20 / 176
第四章【新たなる旅路】
4-2 白姫の想い
しおりを挟む
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 南 方 港 】
ガヤガヤ…!
ザワザワ、ワイワイ……!!
魔剣士「つ……っ」
白姫「ついた~~っ!!」
猛竜騎士「相変わらず人が多いな、ここは」
ワイワイ…!
冒険者たち「…で、うん」
観光客たち「私ね、それで…」
ガヤガヤ…!
――――南方港。
中央大地、セントラルの南側に位置する巨大な港である。
漁業が盛んで、観光客も多く、
世界中の港へと向かう船などが多く入港、帰港している。
白姫「こ、ここが港なんですね!?」
猛竜騎士「その通り。海も広がっているのが見えると思うが、そこに浮いているのが"大型船"ってやつだ」
白姫「おおがたせん…。船、ですか?」
猛竜騎士「うむ。あれで、世界中へ旅立つのさ」
白姫「へぇ~…!」
魔剣士「さすが、冒険者たちの姿も多いな…」キョロキョロ
魔剣士「腕の立ちそうな奴らも多いし、世界へ渡るためのゲートって感じがヤベェな……」ゾクゾク…
猛竜騎士「ここは観光客も多く、アトラクションっつー遊戯施設も多い」
猛竜騎士「今日はここの宿へ宿泊すっから、この港で遊んでいくか」
白姫「う、海で遊べるんですか!?」
猛竜騎士「レジャー系の施設だがな」
猛竜騎士「釣りやバーベキュー、世界中から集まる珍しいアイテムなんかも置いている」
猛竜騎士「……ちっと肌寒いからまだ海に入るのは難しいが、それでも」
…キャー!
魔剣士「白姫、見ろ!なんだこのデッカイ魚!?」
白姫「わ、わわわっ!動いてるよ!?」
海辺商人「はっはっは、お目が高い!」
猛竜騎士「ブレねーな、オメーら。話聞けや」
魔剣士「…あっ、悪い悪い!」ハハハ
猛竜騎士「あとでたっぷり見せてやるから、まずは宿にいって荷物おろすぞ」クイッ
魔剣士「へいよ」
白姫「はーいっ♪」
猛竜騎士「…それで、今日の遊びの前にお前らに話がある。」
猛竜騎士「宿の中で、落ち着いたら…よく聞いてもらうからな」
魔剣士「…ん?」
白姫「は、はい…?」
………
…
…
………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 少しして 宿の中 】
……ボスンッ!
魔剣士「…ふぅおおっ!久々だぜ、こういうベッド!」
白姫「私は野宿も楽しかったけどな~」
魔剣士「…あの周辺はデカイ蛾が出るから嫌だわ」
白姫「魔剣士ってば、苦手だもんね」クスクス
魔剣士「うっせ!」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……さて、二人とも。宿についたし、話をしたいんだがいいか?」
魔剣士「ん、そういや何か話があるっつってたな」
白姫「どうしたんですか?」
猛竜騎士は二人を一度座らせ、
大きく息を吐いたのち、「あのこと」についてしゃべり始めた。
猛竜騎士「……フゥ」
猛竜騎士「……単刀直入に言おう」
猛竜騎士「姫様、君はここに着いて海を見るという一旦の目的は果たされただろう?」
白姫「あ、はい…」
猛竜騎士「…だから、旅は終わりにしないか」
白姫「!」
魔剣士「!?」
猛竜騎士「二人とも、さっきの海の見えた丘で話をしたし分かっているだろう?」
猛竜騎士「姫様は、姫様なんだ」
白姫「…っ」
魔剣士「……ま、まだ旅は始まったばかりだぞ!?」
猛竜騎士「始まったばかりとか、そういう問題じゃない。」
猛竜騎士「確かに、お前にとっては"物語の始まりだ"と感じたかもしれん」
猛竜騎士「実際、俺が教えてやるとか言われて、長い旅になるのではないかと感じたかもしれない……が、」
猛竜騎士「俺なりに考え、これ以上の姫様との旅は危険だと感じたんだ」
魔剣士「…危険なのは前からだろうが!」
猛竜騎士「…そういう危険ではないんだ」
魔剣士「は…?」
猛竜騎士「姫様はな……」
白姫「…待ってください!猛竜騎士さん!」バッ!
