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第八章【東方大地】
8-29 カウントダウン
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アサシンとの死闘を制した魔剣士たちは、一時の休息のため、荒地村まで後退した。
マスターを失った盗賊団がどのように動くかは予想ができなかったが、とにかく先に自分たちの休息が先決であった。
また、既に荒地村はアサシンの手に堕ちていたものの、配置された面子は火炎化を習得した魔剣士の敵ではなく、あっという間に占領に成功する。
自由を取り戻した村人は歓喜に沸き、砂国の領地内ということで"テイル"のことを知っていた彼らは魔剣士たちを受け入れ、村一番の宿で安らぎの場所を提供したのだった。
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―――そして、夜。
戦いの疲労で宿のベッドに深々と寝ころんだ魔剣士は、目を覚ましたテイルや白姫にアサシンの死と、自分の身に起きた全てについて話をしたところだった。
テイル「本当にアサシンが死んだの!?本当に魔剣士が倒してくれたの!?」
白姫「本当に、あのアサシンを…倒したんだ……」
魔剣士「少しばかり王室はボロっちくなっちまったけど、完全にアイツはこの世から消え去ったよ」
テイル「その話、本当なんだよね……!?」
魔剣士「二重人格とか、三重人格に近いこととか、精神世界とか、まるで夢物語かもしんねーけどな」
テイル「本当…なんだよね……」
魔剣士「嘘つく理由はねぇ。俺の腕で、全てを無に帰してやったぜ」
テイル「……そうなんだ。…うっ、あぅっ……!」
魔剣士「お、おいっ……」
白姫「テイルさん……」
猛竜騎士「…」
話を聞いたテイルは、両手で顔を隠し、涙を流した。
テイル「これで全部…救われるんだね……」
テイル「国が戻ってきて…、父上の国が……、兄さんが成し得なかった未来が…………」
魔剣士「…」
猛竜騎士「…」
白姫「…」
テイル「全部が終わってないっていうのは分かってるけど、凄く…嬉しくて…………っ」
テイル「アサシンから全てを奪い返せて、未来が見えたことが、凄く…嬉しくて……!」
本当のところ、今のアサシン自身が望んだことではなかったが、今それを言うことに意味はない。魔剣士と猛竜騎士はそれを伏せ、今後のことについて話を振った。
魔剣士「おい、テイル…」
テイル「な、何…?」
魔剣士「全てが終わってないってのは分かっているなら、次のことについても決めていこうぜ。前へ前へ、だろ?」
テイル「あ、うん……、そうだよね……。うんっ、分かってる!」
一瞬の安堵の涙、それを裾でゴシゴシと拭いた。すると、テイルの目は既に未来を見据えているようで、改めて彼女が心底、強い人間なんだと思えた。
魔剣士「んで、アサシンがいない今、盗賊団はヤベェことになるって言ってたな」
白姫「リーダーがいなくなったら解体されるんじゃないのかな?」
猛竜騎士「ただでさえ荒くれ者が集まっている団に、統率者がいなくなれば自由に動き始める可能性が高い。解体よりも面倒な事態だ」
テイル「まだ危機は去っていないってことだけど、権力者っていうか実力者はアサシンがトップだから……」
魔剣士「あぁそうだ、アサシンがいないのはデカイな。あとは取り巻きだった幹部の連中が厄介な程度ってことか」
テイル「うん、アサシンの幹部はそれなりに実力が高いみたいだし……」
猛竜騎士「すると、アイツか……」
恐らく、彼の一番の側近であり副長の役割をしているのは"ルヴァ"という男だった。
魔剣士「アサシンと比べりゃゴミクズだろ。俺の魔法で吹き飛ばしてやるぜ」
猛竜騎士「ルヴァという男が、アサシンが死んだと知り、どんな反応をするのか気になるところだな」
魔剣士「あん?」
猛竜騎士「カリスマ性があるかないかにもよるが、アサシンを身近で見てきたからこそ、統率者たる実力もあるかもしれん」
