主人公は自称勇者の末裔?? いいえ、魔王です!!

奏琉

文字の大きさ
7 / 9

魔王、魔物と対峙する

しおりを挟む
人の村に降りていってみたものの、草花や木などしか目に入らない。


つまるところ、迷子だ。


普段は、案内役の魔物がいる上に迷ったら空を飛べばいいが自身の魔力を封じ、案内役もいない今はひたすら一人で歩くしかない。


「グルゥゥウヴ、、、」


ガサガサと草むらから音がしたと思えば飛び出してくる生き物。


ピンとたった耳にふわりとした尻尾。


唸り声をあげ、こちらを見据えるその生き物は完全に臨戦状態だ。


「ふむ、犬か。人の村にはいると聞いたこともあるが、このようなものなのだな。しかし、なんとも可愛げのない奴だ。」


私にとって、人の村とは未知数なものばかりだ。


草花を魔王城に植えようものなら邪気ですぐに枯れ、植物と言っていいようなものは人を喰う花ぐらいだった。


生き物はもっと論外。


一度、猫という生き物はクロウが拾って来たこともあったがその猫は中級の魔物に虐げられてしまった。


そんなことにまたならないためにも、生き物も禁止にしたのだ。


今となっては懐かしい。


そんなことを思っているうちにその唸り声の数は増えて行く。


いつの間にか囲まれていたようだ。


「ほら、こっちにこい。」


しゃがみこんで手招きするが、急な行動に驚いたのか一歩飛び退る奴らに少し悲しくなる。


「「グルゥゥ、、、ガヴゥッ!」」


犬がこんなにも懐かない可愛くない生き物だったとは。


ものすごく想定外だ。


「はぁ、、、」


その犬を撫でるのは諦め、背を向けて歩きだす。


「ガウッ!!」


ギンッ


私に犬が飛びかかってくるのと、何者かが私と犬の間に入り込んでくるのとはほぼ同時だった。


「おい、お前!魔物相手に何やってんだよ!?」


間に入った若い男は力任せにその犬を叩き切る。


「お前、、、ジンか?」


その若い男はジンにそっくりだった。


「ジンは俺のじいちゃん!そんなこといいから早く逃げろ!こいつら凶暴な魔物なんだって!」


犬にしては可愛くないと思っていたら犬ではなく魔物だったとは。


「ふむ、魔物か。」


剣を抜き犬、もとい魔物に向き合う。


「去れ。」


剣を突きつけ、そう命じただけでも奴らはすくみ上がり尻尾をまいて逃げていった。


「お前、今の何!?すっげぇ!」


後には私とジンに似た若い男、そしてその仲間と思しき三人が残された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました

九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」 悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。 公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。 「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」 ――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。

足手まといだと言われて冒険者パーティから追放されたのに、なぜか元メンバーが追いかけてきました

ちくわ食べます
ファンタジー
「ユウト。正直にいうけど、最近のあなたは足手まといになっている。もう、ここらへんが限界だと思う」 優秀なアタッカー、メイジ、タンクの3人に囲まれていたヒーラーのユウトは、実力不足を理由に冒険者パーティを追放されてしまう。 ――僕には才能がなかった。 打ちひしがれ、故郷の実家へと帰省を決意したユウトを待ち受けていたのは、彼の知らない真実だった。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...