猛竜騎士「む…」
白姫「……いいんです」
猛竜騎士「姫様?」
魔剣士「い、いいって何がだよ!」
白姫「…」
魔剣士「なんだよ、港に来て海を見て、それで終わりにしたいのか?」
白姫「…違うよ」
魔剣士「じゃあなんだよ!」
白姫「…っ」
魔剣士「白姫……」
白姫「…」
魔剣士「…まだ、旅は始まったばっかだろ?」
白姫「…」
魔剣士「そ、そりゃさっきは"終わりは来る"といったけど、まさかこんな早く……」
白姫「…」
魔剣士「白姫、まだ旅はまだ終わってないよな!?」
白姫「…旅をしたいのは心から思ってる」
魔剣士「なら!」
白姫「…だけど、猛竜騎士さんがそういうなら…そう従うしかないのかなっても思う」
魔剣士「……は?」
白姫「…ごめんね、むちゃくちゃだよね」
魔剣士「おい…」
白姫「南方道町とかで、私の気持ちを尊重してくれてうれしかった」
魔剣士「…」
白姫「それで、魔剣士と猛竜騎士さんを見て、きっと長くて楽しい旅になるなって思ってた」
魔剣士「だったらさ…!」
白姫「だけど、地に足をつけろって言われて、夜空を見て、考えたの」
魔剣士「…っ!」
白姫「さっきも言ったけど、私はやっぱりお姫様なんだなって」
白姫「どんなにみんなに恨まれていても、お父様は私のお父様。きっと心配して色々私を戻そうとしてくれてるんだって」
白姫「そう考えたら、現実が…見えてきて……」
魔剣士「…」
魔剣士「……」
魔剣士「……つまんねぇ」ボソッ
白姫「え?」
魔剣士「面白くねぇな、オメーの夢ってその程度なのかよ」
白姫「それは…」
魔剣士「あーあ、せっかく着いてきてくれるっつってさ、オッサンも守ってくれるっつーに、これで終わり?」
白姫「…っ」
魔剣士「姫様の壮大な冒険劇は、たった1か月もたたずに港で海を見て終わりました、かよ!?」
白姫「……わ、私だって、本当は行きたいよ!」
魔剣士「だったら素直になればいいじゃねえか!」
猛竜騎士「…」
白姫「…素直になっても、無理なことだってあるんだよ!」
魔剣士「旅をしたいなら、冒険者になりたいなら、欲のままに動くんじゃねえのか!」
白姫「…そ、そんなの無理だよ!!」
魔剣士「俺にあの時、従者になって家出に付き合ってっつったオメーはどこにいったんだよ!!」
白姫「…っ!!」
魔剣士「こんな中途半端なら、最初から誘うんじゃねえよ…ッ!!」
白姫「……っ」
魔剣士「そりゃ、きっと早い段階で終わるっては思ったよ!」
魔剣士「なんとなしに、オッサンが話があるっつったのはそういうことなんかじゃねえかなとかも思ったよ!!」
魔剣士「だけど、白姫は夢を追うとかっつって、もっと一緒にいれるかなって思ったんだよ!!」
魔剣士「……世界を見るきっかけにしてっつったのは、オメーだろうが……!」
白姫「ま、魔剣士……っ」
魔剣士「…興ざめだ。面白くねぇ、くそっ!!」
白姫「…っ」
魔剣士「白姫は、しょせんはお姫様だったってのがよ~っく分かったよ……」
白姫「…」
魔剣士「所詮、お前はやっぱり籠の中の鳥……!」
白姫「!」
猛竜騎士「…っ!」
…ビュッ!バキィッ!!!
魔剣士「…がっ!?」
ズザザァッ…!!
白姫「っ!!」
魔剣士「…ッ!!」
魔剣士「い、いってぇな……!」ズキズキ…
魔剣士「ふっざけんな!!急に何しやがんだクソ野郎がぁっ!!」バッ!
猛竜騎士「……ふざけるなというのはお前だ」ギロッ
魔剣士「ッ!?」
猛竜騎士「お前の言葉は、今、彼女に言ってはならない一言だと気付かなかったのか」
魔剣士「…何!?」
猛竜騎士「籠の…なんだと?」
魔剣士「…それがなんだっつーんだよ!!」
猛竜騎士「お前は、彼女が好きでそういうことになったと思っているのか」
魔剣士「…!」
猛竜騎士「…頭を冷やせ」
魔剣士「…ッ!」
魔剣士「く、クソが……!!」バッ!
ダッ、ダダダダッ!!
ガチャッ、バタンッ……!!