魔剣士「……第三のアサシンになる可能性があるってことか?」
猛竜騎士「いや、そこまでの名を継ぐのは無理だろうな。あくまでも統率者になれるかもしれないということだ」
魔剣士「どうしてそう言い切れる?」
猛竜騎士「お前から得た情報だと第一のアサシン…、つまり初代は戦闘実力よりも人を惹きつけるカリスマに溢れていたんだろう」
猛竜騎士「第二の戦ったアサシンは、闇魔法による凶悪な実力を備え、初代の人格からより惹きつける力も持っていた」
猛竜騎士「しかし、あの男にそんな実力はないし、あくまでも今までの経験から備えてた統率者としての実力があるかもって話だ」
魔剣士「なるほどな」
猛竜騎士「闇魔法たる持ち主であったりよっぽどな凶悪者として名が挙がっているならまだしも、無名の側近を手で殺めるのは少し気も引けるが……」
魔剣士「直球で言えば、殺さないと問題になるかもしれないってことだろ……?」
猛竜騎士「その通りだ」
彼は砂国を滅ぼしたアサシンの側近であることの時点で共犯者たる罪を背負った者で間違いはないのだが。
テイル「……待って」
ここで、テイルが間に入る。
猛竜騎士「どうした?」
テイル「ここからは、私の仕事にさせてほしいの」
猛竜騎士「テイルの仕事に?」
テイル「でも、助けてほしい…。アサシンを倒してくれただけで凄く仕事をしてもらったんだけど、まだ…少しだけ助けが欲しい……」
猛竜騎士「助けるのは当然だが、それは…どういうことだ?」
テイル「この村も、あくまでも砂国の領地内。あまり戦闘意識が向いている人がいるわけじゃないだけど、戦える人はいるの」
猛竜騎士「……ふむ」
テイル「私が生きていることを知って、村が取り戻されて、ここの人たちは活気に沸いてるのは事実でしょ?」
猛竜騎士「すると……」
テイル「うん。私がこの村を率いて、砂国王城に乗り込む。そして、国民に問いかけたい」
テイルの考えは至極単純。自ら指揮して砂国の民を立ち上がらせ、乗っ取られた国を取り戻そうとしていたのだ。
もちろん、この村の人数では数のしれないアサシン盗賊団相手に反旗を翻すことは不可能だし、魔剣士の力が何よりも必要だった。
猛竜騎士「少なくとも、村人に犠牲が出るが……」
テイル「それは、その意味は…分かってるでしょ」
見知らぬ冒険者に助けられるより、同族の砂国の民が戦わなければならない。犠牲はもとより覚悟の上。この村の民もきっと分かってくれるはず。
猛竜騎士「その覚悟があるのなら」
テイル「当たり前よ。ただ、ここまでの好機を得たなら私は死ねない。絶対に……」
指導者として、生きなければならない。
テイル「だけど、魔剣士たちの力は絶対に必要だから…。お願い…します…………」
テイルは魔剣士たちに向かい、頭を下げた。
彼女の姿勢に驚いたが、魔剣士は「ククッ」と笑う。
テイル「魔剣士…?」
魔剣士「ククッ!テイル、お前にゃ悪いけど頭を下げても意味ないぜ」
テイル「ダ、ダメってこと……?」
魔剣士「そうじゃねぇ。ここまで来たら、最初から俺らは最後までやるつもりだったってことだよ」
テイル「!」
魔剣士「つーか、締結状のこともあるしな……」
テイル「あっ……」
魔剣士「ま、締結状の有り無しにしてもこんな状態ならやらせてもらう他はねぇし……。な、オッサン、白姫?」
猛竜騎士「その通りだ」
白姫「うん!」
テイル「みんな……」
その優しさに、テイルは思わず目を潤ませる。自身に強くあるべきだと何度も言い聞かせてきたのに、ここまで泣きやすいとは思わなかっただろう。
テイル「……そ、それじゃ…!夜も遅いけど、このことをみんなに伝えないと!」
アサシンの死からどうなるか分からない現状において、出来る限りの早い行動は必須。村人を立ち上がらせることを行うため、テイルは彼らに声をかけようとするが――…。
猛竜騎士「その必要は無いみたいだぞ」
魔剣士「あぁ、全くだ」
テイル「…えっ?」
白姫「え?」
二人はクイクイとドアの方向を指差した。
テイル「何が……って、えぇっ!?」
