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第六章【エルフの隠れ里】
6-2 襲撃
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃、ウィッチの家では。
の感知性能の強さは普通の非ではなく、先ほど外に出て行っているはずのウィッチの言葉通り、魔剣士はウィッチの家を捜索していた。
冒険心というか、見知らぬ土地の見知らぬ村の、見知らぬ種族の家という以上、その好奇心は止められなかったのである。
だが――……?
…ゴソゴソッ
魔剣士「ん~…、なんかねぇかなぁ」
白姫「や、やめようよ魔剣士…」
魔剣士「せっかくだから、面白いモンがないかとみてるだけだって」
白姫「他人のおうちだよー…」
魔剣士「別に中を開けたりしてるわけじゃなくて、色々と外観やらで面白いのがないか見てるだけだ」
白姫「そ、そうだけど……」
魔剣士「お前はそこにあるお菓子食って茶でも飲んでろ」
白姫「う~……」パクパク…
魔剣士「うーむ、なんもねぇなぁ……」ゴソゴソ…
白姫「魔剣士もお菓子とか食べて落ち着いて待ってようよ。隣座って!」
魔剣士「い、いやでも…」
白姫「……座って!」
魔剣士「……はい」
トコトコ…ボスンッ
白姫の強気な言葉に、
魔剣士はいそいそと隣へと腰を下ろした。
「別にいいじゃねえか」とぶつぶつ言っていたが、
魔剣士を隣に座らせたのはある理由があったのだ。
白姫「はい、お茶」スッ
魔剣士「へい…ありがとよ」グビッ…
白姫「~…♪」モグモグ…
魔剣士「…」
白姫「…」
魔剣士「…」
白姫「…」
白姫「……ねぇ、魔剣士」
魔剣士「なんだ?」
白姫「私ね、こうして旅が出来て、色々な体験が出来て、凄く楽しいんだ」
魔剣士「…俺も楽しいが、どうした?」
白姫「私ってさ、いつまでこうしてられるんだろう。こうしているんだろう?」
魔剣士「ん?」
白姫「私は姫様で、いつか戻らないといけないって言ってたけど……」
白姫「お父様に捨て…、捨てられ……て…、これから先はずっとこうなのかな……?」
白姫「ずっと、その…。私は、ずっと……なんていえばいいか……」
魔剣士「…まだそんなこと言ってるのかよ」
魔剣士「旅してるうちに、いつか親父の怒りも冷めるかもしれねえだろ?」
魔剣士「それに、俺はお前の従者だ」
白姫「魔剣士…」
魔剣士(…やっぱり不安なんだな。声を出して、それを聞きたかったのか…)
……そう。
不安だったのだ。
白姫は二人きりでいるとき、心を許せる魔剣士に甘え、その言葉をかけてほしかったのだろう。
魔剣士「約束だろ。お前が望む限り、白姫が帰れるその時まで俺は付き合うさ」
白姫「……うん。ありがとう」
魔剣士「おうよ」
白姫「…」
魔剣士「…」
……ガチャッ!……
魔剣士「んっ」
白姫「ドアが開いた音…?」
魔剣士「なんだ、オッサンらもう戻ってきたのか?」クルッ
白姫「早かったね~」クルッ
…スタッ
若いエルフたち「…」
若いエルフたち「……お前らか、人間というのは」
若いエルフたち「大人しくしてもらうか」
魔剣士「……あ?」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 里長の家 居間 】
猛竜騎士「お久しぶりです、里長殿」ペコッ
幼ウィッチ「懐かしい顔じゃろ、里長」
エルフ長「……久しぶりだな」
猛竜騎士「…この度は里へ入れていただき、感謝いたします」
エルフ長「そうかしこまるな」
猛竜騎士「いえ、この度のお気遣い…まことに嬉しく思います」
