71 / 91
一章
71.vsメルリル 終戦 前編
しおりを挟む
「ここからが本番。ロイゼンに生きる人の命なんて私には関係ない。だから……」
メルリルの背についている六本の触手のうち二本がどこかへ向かい始める。それは想像以上に長くどうやらどんどん伸びていっているようだ。ハルト達はただその触手の行方を見ていることしかできなかった。
「まずいぞ。あっちは……!!」
ダリアはメルリルが何をしようとしているのかを理解したようで焦っている。周りの生徒がどういう事かを聞くとダリアは答える。
「メルリルは王城をぶっ壊して中にいるやつを全員下敷きにして殺す気だ」
それを聞いて全員が今置かれている状況をよく理解する。あの触手を止めることが出来なければ王城内にいる何十人という命が奪われてしまう。ハルトは危機が迫る中考える。どうすればあの触手を止められるのかを。
(王城にはこれまでの犠牲者が。でもどうやってあの触手を止めれば良いんだ。恐らくだが触手を二本しか使っていないのは俺達が何かをするのを防ぐ為なはず。だとしたら打つ手がない……)
ハルトは目を瞑ってさらに必死に考える。これまでの事をふりかえりながらここで何が出来るかという事を。そしてハルトは何かを思いついたようで麻衣美に声をかけようとするがそれをためらってしまう。麻衣美達はハルトを見捨てた者達、ハルトは麻衣美達を見切った者。そこには深い深い溝があった。
その時シノがハルトに声をかける。
「私達も好き勝手にやればいい。あの人達がしてるみたいに」
「でも……」
「今は共闘中。余計な事を考えてる暇はない」
「……シノの言う通りかもしれないな。ありがとう。シノ、朝稲、二人に頼みたいことがあるんだ」
麻衣美は名を呼ばれ少し恥ずかしそうにしながらハルトの元へ駆け寄る。
「朝稲、能力をもう一回使ってくれるか?」
「え、あ! ちょちょちょっとだけなら、いけます!」
「能力をシノに使ってくれ」
「は、はい!!」
「次にシノ」
「うん」
「お前はロイエルの時に使ったあのブラックホールをあの触手にやってくれ」
「違う。ラブラックホール」
「なんでも良いから早く」
麻衣美は【フィールド】を使用しシノ以外の者も囲んだ。そしてシノは王城へと伸びていく触手に向かって指を向ける。
「ラブラックホール」
その瞬間伸びていく触手に小規模なブラックホールが発生しその中にどんどん触手が吸い込まれていく。しかしやはり残していた残り四本の触手がハルト達に接近し始める。
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
それぞれの触手が何度も麻衣美のドーム型防御結界にぶつかる。麻衣美は結界が壊れないように必死に力を振り絞り耐え続ける。そんな麻衣美に結華は治癒を行い奪われていく体力を少しばかり回復していた。しかし奪われていく体力に対して回復量が間に合っておらず徐々に減っていく。
一方上空の触手はシノのラブラックホールで吸い込まれはしているものの抵抗されて完全に吸い込みきれていなかった。このまま行けば麻衣美の体力が限界を迎え防御結界が崩壊し全員が触手の餌食になってしまう。
「どうすれば……」
「つまりまた私の出番ってことだな」
「だからなんで先生は外にいるんですかぁああああ!!!」
中にいる多くの生徒からツッコミをくらう。
「そりゃあ忘れられてたからだろ」
一条先生は触手がドカンドカンと結界にぶつかっているすぐ近くに立ちながら中にいる生徒と会話をしていた。生徒は心配していたが一条先生はなぜかやる気満々で剣を触手に向けていた。
「今日の晩はたこ焼きだな」
「さすがにあれは食べれないだろ」
「お? なんだ東雲を食べたいか」
「嫌ですよ」
「断る。見とけよ」
「なんでー」
一条先生は剣をぶんぶん振り回しながら結界にぶつかる触手に近づく。見てる生徒はあまりにも危険すぎてひやひやしていた。しかし一条先生はまったくそんな事を思っていなかった。ただ今日の晩の事しか考えていない。
「知ってるか。たこ焼きに酒は最高だ!」
一条先生が剣を触手に向かって振る。するとドカーンッという大きな音が鳴り響いた。
「一条先生!!」
見ていた生徒やダリア、サリアは驚いた。なんと触手の一部が宙を舞っていたのだ。
「このまま行くぞ!!」
一条先生は次々に触手を斬り裂いていく。その度に赤い血が結界にビチャッと飛び散る。
「これで終わりか」
一条先生が全ての触手を斬り終わりみんなの方をみていた時、その後ろではメルリルが一条先生に対して手のひらをむけていた。生徒の皆が後ろと叫んだその時メルリルから鋭い氷が放たれる。
「!!!?」
バーン!!!!
