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第10章 王様に似た男 ーアール国ー
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次の日、突然、村々に王宮からの高札が立てられた。そこには人だかりができていた。
「おい、見たか? いよいよジール公が後を継がれるらしいぞ。」
「しかし急だな。明日に跡継ぎを決定する儀式を行うとは。」
「ジール公か? あまりいいうわさは聞こえていないが・・・」
「しーっ! お役人に知れたらえらいことだぞ。」
村人が大騒ぎしていた。ヤコブもやってきてその高札を見た。
『トーネル王は跡継ぎの王子をジール公に定める。その儀式はダジャル大臣によって執り行うものとする。日時は・・・』
ヤコブは不審に思った。先日会ったトーネル王は元気であり、跡継ぎを私の子にするとおっしゃられていた。それが急にこんなことになるとは。しかも儀式は明日だ。そんな急に行うことがあるのだろうか・・・と。
(おかしい。王様の身に何かあったのか?)ヤコブはそう思わざるを得なかった。双子である彼には弟の危機がなんとなく感じられていた。彼は考え事をしながら家に帰って来た。
「どうかなさったのかな?」家で出迎えた老人がヤコブに尋ねた。ドアを開けたヤコブは押し黙ったまま暗い顔をしていたからだった。
「いや・・・何も・・・」ヤコブはそのままリビングの椅子に身をもたれさせるように腰かけた。
「何か気にかかることがおありのようですな。」老人はそんなヤコブに言葉をかけた。
「私はどうしたらいいかわからない。この年になってお恥ずかしいことです。」。ヤコブはずっと悪い想像ばかりしていた。最悪な場合、王様、いや弟が・・・そう思うと、いてもたってもいられなかった。
「この老人でも何か役に立てるかもしれません。仔細をお話ししていただけるかな?」老人は優しく言った。ヤコブは、目の前にいる老人が解決する方法を教えてくれるのではないかとなぜか期待していた。それですべてを話し始めた。
「驚かれるかもしれませんが、私はトーネル王の双子の兄なのです。この国では双子は忌み嫌われるため、占いにより私はこの村に預けられました。そして大人になり、王様も私もお互いの存在を知るようになり、たまに話しをするためにこの家にいらしておりました。」
「そうか。先日もおいでになられていたのですね。」
「ええ。以前から王様は兄の私を差し置いて自分が王の地位にいることを悩んでおられました。それで先日、自分に子がないことで、私の子を次の王として王宮に迎えるとおっしゃられていました。しかし今日立った高札には跡継ぎにはジール公がなると書かれてありました。あまりも急に変わったこと。もしかすると王様の身に何か・・・」ヤコブは心配そうに言った。
「うむ。確かにおかしい。事は王家の跡継ぎを決める大事。そんなに急に変わるはずがないし、その儀式を行うのが明日というのも変じゃ。」老人はそう言うと懐から水晶玉を取り出して、じっと見つめた。
「それでどうしたらいいかと思いまして・・・」ヤコブは言いかけたがそれを老人が制した。
「ヤコブさん。確かに王様はある場所に監禁されておる。探してお助けせねばならぬ。だがそれには時間がかかる。そのままにしておけば、明日、ダジャル大臣によってジール公が跡継ぎと認められてしまうだろう。そうなれば用済みになった王様の身が危なくなる。」老人はそう言って考えこんだ。やがてしばらくして、
「うむ。これしかない。ご面倒じゃが、明日朝、私と一緒に王宮に行きましょう。できればジャストさんも連れてきてください。私に考えがあります。」老人は言った。
「王宮に?一体何をなさるのです?」ヤコブが聞いた。
「ちょっと奴らをおどかそうと考えましてな。」老人は何か企んでいるように言った。その余裕のある態度に、ヤコブはその老人がただの旅の方術師とは思えなかった。
「あなた様は一体、どういう方なのですか?ただのお人とは思えない。」ヤコブは言った。
「ただの方術師の老人です。ただし少々、いろんな所に首を突っ込むのが好きですがな。それより明日までに準備していただきたい物があります・・・。」老人は詳しい計画をヤコブに話した。