エルフ長「お前とは長い付き合いをした。ウィッチも世話になったのでな」
猛竜騎士「こちらこそ、ウィッチ様には大変お世話になりました」
エルフ長「…まぁ、茶でも飲め」スッ
猛竜騎士「いただきます」ペコッ
エルフ長「…」
エルフ長「……さて」
エルフ長「あれから20年か。人間にとっては、長すぎる時間が流れてしまったのだな」
猛竜騎士「見ての通り、自分はすっかり年老いてしまいました」
エルフ長「だが、その身体から出ているエネルギーはまだ強い」
猛竜騎士「ありがたきお言葉…」
エルフ長「…」
猛竜騎士「…」
エルフ長「……して、猛竜騎士」
猛竜騎士「なんでしょうか」
エルフ長「お主ら人間と、我らエルフの民は相容れぬ存在だとあの頃より知っておるな?」
猛竜騎士「…無論、存じております」
エルフ長「その昔、"闇の魔法を開発するため"、我らエルフの民を人間がどのようにぞんざいに扱ったか……」
猛竜騎士「…」
エルフ長「今もその溝は深く、現にこのようにして今日も人が訪れぬ森の奥深くに住んでいる」
猛竜騎士「…はい」
エルフ長「この話は、以前にもしたので覚えているだろう」
猛竜騎士「20年前と同じく、今も頭の中にしっかりと」
エルフ長「だが、ここの民は"お前"とその仲間…パーティの存在は認めていた」
エルフ長「……分かるな?」
猛竜騎士「はい。大変有りがたいことでありました」
エルフ長「…認めていたのは、お前とそのパーティだけだ」
猛竜騎士「はい…」
エルフ長「意味が分かるであろう」
猛竜騎士「……はい?」
幼ウィッチ「…」
幼ウィッチ「…!」ピクッ
幼ウィッチ「……誰か、ワシの家に入ったな」バチッ…
猛竜騎士「何…?」
幼ウィッチ「狩りより戻った若いエルフがわずかばかり…。ワシの家に押しかけておる……」
猛竜騎士「!」
エルフ長「さすがだなウィッチ。その感知能力は里の誇りだ」
猛竜騎士「まさか…!」ハッ
幼ウィッチ「里長、あの子らに何をするつもりだ」
エルフ長「人として認めていたのは、あくまでお前たちだけだと言ったはずだ」ギロッ
猛竜騎士「……お、お待ちください!」
エルフ長「いくらお前の身内だろうと、他人としている以上は認めることが出来ん」
猛竜騎士「ど、どうするおつもりですか!」
エルフ長「お前がいる間は、地下牢に閉じ込めさせてもらう」
猛竜騎士「なっ…!」
幼ウィッチ「里長、それは!」
エルフ長「猛竜騎士、貴様が従えぬなら、出て行ってもらうぞ」
エルフ長「すまないが、その二人に信用という言葉を用いることはできん」
猛竜騎士「お待ちください、あの者たちは自分の新たなパーティ、仲間です!」
猛竜騎士「そして、パーティの一人におります女の子は…セントラル王国の姫君!」
エルフ長「知ったことではない」
猛竜騎士「お願いいたします、何卒寛容な目で見てはいただけませんでしょうか!」
エルフ長「無理だな」
猛竜騎士「…っ!」
幼ウィッチ「…」バチッ…
幼ウィッチ「……むっ、里長」
幼ウィッチ「捕縛するというだけという割には、余りにもひどい装備ではないか……?」
猛竜騎士「な、なんだと?」
幼ウィッチ「魔剣士と白姫のもとにいるエルフたちは、剣術師に魔術師もおる」
幼ウィッチ「……それに若い男ばかり、何をする気だ」
猛竜騎士「!」
エルフ長「男には純粋な暴力、女には女の恐怖で変な考えを持たないようにしてもらう」
猛竜騎士(……まずいっ!魔剣士はまだしも、白姫のほうは!)
エルフ長「お前も、俺がこういう考えを持っていると知っているはずだ」
猛竜騎士「……くっ!」ダッ!
幼ウィッチ「あっ、猛竜騎士!」
エルフ長「……待たぬかっ!!」
猛竜騎士「ッ!」ピタッ!
