魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第五章【西方大地】

5-3 強がり

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……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 西方大地 大森林 】


……そして、感動の一歩から約2時間後。

白姫「…」ゼェゼェ
魔剣士「…」ハァハァ…
猛竜騎士「…」キョロキョロ
ザッ…ザッ……
白姫「あ、暑い…ですね……」ゼェゼェ
魔剣士「蒸し風呂みてぇだ…。荷物も重いし、歩きにけぇ……」ハァハァ…
猛竜騎士「門からだいぶ離れたし、舗装ルートからなくなり、道なき道を進んでいるからな」
魔剣士「…ッ」
猛竜騎士「さっきからザワザワとする声や気配、獣の叫び声が近くなっているのが分かるだろ?」

西方大地は自然の土地。
町や点々とする村の付近では舗装道も展開していたが、
既に辺りの道は荒れ、動物の声や植物のざわめきが支配を始めていた。
つまり、獣道や道なき道を自らの脚で踏みしめ、道を作って進まねばならないということだ。

白姫「全然歩いてないのに、脚が…重い……っ」
魔剣士「あぁ…。思ったより、辛いぞこりゃ……」ハァハァ…!
猛竜騎士「ほらほら、がんばれ~」
ザッザッザッ……
猛竜騎士「お前が鍛錬をしていた、迷いの森の数百倍広く、棲みつく魔物も数知れず」
猛竜騎士「まだまだ序の口だ、本当の恐怖はこれからだぞ」

白姫「ただ歩いている私が辛いのに、魔剣士は…」チラッ
魔剣士「山のような本を持って…、殺す気かクソジジィ……!」ギリギリ…
猛竜騎士「今回は食料のように減らないぞー。重いのが嫌なら、重さに慣れるしかないな」
魔剣士「筋力バカになる気は…ねぇんだが……っ!」ググッ
白姫「わ、私も少し持とうか…?」
魔剣士「バッカ野郎、お前に持たせるほどには…情けなくねぇよ……っ!」ハァハァ!
白姫「で、でも……」

白姫はまだしも、
魔剣士は100冊にも及ぶ超重量級の本を背負っており、たまったものではない。
いつもの強気のまま進む魔剣士だったが、
白姫の言葉に、つい強がりがに出た魔剣士。
"それは"意外と早くやってきた……。

魔剣士「余裕だ…っつってんだ……ろうがああっ!!」ダッ!
ダダダダダッ…!!

白姫「あっ、魔剣士!」
猛竜騎士「…」
白姫「やっぱり、魔剣士は力持ちなんだね~…」
猛竜騎士「前の時は余裕もあっただろうが、今回は本当に強がりだな」
白姫「え?」
猛竜騎士「見てろ、たぶんな……」

ダダダダッ…!!
魔剣士「ぬぅぅおおおおっ!!」
ダダダダダダダダッ……!!
魔剣士「ぬぅぅおおっ……!」
ダダダッ……
魔剣士「ぬぅ…おぉ……」
ダダッ…
魔剣士「ぬぅ……」
トコトコ…
魔剣士「ぬっ…」
フラッ…
魔剣士「」
……ドシャッ!コテンッ……

白姫「…あっ!?」
猛竜騎士「はい、ダウーン。時間はえーと……2時間くらいか」
白姫「!」
猛竜騎士「白姫、あいつがダウンした場所でちょっと休憩だ」
白姫「は、はいっ」
猛竜騎士「…あの程度の重さで2時間ちょいとじゃ、まだまだだねぇ」ククク
白姫「ま、まだまだですか…」

…………
……



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 少しして 】

…パチッ
魔剣士「んにゃ……」
白姫「…あっ、おはよう魔剣士♪」


強がりで倒れた魔剣士は、10分程だったのちに目を覚ました。


魔剣士「ん…」
白姫「…大丈夫?」

魔剣士「ここは……」
魔剣士「…」
魔剣士「……って、お前の膝の上ぇっ!?」バッ!

白姫「そ、その辺に寝転がせておくのはダメだと思ったから…」
魔剣士「そ、そうか!すまん……」
白姫「ううん」
魔剣士「……くっそ、倒れてたのか」
白姫「うん…。見事にこてーんって……」
魔剣士「情けねぇ…。って、オッサンはどこだ?」キョロキョロ
白姫「えっとね、今……」

ガサガサッ!

