【完結】惚れ薬の調合に失敗したので、何故か花嫁のフリして白銀王子に溺愛された魔女の話。

ゆいレギナ

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甘すぎる夜に魔法は解けない②★

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「後ろを向いて? 今日もまず丸くて可愛いおしりから愛してあげる。

 そう言って、殿下は私を寝台の上でひっくり返そうとするけど……私は、身体を固めたまま動くことができなかった。だって、おしりは昨日――……

「どうしたの?」

 そう問われても、私が答えられるはずがない。
 だから黙って、寝台にうつ伏せになる。殿下が今、どんな顔をしているのかわからないけれど……そっとネグリジェの裾を捲られ、殿下は再び疑問符を上げられた。

「少し腫れているようだけど?」
「……先日、盛大に尻もちをついてしまって」
「なんで?」

 とっさに放った言い訳にも、当然質問を返されてしまう。だけど王城内で腫れるほどの尻もちをつく理由とか……私には何も思いつかなくて。だんまりを決めていると、私の頭がそっと撫でられる。

「変なことを訊いてごめんね。恥ずかしかったね?」
「……いつも、殿下にされていることの方が恥ずかしいですから」
「言うようになったね?」

 そんな嫌味を返したのは、泣いているのがバレたくなかったから。
 もう……そんなに私に優しくしないで。私は、あと二回抱かれてさよならする人間なの。あなたの私への執着もなくなり、無事に本物の花嫁を手にすることができる。あなたが私に優しくしてくれるのは、全て私のかけた呪いのせい。その呪いさえ解けたら、私はただ、野に生きるねずみと一緒だ。

 それなのに、

「それじゃあ、そんな悪い子のきみには……今日はおしおきしちゃおうかな?」


 悪戯に言われた“おしおき”という単語に、私が肩を竦めた途端……臀部にべろりとした感触が走る。えっ……?

「で、殿下⁉」

 私が無理やり首を向ければ、殿下は私のおしりに舌を伸ばしていて。
 私と目が合うやいなや、おしりの真ん中を甘噛みされる。

「今日は全部食べちゃうからね?」

 ただでさえ、おしりが苦手なのに。舐められて。吸われて。齧られて。
 私は喘ぎ声を出しながら腰を揺らしっぱなし。当然、そこだけで終わるわけがない。だんだんと位置を中心に変えてきた殿下は、私の花弁ごとぱっくりと咥える。そして、ズズズッと音を立てて蜜を吸った。

「あぁ、美味しいなぁ」
「おいしいわけ……ないじゃないですか……」
「え? 美味しいに決まってるでしょ」

 そうむくれた殿下は姿勢を起こし、そのままズンッと私を立派なモノで貫く。
 寝転んだままだから? いつもと、当たっている場所が違う……⁉

 私が目を白黒させていると、そのまま殿下は私のシーツを強く掴んでいた手を上から覆い、ゆっくりと指を絡めてくる。

「愛しているよ。これからも、ずっときみだけを……」

 それは、私を安心させるように。
 ただただ優しく、私を繋ぎとめようとしてくれるみたいだから。

 そして、私は今宵も殿下に囚われる。

 逃さない――その言葉が痛かった。だって私は偽物だから。あなたと愛を交わすのも、あと一回だけ。 
 私にそんな固執しないで。私は偽物。そして、あなたの愛も偽物なの。
 魔法が解けるのも、あと少し。

 甘すぎる行為に泣きながら、思わず「ごめんなさい」と呟いた。
 だけど即座に顔を向かされ、唇を呑まれてしまったから――それが温もりを分け合う愛しいひとに届いたかどうか、わからない。
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