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第五章【西方大地】
5-4 成長の糧、罪と罰
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…
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――出発から更に6時間程経ち……
魔剣士「あ、足が……動かね……」フラッ
白姫「!」
猛竜騎士「……出発してから5.6時間。そろそろ限界か」
魔剣士「ぐっ…!くっそ……!」
ヨロッ…ズズゥン……!
魔剣士「はっ、はぁ……っ!はぁ……!!」
魔剣士「ぜぇ…ぜぇ…!」
魔剣士「はぁ…はぁ……っ!まだ明るいだっつーに……!」ゼェゼェ
猛竜騎士「はい、今日の行進はここまでな」
魔剣士「…は?」ハァ…ハァ…
猛竜騎士「もう14…15時だ。そろそろ寝床と飯の確保だけで夜になるからな」
魔剣士「い、いやいや。まだ少し休めば!」
猛竜騎士「無茶言うな。今日はもう進まないぞ」
魔剣士「…っ」
猛竜騎士「それに……」チラッ
魔剣士「ん…」
白姫「…っ」ハァ…ハァ……
猛竜騎士「お前と同じで、白姫も限界だ。無茶をし過ぎず今日はここで休憩な」
魔剣士「……そうか」
猛竜騎士「さて、それじゃ先にどうするかなー……」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……おっ」
…ガサッ!…
魔剣士「ん…?」
白姫「草の音…?」
…ザッ
カトブレパス『…!』ハッ
猛竜騎士「…んあ、カトブレパスか」
魔剣士「敵か!?」バッ!
白姫「敵っていうか、首の長い牛さんみたい……?」
カトブレパス『……ッ!』ギロッ
猛竜騎士「姫様、そのとーり」
猛竜騎士「魔牛といったところかな、ちーっとばかし面倒な相手だが」
魔剣士「…向こうはやる気のようだぜ」
カトブレパス『ブルッ……!』ググッ
猛竜騎士「…魔剣士、倒せるか?」
魔剣士「牛の一匹くらい、余裕に決まってるだろうが」ククク
猛竜騎士「ならやってみな。ちなみにだが……」
魔剣士「うるせぇ、俺に任せろ余裕だっつーの!」チャキンッ!
猛竜騎士(…おいおい)
白姫「が、頑張って!」
魔剣士(…足は痛いが、あのクソ重てぇ本がなけりゃ戦える)
魔剣士(クソ牛が、今日の晩飯はステーキだな!)
カトブレパス『…』グググッ…!
ダッ、ダダダダッ!!!
魔剣士「その長い首、落としてやるぜぇぇっ!!」ググッ!
魔剣士「魔法を使うまででもねぇ、そのクビ…刎ねてやるっ!!」ブンッ!
…ビュオッ!!
猛竜騎士(…)フッ
白姫「がんばれーっ!!」
――――カトブレパス。
牛のような体を持ち、長い首、豚のような頭を持つ魔獣の一種である。
見た目とは裏腹に、意外にも大人しい性格に加え、特別な能力も持たない。
だが、それは普段のことであって"繁殖期"はその類ではなく、非常に攻撃的になる。
無論、"魔獣"と分類されるのは、その能力からである。
一見弱点に見える"長い首"だが、それは――――……
魔剣士「うおりゃああっ!!」
…ビュォォォッ!!!
カトブレパス『…ッ!!』
魔剣士(……余裕だ、殺った!)
カトブレパス『…』
カトブレパス『……ガァァァッ!!!』ブバッ!
魔剣士「はっ!?」
…ブバッ、ベチャアッ!!!
魔剣士「ぶへぇーーーっ!?」
――…その首は、即効性のある毒生成するものである…――
白姫「う、牛さんが何か吐いたー!?」
猛竜騎士「長い首が弱点と思って落としにいくと、ああなるんだなぁ……」ハハハ
カトブレパス『…ブルルッ!』
魔剣士「ぺっぺっ!なんじゃこりゃ、きったね……」
魔剣士「……ぐっ!?」ドクンッ!!