白姫「あっ、魔剣士!?」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……はぁ、人が急に変われるものではないと分かっていても、つい殴っちまったな」
猛竜騎士「俺も、まだまだだ……」
白姫「も、猛竜騎士さん……」
猛竜騎士「……繰り返して言葉を放って悪かった」
猛竜騎士「ああいうことは、傷を深めるだけだと分かっていても……」
白姫「…ありがとうございます」ペコッ
猛竜騎士「…ん?」
白姫「…私のためなんですよね」
猛竜騎士「…何がだ?」
白姫「ここで戻る決心をしたこと。私のために、魔剣士を説得しようと」
猛竜騎士「あ、あぁ…。それはそうだが」
白姫「…私のせいで、魔剣士と喧嘩してしまってゴメンなさい」
猛竜騎士「…謝られる所為はないさ。むしろ、俺の切り出しが下手で魔剣士と姫様が喧嘩をさせたことを…謝りたい」
白姫「…ち、違うんです」
猛竜騎士「ん?」
白姫「やっぱり、最初から私がこういう夢を見るべきじゃなかったんです」
猛竜騎士「…自由を得たいという気持ちがあるのは普通のことだ」
白姫「そ、そうじゃなくて……」
猛竜騎士「ん…」
白姫「……なんとなしに分かっていました」
白姫「たぶん、お父様は私が望んで家出をしたら…私ごと消す気になるかもしれないと」
猛竜騎士「!」
白姫「…時々私を見つめるあなたの言葉や目は、魔剣士の心配ではなく"私の心配"でした」
猛竜騎士「…」
白姫「これ以上、私と魔剣士がいればより私にとって危険な旅になる」
白姫「そう察したあなたは、少しでも早く私を帰そうとしていた」
白姫「そうでは…ないでしょうか」
猛竜騎士「……」ハァ
猛竜騎士「……参ったな。その通りだ」
白姫「……それで、」
白姫「魔剣士はきっと、そのことを知れば"全てを守るからもっと旅に行こう"と言うでしょう」
白姫「だけど、その言葉は言わせちゃダメなんです」
猛竜騎士「…」
白姫「…私、魔剣士のあの眼差しでそう言われたら、もっと我がままになってしまうから…」ニコッ…
猛竜騎士「…」
白姫「だからせめて、私が"お城に戻ろう"と決心したつもりで話をすれば……、」
白姫「猛竜騎士さんと喧嘩にならず、これからの二人の旅に亀裂は入らない」
白姫「私が嫌われても、これから二人の旅が安泰なら…。そう思って、お話しをさせていただいたんです」
猛竜騎士「姫様…。あんたは、自分が嫌われてまで…これからの俺らの旅のことを……」
白姫「だ、だけど……!」
猛竜騎士「!」
白姫「魔剣士は、あの瞳で、私をまっすぐ見つめて、"お前の夢にもっと付き合うから"と……」
白姫「言葉は違えど、そう…語っていました。だから、私もつい大声で……っ」
白姫「……魔剣士は、本当に優しいんです……」
猛竜騎士(そりゃまぁ、アイツも好きな女の手前だもんな、退けないよなぁ……)ハァ
猛竜騎士(……)
猛竜騎士(……つーか、この姫様。俺が考える以上に他人の気持ちを想おうとし、考えている)
猛竜騎士(魔剣士に嫌われたくないはずなのに、嫌われ者になって、その先の心配までしてやがる)
猛竜騎士(……あの腐れ王から、こんな立派な姫様がなぁ。)
猛竜騎士(この姫様が王都を統治したら、もっと笑顔が溢れる国になるんだろうな……)
白姫「…っ」ブルッ…
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「…」フゥ
猛竜騎士「……姫様、アンタは立派だよ」
白姫「え…」
猛竜騎士「……魔剣士と喧嘩することはない」
猛竜騎士「あいつも、俺と一緒で超突猛進のバカだからな」
猛竜騎士「ちっとばかし頭を冷やして、戻ってきた時にはあいつから謝ってくる」
猛竜騎士「そしたら、改めて話をすりゃ…わかってくれるさ」
白姫「…はいっ」コクンッ
猛竜騎士「ふはは、本当にかわいい姫様だな…アンタは」ククク
白姫「えっ、そんな!」テレッ
猛竜騎士「くっはっはっは……」
……ガチャッ!!
ギィィ……
白姫「!」
猛竜騎士「…っと、噂をすれば戻ってきたんじゃないか?」
白姫「ま、魔剣士…!」
…………
……
…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 南 方 港 】
ガヤガヤ…!
