17 / 131
無縁仏
しおりを挟む
天道葵について聞き込みが終わると、石倉の好意から、レストラン『樹氷』のメニューが手渡された。
「葵ちゃんの心中事件は、あたしも釈然としない所があったからさ、何か分かったらあたしにも教えてね。今日の御代はいいからさ」
美咲はパリパリ鶏肉と野菜スープカレー、わたくしは店長お勧めの玉葱たっぷりの味噌ラーメンを頼んで、二人で遅めの昼食に向った。
「彼女の発言、君はどう思った?」
わたくしは鳴門巻きを箸で掴んで上げた。
「どうって、何がですか?」
「だから、石倉は天道と会っている内に、一体何を勘づいていたのかってこと」
美咲は素揚げした野菜を小さく齧った。
「彼女が何を勘づいたかは分かりません。でも、その勘は外れていた、彼女自身そう言っていたじゃないですか」
「まあ、それはそうなんだけど。でも、石倉に聞き込みをした中で、いま言った点が唯一の収穫と言ってもいいんじゃないかな」
「宗村さんは、どう思ったんですか?」
美咲は、アーユルヴェーダスープに浸かったチキンレッグをフォークで削いだ。
「俺はさ、女の勘って言っていたくらいだから、やっぱり、天道と岸本の不倫関係について、勘づいていたんじゃないかなって、思った」
「へえ!」
美咲の顔が輝いた。
「何だよ、そのへえって」
L型のドライ厨房から、割烹着姿の従業員がぞろぞろと出て来て、パーテーションの向こうのテーブルに丼ぶりを置いた。天井から吊り下げたテレビのチャンネルを、NHKのドラマの番組に変えた。
「宗村さん、なかなか鋭い考察です」
わたくしは七味を振って麺を大きく掻き混ぜた。
「石倉は、天道の発言や様子から、彼女の勤め先であるペンションのオーナー岸本との不倫関係について、女の勘で気が付いていた。しかし、翌日の新聞の記事には、天道と一緒に死んだ木原は、彼女と恋人関係だったと掲載されている、それを見て彼女は、女の勘が外れたと思った」
うんうんと頷いて美咲は後を引き受けた。
「なるほど。本件を調べていた警察は、天道葵と岸本さんの不倫関係までは調べきれなかったという事ですね。ですから、警察は何の疑いもなく、本件をカップルによる痴情の縺れと考えた。けれども、天道葵の不倫の事実は、岸本さん本人が認めている所ですから、石倉留美の勘は結局当たっていた事になります」
美咲は銀のスプーンを指示棒のように振った。すぐにマナーの悪さに気が付いて、咳払いを一つした。
「ちょっと見えて来たんじゃないかな? 天道葵は木原を恋人と周囲に公言しながらも、その実はもう冷め切った仲で破局寸前。今は勤め先のオーナー岸本と本気の仲になっていて、だから天道はあの夜、木原と別れ話をする為に二人で車で外出したんじゃないか?」
一口水を含んでから、美咲は口を開いた。
「木原による無理心中、ですか」
「そう。天道に別れ話を持ち出されて、ついカッとなった木原が、天道の首を絞めて殺害した後、自分と天道に灯油を撒いて焼身自殺を図った」
「灯油? ついカッとなって、灯油?」
美咲はペーパーナプキンを一枚取って、そっと口を拭いた。
「じゃあ、天道を殺害した後に、車で移動して灯油を購入してから、焼身自殺を図ったってのは?」
自分で言っておきながら、話に無理がある事を意識した。
「悪くないですその考え。警察は天道葵と岸本さんの不倫関係について把握していない事は間違いなさそうです。そうなると、天道葵と木原正樹の心中事件は、全く成立しなくなります。でも、やっぱり突発的な出来事に、お互い灯油を被ってまで自殺という宗村さんの考えには、わたしは首を傾げます。ちょっと視点を変えてこう考えてみてはどうですか?」
気が付けばレストランにはわたくしたちの他は空席となっていた。美咲はわたくしの視線に気が付いて、話の途中で席を立った。別席にいた石倉に頭を下げてから、食器を片づけて『樹氷』を後にした。
「さっきの続きです」
レストラン玄関脇の喫煙所で煙草を一本吸った。寒空の下で吸う煙草は格別だった。