猛竜騎士「気をつけろよー。カトブレパスは、毒を吐くからな」ケラケラ
白姫「えぇぇぇっ!?」
魔剣士「お、おっせ……!げほっ!!」ゴホッ!
カトブレパス『…ブルッ!!』ググッ
ダダダダッ!!
白姫「…あっ、魔剣士!!」
猛竜騎士「はい、負けー」
……ドゴォオンッ!!
魔剣士「がっ…!」
カトブレパス『…ッ!』
魔剣士「いっ……てっ……」フラッ
カトブレパス『…ッ』
魔剣士「うそ…だ…ろ……」
…ドシャアッ!!
白姫「ま、魔剣士!!」
猛竜騎士「油断すっからだ、バカめが」
カトブレパス『…』ギロッ
白姫「こ、こっち見たー!?」
猛竜騎士「…はっはっは、今日の晩飯はステーキか」チャキンッ
カトブレパス『…ッ』ググッ
猛竜騎士「……サクっと、終わらせようか」チャキンッ
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 1時間後 】
魔剣士「……っつつ」ムクッ
白姫「あ…!魔剣士、大丈夫!?」
猛竜騎士「お前は気絶するのが好きだなー」
魔剣士「くっ……」クラクラ
猛竜騎士「お前が寝ている間に、魔水牛の血抜きはすませといたぞ」
猛竜騎士「キャットツリーも集めたし、俺ぁ少し休憩だ」
魔剣士「…っ!」
魔剣士「……お、おいオッサン!」
猛竜騎士「ん?」
魔剣士「アンタな、毒持ちとか最初に教えてくれりゃいいじゃねえか!」
猛竜騎士「知るか」
魔剣士「し、知るかってな!?」
猛竜騎士「じゃあお前は、敵に対して"必殺技を教えてください"って言うのか?」
魔剣士「うっ…」
猛竜騎士「それに、説明する前にお前が"余裕だ"といったから任せたんだ」
魔剣士「そ、それは……」
猛竜騎士「それは…じゃないだろ。言い訳するな、自分の身勝手な行動で勝手に倒れたんだろうが」
魔剣士「…っ」
猛竜騎士「……で?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「それ以上は言葉がないのか?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「魔剣士」
魔剣士「……悪かったよ」
猛竜騎士「…ほう」
魔剣士「迷惑…かけた。勝手にやって、世話…かけてすまん……とかか……」
猛竜騎士「……よくできました」ニカー
…ポンポン
魔剣士「なっ……!」
魔剣士「あ、頭ぽんぽんすんじゃねーーー!!」バッ!
白姫「…」ジー
猛竜騎士「……白姫にもやってやろうか?」
白姫「い、いえっ!」
猛竜騎士「いや、ポンポンをしてやることを今から君にもやってもらうけどな」
白姫「えっ?」
猛竜騎士「……これを持て」スッ
白姫「こ、これは……」
…キランッ
魔剣士「ほ……」
白姫「包丁、ですか……?」
猛竜騎士「ちっとした特注品でな、スパスパ切れるから気をつけろよ」
猛竜騎士「俺は寝てるから、そこの水牛を手足、頭、内臓を全部取り出して捌いてくれ」
白姫「え…」
魔剣士「は…?」
猛竜騎士「内臓は食えないことはないが、処理が面倒だから地中深く埋めてくれ」
猛竜騎士「臭いにつられて、他の獣が来ると厄介だからな」
猛竜騎士「んじゃ、俺も少し休憩しつつ本を読んでるからヨロシク」
白姫「わ、私が…捌くんですか……?」
魔剣士「いやいやいや、無理だろ!?」
猛竜騎士「何が?」
魔剣士「な、何がって!」
猛竜騎士「あぁ、それなら魔剣士がどこから切りいれるか指南してやってくれ。」
魔剣士「へ…」
猛竜騎士「獣のバラしくらい方くらいなら分かるだろ?切るのは姫様に全部やらせてくれ」
魔剣士「い、いやいや。そういうことじゃなくてな」
猛竜騎士「……じゃあ、なんだ?」ギロッ
魔剣士「!」ビクッ
猛竜騎士「俺はもう、ただの保護者としているんじゃないぞ……?」
