魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第九章【セントラル】

9-58 それからのこと

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―――それから。

白姫「ヴァイクさんに連絡は取りましたか?猛竜騎士さんはどこに?……兵士の育成は後回しにして、先にこちらへ来るようお願いします!」

戦いの終焉から、気が付けば2か月が経とうとしていた。
白姫はあれからすぐに正式に女王に即位し、現在ここに居ない猛竜騎士は、白姫の"側近"兼兵士の育成役を任されている。

リヒト「次の財政案は出されましたが、まだ不安定ですね」
白姫「うーん…、どうしましょうか……」

リヒトは頭の良さを活かし、白姫の補佐として国を支える立場になった。

リッター「……兵士たちの予算も微妙ですなぁ」

そしてリッターは、正式に兵士長に任命。今日行われている各予算について今一度見直し、今後の見通しを図っている。

白姫「そうはいっても、他の国への損害を支払う必要もありますし……」
リッター「元王の財産を売ってもこの始末。しばらくは、セントラルは借金生活になりそうですな」
白姫「国民たちも、自分たちの責任でもあると頑張ってくれています。私たちが弱音を吐くわけにはいきません」
リッター「そうですな。さっさと猛竜騎士を呼んできますか……」

リッターは立ち上がると、王室をあとにする。

白姫「……リヒトさん」
リヒト「はい?」
白姫「あれから…バンシィについての連絡は入りましたか?」
リヒト「…まだです」

バンシィは当初こそ魔剣士を失った世界に暴れていたが、次第に落ち着き、セントラルの復興に助力を尽くしていたが、1か月を過ぎたあたりで白姫のベッドに1通の手紙を残して姿を消した。

リヒト「手紙を辿って魔梟を飛ばしていますが、まだ……」
白姫「手紙にあった通りなら、バンシィはいなくなった魔剣士を探して旅に…。あれから2か月……」
リヒト「……魔剣士さん。その名前は、ハイルとブリレイ、そして魔剣士さんと、情報について散策するのは国家絡みで禁忌にされてしまいましたね…」
白姫「幻惑はいつか解けるはずです。でも、そんなの待っていられない…。私は、魔剣士に……」

その時、"ガチャリ"と王室の扉が開く。

猛竜騎士「魔剣士に会いたいというのは、最大の禁句のはずですよ。白姫女王?」
白姫「猛竜騎士さん!どこへ行っていたんですか!」

立ち上がって、猛竜騎士へ駆け寄る。

猛竜騎士「リッターと入れ替わる形で兵士の育成に勤しんでた。まだまだ、鍛え足りない奴らばっかりだからな」

槍を回して、得意げに言う。だが、白姫はジト目で猛竜騎士を睨みながら言った。

白姫「仕事を忘れないでください!もー、側近として書類のサインの仕事があるんですよ!」

指を差した机の上には、山積みになった書類が溢れかえり、床にまで散らばっていた。

猛竜騎士「見なかったことにはできないかね」
白姫「ダメです」
猛竜騎士「はい」

参ったなという感じで猛竜騎士は机に座り、一番上の書類から目を通す。

白姫「…もう、みんな身体を動かしたい人ばっかりなんだから!」

白姫はため息を吐きながら、自分の席に戻った。

リヒト(あはは、白姫さんも大変だな。……あ、そういえば…!)

そういえば、リヒトは席に着いた女王を見て思い出し、多くの国民たちがそう思ったことがある。

リヒト「そういえば"白姫"さん」
白姫「どうしました?」
リヒト「どうして、名前を変えなかったんですか?白姫女王様なんて、ちょっと変わってますよね」

そう、彼女は女王に就任してからも名前を以前のまま変えずにいた。多くの国民や、猛竜騎士も以前通りの呼び名で済むのは楽だと思ってはいたが。

白姫「……国民たちもみんな疑問に思ってるみたいですよね」

まぁ、至極単純な理由ではある。

リヒト「大体は分かってますけどねっ!」

魔剣士が戻ってきた時、またそう呼んでほしいから。せめてもの我がままであった。

猛竜騎士「……しかしあのバカ、どこで何をしているんだか」
リヒト「バ、バカって…あはは……」
白姫「いいえ、馬鹿ですよ!早く、会いたいのに……!」

しゅんとして、顔をうつむかせる。
猛竜騎士は「やれやれ」と言って、白姫の元へ近づき頭をくしゃくしゃと撫でた。

白姫「あうぅ…」
猛竜騎士「アイツだって、そう簡単に顔は出せないんだ。分かってやれ」
白姫「分かってます…。だけど、もう2か月も……」
猛竜騎士「ずっと一緒にいたからな。いつも、いつも、お前たちはずっと二人だった」
白姫「魔剣士……」

考えないようにしていても、何かあると「魔剣士」と言ってしまうし、常に傍にいてくれている気がしてならない。毎晩、夢の中で乱暴だけど優しくしてくれる冒険を思い出すと、朝を迎えることが何よりも悲しかった。

猛竜騎士(魔剣士、今…お前はどこにいるんだ。顔くらい…見せてやれ……)

………
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