爆発と共に煙が発生し全員の視界を悪くする。そして煙が徐々に消えていくとそこには無傷の一条先生の姿があった。全員が一体何が起こったのかと疑問に思っているとシノの隣で一条先生に対して指を向けているハルトの姿があった。
「東雲!!」
「あ、危なかった」
「今の惚れそうだったぞ」
「こんな時に何言ってるんですか!」
二人がそんな会話をしている時ビチッという音が聞こえたあと空から血が降り注いできた。これは何かと思い空を見ると正体はブラックホールに吸い込まれていた触手だった。どうやら抵抗していた触手だったが限界を迎え完全に吸い込まれちぎれたようだ。
そしてハルトは結界の外に出始める。結華はそれを止めるがハルトは止まらない。続いてシノもラムネも出ていく。三人は横並びになりメルリルを見つめる。
「ハルト!!! まだ危ないからこの結界の中に!」
「海斗、ここからは俺達の番だ」
「わからない。どうして私の邪魔をする? どうして」
「そんなの知らん!!」
ハルトは強く言い放つ。
「なぁ、シノ。魔法って飛ばたり出来るのか?」
「ふふん。ハルト、魔法は創造。出来ない事は人を蘇らせる事くらい」
「んじゃ俺に頼む」
「うん」
シノはこっそりハルトに指を向けて浮遊魔法をかけた。それを見ていたラムネがずるいと言ってハルトにつっかかる。
「私もつけてください!! その方が戦えます! 見せてやりますよ、飛行影分身!!」
「どうせどっかの家にぶつかって『ハルトさぁぁ~~ん、助けてくださぁぁい』ってなるのがオチだろ」
「んなっ! 失礼ですね! そんな風にはなりません! 絶対に!!」
「絶対だな?」
「絶対です!」
「シノ」
「うん」
ハルトに言われシノはラムネにも浮遊魔法をかけた。そんな事をしているとメルリルに衝撃的なことが起こっていた。それは一条先生が切断したはずの触手六本が全て復活していたのだ。
「再生すんのかよ」
「これは……あるあるのやつですよ!!」
「そんなあるあるあってたまるか」
メルリルの背についている六本の触手のうち二本がどこかへ向かい始める。それは想像以上に長くどうやらどんどん伸びていっているようだ。ハルト達はただその触手の行方を見ていることしかできなかった。
「まずいぞ。あっちは……!!」
ダリアはメルリルが何をしようとしているのかを理解したようで焦っている。周りの生徒がどういう事かを聞くとダリアは答える。
「メルリルは王城をぶっ壊して中にいるやつを全員下敷きにして殺す気だ」
それを聞いて全員が今置かれている状況をよく理解する。あの触手を止めることが出来なければ王城内にいる何十人という命が奪われてしまう。ハルトは危機が迫る中考える。どうすればあの触手を止められるのかを。
(王城にはこれまでの犠牲者が。でもどうやってあの触手を止めれば良いんだ。恐らくだが触手を二本しか使っていないのは俺達が何かをするのを防ぐ為なはず。だとしたら打つ手がない……)
ハルトは目を瞑ってさらに必死に考える。これまでの事をふりかえりながらここで何が出来るかという事を。そしてハルトは何かを思いついたようで麻衣美に声をかけようとするがそれをためらってしまう。麻衣美達はハルトを見捨てた者達、ハルトは麻衣美達を見切った者。そこには深い深い溝があった。
その時シノがハルトに声をかける。
「私達も好き勝手にやればいい。あの人達がしてるみたいに」
「でも……」
「今は共闘中。余計な事を考えてる暇はない」
「……シノの言う通りかもしれないな。ありがとう。シノ、朝稲、二人に頼みたいことがあるんだ」
麻衣美は名を呼ばれ少し恥ずかしそうにしながらハルトの元へ駆け寄る。
「朝稲、能力をもう一回使ってくれるか?」
「え、あ! ちょちょちょっとだけなら、いけます!」
「能力をシノに使ってくれ」
「は、はい!!」
「次にシノ」
「うん」
「お前はロイエルの時に使ったあのブラックホールをあの触手にやってくれ」
「違う。ラブラックホール」
「なんでも良いから早く」
麻衣美は【フィールド】を使用しシノ以外の者も囲んだ。そしてシノは王城へと伸びていく触手に向かって指を向ける。
「ラブラックホール」
その瞬間伸びていく触手に小規模なブラックホールが発生しその中にどんどん触手が吸い込まれていく。しかしやはり残していた残り四本の触手がハルト達に接近し始める。
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
バゴォォーン!!
