9 / 15
父親たち
しおりを挟む
トーイ男爵家の長男はロザリア嬢に、長女はエメラルダ王女のもと王女の子らの乳母兼教育係を務め。次女は南の港を治める伯爵家に嫁いで辣腕を振るっているとか。その上で次男が第一王子に仕えてくれるとわ。
王が歓迎したトーイ男爵家は古く特殊な家だ。今は文官や各種教師として活躍している。
件のトーイ男爵家長男は、王立学園卒業後見聞を広めるべくアイビー辺境領で冒険者登録をしてダンジョンにチャレンジしただが、領都で辺境伯夫人が営む鍛冶師たち職人の子らが集まる場で見かけたロザリアを眼にし、彼女こそは自分が仕える主人だと確信した。
卒業までに父や弟妹たちが云うような主人に出会えなかったアルファルファは絶望しかけていた。いざとなったら修道院に行くよりも、上級ダンジョンで果てた方が良いかとも思いかけた中での出会い。
急ぎ辺境伯邸宅の門番に身分証を掲示して、辺境伯に面談を願い出た。
当時トーイ男爵家長男アルファルファ19歳。辺境伯令嬢ロザリア5歳の盛春だったりする。
通常なら、大事なあと取りに成人した男性を近づけたりしない。
だが、この頃アイビー辺境伯の元には前辺境伯からの相談に上級ダンジョンのスタンビートの兆し。ぐうぜんとは言え子供の好奇心から発生したロザリアが開発した数種類の品に、利用方法込みの利益登録と狂いそうになるほど忙しかった。
相手の出自が、トーイ男爵家直系の長男と知り辺境伯は夫人に相談の上。弟夫婦同席の上でアルファルファとロザリアを面談させたところ。
ロザリアが気に入ったのだ。
「お父様と領の書類仕事も手伝ってくれる?」
「ご主人様の望みなれば如何様でも」
「お母様のアトリエのも?」
「はい。ご主人様」
アルファルファの言葉にロザリアは頬を膨らませ、口を尖らせこぼす。
「ロザリアて呼んで、ご主人様ではお父様と同じだもの」
「ロザリア様」
「あのね。わたし商会の会頭なんだって、成人するまで代わりしてくれる人探してるの。アルファルファわたしのお友だちになって手伝ってくれる?」
「よろこんで務めさせていただきます」
頭を悩ましてた書類仕事は、彼がロザリアに仕えるようになり。魔法の杖を振られたように消化されていく。
すさまじい速度で王都の役所に提出されたロザリア関連の特許利益や特別利用基準や税金関係の見積もりなどの複数書類と辺境伯領に造られたロザリア関連のアトリエに関わる書類に、登録職人確保と守秘義務の神殿契約書類に自らの責任者代理登録まで済ましていた。
気がついたら職人街の外れ辺境伯邸宅よりにロザリアの商会専用アトリエが建設され。商談用の見本が用意されていたほどなのだ。
トーイ男爵家直系は人脈も実力もアタリを引けば凄いとの噂を耳にするが、ここまでとは目の当たりにしなければ誰も思うまい。
昔を懐かしみながらアイビー辺境伯クローブディオは明日の朝。自らのタウンハウスにもどり、王都から領地に向かう予定のワーズ伯爵と杯を交わしながら会談していた。
そんな二人のもとへ唐突に、王印の押された書簡が同時に出現する。
王印が押されている以上は緊急のモノであろう。該当者が手に取れば自然開封されるソレを二人はそれぞれ手にする。
「「すまない」」
アイビー辺境伯は友の息子を救えなかったコトに対し。
ワーズ伯爵は友の娘にかけた迷惑へと息子の至らなさを詫びた。
ジョシュアは妻の命と引き換えて産まれてきた。上二人の息子と娘と分け隔てなく育ててきたつもりだが、違いがあるとすれば母を知らずに育ったことか。
何かと上の三人と自分をくらべ、苦情を言って来ていた。
長兄は伯爵家を継がせ。次兄は王都のタウンハウスを管理する将来を見越し教育してきた。娘は隣領の伯爵家望まれ嫁ぎ、三男のジョシュアには希望があれば、他家への婿入りや騎士団などへの未来をいくらでも助力するつもりだった。
だが、そんなおり続けざまの天災が領地を見まい。ジョシュアの望みを叶えるのが経済的に難しい状態が続く。
兄達のときと違い自分の望みが叶え難いことを感じジョシュアは荒れた。
領主か父親かで悩みワーズ伯爵は、隠居していた父に相談した。話してどうにかなるモノでないが、今思えば心を整理したかったのかもしれない。
しばらくしてワーズ伯爵は、父親の友人で前アイビー辺境を通じ現アイビー辺境伯から会談を申し込まれたのだ。
荒れているジョシュアを同行させず、自分だけでの面談を望むワーズ伯爵にアイビー辺境伯グローブディオは快諾してくれた。
辺境を守る忙しい身であろうに、中継地の街に必要な物の買い出しがあるからと訪れるとのこと。
驚くべきは5才の長女ロザリアを同行しており、その娘と後ろに控える男の存在を知れば、傑物だと言われるアイビー辺境伯や西の辺境伯たちすら多少優秀程度で、自分など凡才としか思えない。
そんな令嬢に見合う人物へ、ジョシュアが自分磨きをできるか不安はあった。だからといって領地を統べる領主でもある自分が息子一人だけに気を取られてなどいられない。
自分の息子の凡庸さを心配するワーズ伯に、アイビー辺境伯は全ては娘の意思だといい。ロザリア嬢は「背をあずけれる夫が望ましいけど、一緒に領地を楽しめれば良いかなぁ」と言ってきた。ジョシュアは余程の覚悟なしにこの令嬢に敵うまい。
予想通りになったか!