「おい、見たか? いよいよジール公が後を継がれるらしいぞ。」
「しかし急だな。明日に跡継ぎを決定する儀式を行うとは。」
「ジール公か? あまりいいうわさは聞こえていないが・・・」
「しーっ! お役人に知れたらえらいことだぞ。」
村人が大騒ぎしていた。ヤコブもやってきてその高札を見た。
『トーネル王は跡継ぎの王子をジール公に定める。その儀式はダジャル大臣によって執り行うものとする。日時は・・・』
ヤコブは不審に思った。先日会ったトーネル王は元気であり、跡継ぎを私の子にするとおっしゃられていた。それが急にこんなことになるとは。しかも儀式は明日だ。そんな急に行うことがあるのだろうか・・・と。
(おかしい。王様の身に何かあったのか?)ヤコブはそう思わざるを得なかった。双子である彼には弟の危機がなんとなく感じられていた。彼は考え事をしながら家に帰って来た。
「どうかなさったのかな?」家で出迎えた老人がヤコブに尋ねた。ドアを開けたヤコブは押し黙ったまま暗い顔をしていたからだった。
「いや・・・何も・・・」ヤコブはそのままリビングの椅子に身をもたれさせるように腰かけた。
「何か気にかかることがおありのようですな。」老人はそんなヤコブに言葉をかけた。
「私はどうしたらいいかわからない。この年になってお恥ずかしいことです。」。ヤコブはずっと悪い想像ばかりしていた。最悪な場合、王様、いや弟が・・・そう思うと、いてもたってもいられなかった。
「この老人でも何か役に立てるかもしれません。仔細をお話ししていただけるかな?」老人は優しく言った。ヤコブは、目の前にいる老人が解決する方法を教えてくれるのではないかとなぜか期待していた。それですべてを話し始めた。
「驚かれるかもしれませんが、私はトーネル王の双子の兄なのです。この国では双子は忌み嫌われるため、占いにより私はこの村に預けられました。そして大人になり、王様も私もお互いの存在を知るようになり、たまに話しをするためにこの家にいらしておりました。」
「そうか。先日もおいでになられていたのですね。」
「ええ。以前から王様は兄の私を差し置いて自分が王の地位にいることを悩んでおられました。それで先日、自分に子がないことで、私の子を次の王として王宮に迎えるとおっしゃられていました。しかし今日立った高札には跡継ぎにはジール公がなると書かれてありました。あまりも急に変わったこと。もしかすると王様の身に何か・・・」ヤコブは心配そうに言った。
「うむ。確かにおかしい。事は王家の跡継ぎを決める大事。そんなに急に変わるはずがないし、その儀式を行うのが明日というのも変じゃ。」老人はそう言うと懐から水晶玉を取り出して、じっと見つめた。
「それでどうしたらいいかと思いまして・・・」ヤコブは言いかけたがそれを老人が制した。
「ヤコブさん。確かに王様はある場所に監禁されておる。探してお助けせねばならぬ。だがそれには時間がかかる。そのままにしておけば、明日、ダジャル大臣によってジール公が跡継ぎと認められてしまうだろう。そうなれば用済みになった王様の身が危なくなる。」老人はそう言って考えこんだ。やがてしばらくして、
「うむ。これしかない。ご面倒じゃが、明日朝、私と一緒に王宮に行きましょう。できればジャストさんも連れてきてください。私に考えがあります。」老人は言った。
「王宮に?一体何をなさるのです?」ヤコブが聞いた。
「ちょっと奴らをおどかそうと考えましてな。」老人は何か企んでいるように言った。その余裕のある態度に、ヤコブはその老人がただの旅の方術師とは思えなかった。
「あなた様は一体、どういう方なのですか?ただのお人とは思えない。」ヤコブは言った。
「ただの方術師の老人です。ただし少々、いろんな所に首を突っ込むのが好きですがな。それより明日までに準備していただきたい物があります・・・。」老人は詳しい計画をヤコブに話した。
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本当に、ありがとうございます。
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