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第一章【出会い】
1-1 魔剣士という男
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…
………
………………
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
――――【 迷いの森 】
……ズバシュッ!!!バスバスッ!!!……
ウルフ『…ガッ!』
魔剣士「……へっ、余裕!」
ウルフ『…ッ!』
フラッ…ズシャアッ!…
ウルフ『……』ピクピク
魔剣士「俺の生活のためだ。悪く…思うなよ?」
That is where the story begins !
―――――――――――――――――――――
魔剣士「…お姫様の家出に付き合うことになった」
―――――――――――――――――――――
Do not miss it !
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 セントラル王国 市場 】
魔剣士「はっ…?」
魔剣士「…はぁぁっ!?」
魔剣士「た、たった5千ゴールドだぁぁぁっ!?」
市場商人「当たり前だろ、ただの狼でそこまでの値がつけられるかよ」ハァ
魔剣士「おまっ…!」
魔剣士「新鮮なうえに、大物だろうが!一桁間違えてるんじゃねえのか!」
市場商人「あのな…。大金が欲しいなら、スマートにベアウルフの1匹でも捕まえて来いっての」
市場商人「そしたら10万でも20万でもつけてやるよ」
魔剣士「なんだと…!だったらせめて、1万ゴールドにしてくれよ!」
市場商人「文句言うなら買わねぇぞ。こっちだって商売なんだ」
魔剣士「な、なにっ…!」
魔剣士「~…っ!」ブルブル
魔剣士「…ちっ!わかったよ、5千ゴールドで手ぇ打てばいいんだろ!」バンッ!!
市場商人「本当は買取すらしないレベルだぞ?感謝しろよ」
魔剣士「いいから早く5千ゴールドよこせ!」クイクイ
市場商人「ったく…。ほらよ」スッ
…チャリンッ
魔剣士「…小銭かよ!せめて札でよこせ、札でっ!」
市場商人「スマートじゃねぇやつだな!いちいち注文つけやがって…!」ペラッ
魔剣士「うるせぇっ!俺だって大変なんだよ!」パシッ!
市場商人「知ってるって。だからこんな素材でも買い取ってやってるんだろうが」
魔剣士「うっ…!」
市場商人「あのなぁ、小さい頃からお前を知ってるけどよ」
市場商人「冒険者気取りの風来坊をしてないで、早く安定した職に……」
魔剣士「…余計なお世話だ!」
魔剣士「また来るからな、市場商人さん、次も頼むぜ!!」クルッ
タッタッタッタッタッ……
市場商人「…」
市場商人「……ったく、あいつは」ハァ
…ヒョコッ
オヤジ商人「…よっ、またアイツ来てたのか」
市場商人「おう、オヤジ商人。アイツの買取するのはいつものことだろ。また、俺の今晩の飯は狼のステーキだがな……」
オヤジ商人「クックック…。しかし、アイツもいい歳して…いつまであんなことするつもりだ?」
市場商人「…っ」フゥ
オヤジ商人「生計もままならないクセに、そんな遊んでる暇はないと思うんだがねぇ」
オヤジ商人「いつの間にか、名前も子剣士から"魔剣士"なんて洒落たモンも変えちまってさ」
市場商人「子供のころからの夢だったんだろ、冒険者ってやつが」
オヤジ商人「……だが、現実は非情だ」
市場商人「あぁ。幼い頃に父親は事故で死別、母親も過労で病に亡くなり……」
オヤジ商人「それなのに、アイツは夢ばっか追いやがってると……来たもんだ」
市場商人「だからこそ、小さい頃から顔を知ってるだけに、ひいきもしたくなるってもんヨ」
オヤジ商人「…その優しさが、アイツをダメにするんじゃないか」
市場商人「それは分かってる。だけど、アイツの意外な一面を知ってるからなぁ……」ポリポリ
オヤジ商人「何がだよ」
市場商人「迷いの森の横で、夜中に必死こいて剣を振って鍛錬してんだよアイツ」
市場商人「なんつーか、夢ぇ諦めない奴は…なんだかんだで嫌いじゃねーんだ」
オヤジ商人「…かっかっか、馬鹿じゃねえの」
市場商人「ははは、全く。本当に馬鹿だよな……」
市場商人「…」
市場商人「……本当にな」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 魔剣士の自宅 】
ガチャッ……!!
魔剣士「ただいまー」
…シーン…
魔剣士「……って、誰も返事するわけじゃねーんだがな」
トコトコトコ…ストンッ
魔剣士「……今日も、疲れたぜ」フワァ
…ゴロンッ
魔剣士「…」
魔剣士(…さて、母親の最後を看取って、何年が過ぎた?)
魔剣士(もう、今年で俺は17…18だったか。誕生日を祝ってくれる人もいねぇし、覚えてねぇな)
魔剣士(…)
魔剣士(……ッ!)
魔剣士(クソッ…。家で一人でいると、無性に寂しくなっちまう……)
魔剣士(なんで…)
魔剣士(なんで……)
魔剣士(どうしてっ………!)
魔剣士(俺、なんだ……っ!)ブルッ
……コンコン!
魔剣士「!」ビクッ!
魔剣士「ちっ…、誰だよこんな時間に……」ムクッ
トコトコ……
魔剣士「へいへい、どなたですか!どうぞ~っと!」
…ガチャッ!