すると、ドアが"キィ"と開いたかと思うと、数人の村人たちが「す、すみません……」と顔をのぞかせたのだった。
テイル「み、みんな!?」
猛竜騎士「先ほどからずっと気配を感じていた。盗み聞きとはよくないが、テイルの気持ちを知らせるためにあえて無視しておいたんだ」
テイル「どうしてみんなが……」
猛竜騎士「全員、テイルが生きていてそれほど嬉しいんだろう」
テイル「そ、そうなの!?」
声を上げて村人を見つめると、「へへっ」と照れくさそうに鼻を掻いた。
テイル「みんな……!」
猛竜騎士「じゃ、話は聞いていただろうし結論も早いだろうが……人数が多いと話し相手にも困る。一人、代表を選んでくれ」
集まった村人たちは顔を合わせるが、一瞬にして代表は決まる。
奥側から現れたのは黒い短髪、頬に大きい傷をつけた巨体な男であった。
ヴァイク「……ヴァイクと申します。自分が代表に話をさせていただいてもいいでしょうか」
猛竜騎士「ん、よろしくな。俺は猛竜騎士だ」
ヴァイク「以前、この村に来ていただいておりましたよね。盗賊団を倒したのは見事の一言でした」
猛竜騎士「あぁ……」
ヴァイク「自分は元砂国戦闘部隊員で村の守衛にあたっていたのですが、村も守れなかったのは恥の一言でした……」
猛竜騎士「なるほどな……」
ヴァイク「しかし、話を聞かせて頂きました。テイル様を筆頭にし、国を取り戻すのだと!」
猛竜騎士「魔剣士の力もあれば、実力的には申し分なく叩くことはできる。犠牲が出ないとは言い切れないのが残念だが、国を取り戻すには充分すぎる武力はあるつもりだ」
ヴァイク「頼りにしております。次こそ、国を取り戻すために…!!」
猛竜騎士「そこまでの意気があれば上手くいくだろう。他の者たちは……」
アサシンの死と、テイルの生。魔剣士たちが簡単に村を解放したことを目の当たりにした村人は光を取り戻し、誰一人恐怖する様子はなく、反撃の時だと手を高々と上げたのだった。
テイル「みんな……、みんなっ……!!」
ヴァイク「テイル様……」
テイル「ヴァイク…だったっけ……」
ヴァイク「えぇ、そうです。テイル様、まさか眼前でご拝見出来るとは、至極光栄です……」
テイル「そんなこと……」
ヴァイク「お父様の件、残念でなりませんでした。あの時、私は檀上前の守衛部隊に参加をしていたのですが、何も出来ずに……」
テイル「戦いの流れがあった以上、仕方ないことだから。お父様の部隊の人が生きていただけで、私は凄く嬉しいから……」
そっと手を出し、握手を求める。
ヴァイク「テイル様……!」
ヴァイクは震えながら、両手で彼女の手を握った。
ヴァイク「先の戦いで捨てきれなかったこの命。存分に、お使いください……!」
テイル「待って。そんなことは言わないで!」
ヴァイク「は……」
テイル「国が生きるためには、誰一人として、死んだらいけない。生きなくちゃいけないの。死ぬようなことは言っちゃダメ」
ヴァイク「テイル様……」
テイル「だけど、覚悟はある。私は、犠牲のもとに国は取り戻す。矛盾ばかりだけど、気持ちは分かってほしい」
ヴァイク「痛むほどに、理解しております……」
テイル「よろしくね、ヴァイク」
ヴァイク「はっ…!承知いたしましたァ!!」
お世辞に広いとは言えない宿で、巨体をズン!と鳴らし、敬礼するヴァイク。
余りの力に部屋が揺れ、テイルはいつもの癖で「こらぁっ!」と怒鳴ったのだった。
ヴァイク「も、申し訳ありませんっ!」
テイル「あ…、い、いや何でもない!忘れて!」
ヴァイク「テイル様に怒鳴られないよう、気を付けます……」
テイル「よ、よろしく頼むわね……」
魔剣士「ククッ…!お前にそんな畏まったの似合うかよ……!」
テイル「う、うっさいっ!!」
空気が和み、笑顔が溢れる。
猛竜騎士「ところで、ヴァイク」
ヴァイク「はい」
猛竜騎士「君は、部隊に属していたと言ったが、この辺の地理や現状については詳しいか?」
ヴァイク「国が混乱してから、付近の村はほぼ壊滅状態で、うちと同じような村や小さい町、集落が点々としています」
猛竜騎士「周辺の人がいる地区の地図はあるか」
ヴァイク「宿ですので、旅人向けには」
猛竜騎士「準備してくれ。紙とペン、あと代表者で戦える人材を数人、この部屋に集めてくれるか」
ヴァイク「は、分かりました」
ヴァイクは頭を下げ、部屋から出ていったのを見計らい、魔剣士は不思議そうに猛竜騎士に尋ねた。
魔剣士「オッサン、何すんだ?」
猛竜騎士「戦うのなら、人材は多いほうが良い」
魔剣士「おう?」
猛竜騎士「お前の力があれば、町一つくらいなら占領は出来るだろう?」
魔剣士「まぁ……」
猛竜騎士「砂国の城下都市を囲むようにある付近の町村や集落を、朝一で救出し、そのまま仲間を増やして突撃したほうが良いだろう」
魔剣士「……あぁ!」
猛竜騎士「だから、今この村にある移動手段と戦えるだけの人材を集め、ルートと時間を決めて攻め込む計画を練るんだ」
魔剣士「いよいよ戦争らしくなってきたってわけだ」
猛竜騎士「とはいえ、お前の力があればそれほどの心配もしていない。頼りっきりになってしまってすまないとは思っているが……」
魔剣士「いんや、別に構わん。力を持て余すより、みんなが喜んでくれる使い方のほうがいいからな」
猛竜騎士「そうか。お前が仲間であって、本当に良かったと思うぞ」
魔剣士「…だから変に誉めんなよ、気色わりぃ」
猛竜騎士「ふははっ、すまないな!」
闇魔法とは確たる力か。言葉には出来ないが、もし魔剣士がアサシンと同じような存在になっていたのならと思うとゾっとする。
今なら町一つ、国一つを奪えることは"単純作業"のレベルであることは間違いないし、アサシンが亡き今、魔剣士の強さは世界を揺るがす存在となってしまった。
猛竜騎士(白姫の存在が心の拠り所だ。彼女がいて強くなり、彼女のために強くなり、か……)
これが運命と言わずして何といえばいいのか。ふと目を閉じれば、セントラルの明るい未来が見えた気がした。
"…コンコン"
すると、部屋をノックする音。ヴァイクが、数人の仲間を連れて頼まれた地図の他、夜食代わりにと貴重なパンや飲み物を運んできたのだった。
魔剣士「うおっ、ナイスタイミング!」
ヴァイク「もう時間も時間ですし、小腹がすいた頃でしょうと思いまして」
バスケットに入ったパンとチーズ、瓶に入った飲み物は何とも美味しそうに見えたのだが…。
魔剣士「……でも、いいのか?」
ヴァイク「何がですか?」
魔剣士「いくらオアシスのある城下が近くとも、この村じゃこの食料は貴重なんじゃねぇかって……」
猛竜騎士(ほう……)
飛びつく前に、珍しく遠慮しがちになる魔剣士。だが、ヴァイクは何とも心地のいい笑みで"心配はないですよ"と口にした。
ヴァイク「都市部、王城を取り戻した暁には商業ルートが復帰します。いくらでも食べ物や飲み物は手に入りますから!」
魔剣士「……おいおい、遠まわしに俺に媚びを売ってるな?」
ヴァイク「そ、そんなことは!」
テイル「注意しなさい、ヴァイク。この魔剣士って男は、常に変態なことをしてくるから…男も見境ないわよ」
魔剣士「おい!?」
ヴァイク「そ、そうなんですか!?」
魔剣士「しねぇよ!!」
テイル「あっ、思い出したわ。国を取り戻したら、貴方は変態罪で死刑にするんだった」
魔剣士「うおいっ!!」
猛竜騎士「ククッ……」
白姫「あははっ!」
ヴァイク「はははっ……!」
魔剣士「お前ら、笑ってるんじゃねぇーーっ!!」
…………
……
…
―――それから。
猛竜騎士たちは真剣に計画を練り始め、ヴァイクの情報もあって、砂国王城の都市部から囲むようにある5つの集落を朝一の奪還目標として確認。
早朝からの奇襲を仕掛け、ヴァイクの伝手やテイルの存在から仲間を増やしていくという結論に収まった。
そして、その時は来る。
朝4時より開始された作戦は、第一の村を占領していた盗賊団から奪い返すことに成功し、それを皮きりにして目標としていた集落を次々制圧。順調に仲間を増やしながら、侵攻を続けた。