…ヌッ
猛竜騎士「お、目が覚めたか」


木々の茂みの中から、猛竜騎士が両手に枝を持って現れた。
それを、有無もいわず二人へとポイポイと投げ渡した。


魔剣士「オッサン……」
猛竜騎士「……ほれ、水分補給をしろ」
…ポイッ
魔剣士「ん…」パシッ
白姫「わわっ?」パシッ
魔剣士「……んだこれ、ツタか?」
白姫「こ、これで水分補給ですか?」
猛竜騎士「キャッツクローっつぅ木の枝でな。それを上に向けて下で口を開いてみろ」
魔剣士「…こうか」ンガー…
……ポタッ、ポタタッ
魔剣士「……んぐっ!?」ゴクンッ
白姫「み、みふがれてきまひはっ!」コクンコクン!
(み、水が出てきました!)

猛竜騎士「周辺に川もなかったからな、それで水分補給しとけ」
魔剣士「……んぐっ、ぷはっ!」
猛竜騎士「中々いけるだろ?」
魔剣士「…はぁ~水がうめぇ!しかしオッサン、変な知識持ってるんだなぁ」
猛竜騎士「冒険者として当然だ」
魔剣士「そうか…」
猛竜騎士「少し休憩したら、また歩くぞ」

魔剣士「…」
魔剣士「……ってか、なんでわざわざ木で水分補給なんだ?」

猛竜騎士「ん?」
魔剣士「魔法で俺は水流魔法も使えるし、それでいいじゃねえか」パァァ
…ジャバァッ!
魔剣士「ほれ、水魔法がどぶどぶでるし」
猛竜騎士「…」
魔剣士「オッサンも使えるだろ?」
猛竜騎士「…あのな、魔法は無造作じゃねえんだ。魔力と体力は限りあるもんなんだぞ」
魔剣士「む…」

猛竜騎士「属性の魔法はその土地にある大気にある影響を強く受ける」
猛竜騎士「水気が近い場所は水属性も強く、それこそ楽に出せるが、こういった場所では魔力を多く使うことになる」
猛竜騎士「つまり、より魔力を失い、結果的に水を得るよりも体力を消耗するっつーことになるんだよ」


魔法の特性の1つとして、その土地の属性を強く受けやすい点がある。
水気のある場所では水魔法が扱いやすく、炎が近くにあれば火魔法を発動しやすい。
こういった森の中では、
木々に含まれる水分によって水魔法は出しやすいといえば出しやすいのだが、
どうしても魔力の消耗も増え、結果、猛竜騎士の言う通り体力の消耗が激しくなるのだ。

大自然の中で生きる以上、魔力と体力は無造作ではなく、
休める時に休め、温存できる時は出来る限り温存するのが鉄則である。

今回の場合、魔剣士は大量の本を背負うことでただでさえ体力を消費することを前提に動いているため、
猛竜騎士としては余計な消費をさせたくなかったということだろう。


魔剣士「体力の消費が上か…。そ、そうか……」
白姫「そうだったんですかぁ…」コクコク
魔剣士「…って、お前まだ飲んでるの!?」
白姫「なんか、私の木にはいっぱい水が含んでてっ」クピクピ
猛竜騎士「サービスだ」キリッ
魔剣士「」
白姫「わぁい♪」

猛竜騎士「っつーのは冗談で、白姫はこういう道を歩きなれていない以上、余計に水分を補充しとく必要があるからな」
猛竜騎士「喉が渇いた時には、既に脱水症状は始まっている…」
猛竜騎士「そうならないためにも、どんどん飲んでおけ」

魔剣士「…なるほどな。癪だが、オッサンに従うしかねーか」フン
猛竜騎士「癪ってなんだ貴様、ここに置き去りにするぞ」
魔剣士「おい」
白姫「…ぷはっ。ごちそうさまでしたっ」

猛竜騎士「お、飲み終わったな…」
猛竜騎士「それじゃ、出発すんぞー」クイッ

魔剣士「……また荷物背負うのか、クソったれ」
魔剣士「仕方ねーが……」グイッ
……ズシンッ!!
魔剣士「……ぐっ!?」

白姫「ま、魔剣士?」
魔剣士「……な、なんでもねーよ、それより出発だろ?」
白姫「う、うん」
魔剣士「ほれ、オッサン!余裕だぜ、行こうぜ!」ググッ…

猛竜騎士(…一旦休憩したあとの負担は、休憩前と比べて余計に辛くなるんだよな)
猛竜騎士(この状況で、おそらくそれほど長くはもたないだろう…。)
猛竜騎士(魔剣士が荷物に慣れ、本当の余裕になるのはどれくらいかかるかな……と)

…………
……


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