「婚約破棄」ですか?私はかまいませんが本気ですか?

ヤバたん

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王立学園卒業パーティー(イロイロな人たち)

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「婚約破棄ですね」

 と口にしながら、サフィア殿下は手にした魔導ペンに専用インクを用い「ジョシュア・ワーズとビアナ・トーイ有責による婚約破棄」と記載しサフィア・テトラ・ジュエルとサインを入れる。

 ジョシュアにロザリアという婚約者がいるコトを知りながら、その仲を深めたビアナ・トーイの責は問われて当然。
 サフィア殿下が『魔導契約書』変更手つづきを済ますと瞬時に『魔導契約書』はフクロウの姿に変じると王宮奥へと飛び立つ。

『魔導契約書』が陛下のもとへ届き、証明がこの場に到着し変更が整う。

 もうキャンセルは効かないが。

 王立学園卒業パーティー会場にはパーティー参加者の卒業生だけが参加している訳ではない。

 パーティー会場は離れとはいえ王宮の一画なのだ、学園主催とはいえ王国の護衛騎士や飲食物を提供する王宮スタッフや会場を整える者たちもいる。
 学費のために学園に申請をし、研修やサポートスタッフとして加わっている執行部や学生たちもいるのだ。

 ジョシュアとビアナは気にとめていないが、他の卒業生たちは気がついていないはずがない。

 彼らは自分たちが背おう責務に気がついていないだろう。

 彼らは大手伯爵領の年間税数年分の借財を背おい、平民となるコトを選んだのに気がついただろうか。

 ジョシュアはそのまま将来のアイビー女辺境伯ロザリアの夫におさまっていれば貴族のままだった。だが、それを良しとせず婚姻破棄をしたいじよう彼は王国騎士団へ就職した平民にすぎない。

 ジョシュアが平民出であれば、かなり将来性のある職場に就職したエリートかもしれない。
 しかし、もとは伯爵家出身のただの新米騎士でしかないのだ。
 頑張れば騎士爵か準男爵もしくは男爵あたりになれるかもしれないが、生活水準は平民よりとなるはず。

 ビアナも『魔導契約書』の文面を確認せず、「婚約不履行」時のジョシュアがつくった借財返却に騎士団の宿舎や厨房での業務に同意しており、ジョシュアの借財が返却終了するまで2人とも働くことになるだろう。
 さんざんジョシュアに、ロザリアから借りたお金で高価なドレスやアクセサリーを買わせ貢がせていたのだから無関係といえないはず。
 これが婚約者であるロザリアへのプレゼントだったり、ジョシュアが騎士として必要な武具防具や騎獣の世話とか騎士としてのスキルアップに使われたなら問題はなかったのだが、ジョシュアはあきれるほどロザリアからの借財を私用に使いまくった。

 陛下から『魔導契約書』変更証明が届くまで、今すこしジョシュアとビアナの足止めがなされる。

「サフィア殿下『魔導契約書』の変更にご協力いただき感謝いたします。学園卒業に華を添える祝宴を騒がすこととなり。出席の皆様には心から申し訳なく思います」

 ロザリアのサフィア殿下への感謝と出席者に対する謝意は彼らに暖かく受け入れられ。逆に礼節を無視したジョシュアとビアナに向けられる視線は険しい。

「ロザリア嬢の婚約については、このところ父上とオニキス閣下たちとも話し合いが持たれていたから、手続きはすみやかになされるはずだよ」


 ~~~~~  《 国王執務室 》

 コンコンコンと国王執務室の窓をノックする音が響く。

 部屋の隅に控える執事が窓に近寄り、合図を送ると窓をすり抜けフクロウが執事の携える銀盆の上で『魔導契約書』へと変異する。

「予想どうりとなったようだな。ロザリア嬢が婚約から解放されたコトを喜ぶべきか憂うべきかな」

 国王の隣に沿う宰相オニキスは、珍しく微笑みを浮かべ問う。

「口もとがあからさまに、緩んだ状態でいっても嘘くさすぎます」

「しかたないだろう。学園入学するまでパートナーを見つけれなくて、将来『魔王』になるかと心配していたクリスタが学園入学と同時に王妃へ相談してきたのが、婚約者のいるアイビー辺境伯家のロザリア嬢だったんだ。
 婚約相手のワーズ伯家の子息の評判が良ければ諦めるしかないが、調べさせたら余りに不出来すぎる。幼少期より出来すぎるくらい出来る次期辺境伯候補のロザリア嬢に、あのジョシュア殿ではクリスタを応援したくなるのが親心とゆうものよ」

『魔導契約書』に視線を向けていた国王は、すこし憂いを含み後方に控える執事に声をかける。

「ベリル。そなたには少々コクかもしれぬ」

 無言で視線を向けてくる執事は、トーイ男爵家現当主にしてビアナの父親である。

「いかがなさいました?」

「辺境伯家ロザリア・アイビー嬢の婚約者であるジョシュア・ワーズ殿とそなたの娘ビアナ嬢が関係を深め、王立学園卒業パーティーで『魔導契約書』の変更をおこなうに至った。
 ジョシュア殿はロザリア嬢に多額の借財があって、今後とも借財返済のため騎士団で働くことになっているが、返済名義がジョシュア・ワーズとビアナ・トーイ連名となっておる。
 ビアナ嬢には騎士団宿舎の住み込み下働きとして過ごしてもらうこととなるのだ。今までの男爵令嬢として過ごしてきた者には辛かろう」

 執事ベリルの様子は王が想定していたモノとは違った。

「それは良うございました。学園卒業までどこからも婚姻も就職の声もかかりませんので、尼僧院に行かせるとこでした。
 われらの一族は修道院か尼僧院入りした者は、2~5年で白院(墓)に入りますから、ビアナも就職先があったようでなにより」

 そうだったトーイ男爵家直系は王国建国時に活躍した暗部が前身だ。分家や寄子などは少し語学が得意で身体能力が秀でている程度だが、直系筋は国外に出せない能力者たちばかり。だからこそ危険なモノは直系内で処分していく。
 彼が娘に手をかける猶予を得たコトを喜んだかはわからぬが。

「おそれながら陛下。少々よろしいでしょうか?」

「良い。もうせ」

「畏れおおいコトですが、わたしの次男が第一王子殿下に仕えたいとのことです」

 なんとありがたい事よ。

 トーイ男爵家の長男はロザリア嬢に、長女はエメラルダ王女のもと王女の子らの乳母兼教育係を務め。次女は南の港を治める伯爵家に嫁いで辣腕を振るっているとか。その上で次男が第一王子に仕えてくれるとわ。

「3日後の午後の茶席に第一王子を誘うから、連れてきなさい」



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