猛竜騎士「お前らが生きていけるように、冒険者として、逃亡者として、成長させるためにいるんだ……」
猛竜騎士「これくらい出来なければ、俺はお前らを見捨てるからな」
魔剣士「…だ、だけどそんないきなり!」
猛竜騎士「ははぁ、突然って言葉は"突然"くるから"突然"だというのも分からないのか」
魔剣士「!」
猛竜騎士「……わりぃが、従えないなら本気で見捨てるぞ」
魔剣士「…っ!」
猛竜騎士「いつまでもガキのままじゃ困るんだ。生きたいなら、それ相応の経験はしてもらうからな」
魔剣士「お、オッサン……!」
白姫「…っ」
白姫「……ま、待って魔剣士!」
魔剣士「!」
白姫「魔剣士、私…頑張るから……」
魔剣士「白姫…」
白姫「猛竜騎士さんがそういうなら、きっと大事なことなんだと思うから……」
白姫「が、頑張るから!」
白姫「だから、ね…………」
魔剣士「…」
猛竜騎士「もう16時過ぎか。暗くなると魔獣も増えるし、早くしろよー」フリフリ
白姫「……は、はいっ!」ブルッ…
魔剣士「…分かったよ」
白姫「魔剣士、どうしたらいいか……教えて……っ」
魔剣士「…あぁ」
魔剣士「まず、皮を剥ぐんだ……」
白姫「…っ!」
魔剣士「その後の内臓を取るのは面倒だが、血抜きが終わってるようだし血はさほど出ないだろう……」
白姫「わ、わかった……」ブルッ…
ザクッ……ビリッ…………
猛竜騎士(…)
猛竜騎士(……ほう、この魔導書は中々使えそうだ)ペラッ…
……………
………
…
…
………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 2時間後 】
…ヘナヘナッ
白姫「…ッ」ペタンッ
魔剣士「…ご苦労さん。これで完了だ」
白姫「で、出来た……」
魔剣士「お前は元々、虫とか平気だったし…意外と順応できるのかもな」
白姫「できた…」グスッ…
魔剣士「…」
白姫「ごめんなさい、牛さん……」グスッ……
白姫「痛かった…よね……」
魔剣士「……ん、そういや白姫」
白姫「なぁに…?」ゴシゴシッ
魔剣士「お前、出会った時はアカノミが生るもんだって知らなかったよな?」
白姫「うんっ…?」
魔剣士「なのに、こういうのが"肉"になるっていうのは知ってたのか?」
白姫「あ、それは……」
白姫「城内で豚さんを飼ってて、それが次の日にいなくなって、兵士長聞いたら……」
白姫「"あなたが昨晩食べたんですよ"って言われて、泣いちゃって……」
白姫「その時に、兵士長が色々教えてくれてたから……」
白姫「アカノミは、泥のついたものとか王城じゃ絶対に出さなかったし、それで知らなかったの」
魔剣士「あー…」
…トコトコ
猛竜騎士「お、見事に捌けたな」
猛竜騎士「ご苦労さん。大変だったろうが、よくやってくれた」ニコッ
白姫「…はいっ」
猛竜騎士「さて、串刺しにして焼くのは枝を使ってステーキ串にするが、焼けるまで時間かかるし…」
猛竜騎士「持ってきた本で、さっそく勉強タイムといこうか」
魔剣士「いっ…!?」
白姫「お勉強ですかっ!」
猛竜騎士「たき火で肉を焼きつつ、その明かりで勉強すんぞ」
魔剣士「……ちょっと、俺は用事が」クルッ
猛竜騎士「いいぞ、肉は食わせないけどな」ボソッ
魔剣士「…なぬ」
猛竜騎士「はい、座って。お勉強ターイム」パチンッ
魔剣士「ここが地獄の三丁目かよ……」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 しばらくして 】
ゴォォ…パチパチッ……
ジュワジュワッ……
魔剣士「…」ブツブツ
魔剣士「……そ、そろそろ肉が焼けたぞ終わりにしようぜ!」
猛竜騎士「はい、じゃあ今日の復習な」
魔剣士「…」
白姫「はいっ」
猛竜騎士「この世界の形成されている、大部分の大地について、魔剣士」
