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ネブロス帝国第二皇子
しおりを挟む「二人とも、婚約おめでとう。エゼルバート、ブリジットをよろしく頼むぞ。お前の事だから心配はないと思うが、万が一悲しませようものなら、暗部の餌食になると思えよ」
あれから父も帰宅したのでサロンに移動し、改めて私達の婚約を告げると、爽やかな笑顔で暗殺宣言をする父。
「お父様!?」
「大丈夫です、レンス様。ブリジットは俺が絶対幸せにしますよ。俺がどれだけブリジットを欲していたかは貴方が一番ご存知でしょう?子供の頃から俺の事を牽制してたんですから」
「え?」
「まあな」
何それ、初耳なんですけど!?
「エゼルはブリジットには悟らせないが、俺たちから見ればイアンに嫉妬してるのはバレバレだったからな。婚約をぶち壊さないようガキの頃から注意してたんだよ」
「注意……?脅しの間違いでは?」
「本当に、私だけ何も知らなかったのね……」
父とエゼルのやり取りを見て、自分の鈍感さに呆れる。
一応後継者教育を受けて勘の鋭さには自信あったのに、その自信がへし折られそうだわ。
がっくりと項垂れていると、エゼルに頭を撫でられる。
「ばーか。俺が必死にお前に気づかれないように振る舞ってたんだよ。バレたらきっとお前は俺を避けた。それだけは嫌だったんだ……。だから魔道具作りに貢献して俺の有用性を示した。レンス様達に遠ざけられないように」
「そういうこと。おかけでカーライル商会は大儲け。エゼルの粘り勝ちってところかしら?私達もイアンがあんな事になるとは思わなかったしね」
「そうだな……」
あ、そういえば──、
「お母様、コンラッド第一王子がネブロス帝国の第二皇子と接触してると聞いたんですけど──」
私がその名前を出すと、両親は顔を顰めた。
やはり両親も知っていたらしい。
「お父様達が最近追っている人物は、その第二皇子だったのですか?」
「──ああ。仮面舞踏会の媚薬売買の裏に、王立騎士団が絡んでいるのはこないだ話したと思うが、その王立騎士団を唆したのは恐らくネブロス帝国だ」
「なんの為に?」
すると母が真剣な顔をしてエゼルに遮音魔法をかけるよう指示をし、私達に今から話すことは他言無用だと念押しをして口を開く。
「実は、以前話した仮面舞踏会の媚薬の被害にあった他国の令嬢が、ネブロス帝国の公爵令嬢で、第二皇子の婚約者だったのよ」
「え!?──それで国を通してクレームつけてきたって事?」
「ええ」
王族の婚姻を我が国の騎士達が壊したんだ。
それは確かに国際問題になってもおかしくないわ……。
「それでネブロス帝国から賠償を求められてるんだけど、これがなかなかの無茶ぶりで両陛下がご立腹でね、おまけにその第二皇子が不法入国してるし、バカ息子は馬鹿まっしぐらだし、もう皆まとめて排除してしまえ!って事になって、今その準備中なの」
「賠償って、どれくらい?」
「それが、お金じゃなくて第二皇子の結婚相手をよこせって言ってきてるのよ。しかも名指しで」
「え?誰?キャサリン様とか?」
「いいえ。王太女のマライア様よ」
──────は?
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