隣のおばさん「…あ、いたいた!」
魔剣士「ん、おばさんか…」
隣のおばさん「なぁにが"おばさんか"、よ。今晩はシチュー!ハイ、どうぞっ」スッ
魔剣士「あっ…。い、いつもありがとうございます」
隣のおばさん「ご飯くらいならいつでも作ってあげるから」
隣のおばさん「辛いこともあるでしょうけど、頑張ってネ!」
魔剣士「…ッ」ギリッ
魔剣士「…あ、ありがとうございます!そりゃあ元気なんで大丈夫ですよ!」
隣のおばさん「…そーお?それならいいんだけどぉ?」
隣のおばさん「じゃ、また明日も作って持ってくるからね!」クルッ
ガチャッ、バタンッ……!
魔剣士「…」
魔剣士「……っ」
魔剣士「……な、何が"作ってあげるから"ね…だ」
魔剣士「アンタら隣人が、俺が親もいないから、悪さするんじゃないかって恐れて…」
魔剣士「冒険者気取りのガキが、悪さしないように見張ってるんだとか噂してるの…知ってるんだぜ…?」
魔剣士「……だから、こんなシチューなんかな!!」ビュッ!
……ガタァンッ!!!バシャアッ!!
魔剣士「…喰えるもんじゃねぇんだよ!!」
ドロッ……
魔剣士「クソッ……!」
魔剣士「クソォッ……!」
魔剣士「クソォォォッ……!!」
……………
……
…
…
……
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 深夜 迷いの森 付近 】
ホゥ…ホゥ……
魔剣士「ふっ…!はぁっ……!!」
…ブンッ!!ブォンッ!!
魔剣士「…っ!」
魔剣士「でっ、でやあああっ!!」
…ビュオォンッ!!!…
魔剣士「はぁっ…!」
魔剣士「はぁ、はぁっ…!はぁぁっ……!」フラッ…
フラフラッ…ドシャアッ!
魔剣士「はっ、はっ…!」ゼェゼェ
魔剣士「はぁぁっ……!」
魔剣士「やっぱり…!一人の鍛練は…落ち着くな……!」ハァハァ!
魔剣士「つ、疲れた……。剣も重いぜ……」パッ
…ガシャアンッ!!カランカランッ…
魔剣士「はっ、はぁ…………!」
魔剣士「ぜぇ、ぜぇ……っ」ゼェゼェ……
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親「…冒険者を目指す貴方に、プレゼントー♪」
…スッ
子剣士「…わっ!ママ、これって!!」パァァッ!
母親「安いものしか買えなかったけど、危なくないわけじゃないんだからね?」
子剣士「うんっ!大事にするっ!気を付ける~~!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
魔剣士「…」
魔剣士「……ちっ」
魔剣士「また…。情けないこと考えちまって……」ハァ
魔剣士「…」
魔剣士「……ん」
……グゥッ……
魔剣士「…」
魔剣士「……ハラァ、減った…………」
魔剣士「……。」
魔剣士「……クソ。意地はらないで食えばよかった……」
魔剣士「いつも…こうだ……」
魔剣士「…」チラッ
ソヨソヨッ…ヒュウウゥゥッ……!!
魔剣士「…」
魔剣士「……今更、別の場所で鍛錬しようとも思わないが」
魔剣士「ココからいつも見える、セントラル王国の中心にある…王城。」
魔剣士「まるで昼じゃねえかっつーくらいに明かりを焚いて、笑い声も聞こえてきやがる…」
…キラキラ…
魔剣士「…」
魔剣士「なぁ。王ってのは、貧しいヤツこその味方じゃねえのかよ」
魔剣士「だったら、俺を助けろよ。」
魔剣士「俺の母さんも、助けてくれて良かったんじゃねぇのかよ」
魔剣士「……ふざけやがって」
魔剣士「…っ」
ホゥ、ホゥ……チチチ……
魔剣士(……虫の声も、なんか笑ってるみてぇに聞こえてムカついてくる……)ギリッ
魔剣士(なんだよ……。俺の人生って、こんな感じで終わっちまうのかな……)
魔剣士(やれば出来るって思い続けたまま、ただただ時間が過ぎて。)
魔剣士(気が付けば、その時間は取り戻せなくて。)
魔剣士(…く、くそっ!)
魔剣士(くそぉっ……!)
魔剣士(なんで…こんな……っ!)ググッ
…チャキンッ!
魔剣士「……俺はっ!!」
魔剣士「こんなところでっ!!」
魔剣士「終わる人間なんかじゃ……ないんだぁぁぁああああっ!!!」ググッ!!
ビュオォォンッ……!!!!
魔剣士「はぁ…はぁ……っ!」
魔剣士「はぁっ……!」
魔剣士「…ッ」
…ガサガサッ!…
魔剣士「…んっ」ピクッ
ガサガサガサッ…!!
魔剣士「……魔獣の類か?」
魔剣士「丁度いい、今晩の飯になってもらおうか」チャキッ
ガサッ…!ガサガサガサッ……
……ザッ……
盗賊「…っと!へへへ。魔獣じゃないよ、人間だよ…」
盗賊「こんばんわ~……」ヒラヒラ
魔剣士「……んだよ、人か」
盗賊「へへへっ。よー、にーさん…」ニタニタ
魔剣士「…んだ、何か用か」
盗賊「へへ、ちょーっとね……」
魔剣士「…何だ」
盗賊「俺はさぁ、通りすがりの盗人なんだけどさぁ……」ニタニタ
魔剣士「…何っ」ピクッ
盗賊「…盗人が声かけるっつーなら、分かるだろぉ?」
魔剣士「てめぇ、俺を襲う気か…?」
盗賊「こんな場所に一人でいるのが悪いんだぜ?」
魔剣士「…よく俺の手に持ってる武器を目の前に、仕掛けようと思ったな」チャキンッ
盗賊「うへへ、お前みたいな青二才の相手はよくするもんでねぇ」
魔剣士「…腕に自信ありか」
盗賊「まぁそういうこった。へっへっへ、俺の短剣も中々早いんだぜぇ……」スチャッ
魔剣士「…」フン
盗賊「…」
盗賊「……いくぞぉっ!!」ダッ!