貴族ではなくなっても騎士として職が決まり。衣食住に困ることはないようだし。想う相手と同じ職場ですごせるのはジョシュアなりの幸せやも知れん。
今後ロザリア嬢へ返却する借財と婚約破棄の賠償金も。王が立て替えるとかで、ジョシュアとビアナは王に返済する義務があろうとも。
これはこれで息子の選んだ人生と言えるかも知れぬ。
ワーズ伯爵は、一人の父である前に伯爵家の当主で領主なのだ。
領主というのは王へ頭をたれ仕えるのが第一。国益を担う次代の重要度は国・領地・領民・その次が、他家との関わりと夫婦関係や次代の教育となろう。
彼は正しく貴族なのだ。
王が歓迎したトーイ男爵家は古く特殊な家だ。今は文官や各種教師として活躍している。
件のトーイ男爵家長男は、王立学園卒業後見聞を広めるべくアイビー辺境領で冒険者登録をしてダンジョンにチャレンジしただが、領都で辺境伯夫人が営む鍛冶師たち職人の子らが集まる場で見かけたロザリアを眼にし、彼女こそは自分が仕える主人だと確信した。
卒業までに父や弟妹たちが云うような主人に出会えなかったアルファルファは絶望しかけていた。いざとなったら修道院に行くよりも、上級ダンジョンで果てた方が良いかとも思いかけた中での出会い。
急ぎ辺境伯邸宅の門番に身分証を掲示して、辺境伯に面談を願い出た。
当時トーイ男爵家長男アルファルファ19歳。辺境伯令嬢ロザリア5歳の盛春だったりする。
通常なら、大事なあと取りに成人した男性を近づけたりしない。
だが、この頃アイビー辺境伯の元には前辺境伯からの相談に上級ダンジョンのスタンビートの兆し。ぐうぜんとは言え子供の好奇心から発生したロザリアが開発した数種類の品に、利用方法込みの利益登録と狂いそうになるほど忙しかった。
相手の出自が、トーイ男爵家直系の長男と知り辺境伯は夫人に相談の上。弟夫婦同席の上でアルファルファとロザリアを面談させたところ。
ロザリアが気に入ったのだ。
「お父様と領の書類仕事も手伝ってくれる?」
「ご主人様の望みなれば如何様でも」
「お母様のアトリエのも?」
「はい。ご主人様」
アルファルファの言葉にロザリアは頬を膨らませ、口を尖らせこぼす。
「ロザリアて呼んで、ご主人様ではお父様と同じだもの」
「ロザリア様」
「あのね。わたし商会の会頭なんだって、成人するまで代わりしてくれる人探してるの。アルファルファわたしのお友だちになって手伝ってくれる?」
「よろこんで務めさせていただきます」
頭を悩ましてた書類仕事は、彼がロザリアに仕えるようになり。魔法の杖を振られたように消化されていく。
すさまじい速度で王都の役所に提出されたロザリア関連の特許利益や特別利用基準や税金関係の見積もりなどの複数書類と辺境伯領に造られたロザリア関連のアトリエに関わる書類に、登録職人確保と守秘義務の神殿契約書類に自らの責任者代理登録まで済ましていた。
気がついたら職人街の外れ辺境伯邸宅よりにロザリアの商会専用アトリエが建設され。商談用の見本が用意されていたほどなのだ。
トーイ男爵家直系は人脈も実力もアタリを引けば凄いとの噂を耳にするが、ここまでとは目の当たりにしなければ誰も思うまい。
昔を懐かしみながらアイビー辺境伯クローブディオは明日の朝。自らのタウンハウスにもどり、王都から領地に向かう予定のワーズ伯爵と杯を交わしながら会談していた。
そんな二人のもとへ唐突に、王印の押された書簡が同時に出現する。
王印が押されている以上は緊急のモノであろう。該当者が手に取れば自然開封されるソレを二人はそれぞれ手にする。
「「すまない」」
アイビー辺境伯は友の息子を救えなかったコトに対し。
ワーズ伯爵は友の娘にかけた迷惑へと息子の至らなさを詫びた。
ジョシュアは妻の命と引き換えて産まれてきた。上二人の息子と娘と分け隔てなく育ててきたつもりだが、違いがあるとすれば母を知らずに育ったことか。