エルフ長「お前が手出しをするというのなら、それは我らへの裏切りとみなすぞ」
猛竜騎士「……さ、里長殿!」
エルフ長「…」
猛竜騎士「…ッ!」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【 ウィッチの家 】
…ドシュッ!!ズバァンッ!!…
剣士エルフ「…げほっ……!?」フラッ
ドシャアッ…!
魔剣士「…そういうことかよ」ペッ
白姫「…っ」
魔導エルフ「…中々やるな。うちの剣術師を簡単にやるとは」
兵士エルフ「里長の命令なんだ、大人しく捕まってもらうぞ」
魔剣士「捕まえるだけなら、武器やこんな大勢で来ることないんじゃないかねえ…?」
魔導エルフ「ふん…」
魔剣士「猛竜騎士は認められた存在だったが、俺らは外の存在だっつーことか」
魔導エルフ「察しがいいな」
魔剣士「人とエルフは基本的に、敵対関係だと言いたいんだな」
魔導エルフ「人間であるお前らがやったことは、忘れはしない」
魔剣士「昔のことだろうが」
魔導エルフ「昔のことだからといって、許すものか」
魔剣士「そういう時代だったということ。今は違うんじゃねえのかよ」
魔導エルフ「……昔、時代?たかだか数百年前のことだろうが」
魔剣士「お前らにとってはだろ」
魔導エルフ「俺らにとっては、人間の10、20年程度のことなんだよ!」
魔剣士「充分昔じゃねえか」
魔導エルフ「勝手にほざけ。俺らは野蛮な人間を信用しない」スチャッ
魔剣士「何が信用しないだ。新たな時代にも目をくれず、野蛮なのはお前らの方ってことじゃねえか」
魔導エルフ「言っていろ!面倒だ、魔法で吹き飛ばす!中…風刃……っ」パァァッ!
魔剣士「遅いっ!!」パァッ!
…ボォンッ!!
魔導エルフ「ぬあっ!?」ジュワッ!
ズザザァッ……!
魔導エルフ「な、何…が……!目が見えんっ…!!」クラッ…
……魔導エルフの風魔法の前に、
魔剣士の無詠唱による火炎魔法が魔導エルフの顔面を吹き飛ばす。
威力は弱めだったが、一旦怯ませるのには十分な威力であった。
兵士エルフ「くっ、歯向かうかっ!!槍突っ!!」ビュオッ!
魔剣士「……そんなもんっ!!」ビュッ!
…ガキィンッ!!…
兵士エルフ「と、止められた!?」
魔剣士「ぬうらあああっ!!」ググッ!
兵士エルフ「ぬおっ…!」
…バキッ、ズドォオンッ!!…
兵士エルフ「がっ…!」グラッ…
ドサアッ……
……兵士エルフの槍程度では、
魔剣士の力に遠く及ばない。
力任せに降り下ろした片手剣は、
槍の柄ごと粉砕し、兵士エルフを地面へと叩きつけた。
…ザワッ!
弓師エルフ「…や、槍の柄ごと粉砕して叩きつけるとは!」
戦士エルフ「なんてパワーだ…」
魔剣士「…白姫、俺の後ろに隠れていろよ」
白姫「…っ」コクン
魔剣士(オッサンが戻ってこないところを見ると、戻れない状態なのか……?)
白姫「…ッ」
魔剣士は、白姫を後ろへと下がらせ、守る体制へと入る。
だが、それは「後ろに下げたことで俺が守れる」という油断を生む。
先ほど吹き飛ばした魔導エルフの視力は、既に回復していた……。
…コソッ…
魔導エルフ(…ぐっ!ふざけやがって!目はなんとか見えるが……)チカチカ…
魔導エルフ(よくもやりやがって、後ろからその女ぁとっ捕まえてやる…!)
ソー……
白姫「…」
魔導エルフ「…」ソー…
白姫「…」
魔導エルフ(……とったぁ!!)バッ!
…ガバァッ!
白姫「…むぐっ!?」
魔剣士「!?」ハッ
魔導エルフ「動くな、男ぉ!!」
白姫「むぐっ~…!」ブンブンッ!
魔剣士「くっ!?」チャキッ!
魔導エルフ「この女が大事だというのなら、動くな!」
魔剣士「てめぇ…!」
魔導エルフ「武器を捨て、投降しろ!」
魔剣士「…っ!」
魔導エルフ「……どうした、早く武器をすてろぉ!!」
白姫「…っ」ブルッ…
魔剣士「……ざけんなよ」
魔導エルフ「何っ…!」
魔剣士「白姫を離しやがれコラ……」
魔導エルフ「……つ、強気なのはいいがこっちには盾がいるんだぞ?」
魔剣士「ぶち殺すぞ…」
魔導エルフ「…ッ!」ゴクッ…
魔剣士「傷つけてみろ…。次の瞬間、てめぇの頭は宙に浮いてるからな……」ユラッ…
トコッ…ギシ…ギシ……
魔導エルフ「く、来るな!!動くなっつってんだろうが!」
魔剣士「…」チャキッ…
魔導エルフ「……ぐっ!!」
白姫「…っ」
魔導エルフ「……そ、それ以上近づけば!!小風刃魔法ォッ!!」パァッ!
…スパッ!
白姫「あっ!?」
魔剣士「!」
魔導エルフ「……首から下がなくなるぞ」
風刃魔法を放ち、白姫の首筋を切り裂いた。
わずかな傷ではあったが、流れた血がポタリと床へしたたり落ちた。
白姫「…!」ズキン…
魔導エルフ「魔剣士、これ以上来るなら分かってるんだろうな!!」
魔剣士「て、てめぇ…!!」
魔導エルフ「……う、動くなよ!」
魔導エルフ「女ぁ、こっちに来いっ!!」
…グイッ!
白姫「…ッ!?」
魔導エルフ「見せつけてやろうぜ…」モゾッ…
白姫「ひっ…!?」
魔剣士「お前ッ!!」
魔導エルフは白姫の魔法衣の隙間から胸へと腕を入れた。
ニヤリと笑みを浮かべながら、
白姫とともに魔剣士から距離を置くべく、わずかに下がった。
たかが一歩の後退であったが、
これが魔導エルフの失態となる。
白姫「…ッ!!!」
白姫「や…だっ……!」
白姫「嫌ぁぁあああぁぁああっ!!!!」
白姫「ま、魔剣士ぃぃぃっ!!!」
魔導エルフ「何っ!?」
魔剣士「!」
魔剣士から離れたその一歩は、
あの日の恐怖を覚えた白姫にとって、
誰も助けに来ない、あの日のを脳裏によみがえらせた。
その恐怖は、瞬時に叫び声として部屋へと響き渡る。
……そして、その声聞いた魔剣士は……
魔剣士「…」ブチッ
魔導エルフ「…おい、急になんで泣き叫ぶ!?」
白姫「やだ、離してぇぇえぇっ!!!嫌ぁぁああっ!!」
魔導エルフ「…こ、この!」
魔剣士「魔導エルフ…」ユラッ…
魔導エルフ「……あぁ!?今忙しいんだよ!!」
魔剣士「白姫を泣かせやがったな…」
魔導エルフ「それがどうし……!」
…カキンッ、ズブシュッ!!
魔導エルフ「…がっ!?」ズキンッ!
魔導エルフ「せ、背中に…痛み……がっ……?」チラッ
……急に、魔導エルフの背中に激痛が走る。
その正体は魔剣士が放った"氷属性魔法"による氷の槍であった。
床より発動し、魔導エルフの背中に差し込んだのだ。
魔導エルフ「なんだ、これっ……」ズキンズキン…
ポタッ…ポタッ……
魔導エルフ「む、無詠唱の、氷結……魔法…だと……!」
魔導エルフ「いつの…間…に……っ!」
魔剣士「白姫を離せ…。さもなければ、貴様の身体を貫くぞ……」
魔導エルフ「…っ!」
魔剣士「離せと…言っているだろうがああああっ!!」パァァッ!
魔導エルフ「て、てめ……!!」
…………
……
…
その頃、ウィッチの家では。
の感知性能の強さは普通の非ではなく、先ほど外に出て行っているはずのウィッチの言葉通り、魔剣士はウィッチの家を捜索していた。
冒険心というか、見知らぬ土地の見知らぬ村の、見知らぬ種族の家という以上、その好奇心は止められなかったのである。
だが――……?
…ゴソゴソッ
魔剣士「ん~…、なんかねぇかなぁ」
白姫「や、やめようよ魔剣士…」
魔剣士「せっかくだから、面白いモンがないかとみてるだけだって」
白姫「他人のおうちだよー…」
魔剣士「別に中を開けたりしてるわけじゃなくて、色々と外観やらで面白いのがないか見てるだけだ」
白姫「そ、そうだけど……」
魔剣士「お前はそこにあるお菓子食って茶でも飲んでろ」
白姫「う~……」パクパク…
魔剣士「うーむ、なんもねぇなぁ……」ゴソゴソ…
白姫「魔剣士もお菓子とか食べて落ち着いて待ってようよ。隣座って!」
魔剣士「い、いやでも…」
白姫「……座って!」
魔剣士「……はい」
トコトコ…ボスンッ
白姫の強気な言葉に、
魔剣士はいそいそと隣へと腰を下ろした。
「別にいいじゃねえか」とぶつぶつ言っていたが、
魔剣士を隣に座らせたのはある理由があったのだ。
白姫「はい、お茶」スッ
魔剣士「へい…ありがとよ」グビッ…
白姫「~…♪」モグモグ…
魔剣士「…」
白姫「…」
魔剣士「…」
白姫「…」
白姫「……ねぇ、魔剣士」
魔剣士「なんだ?」
白姫「私ね、こうして旅が出来て、色々な体験が出来て、凄く楽しいんだ」
魔剣士「…俺も楽しいが、どうした?」
白姫「私ってさ、いつまでこうしてられるんだろう。こうしているんだろう?」
魔剣士「ん?」
白姫「私は姫様で、いつか戻らないといけないって言ってたけど……」
白姫「お父様に捨て…、捨てられ……て…、これから先はずっとこうなのかな……?」
白姫「ずっと、その…。私は、ずっと……なんていえばいいか……」
魔剣士「…まだそんなこと言ってるのかよ」
魔剣士「旅してるうちに、いつか親父の怒りも冷めるかもしれねえだろ?」
魔剣士「それに、俺はお前の従者だ」
白姫「魔剣士…」
魔剣士(…やっぱり不安なんだな。声を出して、それを聞きたかったのか…)
……そう。
不安だったのだ。
白姫は二人きりでいるとき、心を許せる魔剣士に甘え、その言葉をかけてほしかったのだろう。
魔剣士「約束だろ。お前が望む限り、白姫が帰れるその時まで俺は付き合うさ」
白姫「……うん。ありがとう」
魔剣士「おうよ」
白姫「…」
魔剣士「…」
……ガチャッ!……
魔剣士「んっ」
白姫「ドアが開いた音…?」
魔剣士「なんだ、オッサンらもう戻ってきたのか?」クルッ
白姫「早かったね~」クルッ
…スタッ
若いエルフたち「…」
若いエルフたち「……お前らか、人間というのは」
若いエルフたち「大人しくしてもらうか」
魔剣士「……あ?」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 里長の家 居間 】
猛竜騎士「お久しぶりです、里長殿」ペコッ
幼ウィッチ「懐かしい顔じゃろ、里長」
エルフ長「……久しぶりだな」
猛竜騎士「…この度は里へ入れていただき、感謝いたします」
エルフ長「そうかしこまるな」
猛竜騎士「いえ、この度のお気遣い…まことに嬉しく思います」
エルフ長「お前とは長い付き合いをした。ウィッチも世話になったのでな」
猛竜騎士「こちらこそ、ウィッチ様には大変お世話になりました」
