糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

文字の大きさ
28 / 73
糖度7*ちょっと遠出のお仕事

2月に入って最初の日曜日。

今日はブライダルフェアに皆で行く日。

アパートまでお迎えに来てくれると言っていたので待って居たのだが、出かける30分位前に事態は急変。

「だから、何で来たの!?仕事に行くって言ってるでしょ!」

「こないだも電話で言ったけど、結婚相手が居ないならお見合いでもしなさい。仕事もいいけどね、婚期逃すわよ!」

年明けにかけてきた電話を一方的に切り、音信不通にしていた私。

音信不通にしていたのだって"結婚"ってうるさく言うからだよ!

お母さんが連絡もなしに突然訪ねて来たと思ったら、案の定、結婚の話でうんざり。

スマホもさっきから着信がきてるみたいで音が鳴ってるのに、うるさくて出れない。

時計を見たら、お迎え時刻を10分を過ぎても私が外に出てこないから着信があったのだろう。

「とにかく、また連絡するから。これから仕事行かなきゃいけないから帰って!」

お母さんを部屋から追い出そうとしたら、玄関のチャイムが鳴った。

インターホンのカメラを覗くと、日下部さんだった。

どうしよう?どうしよう?

頼むから勝手に開けないでよ、お母さん!

なかなか開かない玄関のドアをドンドンと叩く音が聞こえて、

「秋葉?どうした?」

と日下部さんが部屋に向かって話かけている。

阻止しようとしたが失敗して、母が勝手に扉を開けてしまった。

「…あら、まぁ?もしかして、ゆかりの彼氏じゃないですよね?」

「お母さん、ちょっと!!違うってば!私の上司の日下部さん」

お互いに驚いた様子だったが、日下部さんは対応するのが早く、お母さんに挨拶する。

「おはようございます。秋葉さんと同じ職場で働いている日下部です。車で仕事に向かうので、お迎えに来たのですが…」

日下部さんが話している間にお母さんは、日下部さんを上から下まで見回して、

「ゆかり、ゆかりっ。随分とカッコイイ人ね。お母さんが若かったら、絶対にアタックしてたわ!」

と私のスーツの袖をひっぱりながらコソコソと耳打ちする。

「お母さん、本当にうるさいから!」

日下部さんは穏やかそうに笑っている様に見えるが、内心は怒っていそう。

玄関先での立ち話。

「秋葉さんのお母様ですか?秋葉さんは目元がパッチリしていて、お母様似なんですね」

「そうなのよ、良く似てるって言われるの」

「若い頃は秋葉さんみたいに可愛い女の子だったんでしょうね」

お母さんにも私にも、お世辞使わなくて結構です!

「まぁ、お上手ね。そうそう日下部さん、ゆかりは彼氏は居ないのかしら?そろそろ結婚して欲しい年頃なんだけど」

ちょっと、その質問は日下部さんにはマズい!

『お母さん、本当にもういいから』と言おうとした時に日下部さんが

「気になりますよね。私も秋葉さんにアタックしてるんですが、全然なびいてくれないんですよ。お付き合いしてる人がいるのかも知れませんね」

とあっさり返す。

余計な事を言わないで、お母さんが本気にするからね!

お母さんはお母さんで後半の話は聞いてなくて・・・

「日下部さん、凄く素敵じゃない?何が駄目なのかしら?ゆかりは仕事ばかりしてないで現実を見なさい!…お母さんも日下部さんの様な方がお婿さんになってくれたら嬉しいわ」

と我が道を行く様な事を言っている。

「お母様からも後押しして下さると私も助かります。車で同僚が待ってますから、先に降りています」

「またね、日下部さん。ありがとう。…ほら、ゆかり、早くしなさい!」

日下部さんがゆっくりと玄関の扉を閉めて、外の階段を降りていく。

遅くなったのはお母さんのせいじゃん!

───やっとの思いでお母さんを追い返し、いざ出発。

車に乗り込むと、私は事情を話してひたすら謝った。

「ごめんなさいっ、本当に待たせてしまいごめんなさいっ」

「大丈夫ですよ、時間に余裕を持って待ち合わせしたんだし…」

高橋さんが運転する車に助手席が綾美、後部座席には私と日下部さんが座っている。

高橋さんの運転は、優しい性格が現れているかの様に穏やかで眠くなりそうな心地良さ。

・・・が、しかし、隣が日下部さんってゆーのが困りモノ。

車の中でもタブレットで仕事してるよ・・・酔ったりしないのかな、この人。

「秋葉の分の紅茶。早く取って!」
「は、はい。ありがとうございます」

横目でチラチラ見ていると、紅茶を渡されたのだが、渡す時ぐらいはタブレット置いたら良いのに・・・。

「あーぁ。秋葉のせいで、クリア失敗した。最悪!」

「はぁ!?仕事してたんじゃないんですか?」

「出かける時まで仕事しないって。秋葉のせいで、レアが逃げた」

タブレットを伏せてうなだれている。

何で私のせい?

「秋葉さん、日下部さんね、パズルゲームのモンスター集めしてるんですよ。仕事中は機械人間みたいに表情変わらないけど、プライベートでは人間らしい事もするんですよ」

「今日はもっと人間らしい部分が見られるよ!ゆかりの反応が楽しみだけど、私達は遠慮したいよね、高橋君」

「そうですね、怖かったですよね」

前方から、冗談混じりに交互に話す二人。

日下部さんがパズルゲームをするのも意外だったけれど、プライベートで人間らしい事で怖い事って何だろう?

「お前ら、いい加減な事言うな!」

「きゃー、怒った」
「本当の事言われたからですよ」

「たーかーはーしー!!」
感想 1

あなたにおすすめの小説

絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。

孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。 その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。 そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。 同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。 春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。 昔から志穂が近くにいてくれるから……。 しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。 登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。 志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。 彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。 志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。 そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。 その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました! 「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! ✽全28話完結 ✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 ✽他誌にも掲載中です。 ✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。 →表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
恋愛
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?