「別れ話はもっと以前に、天道葵の口から切り出されていたのではないでしょうか? その話に納得のできない木原は、半ばストーカーと化して、彼女が勤めるペンションにまで押しかけて来た。そして彼は、計画的犯行に及び、予め灯油を準備しておいて、天道に最後の確認をした後、無理心中を図った」
美咲は話しながら、スノーボード置き場からボードを抜き取って、大きく雪の上に投げた。ブーツの雪を払って腰を屈めてから、踵をヒールカップに乗せた。
「だけどさあ、それじゃあ木原の事を恋人と公言していた天道の発言は、何だか微妙にならないか? 別れ話を持ちかけていれば、同僚の高田さんに対して、木原を恋人だなんて話さないんじゃないかな」
バインディングのベルトをアンクルストラップのラチェットに差し込んで、カチカチとレバーを倒してストラップを締めた。
「そうですね。宗村さんの言う通りです。木原がペンションに宿泊している間、天道は木原を恋人として公言していた。それなのに彼と別れたがっていて、その晩には彼に別れ話を持ち出したが為に、彼から無理心中されたなんて、確かに話の筋としては微妙ですね。従業員の高田さんの言うように、今回の件はやっぱり奇妙な点が多いです」
最後にボードと自分の足を繋げるリーシュコードを巻いて、いち早く美咲は腰を上げた。
「そんな奇妙な話にもかかわらず、翌日の朝刊には二人は心中事件として掲載された。警察は、その記事を読んで違和感を感じなかったのかね」
まごつくわたくしの隣りに移動して、美咲はわたくしの爪先のトゥストライプを締めた。
「大いに感じていると思います。実際に捜査に当たった刑事たちは、この天道葵という謎の存在に今も頭を悩ませていると思います」
「謎の存在?」
美咲はサイドスリップを使って、わたくしを導くように長いバーンへと滑走して行った。
「そうです。天道と木原の心中遺体は、一体どこへ引き渡すのでしょうか?」
「両親の元じゃないの?」
圧雪の上に一五センチほど新雪が積もっていて、美咲はその上に綺麗なカーヴィングを描いた。わたくしはフロントサイドターンを繰り返して何とか美咲から離れないよう意識を集中した。
「天道と木原の個人データはSТGサーバーにさえ存在しないんです。という事は、当然警察の身元調査でも天道と木原の出身地さえ割り出せないはずです。遺体は現在、警察署内か大学医学部の保管施設に保管されていると思いますが、その内に市町村で立替えて火葬され、無縁納骨堂の合葬墓にまとめられるはずです」
目の前のスノーボーターが転んで、細かい雪煙が上がった。
「木原は分からんでもないが、天道に関してはこれだけ岸本や高田や石倉と深い付き合いをしていたにもかかわらず、出身地を含む身元が分からないって、ちょっとおかしくないか?」
「おかしいんですよ。だからわたしたちがこうやって天道葵について身辺調査を続けているんです。恐らく天道と木原は、何らかの理由によって偽名を使っていたと思われます」
「偽名?」
大声が聞こえて後ろを振り返ると、転んだスノーボーダーが仲間から助けられていた。
「警察はその事に気が付くのが遅かった。一度報道された小さな心中事件を、後日蒸し返すように事件化するのは、警察にとっても批判に晒されるリスクが高いですし、遺族探しの間に発覚したちょっとした謎、これが重大な事件性があるとも思えず、被害者が存在しない限り、このまま偽名の件は闇に葬って、二人の遺体を無縁納骨堂に祭った方が良いと、彼らは判断した可能性は高いです」
強烈な吹雪が樹林から現れて、狭いゲレンデを通過して行った。頭上を見上げると、先程わたくしたちが乗っていたリフトが自動停止をして、強風に揺れていた。まったくひどい天候だ。
「それからもう一つ、宗村さんは気が付いていましたか?」
「ん?」
わたくしは体重移動だけのペンジュラムを使って、待っていた美咲に追いついた。
「宗村さん、相当な距離をわたしと一緒に滑っていますよ。気が付きませんでした?」