タァンッ!スタタタタタッ!!!
盗賊「へへへっ!切り刻んでやるぜぇっ!!」ビュンッ!!
魔剣士「…遅いっ!!」
…ガキィンッ!!!
盗賊「おっ、やるっ!」
魔剣士「このくらい、見切れねぇわけがねぇだろうが!」グググッ…!!
盗賊「…へへ、この距離で油断すんなよ兄ちゃん」
魔剣士「あん?」
盗賊「…」スゥゥッ
盗賊「……ハァァァッ!!!」ブバッ!!
魔剣士「いっ!?」
ベチャッ!!ベトッ…!!
魔剣士「ど、毒霧……ッ!?」ペッペッ!!
盗賊「へっ、隙ありぃっ!!」
…ビュオッ!!
魔剣士「…ッ!」
魔剣士「こ、これが…どうしたぁぁっ!!」パァァッ!!
ピカッ…!!!
……
…
…ボワッ!!!!…
…
……
盗賊「ひぇっ!?」
盗賊「な、何っ!あ…あっちぃぃいいいっ!?」ボォォッ!!
ゴォォォッ……!!!
魔剣士「ひ、人の気が病んでるところに、汚ねぇモン吐きつけやがって…!」ピクピク
魔剣士「容赦しねぇぞ、クソ野郎がぁぁああ……」ボォォォッ!!!
盗賊「け、剣に炎だとっ!?」
魔剣士「強くありたいと思い、必死こいて身につけた技の一つだ…!」
魔剣士「覚悟しろよ……!」
魔剣士「消し炭になるまで…切り刻んでやる……」ギロッ
盗賊「…!」
魔剣士「さぁ、ぶっころ……!!」ビュッ!!
盗賊「…参ったぁぁぁっ!!!」
魔剣士「…っ!?」
…ピタァッ!!
盗賊「…っ!」
盗賊「ま、参った!へへへ、参ったよ兄ちゃんっ!!」
魔剣士「…」
盗賊「許してくれよ、へへっ…」
魔剣士「…」
盗賊「…なっ?」
魔剣士「…」
魔剣士「……ちっ!クソ腰抜けが!」
盗賊「へへっ…。助かったぜ……」ヘナッ
魔剣士「……二度と俺に面見せんな」
盗賊「…」
盗賊「……やっぱ、噂通りか」クックック
魔剣士「…何?」
盗賊「へへ、実はよぉ…アンタに話があってココへ来たんだ」
魔剣士「…どういうことだ」
盗賊「アンタは巷じゃ、ちっとした有名人でなぁ。」
盗賊「迷いの森の前で、世間から見放された可哀想な男が、鍛錬に勤しんでるってさぁ」
魔剣士「…可哀想な男だと?ふざけたことを!」チャキッ
盗賊「お、おい怒るなよ!俺だってお前と一緒なんだからよ!」
魔剣士「どういう意味だ!」
盗賊「俺も幼い頃に親ぁ亡くしてな。それから盗人として堕ちたわけよ。へへっ」
魔剣士「!」
盗賊「お前と一緒の町に住んでるが、俺は少し遠い場所にいてなぁ……。」
盗賊「いつものように盗みを働いてたら、市場で噂を聞いてよぉ。心当たりねーかぁ?」
魔剣士(…市場商人とかオヤジ商人あたりか)
盗賊「だったら、会いに来たってわけさ」
魔剣士「…」
盗賊「へへっ、仲良くしようぜ?」
魔剣士「ふん…。生憎だが、俺は悪党と仲良くする気はねぇよ」
魔剣士「…どんなに苦しくても、畜生へ堕ちる気はねぇ。お前と仲良くなんかしねぇよ!」
盗賊「…へへっ」
盗賊「言ってくれるじゃないか、畜生…か」イラッ
魔剣士「…さっさと帰れ。」
魔剣士「俺は鍛錬に忙しいんだ。これ以上いるというのなら…斬るぞ」
盗賊「……まぁ、待てよ。俺の話しは済んじゃいねぇんだ」
魔剣士「あァ?」
盗賊「俺がここへ来たのはな、お前と手を組みたいと思って来たのさ」ヘヘ
魔剣士「何だと?」
盗賊「話を聞いてくれよ。お前にとっても、意味のある話だと思うぜ?」
魔剣士「…悪党の話なぞ、聞く耳持たん!」
盗賊「へへ…。そう言うなよ、すぐ終わるよ……。」
盗賊「そのよぉ、何ていうかよぉ……。お前、この王国に絶望してねぇか?」
魔剣士「…」ピクッ
盗賊「俺の親はよぉ、病に倒れた時…王国は何もしちゃくれなかった。」
盗賊「税金ばっか高く取りやがって、その末に働かされ続けて病に倒れたっつーのによ!」
盗賊「……お前も、そうじゃねえのか?」
魔剣士「…!」
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
子剣士「…ママ、ママァッ!!」
母親「ごほっ…!」
子剣士「ママ、嫌だ…!嫌だっ……!」
母親「子…剣士……っ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
魔剣士「…っ」ブルッ
盗賊「それで夢も追えず、こんな場所で一生鍛錬して過ごすのか?」
盗賊「俺は嫌だね。」
盗賊「だから、俺はせめて名の残す事をしてぇ。」
盗賊「それも…王国へ一泡吹かせてな」
盗賊「だが、それは俺一人じゃ無理だし、王国に絶望してるうえで、実力のある人間が欲しかったんだ」
魔剣士「……何が言いたい」
盗賊「…盗人らしく、盗むのよ。」
魔剣士「…何を」
盗賊「…姫様を、さ」ニタッ
魔剣士「な、何っ!?」
盗賊「この王国には、王様の一人娘がいただろう。」
盗賊「あのクソ王に一泡吹かせるには、それしかないだろうよ…」
魔剣士「…ふざけるなっ!」
魔剣士「俺に、大罪人になれっつーのか!」
盗賊「…それが王国に対する報いになるとは思わねぇか?」
魔剣士「俺は罪を犯さん!やるなら、お前一人でやれっ!!」
盗賊「おいおい、つまらんやつだな」
魔剣士「なんだと…!」
盗賊「お前さ、思わないか?」
盗賊「俺の人生って、こんな感じで終わっちまうのかなってよ」
魔剣士「!」
盗賊「やれば出来るって思い続けたまま、ただただ時間が過ぎてさぁ…」
盗賊「気が付けば、その時間は取り戻せなくて。」
盗賊「そして…気づく。」
盗賊「やれば出来るんじゃない、出来ないからやれないんだってな」
魔剣士「…っ!!」
魔剣士「うっ、うるせぇぇぇっ!!!」パァッ!!
