魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第七章【氷山帝国】

7-12 絶対消失領域(2)

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猛竜騎士「……絶対領域?」

セージ「そうよ。本当、面白いことが起きるものね……」
猛竜騎士「どういうことだ?」
魔剣士「意味が分からん」
白姫「どういうことですか?」
セージ「つまり、今の彼のオーラについてなんだけど……」

基本的に、魔法の放出において術者には影響が及ぼすことはい、魔剣士が展開させた火炎は、自身に行った際に"術者に影響を及ぼさない"よう魔力が分散状態となり、オーラのように見えているということらしい。

セージ「そして、その分散した魔力は粒子のように細かくなって放出を続けているから、近づく魔力を微塵切りのように消失させてしまったというわけね」
猛竜騎士「なるほどな…。今の魔剣士から発せられてるのは魔法に対し、鋭利なナイフを常に振りかざしてる状態というわけか」
セージ「それも恐らく、仕組みから考えると"どの属性"を展開しても、全属性に対し無敵なバリア状態と言っても過言じゃない」
猛竜騎士「そんなことが!?」
セージ「も、もちろん普通はありえないのよ!」

猛竜騎士「そりゃそうだろうが……」
猛竜騎士「……って、何故だ?よく考えれば、俺らも放出型で魔剣士と同じようにやればそのバリアオーラは身に着くんじゃないか?」

セージ「無理よ。自分が火だるまになりかねないわ」
猛竜騎士「ん…?普通は自身に影響がないんじゃないのか?」
セージ「掌に炎を出す時、自分は火傷をしないでしょ?一般的な影響を及ぼさないというレベルはその程度なのよ」
猛竜騎士「なるほどな」

セージ「魔剣士クンは繊細な魔術が得意だったし、出来ても"全身に炎を纏うだけ"と思っていたんだけど……」
セージ「今の彼は"自身に影響がないように"、あらゆる魔法が強制的に分散されているみたい」
セージ「これは、人としてあり得ない能力……」
セージ「もしかすると、そのウィッチという女性が生命の幹というものをレベルアップをさせた際に、この効果を付与させた……」
セージ「…」
セージ「……あっ!!?」

再び、彼女に閃きが起こった。

猛竜騎士「どうした?」
セージ「分かった……」
猛竜騎士「何を分かったんだ?」
セージ「闇魔法の真髄。意味、所以、今この時に伝えられている"自己強化"の意味……!」
猛竜騎士「何だって…?」

セージ「そうよ!猛竜騎士、闇魔法とは本来…何!?」
猛竜騎士「人にあらざる力…。バーサク(自己強化)を用いることか?」
セージ「闇魔法たる所以は!?」
猛竜騎士「命を紡ぎて、それを犠牲にして習得する魔法。つまり、生命の幹の強化で会得できることだったか」
セージ「そうなのよ!だから、仮説ができた!」
猛竜騎士「ん?」

セージ「闇魔法の会得方法は、生命の幹のレベルアップが前提だとすれば、それは魔力の強制増幅へ耐えうる身体になるということ」
セージ「そして、数々の過去の遺品は"膨大なる魔力"の増幅の装備だったとすれば?闇魔法の会得者は全て"魔力強制増幅"を行った可能性がある!」
セージ「だから闇魔法で伝わっている"自己強化"とは、魔剣士クンの今の状態で正しいのよ!」

猛竜騎士「このオーラこそが、闇魔法だということか…!」
セージ「そう!これが基本の形なの!それと魔剣士クン!」
魔剣士「な、なんだ?」
セージ「即座に水魔法とか雷魔法へ変換展開できる!?」
魔剣士「あ、あぁ……」

興奮するセージに、思わず素直に従ってしまう魔剣士。元々魔法のスイッチングが得意だった魔剣士は、展開する属性を簡単な様子で様々な変化をさせた。
すると、赤かったオーラは"水のブルー"、"雷のイエロー"、"風のグリーン"と属性の象徴カラーへと染まり、魔剣士自身、それ以上にセージが声を上げて驚いた。

セージ「やっぱり…!予想通り、これは間違いない!」
魔剣士「おぉ…!」
セージ「これが闇魔法の真髄なのよ!」
魔剣士「……なんかオーラだけって地味だな」
セージ「絶対的に、魔法を分解できる能力なのよ!?」
魔剣士「俺が思ったのはちょっと違うんだが……」
セージ「何がよ!」
魔剣士「バーサーカーってさ、こう…命を削るようにもっと筋力増大とかして力でゴリゴリ押したり出来たりさ……」
セージ「闇魔法の使い手なんだから、魔法がメインに決まってるでしょ」
魔剣士「なんだそうなのか……」
セージ「貴方ね、どれだけ凄いことか分かってないわね」
魔剣士「あまり?」

セージ「そのオーラは、対する魔法を全て繊維状に分解するから、赤でも青でも全ての魔法に対し無効化状態を得られているはずよ」
セージ「あと、オーラを自由に動かすことも出来るようになるかもしれない」
セージ「無属性や火属性、雷属性をオーラとして纏い、それを攻撃に転じるようになれば無敵を得たも同然の戦士になれるのよ…?」