やがて4つ目、最後の目標としていた"太陽村"の奪還を行い――……。
…………
……
…
アサシンとの死闘を制した魔剣士たちは、一時の休息のため、荒地村まで後退した。
マスターを失った盗賊団がどのように動くかは予想ができなかったが、とにかく先に自分たちの休息が先決であった。
また、既に荒地村はアサシンの手に堕ちていたものの、配置された面子は火炎化を習得した魔剣士の敵ではなく、あっという間に占領に成功する。
自由を取り戻した村人は歓喜に沸き、砂国の領地内ということで"テイル"のことを知っていた彼らは魔剣士たちを受け入れ、村一番の宿で安らぎの場所を提供したのだった。
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―――そして、夜。
戦いの疲労で宿のベッドに深々と寝ころんだ魔剣士は、目を覚ましたテイルや白姫にアサシンの死と、自分の身に起きた全てについて話をしたところだった。
テイル「本当にアサシンが死んだの!?本当に魔剣士が倒してくれたの!?」
白姫「本当に、あのアサシンを…倒したんだ……」
魔剣士「少しばかり王室はボロっちくなっちまったけど、完全にアイツはこの世から消え去ったよ」
テイル「その話、本当なんだよね……!?」
魔剣士「二重人格とか、三重人格に近いこととか、精神世界とか、まるで夢物語かもしんねーけどな」
テイル「本当…なんだよね……」
魔剣士「嘘つく理由はねぇ。俺の腕で、全てを無に帰してやったぜ」
テイル「……そうなんだ。…うっ、あぅっ……!」
魔剣士「お、おいっ……」
白姫「テイルさん……」
猛竜騎士「…」
話を聞いたテイルは、両手で顔を隠し、涙を流した。
テイル「これで全部…救われるんだね……」
テイル「国が戻ってきて…、父上の国が……、兄さんが成し得なかった未来が…………」
魔剣士「…」
猛竜騎士「…」
白姫「…」
テイル「全部が終わってないっていうのは分かってるけど、凄く…嬉しくて…………っ」
テイル「アサシンから全てを奪い返せて、未来が見えたことが、凄く…嬉しくて……!」
本当のところ、今のアサシン自身が望んだことではなかったが、今それを言うことに意味はない。魔剣士と猛竜騎士はそれを伏せ、今後のことについて話を振った。
魔剣士「おい、テイル…」
テイル「な、何…?」
魔剣士「全てが終わってないってのは分かっているなら、次のことについても決めていこうぜ。前へ前へ、だろ?」
テイル「あ、うん……、そうだよね……。うんっ、分かってる!」
一瞬の安堵の涙、それを裾でゴシゴシと拭いた。すると、テイルの目は既に未来を見据えているようで、改めて彼女が心底、強い人間なんだと思えた。
魔剣士「んで、アサシンがいない今、盗賊団はヤベェことになるって言ってたな」
白姫「リーダーがいなくなったら解体されるんじゃないのかな?」
猛竜騎士「ただでさえ荒くれ者が集まっている団に、統率者がいなくなれば自由に動き始める可能性が高い。解体よりも面倒な事態だ」
テイル「まだ危機は去っていないってことだけど、権力者っていうか実力者はアサシンがトップだから……」
魔剣士「あぁそうだ、アサシンがいないのはデカイな。あとは取り巻きだった幹部の連中が厄介な程度ってことか」
テイル「うん、アサシンの幹部はそれなりに実力が高いみたいだし……」
猛竜騎士「すると、アイツか……」
恐らく、彼の一番の側近であり副長の役割をしているのは"ルヴァ"という男だった。
魔剣士「アサシンと比べりゃゴミクズだろ。俺の魔法で吹き飛ばしてやるぜ」
猛竜騎士「ルヴァという男が、アサシンが死んだと知り、どんな反応をするのか気になるところだな」
魔剣士「あん?」
猛竜騎士「カリスマ性があるかないかにもよるが、アサシンを身近で見てきたからこそ、統率者たる実力もあるかもしれん」
魔剣士「……第三のアサシンになる可能性があるってことか?」
猛竜騎士「いや、そこまでの名を継ぐのは無理だろうな。あくまでも統率者になれるかもしれないということだ」
魔剣士「どうしてそう言い切れる?」
猛竜騎士「お前から得た情報だと第一のアサシン…、つまり初代は戦闘実力よりも人を惹きつけるカリスマに溢れていたんだろう」
猛竜騎士「第二の戦ったアサシンは、闇魔法による凶悪な実力を備え、初代の人格からより惹きつける力も持っていた」
猛竜騎士「しかし、あの男にそんな実力はないし、あくまでも今までの経験から備えてた統率者としての実力があるかもって話だ」
魔剣士「なるほどな」
猛竜騎士「闇魔法たる持ち主であったりよっぽどな凶悪者として名が挙がっているならまだしも、無名の側近を手で殺めるのは少し気も引けるが……」
魔剣士「直球で言えば、殺さないと問題になるかもしれないってことだろ……?」
猛竜騎士「その通りだ」
彼は砂国を滅ぼしたアサシンの側近であることの時点で共犯者たる罪を背負った者で間違いはないのだが。
テイル「……待って」
ここで、テイルが間に入る。
猛竜騎士「どうした?」
テイル「ここからは、私の仕事にさせてほしいの」
猛竜騎士「テイルの仕事に?」
テイル「でも、助けてほしい…。アサシンを倒してくれただけで凄く仕事をしてもらったんだけど、まだ…少しだけ助けが欲しい……」
猛竜騎士「助けるのは当然だが、それは…どういうことだ?」
テイル「この村も、あくまでも砂国の領地内。あまり戦闘意識が向いている人がいるわけじゃないだけど、戦える人はいるの」
猛竜騎士「……ふむ」
テイル「私が生きていることを知って、村が取り戻されて、ここの人たちは活気に沸いてるのは事実でしょ?」
猛竜騎士「すると……」
テイル「うん。私がこの村を率いて、砂国王城に乗り込む。そして、国民に問いかけたい」
テイルの考えは至極単純。自ら指揮して砂国の民を立ち上がらせ、乗っ取られた国を取り戻そうとしていたのだ。
もちろん、この村の人数では数のしれないアサシン盗賊団相手に反旗を翻すことは不可能だし、魔剣士の力が何よりも必要だった。
猛竜騎士「少なくとも、村人に犠牲が出るが……」
テイル「それは、その意味は…分かってるでしょ」
見知らぬ冒険者に助けられるより、同族の砂国の民が戦わなければならない。犠牲はもとより覚悟の上。この村の民もきっと分かってくれるはず。
猛竜騎士「その覚悟があるのなら」
テイル「当たり前よ。ただ、ここまでの好機を得たなら私は死ねない。絶対に……」
指導者として、生きなければならない。
テイル「だけど、魔剣士たちの力は絶対に必要だから…。お願い…します…………」
テイルは魔剣士たちに向かい、頭を下げた。
彼女の姿勢に驚いたが、魔剣士は「ククッ」と笑う。
テイル「魔剣士…?」
魔剣士「ククッ!テイル、お前にゃ悪いけど頭を下げても意味ないぜ」
テイル「ダ、ダメってこと……?」
魔剣士「そうじゃねぇ。ここまで来たら、最初から俺らは最後までやるつもりだったってことだよ」
テイル「!」
魔剣士「つーか、締結状のこともあるしな……」
テイル「あっ……」
魔剣士「ま、締結状の有り無しにしてもこんな状態ならやらせてもらう他はねぇし……。な、オッサン、白姫?」
猛竜騎士「その通りだ」
白姫「うん!」
テイル「みんな……」
その優しさに、テイルは思わず目を潤ませる。自身に強くあるべきだと何度も言い聞かせてきたのに、ここまで泣きやすいとは思わなかっただろう。
テイル「……そ、それじゃ…!夜も遅いけど、このことをみんなに伝えないと!」
アサシンの死からどうなるか分からない現状において、出来る限りの早い行動は必須。村人を立ち上がらせることを行うため、テイルは彼らに声をかけようとするが――…。
猛竜騎士「その必要は無いみたいだぞ」
魔剣士「あぁ、全くだ」
テイル「…えっ?」
白姫「え?」
二人はクイクイとドアの方向を指差した。
テイル「何が……って、えぇっ!?」
すると、ドアが"キィ"と開いたかと思うと、数人の村人たちが「す、すみません……」と顔をのぞかせたのだった。
テイル「み、みんな!?」