魔剣士「…東方大地、南方大地、西方大地、北方大地の4つとセントラル王国が束ねる中央大地の5つ」
猛竜騎士「姫様、それぞれの特徴は?」
白姫「え、えっと……!」
――――東方大地
山々が険しくそびえ、動植物が非常に少ない荒れた大地。
人口が少なく、非常に治安が悪いことでも有名。
別名"灰の大地"
――――西方大地
鬱蒼な大森林、大自然が占める、全ての生き物にとっての生きる大地。
また、大自然による素材が豊富で、自然の中には点々と隠れ里と呼ばれる住処などもある。
別名"緑の大地"
――――南方大地
大海に浮かぶ島々で形成されており、大地と呼ぶには少々相応しくない。
熱い太陽の下で、砂漠化しつつある土地も多い。
別名"赤の大地"
――――北方大地
北側に位置する、突き刺さるような寒さと氷山で形成されている。
氷のマグマとも呼ばれる氷岩(ひょうがん)などもある。
別名"白の大地"
――――中央大地
東西南北の大地、全ての中心に位置している。
世界に誇る王都"セントラル王国"があり、他の大地と比べると人口率が高め。
別名"都の大地"
白姫「……ですっ!」
猛竜騎士「……うむ、せーかい」
猛竜騎士「土地柄を理解することは冒険者として当たり前だ。勉強は毎回毎回するからな」
白姫「はいっ!」
猛竜騎士「……それでは!お待ちかね、ディナータイムだ!」
白姫「はーいっ!」
猛竜騎士「ステーキは焼けたかなー……」チラッ
魔剣士「…」モグモグ
猛竜騎士「…」
魔剣士「…」モグモグ
猛竜騎士「…」
魔剣士「…」ゲフッ
猛竜騎士「はええよっ!」
白姫「魔剣士ってば、いつの間に……」
魔剣士「…」
魔剣士「…」
魔剣士「……う、うめぇぇぇええっ!?」ビクビクッ!
魔剣士「なんだこの肉、クソうめぇ!!」
魔剣士「やべぇ、脂乗ってて、こんな旨いの初めてだっ!!」
白姫「そ、そんなに!?」
魔剣士「やばいぞ、早く食ってみろ!」
白姫「う、うんっ!」
魔剣士「ほれっ、こことか焼けてるぞ!」モゾッ
…スッ
白姫「あ、あちち……」
猛竜騎士「…ったく、忙しすぎるぞ」
魔剣士「ほれ、早く食ってみろ……」
白姫「うんっ!いただきます……」ペコッ
白姫「…」ハムッ!
白姫「…!」ジュワッ…
魔剣士「…ど、どうだ!うめぇだろ!?」
白姫「…」
白姫「……ひら、あけほひは……」クスン
(舌、やけどした……)
猛竜騎士「」
魔剣士「な、なにーーーっ!?」
魔剣士「ひ、ヒール!ヒール!!」パァァッ!
白姫「あ、あふかはっはへほ、おひひぃっ!」
魔剣士「いいからちょっと舌出せ、治すから!」
白姫「ら、らいひょうふはほ、ほへふはいっ!」
魔剣士「大丈夫じゃねーからっ!!」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……全く、こいつらは」ハハハ…
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
三人は食事後、疲労からあっという間に眠りへと落ちていった。
無論、猛竜騎士は幾度か目覚め、近寄る魔物を静かに追い払っていたのだが……。
そしてそれから数時間後。
鳥の鳴き声とともに目覚めた三人。
疲労が回復しているわけでもなかったものの、
歩くことしかないと理解している魔剣士と白姫は、
重い脚をあげて猛竜騎士とともに道なき道を突き進む……
……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――出発から更に6時間程経ち……
魔剣士「あ、足が……動かね……」フラッ
白姫「!」
猛竜騎士「……出発してから5.6時間。そろそろ限界か」
魔剣士「ぐっ…!くっそ……!」
ヨロッ…ズズゥン……!