…ボワァッ!!!
盗賊「お、おいおい!熱っ!!」
魔剣士「俺の前から失せろ、クソ悪党!」ボォォォッ!
魔剣士「俺の炎に焼かれたくなかったら、今すぐ消えろ、今すぐにだっ!!」ゴォォッ!!
盗賊「……ちっ!」
盗賊「いつまでガキのまんまなんだよ、テメェは……」
魔剣士「あんだと、コラァ!!!」
盗賊「そうやって、指摘されたことに感情を露わにしてるのは、まんまガキだろうが」
盗賊「なんで、行動しようとしない!」
魔剣士「…っ!」
盗賊「お前や俺の親が死んだのは、誰のせいだよ?」
盗賊「王国に恨みを持ったことはないのか」
盗賊「罪の人間だろうが、名前を残せるいい機会だとは思わないのか…?」
盗賊「へへっ、それとも…ビビってるだけか……」ハッハッハ!
魔剣士「誰が…びびってるだと……!?」ギロッ!
盗賊「話の聞いたところ、お前は心の奥底で冒険者として有名になり、王国を見返そうとかそういう魂胆なんじゃねえのか?」
盗賊「本当なら、お前は王国へ直接的に恨みを晴らしたいはずだ…」
盗賊「しかしお前は罪を恐れ、あくまでも冒険者として見返そうとしている。」
盗賊「つまりなぁ、お前は歯向かうこともできねぇ…ビビリなんだよ!」
魔剣士「……だ、誰が!」
魔剣士「誰が、ビビリだっつうんだコラァァアアアッ!!!」ゴッ!!!
……ゴォォォォォオオオオ!!!!……
盗賊「…っつ!」ジリジリ…
盗賊「だったら、やれるのかよ!?」
魔剣士「……何だと!」
盗賊「お前がそこまで言うなら、俺と手ぇ組んで…やってみせてくれよ。」
盗賊「それともなんだ、お前はウソつきか?」
魔剣士「…っ」ギリッ!
盗賊「へへへっ…。いいぜ、お前がやらなくても俺ぁ一人でやるさ。」
盗賊「だが、俺は一人じゃ確実に捕まって…斬首刑だろうなぁ」
盗賊「その時に言ってやるよ。王国に恨み持ってたのに、行動一つできなかったヤツを知っている。」
盗賊「王国一の、クソビビリの名前をよぉ!」ハハハハ!!
魔剣士「…っ!!」
魔剣士「……てめぇ、っざけやがってぇ!!」イラッ
盗賊「おぉ、どうしたぁ…?」
魔剣士「…ってやるよ」
盗賊「あぁ?聞こえねぇよ……」
魔剣士「……やってやるよ!やってやりゃいいんだろうが!!!」
盗賊「ほう、出来るのか……?」
魔剣士「悔しいけどな、お前が言った言葉は全て…当たりだよ…!」
魔剣士「だったら、乗せられてやるよ…。」
魔剣士「やってやりゃあいいんだろう!!!」
盗賊「…」
盗賊「…」ニタ
盗賊「……おうよ。」
盗賊「やってみせてもらおうか、王国一のビビリがよぉ……」
魔剣士「…ッ!!」
魔剣士「誰がビビリだよ…!」
魔剣士「簡単なことだ…!やってやればいいんだろうが……!」
ゴッ!!ボォォォオッ……!!
盗賊(…)
盗賊(……へへっ。俺の口は上手いねぇ~♪)
盗賊(残念だったな。俺には家族はいるし、別に親も失っちゃいねぇよ。)
盗賊(ま、ここまで俺の作戦通り。畜生と言われたのはイラついたが……)
盗賊(世間知らずな兄ちゃんよ、盗人は信頼しちゃあいけないぜ……?)
