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地獄体験~あれ? 思ったよりも~
死んでからの体験(真) 2
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仇敵を睨めつけるかの如く、頭上のスベスベつららを一瞥しつつ、心で泣いていた。
「……人の心は、かくも浅ましい。そして鍾乳つららはとても罪深い……ぐうぅ……」
体は泥だらけ。心も荒み切ったボクは、人の業の深さに震えていた。
「……だって、できることなら抱き着いてみたいじゃない!」
月にも、誰かが望まなければ辿り着けなかったのだ。
「……あんなスベスベ、他にはないって!」
キリンさんだって、ぞうさんだって……。
そうじゃなきゃ首やら鼻やら伸ばさなかったって!
「…………よし、一息つこう」
『仕切り直しだ!』と、心機一転。
別に、疲れてなかった。息も切れてなかった。
だけど、心にワンクッション――安らぎが欲しくなったんだよね。
「……脚立、探しに行こう……かな……」
蚊の鳴くような声が、静寂に響いた。
ボクが誰が聞くともない独り言を呟いたのも束の間。
――少しの振動と空気の流れを肌に感じた。
「……? 気のせいかな?」
言い切るが早いか感じるが早いか――今度は後ろ髪を、サラッ。
「いま撫でられた⁉」と感じる程に、確かな感触。
反射的にバッと後ろに振り返り――
――ぴょ~~~んっ!
と大ジャンプ!
それは本日の最高記録!
ビックリのおかげで先ほどよりもよっぽど高く跳んだ!
目にしたものは――
「真っ赤なつららの樹林が……え⁉ 踊ってる?」
(……え? ええええええ⁉)
数十メートル程向こうの地面。いくつもそびえ立っていた。
夕日で照らされたような紅に、闇夜の帳が下ろされたような漆黒の鍾乳石が。
それが、ゆらゆらユラユラ――踊っていたのだ。
今まで手を伸ばしていたのは小動《こゆるぎ》もしなかった。
一目見てボクの心が、射抜かれてしまった……
「……人の心は、かくも浅ましい。そして鍾乳つららはとても罪深い……ぐうぅ……」
体は泥だらけ。心も荒み切ったボクは、人の業の深さに震えていた。
「……だって、できることなら抱き着いてみたいじゃない!」
月にも、誰かが望まなければ辿り着けなかったのだ。
「……あんなスベスベ、他にはないって!」
キリンさんだって、ぞうさんだって……。
そうじゃなきゃ首やら鼻やら伸ばさなかったって!
「…………よし、一息つこう」
『仕切り直しだ!』と、心機一転。
別に、疲れてなかった。息も切れてなかった。
だけど、心にワンクッション――安らぎが欲しくなったんだよね。
「……脚立、探しに行こう……かな……」
蚊の鳴くような声が、静寂に響いた。
ボクが誰が聞くともない独り言を呟いたのも束の間。
――少しの振動と空気の流れを肌に感じた。
「……? 気のせいかな?」
言い切るが早いか感じるが早いか――今度は後ろ髪を、サラッ。
「いま撫でられた⁉」と感じる程に、確かな感触。
反射的にバッと後ろに振り返り――
――ぴょ~~~んっ!
と大ジャンプ!
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(……え? ええええええ⁉)
数十メートル程向こうの地面。いくつもそびえ立っていた。
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それが、ゆらゆらユラユラ――踊っていたのだ。
今まで手を伸ばしていたのは小動《こゆるぎ》もしなかった。
一目見てボクの心が、射抜かれてしまった……
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