魔剣士「はっ、はぁ……っ!はぁ……!!」
魔剣士「ぜぇ…ぜぇ…!」
魔剣士「はぁ…はぁ……っ!まだ明るいだっつーに……!」ゼェゼェ
猛竜騎士「はい、今日の行進はここまでな」
魔剣士「…は?」ハァ…ハァ…
猛竜騎士「もう14…15時だ。そろそろ寝床と飯の確保だけで夜になるからな」
魔剣士「い、いやいや。まだ少し休めば!」
猛竜騎士「無茶言うな。今日はもう進まないぞ」
魔剣士「…っ」
猛竜騎士「それに……」チラッ
魔剣士「ん…」
白姫「…っ」ハァ…ハァ……
猛竜騎士「お前と同じで、白姫も限界だ。無茶をし過ぎず今日はここで休憩な」
魔剣士「……そうか」
猛竜騎士「さて、それじゃ先にどうするかなー……」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……おっ」
…ガサッ!…
魔剣士「ん…?」
白姫「草の音…?」
…ザッ
カトブレパス『…!』ハッ
猛竜騎士「…んあ、カトブレパスか」
魔剣士「敵か!?」バッ!
白姫「敵っていうか、首の長い牛さんみたい……?」
カトブレパス『……ッ!』ギロッ
猛竜騎士「姫様、そのとーり」
猛竜騎士「魔牛といったところかな、ちーっとばかし面倒な相手だが」
魔剣士「…向こうはやる気のようだぜ」
カトブレパス『ブルッ……!』ググッ
猛竜騎士「…魔剣士、倒せるか?」
魔剣士「牛の一匹くらい、余裕に決まってるだろうが」ククク
猛竜騎士「ならやってみな。ちなみにだが……」
魔剣士「うるせぇ、俺に任せろ余裕だっつーの!」チャキンッ!
猛竜騎士(…おいおい)
白姫「が、頑張って!」
魔剣士(…足は痛いが、あのクソ重てぇ本がなけりゃ戦える)
魔剣士(クソ牛が、今日の晩飯はステーキだな!)
カトブレパス『…』グググッ…!
ダッ、ダダダダッ!!!
魔剣士「その長い首、落としてやるぜぇぇっ!!」ググッ!
魔剣士「魔法を使うまででもねぇ、そのクビ…刎ねてやるっ!!」ブンッ!
…ビュオッ!!
猛竜騎士(…)フッ
白姫「がんばれーっ!!」
――――カトブレパス。
牛のような体を持ち、長い首、豚のような頭を持つ魔獣の一種である。
見た目とは裏腹に、意外にも大人しい性格に加え、特別な能力も持たない。
だが、それは普段のことであって"繁殖期"はその類ではなく、非常に攻撃的になる。
無論、"魔獣"と分類されるのは、その能力からである。
一見弱点に見える"長い首"だが、それは――――……
魔剣士「うおりゃああっ!!」
…ビュォォォッ!!!
カトブレパス『…ッ!!』
魔剣士(……余裕だ、殺った!)
カトブレパス『…』
カトブレパス『……ガァァァッ!!!』ブバッ!
魔剣士「はっ!?」
…ブバッ、ベチャアッ!!!
魔剣士「ぶへぇーーーっ!?」
――…その首は、即効性のある毒生成するものである…――
白姫「う、牛さんが何か吐いたー!?」
猛竜騎士「長い首が弱点と思って落としにいくと、ああなるんだなぁ……」ハハハ
カトブレパス『…ブルルッ!』
魔剣士「ぺっぺっ!なんじゃこりゃ、きったね……」
魔剣士「……ぐっ!?」ドクンッ!!
猛竜騎士「気をつけろよー。カトブレパスは、毒を吐くからな」ケラケラ
白姫「えぇぇぇっ!?」
魔剣士「お、おっせ……!げほっ!!」ゴホッ!
カトブレパス『…ブルッ!!』ググッ
ダダダダッ!!
白姫「…あっ、魔剣士!!」
猛竜騎士「はい、負けー」
……ドゴォオンッ!!
魔剣士「がっ…!」
カトブレパス『…ッ!』
魔剣士「いっ……てっ……」フラッ
カトブレパス『…ッ』
魔剣士「うそ…だ…ろ……」
…ドシャアッ!!
白姫「ま、魔剣士!!」
猛竜騎士「油断すっからだ、バカめが」
カトブレパス『…』ギロッ
白姫「こ、こっち見たー!?」
猛竜騎士「…はっはっは、今日の晩飯はステーキか」チャキンッ
カトブレパス『…ッ』ググッ
猛竜騎士「……サクっと、終わらせようか」チャキンッ
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 1時間後 】
魔剣士「……っつつ」ムクッ
白姫「あ…!魔剣士、大丈夫!?」
猛竜騎士「お前は気絶するのが好きだなー」
魔剣士「くっ……」クラクラ
猛竜騎士「お前が寝ている間に、魔水牛の血抜きはすませといたぞ」
猛竜騎士「キャットツリーも集めたし、俺ぁ少し休憩だ」
魔剣士「…っ!」
魔剣士「……お、おいオッサン!」
猛竜騎士「ん?」
魔剣士「アンタな、毒持ちとか最初に教えてくれりゃいいじゃねえか!」
猛竜騎士「知るか」
魔剣士「し、知るかってな!?」
猛竜騎士「じゃあお前は、敵に対して"必殺技を教えてください"って言うのか?」
魔剣士「うっ…」
猛竜騎士「それに、説明する前にお前が"余裕だ"といったから任せたんだ」
魔剣士「そ、それは……」
猛竜騎士「それは…じゃないだろ。言い訳するな、自分の身勝手な行動で勝手に倒れたんだろうが」
魔剣士「…っ」
猛竜騎士「……で?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「それ以上は言葉がないのか?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「魔剣士」
魔剣士「……悪かったよ」
猛竜騎士「…ほう」
魔剣士「迷惑…かけた。勝手にやって、世話…かけてすまん……とかか……」
猛竜騎士「……よくできました」ニカー
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魔剣士「なっ……!」
魔剣士「あ、頭ぽんぽんすんじゃねーーー!!」バッ!
白姫「…」ジー
猛竜騎士「……白姫にもやってやろうか?」
白姫「い、いえっ!」
猛竜騎士「いや、ポンポンをしてやることを今から君にもやってもらうけどな」
白姫「えっ?」
猛竜騎士「……これを持て」スッ
白姫「こ、これは……」
…キランッ
魔剣士「ほ……」
白姫「包丁、ですか……?」
猛竜騎士「ちっとした特注品でな、スパスパ切れるから気をつけろよ」
猛竜騎士「俺は寝てるから、そこの水牛を手足、頭、内臓を全部取り出して捌いてくれ」
白姫「え…」
魔剣士「は…?」
猛竜騎士「内臓は食えないことはないが、処理が面倒だから地中深く埋めてくれ」
猛竜騎士「臭いにつられて、他の獣が来ると厄介だからな」
猛竜騎士「んじゃ、俺も少し休憩しつつ本を読んでるからヨロシク」
白姫「わ、私が…捌くんですか……?」
魔剣士「いやいやいや、無理だろ!?」
猛竜騎士「何が?」
魔剣士「な、何がって!」
猛竜騎士「あぁ、それなら魔剣士がどこから切りいれるか指南してやってくれ。」
魔剣士「へ…」
猛竜騎士「獣のバラしくらい方くらいなら分かるだろ?切るのは姫様に全部やらせてくれ」
魔剣士「い、いやいや。そういうことじゃなくてな」
猛竜騎士「……じゃあ、なんだ?」ギロッ
魔剣士「!」ビクッ
猛竜騎士「俺はもう、ただの保護者としているんじゃないぞ……?」
猛竜騎士「お前らが生きていけるように、冒険者として、逃亡者として、成長させるためにいるんだ……」
猛竜騎士「これくらい出来なければ、俺はお前らを見捨てるからな」
魔剣士「…だ、だけどそんないきなり!」
猛竜騎士「ははぁ、突然って言葉は"突然"くるから"突然"だというのも分からないのか」
魔剣士「!」
猛竜騎士「……わりぃが、従えないなら本気で見捨てるぞ」
魔剣士「…っ!」
猛竜騎士「いつまでもガキのままじゃ困るんだ。生きたいなら、それ相応の経験はしてもらうからな」
魔剣士「お、オッサン……!」
白姫「…っ」
白姫「……ま、待って魔剣士!」
魔剣士「!」
白姫「魔剣士、私…頑張るから……」
魔剣士「白姫…」
白姫「猛竜騎士さんがそういうなら、きっと大事なことなんだと思うから……」
白姫「が、頑張るから!」
白姫「だから、ね…………」
魔剣士「…」
猛竜騎士「もう16時過ぎか。暗くなると魔獣も増えるし、早くしろよー」フリフリ
白姫「……は、はいっ!」ブルッ…
魔剣士「…分かったよ」
白姫「魔剣士、どうしたらいいか……教えて……っ」
魔剣士「…あぁ」
魔剣士「まず、皮を剥ぐんだ……」
白姫「…っ!」
魔剣士「その後の内臓を取るのは面倒だが、血抜きが終わってるようだし血はさほど出ないだろう……」
白姫「わ、わかった……」ブルッ…
ザクッ……ビリッ…………
猛竜騎士(…)
猛竜騎士(……ほう、この魔導書は中々使えそうだ)ペラッ…
……………
………
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………
……………
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―――【 2時間後 】
…ヘナヘナッ
白姫「…ッ」ペタンッ
魔剣士「…ご苦労さん。これで完了だ」
白姫「で、出来た……」
魔剣士「お前は元々、虫とか平気だったし…意外と順応できるのかもな」
白姫「できた…」グスッ…
魔剣士「…」
白姫「ごめんなさい、牛さん……」グスッ……
白姫「痛かった…よね……」
魔剣士「……ん、そういや白姫」
白姫「なぁに…?」ゴシゴシッ
魔剣士「お前、出会った時はアカノミが生るもんだって知らなかったよな?」
白姫「うんっ…?」
魔剣士「なのに、こういうのが"肉"になるっていうのは知ってたのか?」
白姫「あ、それは……」
白姫「城内で豚さんを飼ってて、それが次の日にいなくなって、兵士長聞いたら……」
白姫「"あなたが昨晩食べたんですよ"って言われて、泣いちゃって……」
白姫「その時に、兵士長が色々教えてくれてたから……」
白姫「アカノミは、泥のついたものとか王城じゃ絶対に出さなかったし、それで知らなかったの」
魔剣士「あー…」
…トコトコ
猛竜騎士「お、見事に捌けたな」
猛竜騎士「ご苦労さん。大変だったろうが、よくやってくれた」ニコッ
白姫「…はいっ」
猛竜騎士「さて、串刺しにして焼くのは枝を使ってステーキ串にするが、焼けるまで時間かかるし…」
猛竜騎士「持ってきた本で、さっそく勉強タイムといこうか」
魔剣士「いっ…!?」
白姫「お勉強ですかっ!」
猛竜騎士「たき火で肉を焼きつつ、その明かりで勉強すんぞ」
魔剣士「……ちょっと、俺は用事が」クルッ
猛竜騎士「いいぞ、肉は食わせないけどな」ボソッ
魔剣士「…なぬ」
猛竜騎士「はい、座って。お勉強ターイム」パチンッ
魔剣士「ここが地獄の三丁目かよ……」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 しばらくして 】
ゴォォ…パチパチッ……