ザワザワ、ワイワイ……!!
魔剣士「つ……っ」
白姫「ついた~~っ!!」
猛竜騎士「相変わらず人が多いな、ここは」
ワイワイ…!
冒険者たち「…で、うん」
観光客たち「私ね、それで…」
ガヤガヤ…!
――――南方港。
中央大地、セントラルの南側に位置する巨大な港である。
漁業が盛んで、観光客も多く、
世界中の港へと向かう船などが多く入港、帰港している。
白姫「こ、ここが港なんですね!?」
猛竜騎士「その通り。海も広がっているのが見えると思うが、そこに浮いているのが"大型船"ってやつだ」
白姫「おおがたせん…。船、ですか?」
猛竜騎士「うむ。あれで、世界中へ旅立つのさ」
白姫「へぇ~…!」
魔剣士「さすが、冒険者たちの姿も多いな…」キョロキョロ
魔剣士「腕の立ちそうな奴らも多いし、世界へ渡るためのゲートって感じがヤベェな……」ゾクゾク…
猛竜騎士「ここは観光客も多く、アトラクションっつー遊戯施設も多い」
猛竜騎士「今日はここの宿へ宿泊すっから、この港で遊んでいくか」
白姫「う、海で遊べるんですか!?」
猛竜騎士「レジャー系の施設だがな」
猛竜騎士「釣りやバーベキュー、世界中から集まる珍しいアイテムなんかも置いている」
猛竜騎士「……ちっと肌寒いからまだ海に入るのは難しいが、それでも」
…キャー!
魔剣士「白姫、見ろ!なんだこのデッカイ魚!?」
白姫「わ、わわわっ!動いてるよ!?」
海辺商人「はっはっは、お目が高い!」
猛竜騎士「ブレねーな、オメーら。話聞けや」
魔剣士「…あっ、悪い悪い!」ハハハ
猛竜騎士「あとでたっぷり見せてやるから、まずは宿にいって荷物おろすぞ」クイッ
魔剣士「へいよ」
白姫「はーいっ♪」
猛竜騎士「…それで、今日の遊びの前にお前らに話がある。」
猛竜騎士「宿の中で、落ち着いたら…よく聞いてもらうからな」
魔剣士「…ん?」
白姫「は、はい…?」
………
…
…
………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 少しして 宿の中 】
……ボスンッ!
魔剣士「…ふぅおおっ!久々だぜ、こういうベッド!」
白姫「私は野宿も楽しかったけどな~」
魔剣士「…あの周辺はデカイ蛾が出るから嫌だわ」
白姫「魔剣士ってば、苦手だもんね」クスクス
魔剣士「うっせ!」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……さて、二人とも。宿についたし、話をしたいんだがいいか?」
魔剣士「ん、そういや何か話があるっつってたな」
白姫「どうしたんですか?」
猛竜騎士は二人を一度座らせ、
大きく息を吐いたのち、「あのこと」についてしゃべり始めた。
猛竜騎士「……フゥ」
猛竜騎士「……単刀直入に言おう」
猛竜騎士「姫様、君はここに着いて海を見るという一旦の目的は果たされただろう?」
白姫「あ、はい…」
猛竜騎士「…だから、旅は終わりにしないか」
白姫「!」
魔剣士「!?」
猛竜騎士「二人とも、さっきの海の見えた丘で話をしたし分かっているだろう?」
猛竜騎士「姫様は、姫様なんだ」
白姫「…っ」
魔剣士「……ま、まだ旅は始まったばかりだぞ!?」
猛竜騎士「始まったばかりとか、そういう問題じゃない。」
猛竜騎士「確かに、お前にとっては"物語の始まりだ"と感じたかもしれん」
猛竜騎士「実際、俺が教えてやるとか言われて、長い旅になるのではないかと感じたかもしれない……が、」
猛竜騎士「俺なりに考え、これ以上の姫様との旅は危険だと感じたんだ」
魔剣士「…危険なのは前からだろうが!」
猛竜騎士「…そういう危険ではないんだ」
魔剣士「は…?」
猛竜騎士「姫様はな……」
白姫「…待ってください!猛竜騎士さん!」バッ!