何かと上の三人と自分をくらべ、苦情を言って来ていた。
長兄は伯爵家を継がせ。次兄は王都のタウンハウスを管理する将来を見越し教育してきた。娘は隣領の伯爵家望まれ嫁ぎ、三男のジョシュアには希望があれば、他家への婿入りや騎士団などへの未来をいくらでも助力するつもりだった。
だが、そんなおり続けざまの天災が領地を見まい。ジョシュアの望みを叶えるのが経済的に難しい状態が続く。
兄達のときと違い自分の望みが叶え難いことを感じジョシュアは荒れた。
領主か父親かで悩みワーズ伯爵は、隠居していた父に相談した。話してどうにかなるモノでないが、今思えば心を整理したかったのかもしれない。
しばらくしてワーズ伯爵は、父親の友人で前アイビー辺境を通じ現アイビー辺境伯から会談を申し込まれたのだ。
荒れているジョシュアを同行させず、自分だけでの面談を望むワーズ伯爵にアイビー辺境伯グローブディオは快諾してくれた。
辺境を守る忙しい身であろうに、中継地の街に必要な物の買い出しがあるからと訪れるとのこと。
驚くべきは5才の長女ロザリアを同行しており、その娘と後ろに控える男の存在を知れば、傑物だと言われるアイビー辺境伯や西の辺境伯たちすら多少優秀程度で、自分など凡才としか思えない。
そんな令嬢に見合う人物へ、ジョシュアが自分磨きをできるか不安はあった。だからといって領地を統べる領主でもある自分が息子一人だけに気を取られてなどいられない。
自分の息子の凡庸さを心配するワーズ伯に、アイビー辺境伯は全ては娘の意思だといい。ロザリア嬢は「背をあずけれる夫が望ましいけど、一緒に領地を楽しめれば良いかなぁ」と言ってきた。ジョシュアは余程の覚悟なしにこの令嬢に敵うまい。
予想通りになったか!
貴族ではなくなっても騎士として職が決まり。衣食住に困ることはないようだし。想う相手と同じ職場ですごせるのはジョシュアなりの幸せやも知れん。
今後ロザリア嬢へ返却する借財と婚約破棄の賠償金も。王が立て替えるとかで、ジョシュアとビアナは王に返済する義務があろうとも。
これはこれで息子の選んだ人生と言えるかも知れぬ。
ワーズ伯爵は、一人の父である前に伯爵家の当主で領主なのだ。
領主というのは王へ頭をたれ仕えるのが第一。国益を担う次代の重要度は国・領地・領民・その次が、他家との関わりと夫婦関係や次代の教育となろう。
彼は正しく貴族なのだ。
6
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
私を婚約破棄した国王が処刑されたら、新しい国王の妃になれですって? 喜んで…と言うとでも?
あんど もあ
ファンタジー
幼い頃から王子の婚約者だったアイリスは、他の女性を好きになった王子によって冤罪をかけられて、田舎で平民として生きる事に。
面倒な貴族社会から解放されて、田舎暮らしを満喫しているアイリス。
一方、貴族たちの信頼を失った王子は、国王に即位すると隣国に戦争を仕掛けて敗北。処刑される。
隣国は、アイリスを新しい国王の妃にと言い出すが、それには思惑があって…。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
あなた方の愛が「真実の愛」だと、証明してください
こじまき
恋愛
【全3話】公爵令嬢ツェツィーリアは、婚約者である公爵令息レオポルドから「真実の愛を見つけたから婚約破棄してほしい」と言われてしまう。「そう言われては、私は身を引くしかありませんわね。ただし最低限の礼儀として、あなた方の愛が本当に真実の愛だと証明していただけますか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる