Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜

yuzu

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あの日 side充希

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「……あのさ」

 言葉を紡ごうとしたその瞬間。

 ブー――――ッ。
  ブー――――ッ。

 静まり返った部屋に、無機質な電子音が響いた。

 思わず眉をひそめ、スマホに手を伸ばす。時刻は午前7時。仕事に向かう時間だ。

 アラームを黙らせ、彼女に視線を送れば、彼女の瞳にはまだ涙の名残。

「……ごめん。仕事の時間」

 離れるどころか、むしろ逃げ場を塞ぐようにほんの少し距離を詰めてくる。

 "まだ、話は終わってない"

そう言われたような気がして、躊躇した。

でも、その揺らぎを抱えたまま、俺は口を開いた。

「……今夜、会える?」
「え……?」

 彼女の瞳が揺れた。

「駅前の商業施設にあるクリスマスツリーの前、19時。」

 もう一度スマホ画面を一瞥する。
時間は、容赦なく進み続けている。

「あの日の事、ちゃんと話そう。俺たち。」

 彼女は一瞬躊躇い、瞳を彷徨わせた。それから、"話したいことなんて無い"と言うかのように無言で乾燥機からシャツを取り出すと、俺の胸に押し付けた。

「私は、話す事ないから」
「それでも待ってる。」
「……。」

 窓の外は曇り空で、冬の気配がしている。

 今夜は雪かもしれない。


 
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