猛竜騎士「先ほどからずっと気配を感じていた。盗み聞きとはよくないが、テイルの気持ちを知らせるためにあえて無視しておいたんだ」
テイル「どうしてみんなが……」
猛竜騎士「全員、テイルが生きていてそれほど嬉しいんだろう」
テイル「そ、そうなの!?」
声を上げて村人を見つめると、「へへっ」と照れくさそうに鼻を掻いた。
テイル「みんな……!」
猛竜騎士「じゃ、話は聞いていただろうし結論も早いだろうが……人数が多いと話し相手にも困る。一人、代表を選んでくれ」
集まった村人たちは顔を合わせるが、一瞬にして代表は決まる。
奥側から現れたのは黒い短髪、頬に大きい傷をつけた巨体な男であった。
ヴァイク「……ヴァイクと申します。自分が代表に話をさせていただいてもいいでしょうか」
猛竜騎士「ん、よろしくな。俺は猛竜騎士だ」
ヴァイク「以前、この村に来ていただいておりましたよね。盗賊団を倒したのは見事の一言でした」
猛竜騎士「あぁ……」
ヴァイク「自分は元砂国戦闘部隊員で村の守衛にあたっていたのですが、村も守れなかったのは恥の一言でした……」
猛竜騎士「なるほどな……」
ヴァイク「しかし、話を聞かせて頂きました。テイル様を筆頭にし、国を取り戻すのだと!」
猛竜騎士「魔剣士の力もあれば、実力的には申し分なく叩くことはできる。犠牲が出ないとは言い切れないのが残念だが、国を取り戻すには充分すぎる武力はあるつもりだ」
ヴァイク「頼りにしております。次こそ、国を取り戻すために…!!」
猛竜騎士「そこまでの意気があれば上手くいくだろう。他の者たちは……」
アサシンの死と、テイルの生。魔剣士たちが簡単に村を解放したことを目の当たりにした村人は光を取り戻し、誰一人恐怖する様子はなく、反撃の時だと手を高々と上げたのだった。
テイル「みんな……、みんなっ……!!」
ヴァイク「テイル様……」
テイル「ヴァイク…だったっけ……」
ヴァイク「えぇ、そうです。テイル様、まさか眼前でご拝見出来るとは、至極光栄です……」
テイル「そんなこと……」
ヴァイク「お父様の件、残念でなりませんでした。あの時、私は檀上前の守衛部隊に参加をしていたのですが、何も出来ずに……」
テイル「戦いの流れがあった以上、仕方ないことだから。お父様の部隊の人が生きていただけで、私は凄く嬉しいから……」
そっと手を出し、握手を求める。
ヴァイク「テイル様……!」
ヴァイクは震えながら、両手で彼女の手を握った。
ヴァイク「先の戦いで捨てきれなかったこの命。存分に、お使いください……!」
テイル「待って。そんなことは言わないで!」
ヴァイク「は……」
テイル「国が生きるためには、誰一人として、死んだらいけない。生きなくちゃいけないの。死ぬようなことは言っちゃダメ」
ヴァイク「テイル様……」
テイル「だけど、覚悟はある。私は、犠牲のもとに国は取り戻す。矛盾ばかりだけど、気持ちは分かってほしい」
ヴァイク「痛むほどに、理解しております……」
テイル「よろしくね、ヴァイク」
ヴァイク「はっ…!承知いたしましたァ!!」
お世辞に広いとは言えない宿で、巨体をズン!と鳴らし、敬礼するヴァイク。
余りの力に部屋が揺れ、テイルはいつもの癖で「こらぁっ!」と怒鳴ったのだった。
ヴァイク「も、申し訳ありませんっ!」
テイル「あ…、い、いや何でもない!忘れて!」
ヴァイク「テイル様に怒鳴られないよう、気を付けます……」
テイル「よ、よろしく頼むわね……」
魔剣士「ククッ…!お前にそんな畏まったの似合うかよ……!」
テイル「う、うっさいっ!!」
空気が和み、笑顔が溢れる。
猛竜騎士「ところで、ヴァイク」
ヴァイク「はい」
猛竜騎士「君は、部隊に属していたと言ったが、この辺の地理や現状については詳しいか?」
ヴァイク「国が混乱してから、付近の村はほぼ壊滅状態で、うちと同じような村や小さい町、集落が点々としています」
猛竜騎士「周辺の人がいる地区の地図はあるか」
ヴァイク「宿ですので、旅人向けには」
猛竜騎士「準備してくれ。紙とペン、あと代表者で戦える人材を数人、この部屋に集めてくれるか」
ヴァイク「は、分かりました」
ヴァイクは頭を下げ、部屋から出ていったのを見計らい、魔剣士は不思議そうに猛竜騎士に尋ねた。
魔剣士「オッサン、何すんだ?」
猛竜騎士「戦うのなら、人材は多いほうが良い」
魔剣士「おう?」
猛竜騎士「お前の力があれば、町一つくらいなら占領は出来るだろう?」
魔剣士「まぁ……」
猛竜騎士「砂国の城下都市を囲むようにある付近の町村や集落を、朝一で救出し、そのまま仲間を増やして突撃したほうが良いだろう」
魔剣士「……あぁ!」
猛竜騎士「だから、今この村にある移動手段と戦えるだけの人材を集め、ルートと時間を決めて攻め込む計画を練るんだ」
魔剣士「いよいよ戦争らしくなってきたってわけだ」
猛竜騎士「とはいえ、お前の力があればそれほどの心配もしていない。頼りっきりになってしまってすまないとは思っているが……」
魔剣士「いんや、別に構わん。力を持て余すより、みんなが喜んでくれる使い方のほうがいいからな」
猛竜騎士「そうか。お前が仲間であって、本当に良かったと思うぞ」
魔剣士「…だから変に誉めんなよ、気色わりぃ」
猛竜騎士「ふははっ、すまないな!」
闇魔法とは確たる力か。言葉には出来ないが、もし魔剣士がアサシンと同じような存在になっていたのならと思うとゾっとする。
今なら町一つ、国一つを奪えることは"単純作業"のレベルであることは間違いないし、アサシンが亡き今、魔剣士の強さは世界を揺るがす存在となってしまった。
猛竜騎士(白姫の存在が心の拠り所だ。彼女がいて強くなり、彼女のために強くなり、か……)
これが運命と言わずして何といえばいいのか。ふと目を閉じれば、セントラルの明るい未来が見えた気がした。
"…コンコン"
すると、部屋をノックする音。ヴァイクが、数人の仲間を連れて頼まれた地図の他、夜食代わりにと貴重なパンや飲み物を運んできたのだった。
魔剣士「うおっ、ナイスタイミング!」
ヴァイク「もう時間も時間ですし、小腹がすいた頃でしょうと思いまして」
バスケットに入ったパンとチーズ、瓶に入った飲み物は何とも美味しそうに見えたのだが…。
魔剣士「……でも、いいのか?」
ヴァイク「何がですか?」
魔剣士「いくらオアシスのある城下が近くとも、この村じゃこの食料は貴重なんじゃねぇかって……」
猛竜騎士(ほう……)
飛びつく前に、珍しく遠慮しがちになる魔剣士。だが、ヴァイクは何とも心地のいい笑みで"心配はないですよ"と口にした。
ヴァイク「都市部、王城を取り戻した暁には商業ルートが復帰します。いくらでも食べ物や飲み物は手に入りますから!」
魔剣士「……おいおい、遠まわしに俺に媚びを売ってるな?」
ヴァイク「そ、そんなことは!」
テイル「注意しなさい、ヴァイク。この魔剣士って男は、常に変態なことをしてくるから…男も見境ないわよ」
魔剣士「おい!?」
ヴァイク「そ、そうなんですか!?」
魔剣士「しねぇよ!!」
テイル「あっ、思い出したわ。国を取り戻したら、貴方は変態罪で死刑にするんだった」
魔剣士「うおいっ!!」
猛竜騎士「ククッ……」
白姫「あははっ!」
ヴァイク「はははっ……!」
魔剣士「お前ら、笑ってるんじゃねぇーーっ!!」
…………
……
…
―――それから。
猛竜騎士たちは真剣に計画を練り始め、ヴァイクの情報もあって、砂国王城の都市部から囲むようにある5つの集落を朝一の奪還目標として確認。
早朝からの奇襲を仕掛け、ヴァイクの伝手やテイルの存在から仲間を増やしていくという結論に収まった。
そして、その時は来る。
朝4時より開始された作戦は、第一の村を占領していた盗賊団から奪い返すことに成功し、それを皮きりにして目標としていた集落を次々制圧。順調に仲間を増やしながら、侵攻を続けた。
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…………
……
…
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