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第二章
〜エルフと世界樹〜
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「それで? 何で俺達の事を捕まえて処刑までするって言っていたエルフの長が急に態度を変えて歓迎してくれるんですか?」
「それに関しては……」
「俺達は朝一で処刑されるって娘さんのミーナから聞きましたよ」
「処刑は取り消しました。ですから安心して下さい」
「話をすると少し長くなるんですが……」
「我々エルフは昔から世界樹のおかげで豊かに生活が出来ていると信じられ伝えられています。各国とも隔離された場所で 阻害される事も少なく,魔物に襲われる事もほとんどない土地で,静かに暮らしてきた種族なんです」
「それが急激に変わったのは十年程前でしょうか。魔物の襲撃が以前よりも多くなっていったんです。それに理由は分からないんですが,魔物が恐ろしく凶暴になっていて強く,今までのように簡単に対処出来るレベルではないんです」
「それと共にエルフの我々が 攫われるという事が頻発するようになったんです。調べると,どうらや人族のボルダ帝国の人間によって攫われて,人身売買されているという事が分かってきました」
「しかしながら,それを止めたいと思っても,助けたいと思っていても,魔物が里に襲ってくる事が多く,戦闘力が高い手練などを里の外に出すことが出来ず,私達は中々現状を打開する事が出来ない年月を送ってきました」
「そうなると責任が起こるのは長老の私です。私自身も今まで長く生きてきましたが,初めての経験でどうしたらいいか分からないのが現状なんです」
「そんな中で里の若いエルフ達が団結し, 反人族の思想を掲げるエルフが多くなっていきました。その指導者がゲイルという名のエルフで,あなた方を捕らえる指示をしたのも,処刑の指示を下したのもそのゲイルというエルフです」
「長老は人族の事は嫌いですか?」
「嫌いとは違いますね。接点がなくて,あまり知らないという方が正しい表現ですね。ですけど,最近のエルフを攫っている事を知ると,好きにはなれません」
「そんな事を俺達に話してどうするんですか? エルフでもない我々に」
「何故処刑なんて事になってしまったのか? という原因を知ってもらいたかっただけです。娘のミーナから話を聞きましたが,エルフに対して友好的な感情を持っていたのに,今回の事で嫌いになってしまったのではないかと……」
「そうですね。いきなり処刑に……それも子供もいるのにそんな危ない種族だとは思っていませんでした」
「以前はそんな事はありませんでした。だんだんとおかしくなっているんです」
「多くの同胞を無くしてる事も,多くの子供が攫われている事も原因なんでしょう」
「十年前とか言っておったなフーゴとかやら」
「ええ……大体その位からかと」
「ドワーフの国と全く一緒の時期という事じゃな。それに多分ドワーフの国と原因は同じじゃよ」
「同じってクロエあの黒い水晶が原因って事?」
「そうじゃよ。それにドワーフの国より大きな邪悪な魔力が感じる」
「それはどういう事なんでしょうか?」
「余達は,エルフの里に起こっている魔物の襲撃の原因を知っておるという事じゃ」
「それは本当ですか?」
「勿論じゃ。ドアーフの国でも全く同じような出来事が起こっておったのじゃ。それを解決したのは余達じゃ」
「原因というのを教えて頂く事は出来ませんか?」
「教えてやってもいいし解決してやってもいいが,一つ条件があるのじゃ」
「なんでしょうか?」
「やっぱりそうかクロエ。エルフ飯か?」
「ロイは黙ってろって」
「余達は,カナデは世界樹の素材が欲しくてエルフの里まで 遥々来たのじゃ。原因を取り除いたら世界樹を多少譲ってくれないか?」
「世界樹ですか……?」
「俺達はその為にエルフの里に来たんです」
「私一人の権限でどうこう出来る問題ではないんですよ……」
「なんでじゃ!? お主はエルフの長じゃろ?」
「世界樹を守る事がエルフの使命だと大勢のエルフは思っています。そうやって代々守ってきた大切なものを簡単に差し上げるという事には――」
「それを言ったら,そもそも世界樹はエルフの物でもないじゃろ。それに守る為って,たまたま近くにエルフが生まれただけじゃろ?」
クロエが突然訳が分からない事を言い始めた。
「それはどういう意味で言っているのでしょうか?」
「世界樹はそもそも何もなくなってしまったこの世界に新しい命を 芽吹かせる為に,白龍が自分自身の膨大な魔力と魔法を使って生み出したのが世界樹じゃ。そのおかげで様々な生命が誕生していく過程の中で,たまたまエルフが近くに生まれて勝手に自分達で守ると言い出したに過ぎんのじゃ。世界樹は誰のものでもない。あえて言えば,白龍のものじゃ」
「そんな話しは聞いたことがありません」
「お父さん嘘よ! そんな話し信じないで」
「急になんじゃお主。嘘ではない」
「世界樹は神が作ったものだとエルフは信じているわ。そしてエルフが世界樹を大事に守っているから神からの祝福で種族の中で一番寿命が長くなったと」
「それはないのじゃ。全ては偶然でたまたまじゃ」
「なんでそんな事が分かるって言うのよ」
「余が黒龍で目の前で見たからじゃ」
「黒龍だって!? 嘘でしょそんな事!」
「別に信じなくてもいいのじゃ」
「それでフーゴよ,世界樹は譲ってくれないのか?」
「…………」
「なんだよいいじゃんか! 全部くれってカナデは言ってる訳でもないのに……意外とケチなんだなエルフって。ちょっと分けてやれば,助けてやるって言ってるのに」
子供というやつは時々,至極真っ当な事を純粋さ故に発言する。
「確かにそうではあると思うのだが……」
「では一つ聞きたいんですが,何故冒険者さすけには世界樹を譲ったんですか?」
「!?!?!?」
「何故その事を??」
「冒険者さすけが残した遺物に世界樹が使われている事を知って俺達は来たんですよ」
「何に使われていたんですか?」
「楽器です」
「どういったものなんですか?」
「口で説明するのは難しいんで,クロエ頼めるか?」
「はいよ」
「これが世界樹が使われている楽器,ピアノといいます」
「あのさすけ殿が作ったものですか」
「どういったものなのかお見せしましょう」
俺はピアノの前に座り演奏を始める。
「♫♫♪♪♫♫♪♪♪♫♪♪」
ショパン作曲『黒鍵のエチュード』
短い曲だがピアノの魅力を伝えるには十分だろう。
俺は演奏を弾き終える。
「これがピアノという遺物……なんですか?」
「そうです。さすけは音楽を愛していたそうで,残した手紙には音楽を広めて欲しいという願いと共にピアノがありました。俺はさすけの願いを出来るだけ叶えてやりたいとも思いながら音楽の旅をこいつらと一緒に旅をしているんです」
「素晴らしい音で,言葉を失ってしまいました……」
「カナデは世界樹を使って悪い事に使うなんて事はせん。むしろ良い使い方じゃないのか? カナデの音を聞いて不思議と元気になったり,心が豊かになる」
「さすけ殿に世界樹を譲ったのは先代の長老で,エルフの長年の問題を解決してくれたさすけ殿に長老がなんでも一つ願いを叶えてやろうと言って,さすけ殿は世界樹を求めたそうです。長老は独断で承諾し,里のエルフにはバレないように世界樹を渡したとそう聞いています」
「私からの願いを聞いてもらえませんか?」
「なんじゃ!? 言ってみろ」
「帝国に捕まったエルフの同胞も救出しては頂けませんか?」
「エルフ達を助けたら世界樹を譲ってくれるのか?」
「分かりました……約束します! 私が必ずどうにかします。ですので,どうかエルフの里と同胞を助けてはくれませんか?」
「なんだかな~いいように使われてるような気がするのだけれどカナデはどうしたいのじゃ!?」
「ちょっとお父さん。そんな事勝手に決めて大丈夫なの!?」
「ミーナは黙ってなさい!」
「怒られてやんの~」
「ちなみにエルフを助けるってどこにいるかってのは具体的に分かってるんですか?」
「ボルダ帝国内の貴族に捕まっていると思われます」
「範囲が広すぎませんか?」
「娘のミーナが使う魔法で同胞の居場所が分かるので,一緒に連れて行けば問題ありません。すぐに分かります」
「え!? 私がこの人達と一緒に!?」
「そうだ。一緒に行ってもらう」
「分かりました……いいですよ俺達が手伝いましょう。その帝国って国にも興味ありますし」
「ほ,本当にいいんですか!?」
「カナデ本当に良いのか!? それにカナデお主,引き受けたのはいいけど,余が頑張る事になるのじゃろ?」
「何言ってんだクロエ。オイラだっているぜ!」
「元々クロエは俺の従魔だろ? ちょっと位,主の言うこと聞いてくれたっていいだろ」
「カナデが言っていた演奏家ってのは面倒くさい生き物なんじゃな」
「ああその通りだ」
「では引き受けてくれると?」
「引き受けます」
「引き受けて頂いてありがとうございます」
「さっそく明日,魔物が襲ってくる原因の解決をしてこようと思います。クロエ出来るだろ??」
「簡単じゃな任せておくのじゃ」
「明日,私の信頼するエルフ数人と私も付いて行っていいでしょうか?」
「ええそれは構わないですけど……長老自ら行くんですか?」
「原因を自分の目で見てみたいと思いまして」
「わかりました」
「ではそろそろいい時間になって来ましたので,このまま我が家に泊まっていきませんか? 使っていない部屋がありますので」
「じゃあお言葉に甘えて泊まらせてもらいます」
ロイはもうすでにウトウトして今にも寝そうだった。
俺はロイをおんぶして,長老に案内された部屋のベッドにロイを降ろす。
「カナデよ。余達は魔物を退け,さらに原因まで取り除いてやって,エルフの救出までしてやるのに,あっちは世界樹を譲るだけってちょっと割に合わんと思わんのか?」
「いいんだ。それで世界樹を譲ってもらえるなら。楽器作れるならそれで」
「カナデが良いならそれでいいが,余はもう寝るぞ」
「ああ,おやすみ」
俺は音楽だけには嘘はつきたくない。音楽と出会ってから俺は音楽に嘘をついたこともない。音楽もその思いに答えてくれていると俺は信じている。
全員が納得した上で生まれた楽器の方がいい音を奏でると俺は思う。
あれ? 俺ってこんなに音楽に熱い男だったっけ? そんな事を考えているうちに眠りについた。
「それに関しては……」
「俺達は朝一で処刑されるって娘さんのミーナから聞きましたよ」
「処刑は取り消しました。ですから安心して下さい」
「話をすると少し長くなるんですが……」
「我々エルフは昔から世界樹のおかげで豊かに生活が出来ていると信じられ伝えられています。各国とも隔離された場所で 阻害される事も少なく,魔物に襲われる事もほとんどない土地で,静かに暮らしてきた種族なんです」
「それが急激に変わったのは十年程前でしょうか。魔物の襲撃が以前よりも多くなっていったんです。それに理由は分からないんですが,魔物が恐ろしく凶暴になっていて強く,今までのように簡単に対処出来るレベルではないんです」
「それと共にエルフの我々が 攫われるという事が頻発するようになったんです。調べると,どうらや人族のボルダ帝国の人間によって攫われて,人身売買されているという事が分かってきました」
「しかしながら,それを止めたいと思っても,助けたいと思っていても,魔物が里に襲ってくる事が多く,戦闘力が高い手練などを里の外に出すことが出来ず,私達は中々現状を打開する事が出来ない年月を送ってきました」
「そうなると責任が起こるのは長老の私です。私自身も今まで長く生きてきましたが,初めての経験でどうしたらいいか分からないのが現状なんです」
「そんな中で里の若いエルフ達が団結し, 反人族の思想を掲げるエルフが多くなっていきました。その指導者がゲイルという名のエルフで,あなた方を捕らえる指示をしたのも,処刑の指示を下したのもそのゲイルというエルフです」
「長老は人族の事は嫌いですか?」
「嫌いとは違いますね。接点がなくて,あまり知らないという方が正しい表現ですね。ですけど,最近のエルフを攫っている事を知ると,好きにはなれません」
「そんな事を俺達に話してどうするんですか? エルフでもない我々に」
「何故処刑なんて事になってしまったのか? という原因を知ってもらいたかっただけです。娘のミーナから話を聞きましたが,エルフに対して友好的な感情を持っていたのに,今回の事で嫌いになってしまったのではないかと……」
「そうですね。いきなり処刑に……それも子供もいるのにそんな危ない種族だとは思っていませんでした」
「以前はそんな事はありませんでした。だんだんとおかしくなっているんです」
「多くの同胞を無くしてる事も,多くの子供が攫われている事も原因なんでしょう」
「十年前とか言っておったなフーゴとかやら」
「ええ……大体その位からかと」
「ドワーフの国と全く一緒の時期という事じゃな。それに多分ドワーフの国と原因は同じじゃよ」
「同じってクロエあの黒い水晶が原因って事?」
「そうじゃよ。それにドワーフの国より大きな邪悪な魔力が感じる」
「それはどういう事なんでしょうか?」
「余達は,エルフの里に起こっている魔物の襲撃の原因を知っておるという事じゃ」
「それは本当ですか?」
「勿論じゃ。ドアーフの国でも全く同じような出来事が起こっておったのじゃ。それを解決したのは余達じゃ」
「原因というのを教えて頂く事は出来ませんか?」
「教えてやってもいいし解決してやってもいいが,一つ条件があるのじゃ」
「なんでしょうか?」
「やっぱりそうかクロエ。エルフ飯か?」
「ロイは黙ってろって」
「余達は,カナデは世界樹の素材が欲しくてエルフの里まで 遥々来たのじゃ。原因を取り除いたら世界樹を多少譲ってくれないか?」
「世界樹ですか……?」
「俺達はその為にエルフの里に来たんです」
「私一人の権限でどうこう出来る問題ではないんですよ……」
「なんでじゃ!? お主はエルフの長じゃろ?」
「世界樹を守る事がエルフの使命だと大勢のエルフは思っています。そうやって代々守ってきた大切なものを簡単に差し上げるという事には――」
「それを言ったら,そもそも世界樹はエルフの物でもないじゃろ。それに守る為って,たまたま近くにエルフが生まれただけじゃろ?」
クロエが突然訳が分からない事を言い始めた。
「それはどういう意味で言っているのでしょうか?」
「世界樹はそもそも何もなくなってしまったこの世界に新しい命を 芽吹かせる為に,白龍が自分自身の膨大な魔力と魔法を使って生み出したのが世界樹じゃ。そのおかげで様々な生命が誕生していく過程の中で,たまたまエルフが近くに生まれて勝手に自分達で守ると言い出したに過ぎんのじゃ。世界樹は誰のものでもない。あえて言えば,白龍のものじゃ」
「そんな話しは聞いたことがありません」
「お父さん嘘よ! そんな話し信じないで」
「急になんじゃお主。嘘ではない」
「世界樹は神が作ったものだとエルフは信じているわ。そしてエルフが世界樹を大事に守っているから神からの祝福で種族の中で一番寿命が長くなったと」
「それはないのじゃ。全ては偶然でたまたまじゃ」
「なんでそんな事が分かるって言うのよ」
「余が黒龍で目の前で見たからじゃ」
「黒龍だって!? 嘘でしょそんな事!」
「別に信じなくてもいいのじゃ」
「それでフーゴよ,世界樹は譲ってくれないのか?」
「…………」
「なんだよいいじゃんか! 全部くれってカナデは言ってる訳でもないのに……意外とケチなんだなエルフって。ちょっと分けてやれば,助けてやるって言ってるのに」
子供というやつは時々,至極真っ当な事を純粋さ故に発言する。
「確かにそうではあると思うのだが……」
「では一つ聞きたいんですが,何故冒険者さすけには世界樹を譲ったんですか?」
「!?!?!?」
「何故その事を??」
「冒険者さすけが残した遺物に世界樹が使われている事を知って俺達は来たんですよ」
「何に使われていたんですか?」
「楽器です」
「どういったものなんですか?」
「口で説明するのは難しいんで,クロエ頼めるか?」
「はいよ」
「これが世界樹が使われている楽器,ピアノといいます」
「あのさすけ殿が作ったものですか」
「どういったものなのかお見せしましょう」
俺はピアノの前に座り演奏を始める。
「♫♫♪♪♫♫♪♪♪♫♪♪」
ショパン作曲『黒鍵のエチュード』
短い曲だがピアノの魅力を伝えるには十分だろう。
俺は演奏を弾き終える。
「これがピアノという遺物……なんですか?」
「そうです。さすけは音楽を愛していたそうで,残した手紙には音楽を広めて欲しいという願いと共にピアノがありました。俺はさすけの願いを出来るだけ叶えてやりたいとも思いながら音楽の旅をこいつらと一緒に旅をしているんです」
「素晴らしい音で,言葉を失ってしまいました……」
「カナデは世界樹を使って悪い事に使うなんて事はせん。むしろ良い使い方じゃないのか? カナデの音を聞いて不思議と元気になったり,心が豊かになる」
「さすけ殿に世界樹を譲ったのは先代の長老で,エルフの長年の問題を解決してくれたさすけ殿に長老がなんでも一つ願いを叶えてやろうと言って,さすけ殿は世界樹を求めたそうです。長老は独断で承諾し,里のエルフにはバレないように世界樹を渡したとそう聞いています」
「私からの願いを聞いてもらえませんか?」
「なんじゃ!? 言ってみろ」
「帝国に捕まったエルフの同胞も救出しては頂けませんか?」
「エルフ達を助けたら世界樹を譲ってくれるのか?」
「分かりました……約束します! 私が必ずどうにかします。ですので,どうかエルフの里と同胞を助けてはくれませんか?」
「なんだかな~いいように使われてるような気がするのだけれどカナデはどうしたいのじゃ!?」
「ちょっとお父さん。そんな事勝手に決めて大丈夫なの!?」
「ミーナは黙ってなさい!」
「怒られてやんの~」
「ちなみにエルフを助けるってどこにいるかってのは具体的に分かってるんですか?」
「ボルダ帝国内の貴族に捕まっていると思われます」
「範囲が広すぎませんか?」
「娘のミーナが使う魔法で同胞の居場所が分かるので,一緒に連れて行けば問題ありません。すぐに分かります」
「え!? 私がこの人達と一緒に!?」
「そうだ。一緒に行ってもらう」
「分かりました……いいですよ俺達が手伝いましょう。その帝国って国にも興味ありますし」
「ほ,本当にいいんですか!?」
「カナデ本当に良いのか!? それにカナデお主,引き受けたのはいいけど,余が頑張る事になるのじゃろ?」
「何言ってんだクロエ。オイラだっているぜ!」
「元々クロエは俺の従魔だろ? ちょっと位,主の言うこと聞いてくれたっていいだろ」
「カナデが言っていた演奏家ってのは面倒くさい生き物なんじゃな」
「ああその通りだ」
「では引き受けてくれると?」
「引き受けます」
「引き受けて頂いてありがとうございます」
「さっそく明日,魔物が襲ってくる原因の解決をしてこようと思います。クロエ出来るだろ??」
「簡単じゃな任せておくのじゃ」
「明日,私の信頼するエルフ数人と私も付いて行っていいでしょうか?」
「ええそれは構わないですけど……長老自ら行くんですか?」
「原因を自分の目で見てみたいと思いまして」
「わかりました」
「ではそろそろいい時間になって来ましたので,このまま我が家に泊まっていきませんか? 使っていない部屋がありますので」
「じゃあお言葉に甘えて泊まらせてもらいます」
ロイはもうすでにウトウトして今にも寝そうだった。
俺はロイをおんぶして,長老に案内された部屋のベッドにロイを降ろす。
「カナデよ。余達は魔物を退け,さらに原因まで取り除いてやって,エルフの救出までしてやるのに,あっちは世界樹を譲るだけってちょっと割に合わんと思わんのか?」
「いいんだ。それで世界樹を譲ってもらえるなら。楽器作れるならそれで」
「カナデが良いならそれでいいが,余はもう寝るぞ」
「ああ,おやすみ」
俺は音楽だけには嘘はつきたくない。音楽と出会ってから俺は音楽に嘘をついたこともない。音楽もその思いに答えてくれていると俺は信じている。
全員が納得した上で生まれた楽器の方がいい音を奏でると俺は思う。
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