盗賊(へへへっ、どうせこいつは家なき子で見捨てられた人間…。)
盗賊(噂になってるコイツがやっても、恐らく"当然だろう"になる……)
盗賊(へへ、有難うよ。おかげで楽にやれそうだ……)
……………
……
…
………
………………
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
――――【 迷いの森 】
……ズバシュッ!!!バスバスッ!!!……
ウルフ『…ガッ!』
魔剣士「……へっ、余裕!」
ウルフ『…ッ!』
フラッ…ズシャアッ!…
ウルフ『……』ピクピク
魔剣士「俺の生活のためだ。悪く…思うなよ?」
That is where the story begins !
―――――――――――――――――――――
魔剣士「…お姫様の家出に付き合うことになった」
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Do not miss it !
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 セントラル王国 市場 】
魔剣士「はっ…?」
魔剣士「…はぁぁっ!?」
魔剣士「た、たった5千ゴールドだぁぁぁっ!?」
市場商人「当たり前だろ、ただの狼でそこまでの値がつけられるかよ」ハァ
魔剣士「おまっ…!」
魔剣士「新鮮なうえに、大物だろうが!一桁間違えてるんじゃねえのか!」
市場商人「あのな…。大金が欲しいなら、スマートにベアウルフの1匹でも捕まえて来いっての」
市場商人「そしたら10万でも20万でもつけてやるよ」
魔剣士「なんだと…!だったらせめて、1万ゴールドにしてくれよ!」
市場商人「文句言うなら買わねぇぞ。こっちだって商売なんだ」
魔剣士「な、なにっ…!」
魔剣士「~…っ!」ブルブル
魔剣士「…ちっ!わかったよ、5千ゴールドで手ぇ打てばいいんだろ!」バンッ!!
市場商人「本当は買取すらしないレベルだぞ?感謝しろよ」
魔剣士「いいから早く5千ゴールドよこせ!」クイクイ
市場商人「ったく…。ほらよ」スッ
…チャリンッ
魔剣士「…小銭かよ!せめて札でよこせ、札でっ!」
市場商人「スマートじゃねぇやつだな!いちいち注文つけやがって…!」ペラッ
魔剣士「うるせぇっ!俺だって大変なんだよ!」パシッ!
市場商人「知ってるって。だからこんな素材でも買い取ってやってるんだろうが」
魔剣士「うっ…!」
市場商人「あのなぁ、小さい頃からお前を知ってるけどよ」
市場商人「冒険者気取りの風来坊をしてないで、早く安定した職に……」
魔剣士「…余計なお世話だ!」
魔剣士「また来るからな、市場商人さん、次も頼むぜ!!」クルッ
タッタッタッタッタッ……
市場商人「…」
市場商人「……ったく、あいつは」ハァ
…ヒョコッ
オヤジ商人「…よっ、またアイツ来てたのか」
市場商人「おう、オヤジ商人。アイツの買取するのはいつものことだろ。また、俺の今晩の飯は狼のステーキだがな……」
オヤジ商人「クックック…。しかし、アイツもいい歳して…いつまであんなことするつもりだ?」
市場商人「…っ」フゥ
オヤジ商人「生計もままならないクセに、そんな遊んでる暇はないと思うんだがねぇ」
オヤジ商人「いつの間にか、名前も子剣士から"魔剣士"なんて洒落たモンも変えちまってさ」
市場商人「子供のころからの夢だったんだろ、冒険者ってやつが」
オヤジ商人「……だが、現実は非情だ」
市場商人「あぁ。幼い頃に父親は事故で死別、母親も過労で病に亡くなり……」
オヤジ商人「それなのに、アイツは夢ばっか追いやがってると……来たもんだ」
市場商人「だからこそ、小さい頃から顔を知ってるだけに、ひいきもしたくなるってもんヨ」
オヤジ商人「…その優しさが、アイツをダメにするんじゃないか」
市場商人「それは分かってる。だけど、アイツの意外な一面を知ってるからなぁ……」ポリポリ
オヤジ商人「何がだよ」
市場商人「迷いの森の横で、夜中に必死こいて剣を振って鍛錬してんだよアイツ」
市場商人「なんつーか、夢ぇ諦めない奴は…なんだかんだで嫌いじゃねーんだ」
オヤジ商人「…かっかっか、馬鹿じゃねえの」
市場商人「ははは、全く。本当に馬鹿だよな……」
市場商人「…」
市場商人「……本当にな」
…………
……
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 魔剣士の自宅 】
ガチャッ……!!
魔剣士「ただいまー」
…シーン…
魔剣士「……って、誰も返事するわけじゃねーんだがな」
トコトコトコ…ストンッ
魔剣士「……今日も、疲れたぜ」フワァ
…ゴロンッ
魔剣士「…」
魔剣士(…さて、母親の最後を看取って、何年が過ぎた?)
魔剣士(もう、今年で俺は17…18だったか。誕生日を祝ってくれる人もいねぇし、覚えてねぇな)
魔剣士(…)
魔剣士(……ッ!)
魔剣士(クソッ…。家で一人でいると、無性に寂しくなっちまう……)
魔剣士(なんで…)
魔剣士(なんで……)
魔剣士(どうしてっ………!)
魔剣士(俺、なんだ……っ!)ブルッ
……コンコン!
魔剣士「!」ビクッ!
魔剣士「ちっ…、誰だよこんな時間に……」ムクッ
トコトコ……
魔剣士「へいへい、どなたですか!どうぞ~っと!」
…ガチャッ!
