異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

34.初めての酒

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「召し上がれ」

 女性が注文した品を次々にテーブルに置いていく。そして最後にお酒の入ったコップをテーブルに置いて去っていった。ハルトは初めて飲むお酒にワクワクでいっぱいだった。

「ハルト、行くよ」

「あぁ!」

 二人は泡がこぼれないようにそっと手に持ち口に近づける。そしてシノが「乾杯」と言って一気にお酒を口の中に流し込んでいく。普通乾杯って言ったらコップをぶつけ合うものだと思っていたハルトは少しだけポカンとしていたがシノに続いてお酒を飲む。

「……なんか大人の味だな。でも癖になる感じがする。なぁ、シノお酒ってこれ以外にもあるのかな?」

 お酒が想像以上に美味しいものだと知ったハルトは他のお酒も飲んでみたくなりシノに尋ねる。するとシノは「しゃあらない」と完全に呂律が回っていなかった。そう、既に酔っているのだ。

「お前、酒に弱すぎんだろォォォォ!!!!!」

「……ハルトぉ~ごはんたべよぉ~」

「今度からこいつにあんま酒を飲まさないようにしないとな」

「それはぁ~だめェー!! だめだからじぇったい」

(本当にダメだこいつ)

 あんなに自信満々だったシノが常人よりも酒が弱かった事に呆れたハルトは早くシノを部屋に連れ返したいがさすがにこれほど頼んだ料理を残すわけにもいかないのでどうにかして食べることにした。酔いまくっているシノにもできるだけ食べるように促すがうつ伏せになって返事がない。どうやらもう寝たらしい。

 お腹が凄く空いていたハルトはテーブルに出されている料理を食べ始める。すると何やら宿の入口が騒がしいことに気づく。一体何が起こっているのかと入口の方を見るとそこには鮮やかな水色で所々に白色のラインが入った特徴的な髪色をした女の子が店の女性と何かを言い合っていた。

 聞こえてきた話しをまとめると変な女の子はご飯が食べたいから入れてと言っており店の女性は宿泊者専用だから無理だと断っている。それをひたすら繰り返しているようだ。どちらがやばいかは明白である。

 うるさいから早くご飯を食べて部屋に戻ろうと思ったハルトは再び料理を口に入れようとした時ハルトの視界の外から徐々に近づいてくる足音が聞こえ始める。

(なんだこれ。なんかなんか嫌な予感がするぞ。これ)

 嫌な予感は見事的中。

「やっぱりそうだ!!」

(実は昔の知り合いだよ詐欺か? あ? なんだこいつ)

 ハルトが警戒しまくっていると変な女の子は店の女性に「この人が先に予約してくれてたんです!」と意味のわからない事をほざいた。それを聞いた女性は「そうだったんかい」と納得してしまったのですかさずハルトが訂正する。

「違いま……」

 ハルトがあと少しで訂正しきる瞬間に変な女の子はハルトの前に仁王立ちで拳を腰に当てながら「何もないので気にしないでください!」と女性に言う。しかしハルトはまだ諦めなかった。もう一度訂正をしようと試みた。だがその時変な女の子がハルトの耳元に近づき「神託官、爆破しました?」と小さな声で囁いた。これは話に合わせないとハルト達が神託官は大爆破させたことを広めるという変な女の子からの脅しなのだろう。

(さすがに今それは暴露されたら終わりだ……。ここは仕方ない。合わせるしか)

 苦渋の決断をしたハルトは店の女性に先に予約していたという嘘を言った。店の女性は完全に納得した様子で厨房に入っていった。さてこの女どうするかと考えていると変な女の子は違うところから椅子を持ってきてハルト達のテーブルのところに椅子を置き座った。
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