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半年ぶりに訪れた王都アウレッサ。
温暖な気候と豊かな水に恵まれたことで、一年を通し様々な花が咲き乱れる花の都と呼ばれているアルガン王国の中心地。
そんな王都の一等地と言われる大通りに面した貴族街。
その貴族街に大きな敷地を持つ大邸宅がレンフォード公爵家の王都における居住場所であった。
元はコーデリアの父エドガーが宰相職にあった際、王より下賜された邸宅であったが、今はレンフォード公爵家の当主となったフェルディナンドが自宅にしている場所でもある。
コーデリアは兄フェルディナンドからの呼び出しの手紙を受け、久しぶりにレンフォード公爵領の実家から外に出て、馬車の旅で国内の様子を見ながら王都へたどりついていた。
そして、邸宅に到着するなり、応接間にて異母兄フェルディナンドと葬儀以来の面会を果たしているところであった。
「ようこそ、我が妹コーデリア。遠路の旅路はさぞ身体に堪えたであろう。急な呼び出しに応えてくれて兄として嬉しく思うぞ」
父エドガーや自分と同じ銀色の髪と澄んだ青空のような瑠璃の瞳を持つ、異母兄フェルディナンドが内心と真逆の言葉をコーデリアに対し投げかける。
なまじ敬愛する父と似た容姿を持つことで、コーデリアはこの六歳上の異母兄がどうしても好きになれないでいたのだ。
父エドガーは騎士としても抜きんでた剣技を持ち、質素で慎ましい生活を好み、女遊びもせずに国民と領民のために政務に励んだ貴族の鑑とも言われた男。
その息子である異母兄フェルディナンドは女色を好み、派手な生活、酒色におぼれ、金に汚いとおよそ、エドガーの息子とは思えない悪徳貴族の見本のような男であるのだ。
「兄上もさぞ政務にお忙しいのかと思いましたが、実家で暇を持て余しているわたくしに急ぎ頼みたいこととは何用でございましたでしょうか?」
コーデリアとしては異母兄の頼みなど、父が居れば絶対に聞くつもりはなかった。
だが、頼りとした父はすでに半年ほど前に地中の人となり、当主となった異母兄に逆らうことは事実上不可能である。
なので、コーデリアとしては王立貴族学院で習った貴族令嬢のたしなみとして、感情を押さえ込みつつ、優雅な表情を浮かべ相手の話を聞いているような顔をしているしか対抗策がなかった。
「そう邪険にするな。お前も年頃の娘であることだし父上も生きておれば、縁談の一つでもお前に持ってきたであろうと思ってな。だから今回呼び出した理由は縁談だ。縁談。公爵令嬢にふさわしい相手を私が選んでやった。喜ぶがいいぞ」
フェルディナンドはしてやったと言いたげな瞳をコーデリアに見せていた。
当主としてすべての権限を手に入れた彼は、昔から自分が毛嫌いしていた異母妹を政略結婚の道具にする決意を明らかにしていく。
コーデリアはいつか来るであろうと予想はしていたものの、今この時期だとは思い至らずに異母兄の言葉を聞いて呆気に取られていた。
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コーデリアは兄フェルディナンドからの呼び出しの手紙を受け、久しぶりにレンフォード公爵領の実家から外に出て、馬車の旅で国内の様子を見ながら王都へたどりついていた。
そして、邸宅に到着するなり、応接間にて異母兄フェルディナンドと葬儀以来の面会を果たしているところであった。
「ようこそ、我が妹コーデリア。遠路の旅路はさぞ身体に堪えたであろう。急な呼び出しに応えてくれて兄として嬉しく思うぞ」
父エドガーや自分と同じ銀色の髪と澄んだ青空のような瑠璃の瞳を持つ、異母兄フェルディナンドが内心と真逆の言葉をコーデリアに対し投げかける。
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その息子である異母兄フェルディナンドは女色を好み、派手な生活、酒色におぼれ、金に汚いとおよそ、エドガーの息子とは思えない悪徳貴族の見本のような男であるのだ。
「兄上もさぞ政務にお忙しいのかと思いましたが、実家で暇を持て余しているわたくしに急ぎ頼みたいこととは何用でございましたでしょうか?」
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だが、頼りとした父はすでに半年ほど前に地中の人となり、当主となった異母兄に逆らうことは事実上不可能である。
なので、コーデリアとしては王立貴族学院で習った貴族令嬢のたしなみとして、感情を押さえ込みつつ、優雅な表情を浮かべ相手の話を聞いているような顔をしているしか対抗策がなかった。
「そう邪険にするな。お前も年頃の娘であることだし父上も生きておれば、縁談の一つでもお前に持ってきたであろうと思ってな。だから今回呼び出した理由は縁談だ。縁談。公爵令嬢にふさわしい相手を私が選んでやった。喜ぶがいいぞ」
フェルディナンドはしてやったと言いたげな瞳をコーデリアに見せていた。
当主としてすべての権限を手に入れた彼は、昔から自分が毛嫌いしていた異母妹を政略結婚の道具にする決意を明らかにしていく。
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