隣のおばさん「…あ、いたいた!」
魔剣士「ん、おばさんか…」
隣のおばさん「なぁにが"おばさんか"、よ。今晩はシチュー!ハイ、どうぞっ」スッ
魔剣士「あっ…。い、いつもありがとうございます」
隣のおばさん「ご飯くらいならいつでも作ってあげるから」
隣のおばさん「辛いこともあるでしょうけど、頑張ってネ!」
魔剣士「…ッ」ギリッ
魔剣士「…あ、ありがとうございます!そりゃあ元気なんで大丈夫ですよ!」
隣のおばさん「…そーお?それならいいんだけどぉ?」
隣のおばさん「じゃ、また明日も作って持ってくるからね!」クルッ
ガチャッ、バタンッ……!
魔剣士「…」
魔剣士「……っ」
魔剣士「……な、何が"作ってあげるから"ね…だ」
魔剣士「アンタら隣人が、俺が親もいないから、悪さするんじゃないかって恐れて…」
魔剣士「冒険者気取りのガキが、悪さしないように見張ってるんだとか噂してるの…知ってるんだぜ…?」
魔剣士「……だから、こんなシチューなんかな!!」ビュッ!
……ガタァンッ!!!バシャアッ!!
魔剣士「…喰えるもんじゃねぇんだよ!!」
ドロッ……
魔剣士「クソッ……!」
魔剣士「クソォッ……!」
魔剣士「クソォォォッ……!!」
……………
……
…
…
……
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 深夜 迷いの森 付近 】
ホゥ…ホゥ……
魔剣士「ふっ…!はぁっ……!!」
…ブンッ!!ブォンッ!!
魔剣士「…っ!」
魔剣士「でっ、でやあああっ!!」
…ビュオォンッ!!!…
魔剣士「はぁっ…!」
魔剣士「はぁ、はぁっ…!はぁぁっ……!」フラッ…
フラフラッ…ドシャアッ!
魔剣士「はっ、はっ…!」ゼェゼェ
魔剣士「はぁぁっ……!」
魔剣士「やっぱり…!一人の鍛練は…落ち着くな……!」ハァハァ!
魔剣士「つ、疲れた……。剣も重いぜ……」パッ
…ガシャアンッ!!カランカランッ…
魔剣士「はっ、はぁ…………!」
魔剣士「ぜぇ、ぜぇ……っ」ゼェゼェ……
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親「…冒険者を目指す貴方に、プレゼントー♪」
…スッ
子剣士「…わっ!ママ、これって!!」パァァッ!
母親「安いものしか買えなかったけど、危なくないわけじゃないんだからね?」
子剣士「うんっ!大事にするっ!気を付ける~~!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
魔剣士「…」
魔剣士「……ちっ」
魔剣士「また…。情けないこと考えちまって……」ハァ
魔剣士「…」
魔剣士「……ん」
……グゥッ……
魔剣士「…」
魔剣士「……ハラァ、減った…………」
魔剣士「……。」
魔剣士「……クソ。意地はらないで食えばよかった……」
魔剣士「いつも…こうだ……」
魔剣士「…」チラッ
ソヨソヨッ…ヒュウウゥゥッ……!!
魔剣士「…」
魔剣士「……今更、別の場所で鍛錬しようとも思わないが」
魔剣士「ココからいつも見える、セントラル王国の中心にある…王城。」
魔剣士「まるで昼じゃねえかっつーくらいに明かりを焚いて、笑い声も聞こえてきやがる…」
…キラキラ…
魔剣士「…」
魔剣士「なぁ。王ってのは、貧しいヤツこその味方じゃねえのかよ」
魔剣士「だったら、俺を助けろよ。」
魔剣士「俺の母さんも、助けてくれて良かったんじゃねぇのかよ」
魔剣士「……ふざけやがって」
魔剣士「…っ」
ホゥ、ホゥ……チチチ……
魔剣士(……虫の声も、なんか笑ってるみてぇに聞こえてムカついてくる……)ギリッ
魔剣士(なんだよ……。俺の人生って、こんな感じで終わっちまうのかな……)
魔剣士(やれば出来るって思い続けたまま、ただただ時間が過ぎて。)
魔剣士(気が付けば、その時間は取り戻せなくて。)
魔剣士(…く、くそっ!)
魔剣士(くそぉっ……!)
魔剣士(なんで…こんな……っ!)ググッ
…チャキンッ!
魔剣士「……俺はっ!!」
魔剣士「こんなところでっ!!」
魔剣士「終わる人間なんかじゃ……ないんだぁぁぁああああっ!!!」ググッ!!
ビュオォォンッ……!!!!
魔剣士「はぁ…はぁ……っ!」
魔剣士「はぁっ……!」
魔剣士「…ッ」
…ガサガサッ!…
魔剣士「…んっ」ピクッ
ガサガサガサッ…!!
魔剣士「……魔獣の類か?」
魔剣士「丁度いい、今晩の飯になってもらおうか」チャキッ
ガサッ…!ガサガサガサッ……
……ザッ……
盗賊「…っと!へへへ。魔獣じゃないよ、人間だよ…」
盗賊「こんばんわ~……」ヒラヒラ
魔剣士「……んだよ、人か」
盗賊「へへへっ。よー、にーさん…」ニタニタ
魔剣士「…んだ、何か用か」
盗賊「へへ、ちょーっとね……」
魔剣士「…何だ」
盗賊「俺はさぁ、通りすがりの盗人なんだけどさぁ……」ニタニタ
魔剣士「…何っ」ピクッ
盗賊「…盗人が声かけるっつーなら、分かるだろぉ?」
魔剣士「てめぇ、俺を襲う気か…?」
盗賊「こんな場所に一人でいるのが悪いんだぜ?」
魔剣士「…よく俺の手に持ってる武器を目の前に、仕掛けようと思ったな」チャキンッ
盗賊「うへへ、お前みたいな青二才の相手はよくするもんでねぇ」
魔剣士「…腕に自信ありか」
盗賊「まぁそういうこった。へっへっへ、俺の短剣も中々早いんだぜぇ……」スチャッ
魔剣士「…」フン
盗賊「…」
盗賊「……いくぞぉっ!!」ダッ!
