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再会 side充希
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しおりを挟む駅前のカジュアルバー。
照明が落とされた店内は、妙に落ち着いた雰囲気だった。
テーブルの向かい側には、4人の女性。
全員、製薬会社MSPの営業担当らしい。
小林美春――うちの総合病院によく来る営業。いつも笑顔で愛想がいい。
立花由佳里――小林美春に同行する新人営業。とにかく気が利くと院内でも評判。
日向 凛――製薬会社MSPの受付嬢。緋村が狙ってるのはこの子。
そして、堀沢真乃――新薬情報部門。
新薬の資料作成が主な仕事で、営業とは違うポジションなのだろう。
彼女の顔を見た瞬間、オレの心臓が跳ねた。
忘れもしない……
あの日と同じ、まっすぐで澄んだ瞳。
「オレのこと、覚えてる?」
思わず口に出していた。
彼女はグラスを持ったまま、ゆっくりとオレに視線を向ける。
一瞬、何かが彼女の瞳を過ぎった気がした。
でも、次の瞬間――
「……初対面の筈ですが?」
冷たく、突き放すような声。
その言葉に、一瞬、むっとする。
……でも、まぁ、わからなくても無理はない。
あの頃のオレは黒髪で、身長は160センチしかない低身長。高校生と間違われるぐらい童顔で服のセンスも地味だった。
あれから20センチも伸びたし、あいかわらず童顔ではあるけど、夜勤明けのおかげで目の下にはひどい隅。
凍りついた空気に気づき、
隣の小林美春が慌てて「先生方、いつもお世話になってます」とフォローを入れる。
合わせるように緋村も「こちらこそ。今日は親睦を深められたらと思ってます。よろしくおねがいしまーす。」と営業スマイルで返す。
それでも彼女は終始、気まずそうな素振りで周りに合わせ、相槌を打つばかりだった。
口にするのは甘ったるそうなピンク色のカクテル一択。
見た目はよくいる清純女子。男受けしそうな清楚系ナチュラルメイクに
潤んだ瞳。
”男慣れしていない清純な私”を演じているんだろうけど、合コンなんかに参加している時点で男漁りにきてるの確定。
( あー、やっぱ顔がよけりゃだれでもいいんだ…… )
もやもやした黒い感情がオレの中で渦巻いた。
あの日もそうだった。
彼女の潤んだ瞳は、黄昏時の夕日が反射してキラキラ光っていた。
眩しくてつい目を伏せた瞬間、彼女は瞼を閉じて唇をキュッと結び、角度を上向きに上げた。
”キスして”
そう言われた気がした。
自分からキスを求めといて……交際から数日で自然消滅って。
”キスが下手”って言われたみたいでトラウマになったんだけど。
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