猛竜騎士「む…」
白姫「……いいんです」
猛竜騎士「姫様?」
魔剣士「い、いいって何がだよ!」
白姫「…」
魔剣士「なんだよ、港に来て海を見て、それで終わりにしたいのか?」
白姫「…違うよ」
魔剣士「じゃあなんだよ!」
白姫「…っ」
魔剣士「白姫……」
白姫「…」
魔剣士「…まだ、旅は始まったばっかだろ?」
白姫「…」
魔剣士「そ、そりゃさっきは"終わりは来る"といったけど、まさかこんな早く……」
白姫「…」
魔剣士「白姫、まだ旅はまだ終わってないよな!?」
白姫「…旅をしたいのは心から思ってる」
魔剣士「なら!」
白姫「…だけど、猛竜騎士さんがそういうなら…そう従うしかないのかなっても思う」
魔剣士「……は?」
白姫「…ごめんね、むちゃくちゃだよね」
魔剣士「おい…」
白姫「南方道町とかで、私の気持ちを尊重してくれてうれしかった」
魔剣士「…」
白姫「それで、魔剣士と猛竜騎士さんを見て、きっと長くて楽しい旅になるなって思ってた」
魔剣士「だったらさ…!」
白姫「だけど、地に足をつけろって言われて、夜空を見て、考えたの」
魔剣士「…っ!」
白姫「さっきも言ったけど、私はやっぱりお姫様なんだなって」
白姫「どんなにみんなに恨まれていても、お父様は私のお父様。きっと心配して色々私を戻そうとしてくれてるんだって」
白姫「そう考えたら、現実が…見えてきて……」
魔剣士「…」
魔剣士「……」
魔剣士「……つまんねぇ」ボソッ
白姫「え?」
魔剣士「面白くねぇな、オメーの夢ってその程度なのかよ」
白姫「それは…」
魔剣士「あーあ、せっかく着いてきてくれるっつってさ、オッサンも守ってくれるっつーに、これで終わり?」
白姫「…っ」
魔剣士「姫様の壮大な冒険劇は、たった1か月もたたずに港で海を見て終わりました、かよ!?」
白姫「……わ、私だって、本当は行きたいよ!」
魔剣士「だったら素直になればいいじゃねえか!」
猛竜騎士「…」
白姫「…素直になっても、無理なことだってあるんだよ!」
魔剣士「旅をしたいなら、冒険者になりたいなら、欲のままに動くんじゃねえのか!」
白姫「…そ、そんなの無理だよ!!」
魔剣士「俺にあの時、従者になって家出に付き合ってっつったオメーはどこにいったんだよ!!」
白姫「…っ!!」
魔剣士「こんな中途半端なら、最初から誘うんじゃねえよ…ッ!!」
白姫「……っ」
魔剣士「そりゃ、きっと早い段階で終わるっては思ったよ!」
魔剣士「なんとなしに、オッサンが話があるっつったのはそういうことなんかじゃねえかなとかも思ったよ!!」
魔剣士「だけど、白姫は夢を追うとかっつって、もっと一緒にいれるかなって思ったんだよ!!」
魔剣士「……世界を見るきっかけにしてっつったのは、オメーだろうが……!」
白姫「ま、魔剣士……っ」
魔剣士「…興ざめだ。面白くねぇ、くそっ!!」
白姫「…っ」
魔剣士「白姫は、しょせんはお姫様だったってのがよ~っく分かったよ……」
白姫「…」
魔剣士「所詮、お前はやっぱり籠の中の鳥……!」
白姫「!」
猛竜騎士「…っ!」
…ビュッ!バキィッ!!!
魔剣士「…がっ!?」
ズザザァッ…!!
白姫「っ!!」
魔剣士「…ッ!!」
魔剣士「い、いってぇな……!」ズキズキ…
魔剣士「ふっざけんな!!急に何しやがんだクソ野郎がぁっ!!」バッ!
猛竜騎士「……ふざけるなというのはお前だ」ギロッ
魔剣士「ッ!?」
猛竜騎士「お前の言葉は、今、彼女に言ってはならない一言だと気付かなかったのか」
魔剣士「…何!?」
猛竜騎士「籠の…なんだと?」
魔剣士「…それがなんだっつーんだよ!!」
猛竜騎士「お前は、彼女が好きでそういうことになったと思っているのか」
魔剣士「…!」
猛竜騎士「…頭を冷やせ」
魔剣士「…ッ!」
魔剣士「く、クソが……!!」バッ!
ダッ、ダダダダッ!!
ガチャッ、バタンッ……!!