タァンッ!スタタタタタッ!!!
盗賊「へへへっ!切り刻んでやるぜぇっ!!」ビュンッ!!
魔剣士「…遅いっ!!」
…ガキィンッ!!!
盗賊「おっ、やるっ!」
魔剣士「このくらい、見切れねぇわけがねぇだろうが!」グググッ…!!
盗賊「…へへ、この距離で油断すんなよ兄ちゃん」
魔剣士「あん?」
盗賊「…」スゥゥッ
盗賊「……ハァァァッ!!!」ブバッ!!
魔剣士「いっ!?」
ベチャッ!!ベトッ…!!
魔剣士「ど、毒霧……ッ!?」ペッペッ!!
盗賊「へっ、隙ありぃっ!!」
…ビュオッ!!
魔剣士「…ッ!」
魔剣士「こ、これが…どうしたぁぁっ!!」パァァッ!!
ピカッ…!!!
……
…
…ボワッ!!!!…
…
……
盗賊「ひぇっ!?」
盗賊「な、何っ!あ…あっちぃぃいいいっ!?」ボォォッ!!
ゴォォォッ……!!!
魔剣士「ひ、人の気が病んでるところに、汚ねぇモン吐きつけやがって…!」ピクピク
魔剣士「容赦しねぇぞ、クソ野郎がぁぁああ……」ボォォォッ!!!
盗賊「け、剣に炎だとっ!?」
魔剣士「強くありたいと思い、必死こいて身につけた技の一つだ…!」
魔剣士「覚悟しろよ……!」
魔剣士「消し炭になるまで…切り刻んでやる……」ギロッ
盗賊「…!」
魔剣士「さぁ、ぶっころ……!!」ビュッ!!
盗賊「…参ったぁぁぁっ!!!」
魔剣士「…っ!?」
…ピタァッ!!
盗賊「…っ!」
盗賊「ま、参った!へへへ、参ったよ兄ちゃんっ!!」
魔剣士「…」
盗賊「許してくれよ、へへっ…」
魔剣士「…」
盗賊「…なっ?」
魔剣士「…」
魔剣士「……ちっ!クソ腰抜けが!」
盗賊「へへっ…。助かったぜ……」ヘナッ
魔剣士「……二度と俺に面見せんな」
盗賊「…」
盗賊「……やっぱ、噂通りか」クックック
魔剣士「…何?」
盗賊「へへ、実はよぉ…アンタに話があってココへ来たんだ」
魔剣士「…どういうことだ」
盗賊「アンタは巷じゃ、ちっとした有名人でなぁ。」
盗賊「迷いの森の前で、世間から見放された可哀想な男が、鍛錬に勤しんでるってさぁ」
魔剣士「…可哀想な男だと?ふざけたことを!」チャキッ
盗賊「お、おい怒るなよ!俺だってお前と一緒なんだからよ!」
魔剣士「どういう意味だ!」
盗賊「俺も幼い頃に親ぁ亡くしてな。それから盗人として堕ちたわけよ。へへっ」
魔剣士「!」
盗賊「お前と一緒の町に住んでるが、俺は少し遠い場所にいてなぁ……。」
盗賊「いつものように盗みを働いてたら、市場で噂を聞いてよぉ。心当たりねーかぁ?」
魔剣士(…市場商人とかオヤジ商人あたりか)
盗賊「だったら、会いに来たってわけさ」
魔剣士「…」
盗賊「へへっ、仲良くしようぜ?」
魔剣士「ふん…。生憎だが、俺は悪党と仲良くする気はねぇよ」
魔剣士「…どんなに苦しくても、畜生へ堕ちる気はねぇ。お前と仲良くなんかしねぇよ!」
盗賊「…へへっ」
盗賊「言ってくれるじゃないか、畜生…か」イラッ
魔剣士「…さっさと帰れ。」
魔剣士「俺は鍛錬に忙しいんだ。これ以上いるというのなら…斬るぞ」
盗賊「……まぁ、待てよ。俺の話しは済んじゃいねぇんだ」
魔剣士「あァ?」
盗賊「俺がここへ来たのはな、お前と手を組みたいと思って来たのさ」ヘヘ
魔剣士「何だと?」
盗賊「話を聞いてくれよ。お前にとっても、意味のある話だと思うぜ?」
魔剣士「…悪党の話なぞ、聞く耳持たん!」
盗賊「へへ…。そう言うなよ、すぐ終わるよ……。」
盗賊「そのよぉ、何ていうかよぉ……。お前、この王国に絶望してねぇか?」
魔剣士「…」ピクッ
盗賊「俺の親はよぉ、病に倒れた時…王国は何もしちゃくれなかった。」
盗賊「税金ばっか高く取りやがって、その末に働かされ続けて病に倒れたっつーのによ!」
盗賊「……お前も、そうじゃねえのか?」
魔剣士「…!」
…
……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
子剣士「…ママ、ママァッ!!」
母親「ごほっ…!」
子剣士「ママ、嫌だ…!嫌だっ……!」
母親「子…剣士……っ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……
…
魔剣士「…っ」ブルッ
盗賊「それで夢も追えず、こんな場所で一生鍛錬して過ごすのか?」
盗賊「俺は嫌だね。」
盗賊「だから、俺はせめて名の残す事をしてぇ。」
盗賊「それも…王国へ一泡吹かせてな」
盗賊「だが、それは俺一人じゃ無理だし、王国に絶望してるうえで、実力のある人間が欲しかったんだ」
魔剣士「……何が言いたい」
盗賊「…盗人らしく、盗むのよ。」
魔剣士「…何を」
盗賊「…姫様を、さ」ニタッ
魔剣士「な、何っ!?」
盗賊「この王国には、王様の一人娘がいただろう。」
盗賊「あのクソ王に一泡吹かせるには、それしかないだろうよ…」
魔剣士「…ふざけるなっ!」
魔剣士「俺に、大罪人になれっつーのか!」
盗賊「…それが王国に対する報いになるとは思わねぇか?」
魔剣士「俺は罪を犯さん!やるなら、お前一人でやれっ!!」
盗賊「おいおい、つまらんやつだな」
魔剣士「なんだと…!」
盗賊「お前さ、思わないか?」
盗賊「俺の人生って、こんな感じで終わっちまうのかなってよ」
魔剣士「!」
盗賊「やれば出来るって思い続けたまま、ただただ時間が過ぎてさぁ…」
盗賊「気が付けば、その時間は取り戻せなくて。」
盗賊「そして…気づく。」
盗賊「やれば出来るんじゃない、出来ないからやれないんだってな」
魔剣士「…っ!!」
魔剣士「うっ、うるせぇぇぇっ!!!」パァッ!!
