逆愛-gyakuai-

槊灼大地

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逆愛Ⅲ《嵐side》1

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俺の罪は消えないと思った。



洸弍先輩はいじめで大切な人を亡くした。



俺なんかが、洸弍先輩を好きになる資格なんて無いんだ―…





「次の日曜は何してんだ?」




生徒会が終わり、自分の部屋に戻ろうとしたら洸弍先輩に話かけられた。



「いや、特に…」


「じゃあ映画見に行こうぜ。お前が続編見たいって言ってたやつ」




この状況で、洸弍先輩と一緒に行動なんて出来ない。



笑える自信が無い。



「あ…日曜は誠と一緒にカラオケ行くんだった。すいません、映画はまた今度」


「…そうか。なら仕方ねぇな」



誠との約束なんて本当は無い。



だから嘘をついた。



毎日、必要最低限の会話しかしなくなった。



というよりも、しないようにしている。



―…普通に出来ない



「じゃあまた明日な」


「はい、お疲れ様でした」



そう言って部屋に戻った。



もう数週間抱いてない。



洸弍先輩から誘われても何かと口実をつけて断っている。


「久しぶり嵐」


「竜!ツアー終わったのか」



同じクラスの帝真竜が、バンドのツアーが終わって久しぶりに学園に来た。



インディーズバンドなのに、曲は必ずオリコンチャートに入ってるくらい人気のバンド。



「授業のノートコピーさせて」


「OK。昼休みにな」



昼休みになってから、竜と一緒に印刷室へと向かった。



「嵐、もうすぐ誕生日だね」


「あぁ。もう来月か」




そういえば、洸弍先輩も誕生日が6月だったな。



確か6月24日。



洸弍先輩の誕生日プレゼントに何かあげよう。



「竜、土日予定ある?」


「日曜なら暇だよ。どうして?」



洸弍先輩が好きなブランドが、竜が好きなブランドと同じだということを覚えていた。



俺とは違うから、きっと下手な物を買っても喜ばれない。



「買い物に行こう」


「いいよ」



避け過ぎてて申し訳ないから、洸弍先輩の喜ぶ物を買いたい。



そして、洸弍先輩の笑顔が見たい。















日曜日。




「あれ?嵐もこのブランド好きなんだっけ?」


「いや、好きってわけじゃない…」



竜の好きなブランドショップに移動をした。



洸弍先輩の誕生日プレゼントを買いたいなんて言えない。



「竜なら、プレゼントに何もらったら嬉しい?」


「ブレスレットとか?」


「ブレスレットねぇ…」



私服の時も洸弍先輩ってあんまりブレスレットしてないよなぁ。



竜はバンドやってるから身に付けるだろうけど。



「あっ!限定の財布」


「財布?」



竜がヤケにテンション上がっている。



目が輝いてる。



「これ、ジュン・キサキデザインの限定モデルの財布なんだよ!海外でも人気で手に入らないんだ」


「へぇ」



まぁ、竜のテンションの上がり具合から相当欲しいものなんだろうな。



店員呼んで話してるし。



「今日最終入荷してもう3つしか在庫ないって!俺買お」


「じゃあ俺も」




洸弍先輩の誕生日プレゼントはこれに決めた。



誕生日まであと1ヵ月あるけど、竜の喜びようからして間違いないだろう。



「プレゼント用で」




洸弍先輩、喜んでくれるといいな。







俺だって本当はしたいけど、申し訳なくて抱けない。



洸弍先輩のことを思えば思うほど、傍にはいられなかった。




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