白姫「あっ、魔剣士!?」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……はぁ、人が急に変われるものではないと分かっていても、つい殴っちまったな」
猛竜騎士「俺も、まだまだだ……」
白姫「も、猛竜騎士さん……」
猛竜騎士「……繰り返して言葉を放って悪かった」
猛竜騎士「ああいうことは、傷を深めるだけだと分かっていても……」
白姫「…ありがとうございます」ペコッ
猛竜騎士「…ん?」
白姫「…私のためなんですよね」
猛竜騎士「…何がだ?」
白姫「ここで戻る決心をしたこと。私のために、魔剣士を説得しようと」
猛竜騎士「あ、あぁ…。それはそうだが」
白姫「…私のせいで、魔剣士と喧嘩してしまってゴメンなさい」
猛竜騎士「…謝られる所為はないさ。むしろ、俺の切り出しが下手で魔剣士と姫様が喧嘩をさせたことを…謝りたい」
白姫「…ち、違うんです」
猛竜騎士「ん?」
白姫「やっぱり、最初から私がこういう夢を見るべきじゃなかったんです」
猛竜騎士「…自由を得たいという気持ちがあるのは普通のことだ」
白姫「そ、そうじゃなくて……」
猛竜騎士「ん…」
白姫「……なんとなしに分かっていました」
白姫「たぶん、お父様は私が望んで家出をしたら…私ごと消す気になるかもしれないと」
猛竜騎士「!」
白姫「…時々私を見つめるあなたの言葉や目は、魔剣士の心配ではなく"私の心配"でした」
猛竜騎士「…」
白姫「これ以上、私と魔剣士がいればより私にとって危険な旅になる」
白姫「そう察したあなたは、少しでも早く私を帰そうとしていた」
白姫「そうでは…ないでしょうか」
猛竜騎士「……」ハァ
猛竜騎士「……参ったな。その通りだ」
白姫「……それで、」
白姫「魔剣士はきっと、そのことを知れば"全てを守るからもっと旅に行こう"と言うでしょう」
白姫「だけど、その言葉は言わせちゃダメなんです」
猛竜騎士「…」
白姫「…私、魔剣士のあの眼差しでそう言われたら、もっと我がままになってしまうから…」ニコッ…
猛竜騎士「…」
白姫「だからせめて、私が"お城に戻ろう"と決心したつもりで話をすれば……、」
白姫「猛竜騎士さんと喧嘩にならず、これからの二人の旅に亀裂は入らない」
白姫「私が嫌われても、これから二人の旅が安泰なら…。そう思って、お話しをさせていただいたんです」
猛竜騎士「姫様…。あんたは、自分が嫌われてまで…これからの俺らの旅のことを……」
白姫「だ、だけど……!」
猛竜騎士「!」
白姫「魔剣士は、あの瞳で、私をまっすぐ見つめて、"お前の夢にもっと付き合うから"と……」
白姫「言葉は違えど、そう…語っていました。だから、私もつい大声で……っ」
白姫「……魔剣士は、本当に優しいんです……」
猛竜騎士(そりゃまぁ、アイツも好きな女の手前だもんな、退けないよなぁ……)ハァ
猛竜騎士(……)
猛竜騎士(……つーか、この姫様。俺が考える以上に他人の気持ちを想おうとし、考えている)
猛竜騎士(魔剣士に嫌われたくないはずなのに、嫌われ者になって、その先の心配までしてやがる)
猛竜騎士(……あの腐れ王から、こんな立派な姫様がなぁ。)
猛竜騎士(この姫様が王都を統治したら、もっと笑顔が溢れる国になるんだろうな……)
白姫「…っ」ブルッ…
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「…」フゥ
猛竜騎士「……姫様、アンタは立派だよ」
白姫「え…」
猛竜騎士「……魔剣士と喧嘩することはない」
猛竜騎士「あいつも、俺と一緒で超突猛進のバカだからな」
猛竜騎士「ちっとばかし頭を冷やして、戻ってきた時にはあいつから謝ってくる」
猛竜騎士「そしたら、改めて話をすりゃ…わかってくれるさ」
白姫「…はいっ」コクンッ
猛竜騎士「ふはは、本当にかわいい姫様だな…アンタは」ククク
白姫「えっ、そんな!」テレッ
猛竜騎士「くっはっはっは……」
……ガチャッ!!
ギィィ……
白姫「!」
猛竜騎士「…っと、噂をすれば戻ってきたんじゃないか?」
白姫「ま、魔剣士…!」
…………
……
…
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる