。
「ごめん、言ってなかったね。矢坂馬志乃って言います。よろしくね」
「よろしくお願いします、矢坂馬さん」
「志乃でいいよ」
「志乃さん……」
そう言って彼女はにこりと笑みを返した。
その瞬間心が掴まれたような感覚に陥った。
それから僕たちの奇妙な共同生活がはじまった。
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