それぞれの触手が何度も麻衣美のドーム型防御結界にぶつかる。麻衣美は結界が壊れないように必死に力を振り絞り耐え続ける。そんな麻衣美に結華は治癒を行い奪われていく体力を少しばかり回復していた。しかし奪われていく体力に対して回復量が間に合っておらず徐々に減っていく。
一方上空の触手はシノのラブラックホールで吸い込まれはしているものの抵抗されて完全に吸い込みきれていなかった。このまま行けば麻衣美の体力が限界を迎え防御結界が崩壊し全員が触手の餌食になってしまう。
「どうすれば……」
「つまりまた私の出番ってことだな」
「だからなんで先生は外にいるんですかぁああああ!!!」
中にいる多くの生徒からツッコミをくらう。
「そりゃあ忘れられてたからだろ」
一条先生は触手がドカンドカンと結界にぶつかっているすぐ近くに立ちながら中にいる生徒と会話をしていた。生徒は心配していたが一条先生はなぜかやる気満々で剣を触手に向けていた。
「今日の晩はたこ焼きだな」
「さすがにあれは食べれないだろ」
「お? なんだ東雲を食べたいか」
「嫌ですよ」
「断る。見とけよ」
「なんでー」
一条先生は剣をぶんぶん振り回しながら結界にぶつかる触手に近づく。見てる生徒はあまりにも危険すぎてひやひやしていた。しかし一条先生はまったくそんな事を思っていなかった。ただ今日の晩の事しか考えていない。
「知ってるか。たこ焼きに酒は最高だ!」
一条先生が剣を触手に向かって振る。するとドカーンッという大きな音が鳴り響いた。
「一条先生!!」
見ていた生徒やダリア、サリアは驚いた。なんと触手の一部が宙を舞っていたのだ。
「このまま行くぞ!!」
一条先生は次々に触手を斬り裂いていく。その度に赤い血が結界にビチャッと飛び散る。
「これで終わりか」
一条先生が全ての触手を斬り終わりみんなの方をみていた時、その後ろではメルリルが一条先生に対して手のひらをむけていた。生徒の皆が後ろと叫んだその時メルリルから鋭い氷が放たれる。
「!!!?」
バーン!!!!
爆発と共に煙が発生し全員の視界を悪くする。そして煙が徐々に消えていくとそこには無傷の一条先生の姿があった。全員が一体何が起こったのかと疑問に思っているとシノの隣で一条先生に対して指を向けているハルトの姿があった。
「東雲!!」
「あ、危なかった」
「今の惚れそうだったぞ」
「こんな時に何言ってるんですか!」
二人がそんな会話をしている時ビチッという音が聞こえたあと空から血が降り注いできた。これは何かと思い空を見ると正体はブラックホールに吸い込まれていた触手だった。どうやら抵抗していた触手だったが限界を迎え完全に吸い込まれちぎれたようだ。
そしてハルトは結界の外に出始める。結華はそれを止めるがハルトは止まらない。続いてシノもラムネも出ていく。三人は横並びになりメルリルを見つめる。
「ハルト!!! まだ危ないからこの結界の中に!」
「海斗、ここからは俺達の番だ」
「わからない。どうして私の邪魔をする? どうして」
「そんなの知らん!!」
ハルトは強く言い放つ。
「なぁ、シノ。魔法って飛ばたり出来るのか?」
「ふふん。ハルト、魔法は創造。出来ない事は人を蘇らせる事くらい」
「んじゃ俺に頼む」
「うん」
シノはこっそりハルトに指を向けて浮遊魔法をかけた。それを見ていたラムネがずるいと言ってハルトにつっかかる。
「私もつけてください!! その方が戦えます! 見せてやりますよ、飛行影分身!!」
「どうせどっかの家にぶつかって『ハルトさぁぁ~~ん、助けてくださぁぁい』ってなるのがオチだろ」
「んなっ! 失礼ですね! そんな風にはなりません! 絶対に!!」
「絶対だな?」
「絶対です!」
「シノ」
「うん」
ハルトに言われシノはラムネにも浮遊魔法をかけた。そんな事をしているとメルリルに衝撃的なことが起こっていた。それは一条先生が切断したはずの触手六本が全て復活していたのだ。
「再生すんのかよ」
「これは……あるあるのやつですよ!!」
「そんなあるあるあってたまるか」
0
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる