異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

70.vsメルリル.8

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 何人かの生徒の声で一条先生はようやく後ろから来ている氷の塊の存在に気付き急いで振り向いてそれを破壊しようとするが攻撃をされなくなったメルリルは一条先生に対して翼を羽ばたかせる。飛ばされた時に体勢を崩した一条先生の腕に氷の塊がいくつか突き刺さる。そしてその後また地面に転がった。

「またやられたか……」

 飛ばされたもののなんとか体勢を立て直した一条先生は自身の両腕に突き刺さった氷の塊を一個一個抜き取っていく。氷には血がべっとりとついており抜く度に痛々しさが増していった。

「次で決めるぞ」

 剣を構えた一条先生だがその瞬間ふらつき地面に座り込んだ。

「一体これは……。血を出しすぎたのか?」

 一条先生はよく自身の体を見渡す。既に一条先生の体はメルリルの無数の氷の塊の攻撃を受けており至るところに切り傷があった。ひとつから出る血の量は危険という程ではなかったが傷口の数が多かったためにより出てしまっていたのだ。腕に深く刺さってしまった氷がさらに血を失う原因となった。

「……くそ校長が。もっと寝させてくれれば」

 その時メルリルの後ろからハルトの声が聞こえてきた。

「ラムネ、行け!! おまえがとどめを刺すんだ!!」

「まっかせてください!!!」

 一条先生との戦いに集中していたメルリルは既に真後ろまで来ていたラムネ達の存在に気づくことができなかった。急いで振り向き攻撃を防ごうとしたメルリルだがラムネは跳躍し剣を振り下ろしてきていた。

「これで終わりですぅ~!!!!!!」

 そしてその瞬間、

 ドッカーンッ!!

 と大きな音が鳴り響く。

 ラムネの横に大きな氷の塊が現れそれが勢いよく衝突した。そしてそのまま地面に吹き飛ばされてしまった。もう終わりだと誰しもが思ったその時ラムネで隠れていたハルトからとてつもない大きな火の弾が放たれようとしていた。

「それは囮だァァァァァァ!!!!!!」

「どういうことですか、ハルトさぁァァァァあん!!!!!!!!!」

 放たれる火の弾はバチバチと音を鳴らしながらメルリルに飛んでいく。それをどうにかしようとしていたメルリルだがこれは氷の塊をラムネに使用してから一秒ほどの出来事。状況を理解し適切な行動をとるという判断をするのにはあまりにも短い時間である。それ故メルリルはもはや考える事すら出来ない。

 バゴォォォォォォン!!!!!!

 重たい音を轟かせながら火の弾は大爆発を起こした。爆発の影響は甚大で辺りにあった瓦礫などが舞い上がりどこかへと飛んでいったり麻衣美のドームにヒビが入ったりしていた。しばらくして爆発の煙が落ち着くと爆発したところには大部分が赤く染まり地面に倒れているメルリルの姿があった。

「ハルト! 今のすごいな!」

「いや、まぁ」

「ちょぉぉっと! 私の命の保証はなんでされないんですかぁ!!」

「そう言えばなんか威力高くなった気がするな」

「無視ですかぁ!!! 一番いけませんよ!!!?」

 そんな会話をしていると後ろからシノがスタスタとやってきてハルトのコートを引っ張った。

「ハルト、やった?」

「おい……そんなフラグたてたら……」

 メルリルから白いオーラが漂い始め次第にそれは激しくなっていく。バチバチと音をならすオーラを纏ったメルリルは地面に手をつき少しだけ体を起こすと翼は羽ばたかせ立ち上がる。

「私の邪魔をしないで……。【バッカルコーン】……」

 すると背中に生える翼とは別にさらに謎の六本の触手が現れ始める。六本の触手は不規則に動き地面を叩いたりしていた。

「おいおい、なんだよあれ!!!」

「ば、ばけものですよ!! あれは!!」

 触手は暴れまわりついには麻衣美のドームに激突した。その衝撃で防御結界は割れ中にいた生徒は驚きと恐怖で叫びだす者もいた。そしてメルリルは翼を羽ばたかせながら上へと上昇していく。

「私は流氷の天使。神に縛られた者。だけど私は取り戻すために戦いに勝ち、価値を示す」

 翼は羽ばたき触手は不規則に動く。まるでその姿は……

「悪魔だ」
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