異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

35.ラムネ

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「おい、いきなり何なんだ」

「私はラムネ! 一生懸命のよろしくです~!」

「…………?」

「あ、今私の事馬鹿なやつって思いましたね!」

 何故心で思っていたことがバレているのかわからなかったハルトだが鼻で笑った後に「そんな事はないけどな」としっかり馬鹿にしていない事を伝えた。だがそれだけでは納得しなかったのかラムネは「今笑いましたね! それが馬鹿にしてるって事の証拠です!」と言った後に再び脅すかのように「良いんですか! ドカーンばらしますけど。ネタはあがってるんですよぉ!!」と言う。

(こいつなんかテンションおかしいな)

「はいはい。笑ってない笑ってない。それでなんでお前はそれを知ってるんだ」

「私はお前って名前じゃないんですけど。ラムネっていう名前があるんですけど! さすがに傷つきますよぉ」

「うわ、めんどくさ」

「はいっ!? めんどくさって聞こえたんですけどこれは空耳かなにかなんですか?」

「話がないなら俺はもう戻るぞ」

「あーあ!! すいませんすいません、今話ますから」

 そしてようやくラムネは何故神託官を爆破した事を知っているのかを話始めた。

「そうですね~。たまたま魔物の森を抜けて草原の方に歩いてたらとんでもない音がしたので向かってみたらなんと神託官と一般人が戦ってたのでついつい見てたんですよ。だから知ってるってわけです。あ、それと最後のあれなんですか! あれのせいで吹き飛ばされたんですよ! これだから力の加減もわからないおバカさんは」

 ラムネが話終えるとハルトは「そうだったのか。じゃあ俺達は部屋に戻る。この料理食べてもいいぞ」と感情がない様な声で言った。そして立ち上がって眠っているシノを抱きかかえて部屋に戻ろうとした時ラムネが泣きじゃくりながらハルトのコートを引っ張る。

 伸びるからやめろとハルトが何度も言うがラムネは「待ってください~!!!」を繰り返し言うだけだった。ついにはハルトの方が押しに負け再びシノを席に座らせ自身も席についた。ハルトが席に座ったのを確認すると涙が既に止まっているラムネも席につく。

「それで何なんだ?」

「お二人は強いんですよね! ちょっと急ぎで助けてもらいた事があってぇ、お願いできませんか?」

「すまないが今は無理だ。今は別件で忙しくてな」

「ならそれが片付いてからってことで!」

「それでいいなら良いけど急ぎって言ってなかったか?」

「大したことじゃないから後回しでけっこー!」

「大した事じゃないなら俺に頼むなよ」

「あーいやぁー大した事だけど大した事じゃないみたいな? とにかく大したことなんですよ!」

「どっちなんだよ」

「あれ? まぁいいや。なのでそういうことでお願いします~!!」

(あーわからん。会話してる感覚が全くない。猿とでも話してんのか俺は)

 ラムネとの会話に少し疲れたハルトはテーブルに残っている料理をつまむ。それを見ていたラムネの口から今にもよだれが零れ落ちそうになっていた。気づいたハルトは「食べてもいいぞ」と言うと「遠慮なくー!!」と言ってラムネは料理をぱくぱくと中々のペースで食べだした。

 ハルトは料理がなくなるのを待っていると次第に睡魔が押し寄せ大きなあくびをする。あくびを終えるともうテーブルの上にたくさん置かれていた料理がなくなっていた。ラムネは満腹になったようでお腹をさすりながら幸せそうにしていた。ラムネの様子を見たハルトは立ち上がりラムネの後ろを通ったあとシノを抱きかかえた。

「それじゃ俺達はこれで。またどっかでな」

「え?」

「え?」

「え??」

「待て」

 ハルトはどっかでやった様な流れになってしまいそうだったので一旦ストップをかける。なんとなくこのあとラムネが言ってきそうな事がわかっているハルトだが一応聞いてみることにした。

「え? お願いごとをしたって事はもう仲間なんですから! 部屋に入れないなんて問題行動!!」

 ラムネの返答は予想を超えるとんでもない暴論だった。しかしそんな暴論がまかり通るわけもなくハルトは部屋に泊まることを一度は拒否したがここで良いことを思いつく。それは……

「宿代を全部九割負担してくれるならいいけど」

「わかりました!! 払いますよ! それくらい」

 あえて全額負担にしないことで交渉の成功率をあげるというどっかで見た作戦を実行したハルトはそれが見事成功に終わりニヤニヤしていた。なんせ九割なんてほぼ全額みたいなものだからだ。

「早くついてこい」

「はぁーーい!! わっかりました!!」

 ハルトはラムネを自分達の部屋まで案内する。酒場の料金だがどうやらチェックアウトの時に宿泊代に加算されるそうで今は払わなくてもいいと言っていた。しかし酒場のメニューの料理には料金が書いていなかった事を考えると今後はあそこを利用するのはあまり良くなさそうだとハルトは感じた。

 部屋についたハルトはシノのコートの中に手を突っ込み鍵を取り出す。別に卑しい事をしようとしているわけではない。

 取り出した鍵を使い扉を開けた瞬間ラムネが「ベッドぉぉぉ!!!」と言ってベッドにダイブした。しかしあまりにもダイブが下手くそだったのでベッドの下の側面に足をぶつけベッドの上で悶絶していた。何をしてんだかと呆れるハルトはそっとシノをもう片方のベッドに置き布団を優しくかける。

「そう言えばその子は誰なんですか? もしや連れの女とか!!?」

「いや、こいつは……」

 ハルトがシノについて説明しようとした瞬間シノがベッドから突然勢いよく上体を起き上がらせ辺りを見渡す。するとシノの視線はラムネに止まった。その時あっとなり何かに気づく。

「ハルト、私が寝てる間に違う女を部屋に連れ込んであんなことやこんなことをしようしてるなんて」

「いや、違うぞ。これは色々あってだな」

「ぬえぇぇぇ!!! ハルトさんは私にそんな破廉恥な事をしようとしていたんですか! ちょっとまだ早いですよぉ!」

「お前は話しを余計にややこしくするなァァァァァァァ!!!!!!!」

 ハルトが本当に余計な事を言うラムネに怒鳴るとラムネは一瞬無言になったあと口を開いた。

「こうしてハルトのメンバーに変な女の子こと美少女ラムネが加わるのだった」

「勝手に仲間なったことにするな!!」

「痛っ! 頭を叩くなんて酷いですよぉ!」
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