「婚約破棄」ですか?私はかまいませんが本気ですか?

ヤバたん

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『魔導契約書』の変更

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 サフィア殿下は辺境伯令嬢ロザリアの希望(ジョシュア・ワーズとビアナ・トーイ有責による婚約解消)を耳にして会心の微笑みをたたえた。

「ではジョシュア・ワーズ殿とロザリア・アイビー嬢の『魔導契約書』における「婚約破棄」を執り行います。わたしサフィア第3王子の名の元「契約書」にビアナ・トーイ嬢参加を認めます。異議があれば速やかに申し出てください」

「異議があるはずがない!」

 あろうことかサフィア殿下の正式な宣言に則った言葉に、ジョシュアは言葉を挟んできた。

 平民も通っているが王立学園には貴族籍の者や貴族でなくとも貴族を知る関係者が多い。だからこそ1・2年生の必須科目に貴族や騎士における常識や礼儀を習う。

 その中に滅多に機会はないが、王族や皇族など高位貴族が正式な宣言をしたさいに対するものもある。

 沈黙をもって『是』とし、訂正の必要があれば「畏れながら」と発言の許可を求めるものだ。

 ジョシュアはそのルールを無視した。この場は王立学園の卒業パーティーだから非公式といえば非公式なのだが、王族に対する礼節をまる無視するのはどうかと思う。

 ただですら彼は、サフィア殿下がロザリアと歓談している場に許可なく突って場を乱している。卒業パーティーの華やぎ和やかな空気を乱し、王族の気分まで害そうとか怖ずぎる。
 卒業生の中には他国からの留学や遊学生も少なからずいるし、彼らは国の代表でもある以上。高位貴族関係者や実力者が多い。
 本人達が高位貴族でなくても遠縁や寄子などや経済支援を受けていたりする者だったりすれば、このパーティーで起きたことは遠からず他国に流出されるだろう。

 ここでのサフィア殿下の采配は、他国におけるこの国の評価につながるだろうコトをジョシュアは分かっているんだろうか?

 先程まで好奇心に魔力の煌めきを帯びていたサフィア殿下のアイスブルーの瞳が、凍てつくダイヤモンドダストを帯びつつある。
 普段から魔力を抑える魔導具を王族は着けている。それほどに基本の魔力量が一般人より貴族は魔力が多いと言われているが、王族の魔力量は魔導具で抑えないと制御しきれない事もあるとか。
 そのために王族は幼少期から魔力制御を徹底的に学ぶ。
 そんなサフィア殿下の魔力が、抑えられているにかかわらず漏れてきている。

 サフィア殿下の右の柳眉が少し吊り上がった。

(口もとには微笑みを帯びてるけど、あの眼の色と少し吊り上がりぎみの眉は機嫌が急降下している証拠だわ。この近場で見るのは怖すぎだ。
 わたしにそんな能力があったら、間違いなくサフィア殿下の機嫌を回復できる殿下最愛の婚約者シルフィー辺境伯令嬢リリーナを召喚しているわよ。
 この国の王族には途轍もない魔力を有し、そのバランスをとるバランサー役のパートナーがいて一人前、その執着は下手をすれば国を傾けかねない。
 過去にパートナーとの子を得る前にパートナーを失い心身耗弱から『魔王』と呼ばれる存在になった王族がいたそうだ。
 だからこそ王族は早期にパートナーを得て子を複数持つコトでバランスを分離するようつとめるのだとか。
 サフィア殿下も10才の歳にシルフィー辺境伯が陛下に年始の挨拶に伴ってきた4才のリリーナ嬢と出会い妃殿下を通じ婚約を申し入れたほど。
 たしかエメラルダ王女殿下は去年。婚姻しグライア辺境伯家の第三子息オーキッド殿とので子を懐妊中でめでたい!!
 学園に入学している王族の年代では14歳のクリスタ第四王子だけが、公式ではパートナーがいない。
 ロザリアは、なんとか他の執行部員たちにサフィア殿下から漏れる魔力防御の指示を出せたのが精一杯だった。)

 ジョシュアとビアナの不遜な態度に、凍りつくパーティー会場のただなか。

「婚約破棄ですね」

 と口にしながら、サフィア殿下は手にした魔導ペンに専用インクを用い「ジョシュア・ワーズとビアナ・トーイ有責による婚約破棄」と記載しサフィア・テトラ・ジュエルとサインを入れる。

 サフィア殿下が『魔導契約書』変更手つづきを済ますと瞬時に『魔導契約書』はフクロウの姿に変じると王宮奥へと飛び立つ。

『魔導契約書』が陛下のもとへ届き、証明が到着し変更が整う。

 もうキャンセルは効かないが。
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