エルフ長「…まぁ、茶でも飲め」スッ
猛竜騎士「いただきます」ペコッ
エルフ長「…」
エルフ長「……さて」
エルフ長「あれから20年か。人間にとっては、長すぎる時間が流れてしまったのだな」
猛竜騎士「見ての通り、自分はすっかり年老いてしまいました」
エルフ長「だが、その身体から出ているエネルギーはまだ強い」
猛竜騎士「ありがたきお言葉…」
エルフ長「…」
猛竜騎士「…」
エルフ長「……して、猛竜騎士」
猛竜騎士「なんでしょうか」
エルフ長「お主ら人間と、我らエルフの民は相容れぬ存在だとあの頃より知っておるな?」
猛竜騎士「…無論、存じております」
エルフ長「その昔、"闇の魔法を開発するため"、我らエルフの民を人間がどのようにぞんざいに扱ったか……」
猛竜騎士「…」
エルフ長「今もその溝は深く、現にこのようにして今日も人が訪れぬ森の奥深くに住んでいる」
猛竜騎士「…はい」
エルフ長「この話は、以前にもしたので覚えているだろう」
猛竜騎士「20年前と同じく、今も頭の中にしっかりと」
エルフ長「だが、ここの民は"お前"とその仲間…パーティの存在は認めていた」
エルフ長「……分かるな?」
猛竜騎士「はい。大変有りがたいことでありました」
エルフ長「…認めていたのは、お前とそのパーティだけだ」
猛竜騎士「はい…」
エルフ長「意味が分かるであろう」
猛竜騎士「……はい?」
幼ウィッチ「…」
幼ウィッチ「…!」ピクッ
幼ウィッチ「……誰か、ワシの家に入ったな」バチッ…
猛竜騎士「何…?」
幼ウィッチ「狩りより戻った若いエルフがわずかばかり…。ワシの家に押しかけておる……」
猛竜騎士「!」
エルフ長「さすがだなウィッチ。その感知能力は里の誇りだ」
猛竜騎士「まさか…!」ハッ
幼ウィッチ「里長、あの子らに何をするつもりだ」
エルフ長「人として認めていたのは、あくまでお前たちだけだと言ったはずだ」ギロッ
猛竜騎士「……お、お待ちください!」
エルフ長「いくらお前の身内だろうと、他人としている以上は認めることが出来ん」
猛竜騎士「ど、どうするおつもりですか!」
エルフ長「お前がいる間は、地下牢に閉じ込めさせてもらう」
猛竜騎士「なっ…!」
幼ウィッチ「里長、それは!」
エルフ長「猛竜騎士、貴様が従えぬなら、出て行ってもらうぞ」
エルフ長「すまないが、その二人に信用という言葉を用いることはできん」
猛竜騎士「お待ちください、あの者たちは自分の新たなパーティ、仲間です!」
猛竜騎士「そして、パーティの一人におります女の子は…セントラル王国の姫君!」
エルフ長「知ったことではない」
猛竜騎士「お願いいたします、何卒寛容な目で見てはいただけませんでしょうか!」
エルフ長「無理だな」
猛竜騎士「…っ!」
幼ウィッチ「…」バチッ…
幼ウィッチ「……むっ、里長」
幼ウィッチ「捕縛するというだけという割には、余りにもひどい装備ではないか……?」
猛竜騎士「な、なんだと?」
幼ウィッチ「魔剣士と白姫のもとにいるエルフたちは、剣術師に魔術師もおる」
幼ウィッチ「……それに若い男ばかり、何をする気だ」
猛竜騎士「!」
エルフ長「男には純粋な暴力、女には女の恐怖で変な考えを持たないようにしてもらう」
猛竜騎士(……まずいっ!魔剣士はまだしも、白姫のほうは!)
エルフ長「お前も、俺がこういう考えを持っていると知っているはずだ」
猛竜騎士「……くっ!」ダッ!
幼ウィッチ「あっ、猛竜騎士!」
エルフ長「……待たぬかっ!!」
猛竜騎士「ッ!」ピタッ!
エルフ長「お前が手出しをするというのなら、それは我らへの裏切りとみなすぞ」
猛竜騎士「……さ、里長殿!」
エルフ長「…」
猛竜騎士「…ッ!」
…………
……
…
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―――【 ウィッチの家 】
…ドシュッ!!ズバァンッ!!…
剣士エルフ「…げほっ……!?」フラッ
ドシャアッ…!
魔剣士「…そういうことかよ」ペッ
白姫「…っ」
魔導エルフ「…中々やるな。うちの剣術師を簡単にやるとは」
兵士エルフ「里長の命令なんだ、大人しく捕まってもらうぞ」
魔剣士「捕まえるだけなら、武器やこんな大勢で来ることないんじゃないかねえ…?」
魔導エルフ「ふん…」
魔剣士「猛竜騎士は認められた存在だったが、俺らは外の存在だっつーことか」
魔導エルフ「察しがいいな」
魔剣士「人とエルフは基本的に、敵対関係だと言いたいんだな」
魔導エルフ「人間であるお前らがやったことは、忘れはしない」
魔剣士「昔のことだろうが」
魔導エルフ「昔のことだからといって、許すものか」
魔剣士「そういう時代だったということ。今は違うんじゃねえのかよ」
魔導エルフ「……昔、時代?たかだか数百年前のことだろうが」
魔剣士「お前らにとってはだろ」
魔導エルフ「俺らにとっては、人間の10、20年程度のことなんだよ!」
魔剣士「充分昔じゃねえか」
魔導エルフ「勝手にほざけ。俺らは野蛮な人間を信用しない」スチャッ
魔剣士「何が信用しないだ。新たな時代にも目をくれず、野蛮なのはお前らの方ってことじゃねえか」
魔導エルフ「言っていろ!面倒だ、魔法で吹き飛ばす!中…風刃……っ」パァァッ!
魔剣士「遅いっ!!」パァッ!
…ボォンッ!!
魔導エルフ「ぬあっ!?」ジュワッ!
ズザザァッ……!
魔導エルフ「な、何…が……!目が見えんっ…!!」クラッ…
……魔導エルフの風魔法の前に、
魔剣士の無詠唱による火炎魔法が魔導エルフの顔面を吹き飛ばす。
威力は弱めだったが、一旦怯ませるのには十分な威力であった。
兵士エルフ「くっ、歯向かうかっ!!槍突っ!!」ビュオッ!
魔剣士「……そんなもんっ!!」ビュッ!
…ガキィンッ!!…
兵士エルフ「と、止められた!?」
魔剣士「ぬうらあああっ!!」ググッ!
兵士エルフ「ぬおっ…!」
…バキッ、ズドォオンッ!!…
兵士エルフ「がっ…!」グラッ…
ドサアッ……
……兵士エルフの槍程度では、
魔剣士の力に遠く及ばない。
力任せに降り下ろした片手剣は、
槍の柄ごと粉砕し、兵士エルフを地面へと叩きつけた。
…ザワッ!
弓師エルフ「…や、槍の柄ごと粉砕して叩きつけるとは!」
戦士エルフ「なんてパワーだ…」
魔剣士「…白姫、俺の後ろに隠れていろよ」
白姫「…っ」コクン
魔剣士(オッサンが戻ってこないところを見ると、戻れない状態なのか……?)
白姫「…ッ」
魔剣士は、白姫を後ろへと下がらせ、守る体制へと入る。
だが、それは「後ろに下げたことで俺が守れる」という油断を生む。
先ほど吹き飛ばした魔導エルフの視力は、既に回復していた……。
…コソッ…
魔導エルフ(…ぐっ!ふざけやがって!目はなんとか見えるが……)チカチカ…
魔導エルフ(よくもやりやがって、後ろからその女ぁとっ捕まえてやる…!)
ソー……
白姫「…」
魔導エルフ「…」ソー…
白姫「…」
魔導エルフ(……とったぁ!!)バッ!
…ガバァッ!
白姫「…むぐっ!?」
魔剣士「!?」ハッ
魔導エルフ「動くな、男ぉ!!」
白姫「むぐっ~…!」ブンブンッ!
