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地獄体験~あれ? 思ったよりも~
死んでからの体験(真) 4
しおりを挟む――変化の訪れは、突然だった。
その変化を前に、ボクはしきりに瞬きを繰り返した。
ゴシゴシ両目を袖口で拭ってもみた。
なのに、どうやら見間違いではないらしい。
あまりにも巨体なダンサーを、足元から照らすフットライトは当初オレンジだった。
周囲を夕日色に染めたり淡く照らしたり、黒い共演者の見せ場もちゃんと考えてて。
その仕事ぶりは十分満足いくものだった。
なのに突然、転調!
情熱的なレッドオーカー。
ゴージャスなゴールデンイエロー。
冴えわたるスカイブルー。
モダンなライムグリーン。
アダルトなバイオレット。
フェミニンなパッションピンク。
次から次へと飛び出す、地下大空洞の新色!
「かかか……過剰演出だよっ!」
と声を上げると同時に、ボクはスタンディングオベーション!
ボクの思考回路が追い付かないほどの変貌が次々に巻き起こされた。
こっちの反応なんて気にしちゃくれない。
目をどういじくっても、元のオレンジには戻らないのだ。
ここまでくると、気のせいではないと確信した。
敵もさるもの引っ搔くもの。
こちらに対抗意識を燃やし、明らかにラストスパートをかけてきていた。
「炎にあてられたのかな?」
無意識にボクの口から発せられた言葉だった。
その響きには、これまでになかったボクの複雑な心模様が滲み、
その声音には、幽かな不協和音が紛れ込んでいるのを感じた。
先ほどまでの純粋な感動とは裏腹。
なぜか悔しいような、焦燥感を掻き立てるような。――それでいて好奇心を刺激されるような…… わかるようでわからない、心許ない残響。
言い換えると、痒いところがわからないけど、確実に痒い。
大まかに引っ搔いてみるが、クリティカルな心地よさからほど遠い。
むしろ、もっと、うずうず。
どうしようもなく何かがもどかしくなってきた。
気になって仕方がないのだ。
思考の渦に取り込まれそうになっているにも関わらず、炎は絶えず変化していく。
何かを見極められないことに悔しさがこみ上げ、泣きそうになる。
――悲しさが爆発しそうになった瞬間、強烈なイメージがボクの脳内を駆け巡った。
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