「葵ちゃんの心中事件は、あたしも釈然としない所があったからさ、何か分かったらあたしにも教えてね。今日の御代はいいからさ」
美咲はパリパリ鶏肉と野菜スープカレー、わたくしは店長お勧めの玉葱たっぷりの味噌ラーメンを頼んで、二人で遅めの昼食に向った。
「彼女の発言、君はどう思った?」
わたくしは鳴門巻きを箸で掴んで上げた。
「どうって、何がですか?」
「だから、石倉は天道と会っている内に、一体何を勘づいていたのかってこと」
美咲は素揚げした野菜を小さく齧った。
「彼女が何を勘づいたかは分かりません。でも、その勘は外れていた、彼女自身そう言っていたじゃないですか」
「まあ、それはそうなんだけど。でも、石倉に聞き込みをした中で、いま言った点が唯一の収穫と言ってもいいんじゃないかな」
「宗村さんは、どう思ったんですか?」
美咲は、アーユルヴェーダスープに浸かったチキンレッグをフォークで削いだ。
「俺はさ、女の勘って言っていたくらいだから、やっぱり、天道と岸本の不倫関係について、勘づいていたんじゃないかなって、思った」
「へえ!」
美咲の顔が輝いた。
「何だよ、そのへえって」
L型のドライ厨房から、割烹着姿の従業員がぞろぞろと出て来て、パーテーションの向こうのテーブルに丼ぶりを置いた。天井から吊り下げたテレビのチャンネルを、NHKのドラマの番組に変えた。
「宗村さん、なかなか鋭い考察です」
わたくしは七味を振って麺を大きく掻き混ぜた。
「石倉は、天道の発言や様子から、彼女の勤め先であるペンションのオーナー岸本との不倫関係について、女の勘で気が付いていた。しかし、翌日の新聞の記事には、天道と一緒に死んだ木原は、彼女と恋人関係だったと掲載されている、それを見て彼女は、女の勘が外れたと思った」
うんうんと頷いて美咲は後を引き受けた。
「なるほど。本件を調べていた警察は、天道葵と岸本さんの不倫関係までは調べきれなかったという事ですね。ですから、警察は何の疑いもなく、本件をカップルによる痴情の縺れと考えた。けれども、天道葵の不倫の事実は、岸本さん本人が認めている所ですから、石倉留美の勘は結局当たっていた事になります」
美咲は銀のスプーンを指示棒のように振った。すぐにマナーの悪さに気が付いて、咳払いを一つした。
「ちょっと見えて来たんじゃないかな? 天道葵は木原を恋人と周囲に公言しながらも、その実はもう冷め切った仲で破局寸前。今は勤め先のオーナー岸本と本気の仲になっていて、だから天道はあの夜、木原と別れ話をする為に二人で車で外出したんじゃないか?」
一口水を含んでから、美咲は口を開いた。
「木原による無理心中、ですか」
「そう。天道に別れ話を持ち出されて、ついカッとなった木原が、天道の首を絞めて殺害した後、自分と天道に灯油を撒いて焼身自殺を図った」
「灯油? ついカッとなって、灯油?」
美咲はペーパーナプキンを一枚取って、そっと口を拭いた。
「じゃあ、天道を殺害した後に、車で移動して灯油を購入してから、焼身自殺を図ったってのは?」
自分で言っておきながら、話に無理がある事を意識した。
「悪くないですその考え。警察は天道葵と岸本さんの不倫関係について把握していない事は間違いなさそうです。そうなると、天道葵と木原正樹の心中事件は、全く成立しなくなります。でも、やっぱり突発的な出来事に、お互い灯油を被ってまで自殺という宗村さんの考えには、わたしは首を傾げます。ちょっと視点を変えてこう考えてみてはどうですか?」
気が付けばレストランにはわたくしたちの他は空席となっていた。美咲はわたくしの視線に気が付いて、話の途中で席を立った。別席にいた石倉に頭を下げてから、食器を片づけて『樹氷』を後にした。
「さっきの続きです」
レストラン玄関脇の喫煙所で煙草を一本吸った。寒空の下で吸う煙草は格別だった。