魔剣士「くっ!?」チャキッ!
魔導エルフ「この女が大事だというのなら、動くな!」
魔剣士「てめぇ…!」
魔導エルフ「武器を捨て、投降しろ!」
魔剣士「…っ!」
魔導エルフ「……どうした、早く武器をすてろぉ!!」
白姫「…っ」ブルッ…
魔剣士「……ざけんなよ」
魔導エルフ「何っ…!」
魔剣士「白姫を離しやがれコラ……」
魔導エルフ「……つ、強気なのはいいがこっちには盾がいるんだぞ?」
魔剣士「ぶち殺すぞ…」
魔導エルフ「…ッ!」ゴクッ…
魔剣士「傷つけてみろ…。次の瞬間、てめぇの頭は宙に浮いてるからな……」ユラッ…
トコッ…ギシ…ギシ……
魔導エルフ「く、来るな!!動くなっつってんだろうが!」
魔剣士「…」チャキッ…
魔導エルフ「……ぐっ!!」
白姫「…っ」
魔導エルフ「……そ、それ以上近づけば!!小風刃魔法ォッ!!」パァッ!
…スパッ!
白姫「あっ!?」
魔剣士「!」
魔導エルフ「……首から下がなくなるぞ」
風刃魔法を放ち、白姫の首筋を切り裂いた。
わずかな傷ではあったが、流れた血がポタリと床へしたたり落ちた。
白姫「…!」ズキン…
魔導エルフ「魔剣士、これ以上来るなら分かってるんだろうな!!」
魔剣士「て、てめぇ…!!」
魔導エルフ「……う、動くなよ!」
魔導エルフ「女ぁ、こっちに来いっ!!」
…グイッ!
白姫「…ッ!?」
魔導エルフ「見せつけてやろうぜ…」モゾッ…
白姫「ひっ…!?」
魔剣士「お前ッ!!」
魔導エルフは白姫の魔法衣の隙間から胸へと腕を入れた。
ニヤリと笑みを浮かべながら、
白姫とともに魔剣士から距離を置くべく、わずかに下がった。
たかが一歩の後退であったが、
これが魔導エルフの失態となる。
白姫「…ッ!!!」
白姫「や…だっ……!」
白姫「嫌ぁぁあああぁぁああっ!!!!」
白姫「ま、魔剣士ぃぃぃっ!!!」
魔導エルフ「何っ!?」
魔剣士「!」
魔剣士から離れたその一歩は、
あの日の恐怖を覚えた白姫にとって、
誰も助けに来ない、あの日のを脳裏によみがえらせた。
その恐怖は、瞬時に叫び声として部屋へと響き渡る。
……そして、その声聞いた魔剣士は……
魔剣士「…」ブチッ
魔導エルフ「…おい、急になんで泣き叫ぶ!?」
白姫「やだ、離してぇぇえぇっ!!!嫌ぁぁああっ!!」
魔導エルフ「…こ、この!」
魔剣士「魔導エルフ…」ユラッ…
魔導エルフ「……あぁ!?今忙しいんだよ!!」
魔剣士「白姫を泣かせやがったな…」
魔導エルフ「それがどうし……!」
…カキンッ、ズブシュッ!!
魔導エルフ「…がっ!?」ズキンッ!
魔導エルフ「せ、背中に…痛み……がっ……?」チラッ
……急に、魔導エルフの背中に激痛が走る。
その正体は魔剣士が放った"氷属性魔法"による氷の槍であった。
床より発動し、魔導エルフの背中に差し込んだのだ。
魔導エルフ「なんだ、これっ……」ズキンズキン…
ポタッ…ポタッ……
魔導エルフ「む、無詠唱の、氷結……魔法…だと……!」
魔導エルフ「いつの…間…に……っ!」
魔剣士「白姫を離せ…。さもなければ、貴様の身体を貫くぞ……」
魔導エルフ「…っ!」
魔剣士「離せと…言っているだろうがああああっ!!」パァァッ!
魔導エルフ「て、てめ……!!」
…………
……
…
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