魔剣士「このオーラを自由に動かせるようにしろってのか?」
セージ「纏えるということは、その状態でも動かせる。任意に出来るようになれば、魔術師のあこがれの的の"創作"した魔法が使えるようになるということよ……」
魔剣士「いやだから俺は別に大魔術師になりたいとは」
セージ「考えなさい。剣に無属性を自由に扱えれば、それに強化判定を持たせれば純粋なパワーアップした攻撃を行えるのよ」
魔剣士「物理的にも上昇するってことか!」
セージ「そういうこと!そこについてもちょっと色々教えたいけど、私は闇魔法の研究が進んで色々論文が進みそうだから先にメモしてくるわね!」
魔剣士「おい」
セージ「まずは自分の得意な炎のオーラを、自由に動かせるよう努力しておきなさい!」
魔剣士「……へいへい」

セージは興奮したまま、颯爽と研究室へと向かっていった。一方、勘の良い猛竜騎士は、彼女が考えていたものと同じ考えを既に持っていた……。

猛竜騎士(ま、魔法を完全無効化する術を習得した上、物理へも転じる可能性があるだと…?)
猛竜騎士(どこまで伸びる可能性があるというんだ、闇魔法というものは……)
猛竜騎士(これほどの能力が、命の軽い扱いだった昔に"誰かの命を犠牲にした程度"で習得できるというのなら、そりゃ流行るはずだ……)
猛竜騎士(そして、禁止もされるに決まっている……!)
猛竜騎士(命を犠牲にし、生命の幹のレベルアップに、魔力増幅を用いれば誰でも会得する可能性があるというのは裏の世界にとってこれ以上美味しい話はない……)
猛竜騎士(セージ、お前はこの論文を発表して一体どうするつもりだというんだ……)

…………
……


………………………………………………
―――そして、研究室側にて。

制研究員「随分とご機嫌ですねセージ様」
セージ「当然じゃない!闇魔法の所以というか、闇魔法の歴史を紡ぐ秘密へ結びついたのよっ♪」
制研究員「本当ですか!?」
セージ「ふっふっふ~♪私だもん、当然でしょう!」
制研究員「そ、それでどんな…内容なんですか……?」

セージ「まだ誰にも言っちゃだめよ?」
セージ「闇魔法に絡む生命の幹の情報に、それを前提とした魔力増大……」
セージ「サクっとメモを書くから、これを見ればすべてわかるわ!」

セージは机の上にあったノートへ、走り書きで闇魔法について考えうる全ての事象を記載するとそれを制研究員へと渡した。

制研究員「それでは、少し読ませていただきます」
制研究員「…」
制研究員「ふむ…なるほど。闇魔法は強制的な魔力増幅に、それを抑える為の命が必須であるということですね」
制研究員「……ん?」
制研究員「ち、ちょっと待ってください!」

セージ「なぁに?」
制研究員「こ、こんな簡単な仕組みで闇魔法の会得が出来るのですか!?」
セージ「……そういうことよ」
制研究員「闇魔法は、古代の装備…遺品であるレガシー品を用いてのみ会得可能だと思ってましたが……」
セージ「だから、その遺品がそうだったのよ。それこそが魔力増幅品だったということなのよ!」
制研究員「な、なんですって…!」
セージ「遺品である古代の魔力増幅装備は、装着することでその魔力を限界値以上に増幅させる。そして、それを抑えるのは人の命ということだったのよ」
制研究員「それだけの理論ならば、遺品を入手せずとも我々の技術程度で復興出来るじゃないですか!」
セージ「そうね…。誰かの犠牲はいるけど、出来ないことじゃないわね……」
制研究員「こ、こんな危険な話…!」
セージ「発表出来ないと?」
制研究員「悪用され兼ねませんよ!」

セージ「……そうね。隠すのは当然の話とはいえ、もしこれが世間へ知られたとなれば、再びこの世は力を求める者の為に混乱が訪れるかもしれないけど」
セージ「この情報はね、改めて闇魔法が危険な存在であるということを認識させるには充分だと思う」
セージ「それに今、世界で一番の技術を持つ私たちの国だからこそ情報は知っていて損はないはずよ」

制研究員「……そ、そうでしょうか」
セージ「そうよ…。そしてこれだけでも大きな成果はあがった。あとは、魔剣士クンをもっと調べて成長させて、研究を濃いものにしないと!」
制研究員「が、頑張って…下さいね……」
セージ「もちろんじゃない!あ、大丈夫だと思うけど制研究員!これは絶対厳守よ?」
制研究員「は、はいっ…。わかって…おります……ッ」
セージ「よろしい♪」

…………
……


………………………………………………
―――連合本部、テイケン研究室。

テイケン「ところがさぁ、そのメモしたノートも内容も全て僕が手に入れることになるんだから面白い話だよねぇ」
テイケン「……ククク、何が平和の為だ」
テイケン「君はまだ、この国の裏に気が付いていないんだ」
テイケン「何故、この国が急成長をしたか。かつてのセントラルの方針と同じように、ランク制度を用いて弱者を切り捨てたのか」
テイケン「それを理解しておくべきだったね?」
テイケン「フフッ、来週末が楽しみだよ。セージ……」

………………
………
……


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