蜜色キャンバス〜御曹司とオメガの禁断主従〜

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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20話 #『選んで、壊して、僕の世界』

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「……あの…ごめんなさい。俺のせいでこんなことに……」
「なんで水都が謝るの? これは水都のせいじゃないでしょ。それに原因はなんであれ、2人になれて、僕は嬉しいよ」


 水都の耳を甘く噛むと、頭がぴくりと揺れた。その仕草が可愛くて、もっといじわるしたくなり、舌先でつんつん、と耳をつつく。水都が目をキュッと瞑った。


 どうしよう、可愛いすぎる。


「……っん…」
「むしろ、先に謝ることにするよ」
「えっ?」
「……このままだと、キスだけじゃ済まなくなりそう」


 僕の言葉に、水都が閉じていた目を見開き、僕の服を握った。


「っ……だ、だめです! それはっ! 俺は使用人だからっ……」
「使用人じゃなくなれば良いんじゃないの」
「なっ…何言って!!!」
「今は実質、使用人兼友達? みたいなものでしょ。水都の向き合い次第だと思うけど? 僕はね、君が僕の腕の中で震えているのが、寒さのせいなのか、僕のせいなのか、全く分からないよ……」
「…………っ」


 ほら、黙る。僕が訊きたい質問は、いつも何も答えてくれないね。それは、君が使用人で僕が主だから? 自分の心臓の音だけが、虚しく響く。


「ねぇ、水都。僕だけが、こんなに好きでおかしいのかな? 水都は僕に何も感じないの?」


 僕の服を握る水都の手に、強く力が入った。何かを迷うような、躊躇いの表情を見せ、一度深く深呼吸をすると、何かを決心したみたいに、僕を真っ直ぐ見つめた。


「……えっと……俺……何も持ってないし……だから……その……俺の全てを…綾明さんにあげます……」
「それは僕のことが大好きで、恋人になってくれるってこと?」
「~~~~っ!!! はっきり言うな!!!」
「言わなきゃ分からないよ」


 毛布の中で僕のことを、ぽこぽこと拳で叩く水都は、もう震えてなんかいなかった。


「でも俺は使用人で…なんの身分もないオメガだから……付き合ってることはその……」
「秘密?」
「うん……誰にも言わないで……」
「そんなこと気にしなくて良いのに」


 そっと、水都の頬に触れ、唇を重ねる。嫌がったりなんてせず、僕を受け入れ、甘い吐息を漏らす水都に、抑えている理性が飛びそうになる。


 まだ。そう、まだ理性は水都によって繋がれている。でも自分から溢れるのは、性的欲求ばかりで。水都の頬を手の甲で撫で、口を開いた。


「……ごめん……もう限界かも……」
「え? わっ…綾明さっ…」


 水都の身体を仰向けに倒し、毛布の中で覆い被さった。理性は失いたくない。でも、もう、無理かもしれない。水都を見つめる瞳の中で理性と本能が綱引きをする。


「っ…ん…あっ、綾明さん……」
「今ならまだ、水都の言葉ひとつで、止まることも、僕の全てを壊すことも出来るよ。さぁ、どうする?」


 頬に手を添えて、唇が触れるか、触れないかの寸前まで顔を近づける。お互いの吐息だけが触れ合った。


「無理強いはしない。これは約束する。選んでいいよ、水都ーー」


 これは僕の最後の理性。『無理強いはしない』この一言は、水都に言ったと言うよりも、自分に言い聞かせたようなものだった。


 水都の頬に添えた手をゆっくりと滑らせ、胸部、腹部、下腹と、順番に指先で撫でていく。指先が幹に触れると、水都の身体がぴくりと震えた。


「……どうする? 水都」


 拒否も出来る雰囲気にしたくて、今まででいちばん優しく、その名前を呼ぶ。でも僕はずるい。水都と身体を重ねたくて、こうやって、水都に触れて、気持ちを煽っている。


 水都が、目を伏せたまま、微かに頷いた。


 いいの? 同意したら、僕は止められなくなるよ? 触れるか、触れないかの寸前の口唇に、口付けた。


 何度も、何度もその小さな口唇を啄む。しんと静まり返った小屋に、お互いの呼吸だけが響く。


「っん……ん…んっ…はあっ……こんなところでっ…」
「ならやめる? 言うなら今だよ。じゃないと、本当に止まれなくなる」


 止まれなくなることを分からせるように、膨れた下腹を水都に押し付けると、水都の頬が赤く染まった。


「……やだって言ったら……?」
「やめるよ。でも言わないならーー」


 こうする。その先は言葉よりも、自然に手が出た。濡れたブロンドの髪が、赤く染まった水都の頬を撫でる。水都の細い腰を引き寄せた。


「あっ……」
発情期ラットじゃないのにすごく熱い。脱ごうかな」
「脱ぐの?!」
「まぁ、濡れてるし?」


 僕だけじゃない。水都も熱い。毛布の中で重なる身体は、濡れた服越しでも、お互いの熱が伝わった。


「……俺…なんかよくわかんなくて……綾明さんが……熱くて……あと…なんていうか……下の方が……へんっていうか…えっと…んと…」
「変って?」


 顔を赤く染め、ぶつぶつ話す水都を見て、思わず、クスッと笑みが溢れる。指先で胸元に触れ、濡れたシャツ越しに、胸の突起を弾いた。


「やっ……!」
「『や』は良いだっけ?」
「なっっっ! 違っっ」
「違わないでしょ? 自分でそう言ったんだから。良いってことは、気持ちいいってことかな? 教えてよ、水都」
「~~~~っ」


 指の腹で何度も突起を擦ると、水都が小さく肩をビクビクと震わせた。もっと知りたい。もっと欲しい。自分の中に眠っていた獣のような欲望が溢れ出した。


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