…ボワァッ!!!
盗賊「お、おいおい!熱っ!!」
魔剣士「俺の前から失せろ、クソ悪党!」ボォォォッ!
魔剣士「俺の炎に焼かれたくなかったら、今すぐ消えろ、今すぐにだっ!!」ゴォォッ!!
盗賊「……ちっ!」
盗賊「いつまでガキのまんまなんだよ、テメェは……」
魔剣士「あんだと、コラァ!!!」
盗賊「そうやって、指摘されたことに感情を露わにしてるのは、まんまガキだろうが」
盗賊「なんで、行動しようとしない!」
魔剣士「…っ!」
盗賊「お前や俺の親が死んだのは、誰のせいだよ?」
盗賊「王国に恨みを持ったことはないのか」
盗賊「罪の人間だろうが、名前を残せるいい機会だとは思わないのか…?」
盗賊「へへっ、それとも…ビビってるだけか……」ハッハッハ!
魔剣士「誰が…びびってるだと……!?」ギロッ!
盗賊「話の聞いたところ、お前は心の奥底で冒険者として有名になり、王国を見返そうとかそういう魂胆なんじゃねえのか?」
盗賊「本当なら、お前は王国へ直接的に恨みを晴らしたいはずだ…」
盗賊「しかしお前は罪を恐れ、あくまでも冒険者として見返そうとしている。」
盗賊「つまりなぁ、お前は歯向かうこともできねぇ…ビビリなんだよ!」
魔剣士「……だ、誰が!」
魔剣士「誰が、ビビリだっつうんだコラァァアアアッ!!!」ゴッ!!!
……ゴォォォォォオオオオ!!!!……
盗賊「…っつ!」ジリジリ…
盗賊「だったら、やれるのかよ!?」
魔剣士「……何だと!」
盗賊「お前がそこまで言うなら、俺と手ぇ組んで…やってみせてくれよ。」
盗賊「それともなんだ、お前はウソつきか?」
魔剣士「…っ」ギリッ!
盗賊「へへへっ…。いいぜ、お前がやらなくても俺ぁ一人でやるさ。」
盗賊「だが、俺は一人じゃ確実に捕まって…斬首刑だろうなぁ」
盗賊「その時に言ってやるよ。王国に恨み持ってたのに、行動一つできなかったヤツを知っている。」
盗賊「王国一の、クソビビリの名前をよぉ!」ハハハハ!!
魔剣士「…っ!!」
魔剣士「……てめぇ、っざけやがってぇ!!」イラッ
盗賊「おぉ、どうしたぁ…?」
魔剣士「…ってやるよ」
盗賊「あぁ?聞こえねぇよ……」
魔剣士「……やってやるよ!やってやりゃいいんだろうが!!!」
盗賊「ほう、出来るのか……?」
魔剣士「悔しいけどな、お前が言った言葉は全て…当たりだよ…!」
魔剣士「だったら、乗せられてやるよ…。」
魔剣士「やってやりゃあいいんだろう!!!」
盗賊「…」
盗賊「…」ニタ
盗賊「……おうよ。」
盗賊「やってみせてもらおうか、王国一のビビリがよぉ……」
魔剣士「…ッ!!」
魔剣士「誰がビビリだよ…!」
魔剣士「簡単なことだ…!やってやればいいんだろうが……!」
ゴッ!!ボォォォオッ……!!
盗賊(…)
盗賊(……へへっ。俺の口は上手いねぇ~♪)
盗賊(残念だったな。俺には家族はいるし、別に親も失っちゃいねぇよ。)
盗賊(ま、ここまで俺の作戦通り。畜生と言われたのはイラついたが……)
盗賊(世間知らずな兄ちゃんよ、盗人は信頼しちゃあいけないぜ……?)
盗賊(へへへっ、どうせこいつは家なき子で見捨てられた人間…。)
盗賊(噂になってるコイツがやっても、恐らく"当然だろう"になる……)
盗賊(へへ、有難うよ。おかげで楽にやれそうだ……)
……………
……
…
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