異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

33.かかってきな、ルーキー

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一階に降りて奥へ向かおうとすると先程の女性が声をかけてきた。

「食事かい? てきとうな席に座って札に書いてあるメニューを見て決まったら声をかけてくれれば行くよ」

「ありがとうございます」

 酒場での説明を聞いた二人は窓のある二人席に座る。周りにはやけにガタイのいい男の人だったり剣を持ってる人だったり女の人だったりと色々な人が酒を飲み交わしながら会話をしていた。

 その中で一つ気になる会話をしている人達がいた。盗み聞きをする気ではなかったハルトだが声のボリュームが大きいせいで自然に聞こえてきてしまった。

「なんか城外の草原で爆発事故があったらしいぜ」

「まじかよ」

「でな、バラバラになった馬車とえぐれた地面があったらしいぞ。しかもその馬車が王城の物だったらしいんだよ」

「人はいなかったのか?」

「あぁ、馬車しかなかったみたいだ」

九神エニアグラムの仕業なんだろうな」

 どうやら男達はハルト達によって起こった出来事について話しているようだった。それを聞いているハルトはもう動揺を隠しきれていなかったが最後の九神エニアグラムの仕業という言葉を聞いて自分達が犯人であるという事がバレていないことを知り少しだけ安堵する。

「何頼むか」

 ハルトは頼もうとしてメニューの書かれた一枚の板をシノが見えるようにして見る。まず飲み物を頼もうかと見ているとさすが酒場と言ったところだろうか、未成年が飲める飲み物が水しかない。ただ未成年だからと言って異世界に来てまで水を頼む気になれないハルトは異世界だし別に大丈夫か! と脳天気な発想をし人生初めてのお酒を頼む事にした。

 一方シノはメニューを見てずっと何を頼むか悩んでいた。しばらく悩んだ末に「これとこれとこれとこれとこれ!」と言ってとんでもない量を選んだ。本当に大丈夫なのかとハルトが聞くと「多分大丈夫」と答えた。

 注文するものが決まったハルトは女性に「すいませーん」と言って呼ぶ。すると女性は他の客の席に酒を置いた後ハルト達のところへ急いでやってきた。「何にするんだい?」と聞かれるとハルトはお酒を二つとシノが大量に選んだ料理を伝える。女性は「えらい食うね」と笑いながら言って戻っていった。

「ハルトお酒飲めるの?」

「前の世界では飲んじゃいけなくて飲んだ事ないんだけどせっかく異世界に来たら飲んでみたいなと思って」

「なら私とお酒勝負しよ。先に酔いつぶれた方の負け」

「別に良いけど」

「私強いから」

「父さんはお酒に強かったから俺も多分強いぞ」

「その意気。かかってきなルーキー」

 シノは自信満々にハルトを挑発するように言ったのだった。
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