ジュワジュワッ……
魔剣士「…」ブツブツ
魔剣士「……そ、そろそろ肉が焼けたぞ終わりにしようぜ!」
猛竜騎士「はい、じゃあ今日の復習な」
魔剣士「…」
白姫「はいっ」
猛竜騎士「この世界の形成されている、大部分の大地について、魔剣士」
魔剣士「…東方大地、南方大地、西方大地、北方大地の4つとセントラル王国が束ねる中央大地の5つ」
猛竜騎士「姫様、それぞれの特徴は?」
白姫「え、えっと……!」
――――東方大地
山々が険しくそびえ、動植物が非常に少ない荒れた大地。
人口が少なく、非常に治安が悪いことでも有名。
別名"灰の大地"
――――西方大地
鬱蒼な大森林、大自然が占める、全ての生き物にとっての生きる大地。
また、大自然による素材が豊富で、自然の中には点々と隠れ里と呼ばれる住処などもある。
別名"緑の大地"
――――南方大地
大海に浮かぶ島々で形成されており、大地と呼ぶには少々相応しくない。
熱い太陽の下で、砂漠化しつつある土地も多い。
別名"赤の大地"
――――北方大地
北側に位置する、突き刺さるような寒さと氷山で形成されている。
氷のマグマとも呼ばれる氷岩(ひょうがん)などもある。
別名"白の大地"
――――中央大地
東西南北の大地、全ての中心に位置している。
世界に誇る王都"セントラル王国"があり、他の大地と比べると人口率が高め。
別名"都の大地"
白姫「……ですっ!」
猛竜騎士「……うむ、せーかい」
猛竜騎士「土地柄を理解することは冒険者として当たり前だ。勉強は毎回毎回するからな」
白姫「はいっ!」
猛竜騎士「……それでは!お待ちかね、ディナータイムだ!」
白姫「はーいっ!」
猛竜騎士「ステーキは焼けたかなー……」チラッ
魔剣士「…」モグモグ
猛竜騎士「…」
魔剣士「…」モグモグ
猛竜騎士「…」
魔剣士「…」ゲフッ
猛竜騎士「はええよっ!」
白姫「魔剣士ってば、いつの間に……」
魔剣士「…」
魔剣士「…」
魔剣士「……う、うめぇぇぇええっ!?」ビクビクッ!
魔剣士「なんだこの肉、クソうめぇ!!」
魔剣士「やべぇ、脂乗ってて、こんな旨いの初めてだっ!!」
白姫「そ、そんなに!?」
魔剣士「やばいぞ、早く食ってみろ!」
白姫「う、うんっ!」
魔剣士「ほれっ、こことか焼けてるぞ!」モゾッ
…スッ
白姫「あ、あちち……」
猛竜騎士「…ったく、忙しすぎるぞ」
魔剣士「ほれ、早く食ってみろ……」
白姫「うんっ!いただきます……」ペコッ
白姫「…」ハムッ!
白姫「…!」ジュワッ…
魔剣士「…ど、どうだ!うめぇだろ!?」
白姫「…」
白姫「……ひら、あけほひは……」クスン
(舌、やけどした……)
猛竜騎士「」
魔剣士「な、なにーーーっ!?」
魔剣士「ひ、ヒール!ヒール!!」パァァッ!
白姫「あ、あふかはっはへほ、おひひぃっ!」
魔剣士「いいからちょっと舌出せ、治すから!」
白姫「ら、らいひょうふはほ、ほへふはいっ!」
魔剣士「大丈夫じゃねーからっ!!」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……全く、こいつらは」ハハハ…
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
三人は食事後、疲労からあっという間に眠りへと落ちていった。
無論、猛竜騎士は幾度か目覚め、近寄る魔物を静かに追い払っていたのだが……。
そしてそれから数時間後。
鳥の鳴き声とともに目覚めた三人。
疲労が回復しているわけでもなかったものの、
歩くことしかないと理解している魔剣士と白姫は、
重い脚をあげて猛竜騎士とともに道なき道を突き進む……
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