「別れ話はもっと以前に、天道葵の口から切り出されていたのではないでしょうか? その話に納得のできない木原は、半ばストーカーと化して、彼女が勤めるペンションにまで押しかけて来た。そして彼は、計画的犯行に及び、予め灯油を準備しておいて、天道に最後の確認をした後、無理心中を図った」
美咲は話しながら、スノーボード置き場からボードを抜き取って、大きく雪の上に投げた。ブーツの雪を払って腰を屈めてから、踵をヒールカップに乗せた。
「だけどさあ、それじゃあ木原の事を恋人と公言していた天道の発言は、何だか微妙にならないか? 別れ話を持ちかけていれば、同僚の高田さんに対して、木原を恋人だなんて話さないんじゃないかな」
バインディングのベルトをアンクルストラップのラチェットに差し込んで、カチカチとレバーを倒してストラップを締めた。
「そうですね。宗村さんの言う通りです。木原がペンションに宿泊している間、天道は木原を恋人として公言していた。それなのに彼と別れたがっていて、その晩には彼に別れ話を持ち出したが為に、彼から無理心中されたなんて、確かに話の筋としては微妙ですね。従業員の高田さんの言うように、今回の件はやっぱり奇妙な点が多いです」
最後にボードと自分の足を繋げるリーシュコードを巻いて、いち早く美咲は腰を上げた。
「そんな奇妙な話にもかかわらず、翌日の朝刊には二人は心中事件として掲載された。警察は、その記事を読んで違和感を感じなかったのかね」
まごつくわたくしの隣りに移動して、美咲はわたくしの爪先のトゥストライプを締めた。
「大いに感じていると思います。実際に捜査に当たった刑事たちは、この天道葵という謎の存在に今も頭を悩ませていると思います」
「謎の存在?」
美咲はサイドスリップを使って、わたくしを導くように長いバーンへと滑走して行った。
「そうです。天道と木原の心中遺体は、一体どこへ引き渡すのでしょうか?」
「両親の元じゃないの?」
圧雪の上に一五センチほど新雪が積もっていて、美咲はその上に綺麗なカーヴィングを描いた。わたくしはフロントサイドターンを繰り返して何とか美咲から離れないよう意識を集中した。
「天道と木原の個人データはSТGサーバーにさえ存在しないんです。という事は、当然警察の身元調査でも天道と木原の出身地さえ割り出せないはずです。遺体は現在、警察署内か大学医学部の保管施設に保管されていると思いますが、その内に市町村で立替えて火葬され、無縁納骨堂の合葬墓にまとめられるはずです」
目の前のスノーボーターが転んで、細かい雪煙が上がった。
「木原は分からんでもないが、天道に関してはこれだけ岸本や高田や石倉と深い付き合いをしていたにもかかわらず、出身地を含む身元が分からないって、ちょっとおかしくないか?」
「おかしいんですよ。だからわたしたちがこうやって天道葵について身辺調査を続けているんです。恐らく天道と木原は、何らかの理由によって偽名を使っていたと思われます」
「偽名?」
大声が聞こえて後ろを振り返ると、転んだスノーボーダーが仲間から助けられていた。
「警察はその事に気が付くのが遅かった。一度報道された小さな心中事件を、後日蒸し返すように事件化するのは、警察にとっても批判に晒されるリスクが高いですし、遺族探しの間に発覚したちょっとした謎、これが重大な事件性があるとも思えず、被害者が存在しない限り、このまま偽名の件は闇に葬って、二人の遺体を無縁納骨堂に祭った方が良いと、彼らは判断した可能性は高いです」
強烈な吹雪が樹林から現れて、狭いゲレンデを通過して行った。頭上を見上げると、先程わたくしたちが乗っていたリフトが自動停止をして、強風に揺れていた。まったくひどい天候だ。
「それからもう一つ、宗村さんは気が付いていましたか?」
「ん?」
わたくしは体重移動だけのペンジュラムを使って、待っていた美咲に追いついた。
「宗村さん、相当な距離をわたしと一緒に滑っていますよ。気が付きませんでした?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる